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マーティン・フリーマン、実在の刑事を演じる「刑事ファルチャー 失踪捜査」の見どころを語る2020/03/21

マーティン・フリーマン、実在の刑事を演じる「刑事ファルチャー 失踪捜査」の見どころを語る

イギリスの閑静な地方都市で実際に起きた女性失踪事件のてん末を描く、新作ドラマ「刑事ファルチャー 失踪捜査」。事件解決に挑む主人公、ファルチャー刑事を演じるのは「SHERLOCK/シャーロック」のワトソン役で知られる人気英国俳優、マーティン・フリーマンだ。

実在の刑事本人が見ている前で演じるのは緊張感があった

── まずはドラマの内容について教えてください。

「2人の女性が行方不明となり殺害され、僕の演じるファルチャー刑事が犯人を追い詰めていく様子が描かれる。その過程で彼は、容疑者から自供を得るために法を犯してしまうんだ」

── この作品にひかれた理由は?

「ポール・アンドリュー・ウィリアムス監督とは以前に仕事をして気心が知れているし、脚本のジェフ・ポープも才能があって評価が高い。それに、事件のことはあらかじめ知っていたけれど、実際にファルチャー本人のインタビュー映像を見て、彼の判断や行動が極めて良識的だと感じたんだ。インタビューの中で、彼は犠牲者がもし自分の子どもだったらと自問自答しているようだった。ドラマの中のファルチャーもそうなんだ」

── その部分について詳しく教えてください。

「ファルチャーには2人の娘さんがいる。だから、子どもを持つ親ならば事件に感情移入するのは仕方がない。しかも、そんなひどいことをした犯人を取り調べる責任者となれば、まるで自分が当事者のように感じるだろう。親が想像し得る最悪の事態だからね。もちろん、たとえ親でなくとも被害者家族の痛みは理解できると思うけれど、子どもがいればなお一層のこと身につまされ、警察官として超えてはいけない一線が見えなくなってしまうんだ」

── 実在の人物を演じることに責任は感じましたか?

「これまでにも実在の人物を演じたことはあったけれど、今回は本人が見ているから違う緊張感があった。ただ、疑問があれば撮影現場で本人に聞くことができるし、そもそも俳優であればどんな役柄でも演じることに責任を感じるのは当たり前だと思う」

── 本物のファルチャーはどんな人物だと思いますか?

「彼は非常に有能なプロの警察官だ。僕の知る限りでは、仕事ぶりは優秀で地元での評判も良く、勘の鋭い警察官だと思うよ。ただ、自分にも他人にも厳しいところがあるため、必ずしも社交的とは言えない。要するに、真面目だけれど欠点のある人物だ。でも、誰だってそうじゃないかな」

── 事前にリサーチは行いましたか?

「ファルチャーについての資料はあまり多くないのだけれど、彼は本を書いていたのでそれを読んだし、あとは被害者女性たちの母親のインタビュー映像も見せてもらった。それ以外にも、ドキュメンタリーやニュース映像も参考にしたよ。とはいえ、決して豊富な記録が残っているというわけではなかった。それに、事件を映像化した作品はこれが初めてだったから、参考にできる映画やドラマがほかにあるわけでもなかったしね」

── ファルチャーの捜査手段についてどう思いますか?

「このドラマは、決して彼のことを美化して描いているわけではないけれど、ここで再現された彼の行動を見て、ファルチャーが過ちを犯したと考える人はいないだろう。確かに賢いやり方ではなかったかもしれない。しかし、また同じ状況になったら同じことをするだろうと本人も言っているように、犯人を捕まえるためには、ほかに選択の余地がなかったんだ。少なくとも僕は、彼のことを理想的な警察官だと思っている。もちろん、だからといって法律を破っても構わないとは言わないし、それはファルチャー自身も同意見だろう。むしろ、本来の彼は規則を重んじる立派な警察官だ。この作品の準備をする過程で、ほかの警察官たちにも話を聞いたけれど、みんな彼が不当な扱いを受けたと感じていた。だから、軽い叱責くらいで済ませてもよかったように思うのだけれど、実際に彼の身に起きたことはそれ以上だった。重要なのは、彼の行動によって2人の女性の遺体が発見され、犯人を捕まえることができたということだ」

── このドラマはどこまで実話に忠実ですか?

「例えば、ファルチャーが犯人と初めて対峙した時の描写は、彼のアシスタントが残した記録に基づいている。しかし、セリフはドラマチックな脚色が施されている。もちろん、一番重要なのは事実に沿うことではあるものの、同時にテレビドラマとして面白くなくてはいけない。そういう意味で、脚本家のジェフ・ポープは、人間味があって共感できる物語に仕上げてくれたと思う。それに、ポール・アンドリュー・ウィリアムスが演出を担当したことも良かった。彼はどこまでも現実的であることにこだわったので、誰かをことさら英雄視したり、事実を美化したりなどしなかった。普通の人は英雄的な行動などなかなかしない。とことんリアルに実際の出来事を描いているんだ」

【プロフィール】

マーティン・フリーマン、実在の刑事を演じる「刑事ファルチャー 失踪捜査」の見どころを語る

マーティン・フリーマン Martin Freeman  
1971年9月8日生まれ。英国出身。2005年の映画「銀河ヒッチハイク・ガイド」で知名度を上げ、10年に始まったドラマ「SHERLOCK/シャーロック」で人気に。映画「ホビット」シリーズの主演でも知られる。

【番組情報】

マーティン・フリーマン、実在の刑事を演じる「刑事ファルチャー 失踪捜査」の見どころを語る

「刑事ファルチャー 失踪捜査」
シネフィルWOWOW 
4月19日 午後11:00~深夜4:15(字幕・全6話) 

英国の田舎町で若い女性が消息不明となり、ファルチャー刑事らの捜査を住民たちが見守る。その中には8年前に行方をくらました女性の両親もいて…。

文/なかざわひでゆき



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