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古川雄輝、「絶対に譲らない」。3年ぶり主演舞台「室温~夜の音楽~」インタビュー2022/06/16

 6月25日より東京・世田谷パブリックシアター、7月22日より兵庫県立芸術文化センターにて上演される舞台「室温~夜の音楽~」。演劇界の第一線を走り続けるケラリーノ・サンドロヴィッチ氏が2001年に作・演出を手掛け、第五回鶴屋南北戯曲賞を受賞した同名舞台が、21年の時を経た今、河原雅彦氏の手により新演出版として上演される。

 人間が潜在的に秘めたる善と悪、正気と狂気の相反する感情を、恐怖と笑いに織り込んだ本作。主演を務める古川雄輝さんに、本公演への意気込みを聞いた。

「常に発見と学びがある仕事」

 映画やドラマで絶えず活躍している古川さん。今年はすでに4本の連続ドラマに出演しているが、舞台への出演は3年ぶり。

「3年ぶりの舞台の現場なので、とても緊張しています。緊張感と同時に、みんなでいい作品にしたいなというワクワク感もあって。3年前に出演した舞台(「神の子どもたちはみな踊る after the quake」)でも主演を務めさせていただいたのですが、今回も主演という形でオファーをいただき、とてもありがたいと思っています」。

 さらに「心配性な性格なので、どうしても『できるかな…』と感じてしまったり、不安や緊張を抱えてしまうのですが、3年間、ずっと映像の作品をさせていただいた中で、少しは成長できていると思うんです。そこで培ったものが、この舞台に入った時に通用するかどうか楽しみです。あとは、役者さんの捉え方次第で変わってくる作品だと思うので、キャストの皆さまがどんなふうに提示するかが楽しみですし、……僕が提示できるかどうか、不安です(笑)」と期待と不安が入り交じった表情に。

 また、これまでの経験を振り返ると「映像ではできていたことが、舞台になるとできなかったり。壁にぶち当たることが多かった」とも。

「細かいことですが、相手のセリフを受けての芝居において、映像だと『これでOK出るだろうな』と思うことも、なかなか舞台ではOKが出なかったということがあります。舞台だと、セリフをしゃべっていなくてもステージ上ではその人物として存在しているので、お芝居の埋め方が難しかったり…。ドラマだと先にカット割りが決まっていたりしますし、映像になると映っていないということもあるのですが、舞台だとそういうことができないので。あとは、受けの芝居で繊細なリアクションをしても遠くの方に見えないので、そういう部分も難しいなとか、舞台直後に映像に来ると声が大きすぎてダメとか。1人だけ大声になってしまうんです。常に発見と学びがある仕事だなと感じています」。

「自分が誰よりも理解している」「絶対に譲らない」

 本作で演じるのは、過去にある罪を犯してしまった青年・間宮。普段、役作りは「監督としっかり相談をして、すべてクリアになってからやりたいタイプ」だそう。

「台本が全部準備されていれば、逆算して作ることが多いかもしれないです。気になるセリフがあったら『このセリフを言う人物は、どういう人物なんだろう?』と考えながら、そのセリフに向けて肉付けしていくイメージですね。衣装合わせの段階ではすべて頭に入った状態で、監督としっかり話をして、すべてクリアになってからやりたいタイプ。正解を出せるのは監督だけなので、かなり相談はする方だと思います」。

 一方で、役に対するこだわりは「絶対に譲らない」と力強く言葉にする。「自分が演じる役に関しては『自分が誰よりも理解している』と思って読み込んでいるので、こだわりが強くなると、何と言われようと譲れない部分は絶対に譲らない。譲った方が物事はうまくいくかもしれないんですけど…(笑)」。

 そして、コロナ禍が2年以上続く中、実際に観客を迎えての開催への喜びも。

「なかなかお客さまに入っていただくことができなかったり、配信での演劇もあったのですが、今回の作品はホラー・コメディー。お客さまのクスっとした笑い声が入ることで、初めて完成するものだと考えています。1人が笑うとつられて笑いが巻き起こるのも生の舞台ならではなので、皆さんと一緒に楽しい体験ができたらうれしいです」。

 最後に“ホラー体験”について尋ねると「心霊的なものは分からないんですけど…。最近一番怖かったのは、忙しくてセリフで頭がパンクをすると、無意識のうちに物を捨てる癖があることに気付きまして(笑)。普段、朝ご飯を自分で作って、コーヒーもいれて、それを持って現場に行くんですけど、ある日、朝ご飯とコーヒーとゴミ袋を持って家を出たら、全部ゴミ捨て場に捨てて現場に行ってしまったんです。しかも、現場に到着するまでどこにあるか全く分からない状態でした(笑)」と、笑顔ながらも多忙な日々をのぞかせた。

 舞台「室温~夜の音楽~」のチケットは好評発売中。6月29日、7月1日の東京公演、7月23日の兵庫公演では、アフタートークも実施される。

【プロフィール】

古川雄輝(ふるかわ ゆうき)
1987年12月18日生まれ。東京都出身。A型。2010年、新人発掘オーディション「キャンパスター★H50withメンズノンノ」で審査員特別賞を受賞し、デビュー。近年の出演作は、映画「風の色」「曇天に笑う」「となりの怪物くん」「屍人荘の殺人」「思い、思われ、ふり、ふられ」「リスタートはただいまのあとで」、ドラマ「僕だけがいない街」(Netflix)、「ラブリラン」(日本テレビ系)、「ハラスメントゲーム」(テレビ東京系)、「LINEの答えあわせ~男と女の勘違い~」(読売テレビほか)、「働かざる者たち」(テレビ東京ほか)、「ごほうびごはん」(BSテレ東)、「liar」(TBSほか)、「ねこ物件」(tvkほか)、「嫌われ監察官 音無一六」(テレビ東京系)など。主演を務める映画「劇場版 ねこ物件」が、8月5日より公開予定。

【作品情報】

舞台「室温~夜の音楽~」
■東京公演 6月25日~7月10日 東京・世田谷パブリックシアター
■兵庫公演 7月22日~24日 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

取材・文/宮下毬菜



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