Feature 特集

窪田正孝が語る「劇場版ラジハ」の魅力とは?「唯織には共感できるところもたくさんありました」2022/04/27

CULTURE INTERVIEW/窪田正孝(劇場版ラジエーションハウス)

 放射線技師の活躍に焦点をあて、新たな医療エンターテインメントとして人気を博した「ラジエーションハウス」。2作のドラマを経て、集大成となる劇場版が公開される。主演の窪田正孝が、作品の魅力を語ってくれた。

──「劇場版ラジエーションハウス」の鈴木雅之監督とは、ドラマ「ラジエーションハウスⅡ」第1話の撮影以来、数カ月ぶりの再会だったそうですね。

「その時期、鈴木監督はほかの作品も同時進行で手掛けていらっしゃって、とても忙しくされていたんです。僕としては、ずっと『ラジハ』を撮影しているのに、2カ月ぐらい鈴木監督がいらっしゃらないのが何か不思議な感じでした。だから、劇場版の撮影で監督の顔を見た時に、すごくホッとしたんですよね」

──「劇場版ラジハ」は、鈴木監督ならではのすてきな群像劇に仕上がっている印象があります。

「『ラジハ』や『HERO』をご覧いただければ分かるように、鈴木監督はチームというものをすごく大事に撮影していらっしゃって。そこにはご本人の憧れも投影されているのかなと感じたりもしているんですよね。現場にいると実感するんですけど、鈴木監督は撮りたいものが明確にあって、分かりやすく提示してくださるんです。それでいて、画面に映るものがすべてではなく、あえて映さないことで作品を見てくださる方々の想像を広げていたりもするんですよね。何だろうな…ちょっと違う平行世界から演出をされているようなところがあって。そんなふうに意外な方向から指摘されると、こっちも意図せずフッと力が抜けたりして、それが意味深に映ったり、見てくださる方の心に残るようなカットが生まれる、といった効果をもたらすことがあるんです。そういう創造性を、鈴木監督もすごく楽しんでいるような印象がありますね」

── 今回の劇場版では、主人公の五十嵐唯織たち診療放射線技師が、“未知なる感染症”まん延の疑いがある離島へ出向くことが、見せ場になっていますね。

「基本的に放射線技師は縁の下の力持ち的な存在と言いますか、普段は陽の目を見ないポジションで粛々と仕事に取り組んでいるわけです。それが日の光を浴びた時に、彼らが実はどれだけすごいことをしているのか、医療において不可欠な存在であるということを、あらためてスクリーンを通して感じていただけるのではないかな、と思います」

── 窪田さん演じる五十嵐唯織は天才的な放射線技師でありながら恋愛面ではからきし、という…そのアンバランスさが人物的魅力になっている気がします。

「全体を通して言えることだと思うんですけど、人それぞれに価値観が違うわけじゃないですか。そういった中で唯織を演じていて感じたのは、(本田翼演じるヒロインの甘春)杏ちゃんと子どもの時に交わした約束、いや唯織が一方的に交わしたと思い込んでいただけかもしれないんですけど、『世界一のカメラマンになる』という、おぼろげで儚いものに重心を置いている人なんですよね。その重心は、大人になってもずっと変わっていなくて。それが彼の選んだ道であり、唯織にとって一番の幸せでもあるんです。だから、杏ちゃんの留学が決まって、少しの間離れることになるだけで、人生のすべてを失ったかのようになる。でも、その無垢さというのはすごくすてきなものだし、そう感じられることが実は彼にとって幸せでもある、と僕は思っていて。ただ、『ラジハ』を見続けてくださっている皆さんからすると、唯織にじれったさを覚えずにはいられないだろうな、というのも理解できるんです。シーズン1からずっと、煮え切らなさにお付き合いしていただいているので(笑)」

── 劇場版では、そこに決着がつくという解釈もできますね。

「ただ、あえて恋愛面にばかりフォーカスするのではなくて、そこをカラッと描いているのが『ラジエーションハウス』という作品のカラーでもあって。そういったところも踏まえて、劇場版で唯織と杏の心の距離感を濃密に描いた瞬間を見ていただくと、唯織が前に進むためにずっと基盤としてきたものが何だったのかが、皆さんにも把握できるんじゃないかな、という気がしているんです。演じている側からすると、若干もどかしかったりもしましたけど(笑)、それ以上に唯織には共感できるところもたくさんありました」

【MY『心が動いた』MOVIE】

「DEATH DAYS」(長久充監督・全国順次公開中)です。森田剛さんが主演(※企画・制作も担当)された作品で、三夜連続でYouTubeで配信してから、3月に渋谷の「シネクイント」で劇場公開されたんですけど、めちゃめちゃ面白くて。人には誕生日のように命日も決まっているという設定で、「生まれてきたことと死ぬことは表裏一体」という前提の下、ある男の20年間を描いているんですけど、カメラのアングルなど、ちょっと異世界感がある撮り方をされているんです。とにかく構想がものすごく練られていて、「これ、よく思いついたなぁ!」と驚くような新鮮な内容で。映像やつくりがおしゃれなんですけど、死生観について考えさせられたり…と深いんです。すごくオススメです。

【プロフィール】

窪田正孝(くぼた まさたか)
1988年8月6日、神奈川県生まれ。しし座。B型。近年の主な出演作に、連続テレビ小説「エール」(2020年)、映画「決戦は日曜日」(22年)など。映画「ある男」が22年秋、「スイート・マイホーム」が23年に公開予定。

【作品情報】

CULTURE INTERVIEW/劇場版ラジエーションハウス

「劇場版ラジエーションハウス」 
4月29日公開

表面的には見えづらい病を見つけ出す放射線技師たちの群像を描いたシリーズの集大成となる劇場版。主人公・唯織(窪田)と放射線科医・杏(本田翼)たちが、72時間でいくつもの困難に立ち向かう姿を描いていく。

原作/「ラジエーションハウス」(原作/横幕智裕 漫画/モリタイシ) 脚本/大北はるか 音楽/服部隆之 監督/鈴木雅之 
出演/窪田正孝 本田翼 広瀬アリス ほか

【プレゼント】

CULTURE INTERVIEW/ポラプレゼント:窪田正孝

サイン入り生写真を1名様にプレゼント

応募はコチラ→https://www.tvguide.or.jp/news/present/
(応募期間:2022年4月27日正午~5月2日午前11:59)

ハガキでの応募方法は「TVガイド」5月6日号(P98)をご覧ください。
「TVガイド」の購入はコチラ→https://honto.jp/cp/netstore/recent/tokyonews-book/01.html

取材・文/平田真人 撮影/山本絢子 
ヘア&メーク/糟谷美紀 スタイリング/菊池陽之介



この記事をシェアする


Copyright © TV Guide. All rights reserved.