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小松菜奈&宮沢氷魚が映画「ムーンライト・シャドウ」で恋人役!「“触れて確かめる”ということを意識していました」2021/09/01

小松菜奈&宮沢氷魚 スペシャルインタビュー/映画「ムーンライト・シャドウ」

 吉本ばななの短編小説「ムーンライト・シャドウ」が、刊行から33年の時を経てついに映画化。愛する人を突然亡くしたさつきを演じる小松菜奈と、恋人の等を演じる宮沢氷魚が見どころを語ってくれた。

── お二人は、原作は読んだことがありましたか。原作の感想をお伺いしたいです。

小松 「小学生の時に、図書館でタイトルにひかれて手に取った『キッチン』の中に収録されていて。本作を機に再度手にして、“知ってる!”と懐かしさを覚えました。水の音が聞こえてきそうなシーンとした静寂など、美しい言葉からすべてが頭に浮かぶような描写で、世界観が本当にすてきだとあらためて感じました」

宮沢 「僕は初めて読みましたが、言葉がとても美しく、目の前に一つ一つの景色が鮮明に見えてくるようでした。それゆえ頭の中でイメージが完成され過ぎてしまい、逆にこれを映像化できるのかと思ったほどです。でもエドモンド・ヨウ監督の撮り方などに現場で触れ、これは絶対にうまくいくと確信しました」

小松 「そう! 完成した映画は、原作に対するリスペクトが画に映っていて、エドモンド監督のスパイスでファンタジー要素が映像になっても変に感じることなく、すごくハマっていました。この世界観に自分が入れたことが、とてもうれしかったです」

── 恋人を失ったさつきが再生していくまでを描いたラブストリーですが、最愛の人・等がどこかはかなげで、最初からドキドキさせる絶妙な存在感でした。

宮沢 「等本人はその瞬間を楽しんで生きているだけなので、演じる際は死を意識していたわけではないんです。ただ、僕はこれまでもそういった役が多くて」

小松 「確かに氷魚さんの透明感や目の色などがそう思わせるのか、目と目は合っているのに、“ちゃんとそこに居るよね!?”と確かめたくなる感覚は何度もありました(笑)。2人は付き合っているし隣にいるんだけれど、どこか不安というか。だからお芝居でも、等に対して“触れて確かめる”ということを意識していました」

── 死者ともう一度会えるかもしれない“月影現象”をさつきが知って以降、ファンタジーが流れ込みますね。

小松 「監督は撮影前の本読みを大事にされていたんですが、さつきを“月影現象”へ導く、(臼田あさ美演じる)麗とのシーンだけは、本読みをしてはいけないんじゃないかと思いました。急に現れた、人間なのかさえ分からない麗を、さつきは自然に受け入れる。それだけに互いの反応や、どう話すかが分かってしまうのは、違うような気がして。そこで初めて生まれる生の感情を温めたいと監督と話し合い、現場のみでやることにしました」

宮沢 「監督は、現場で生まれるものもとても大事にしてくださって。“違うかも”と思うと、いろんなことを試させてくれる。その柔軟性に助けられました。特に橋のシーンはセリフも含めニュアンスを話し合い、みんなが納得するまでやれた気がします」

小松 「そのシーンはとても印象に残っていますね。みんなで作り上げた、という感覚でした」

── 2人の様子から非常に信頼が厚い関係性がうかがえますね。

宮沢 「小松さんはイメージ通り、素晴らしい人間性の持ち主でした。仕事に対する熱意、スイッチが入った時の集中力、そして視野の広さ。周囲の人の状態を見抜く力がすごく高かったです」

小松 「氷魚さんこそ周りのことを見ていて、とても優しくて。実際に長男というのが、すごくよく分かりました。私たち3人(宮沢以外の主要キャスト)みんな、お兄ちゃんに接するみたいに甘えてました(笑)。マイナスイオンが出ていて、本当に穏やかで、アロマみたいな人」

宮沢 「空気清浄機とは言われたことがあるけれど、アロマは初めて!(笑)。うれしいです」

【OUR『切ないシーン』MOVIE】

小松 「切ないと言えば、さつきが等に“一緒に暮らそうか”と言った時に、答えが返ってこなかったシーンです。あ、気持ちが違ったのか、と分かる瞬間というか。等が何を考えているのか分からなくなり、段々と気持ちがすれ違っていく、あの瞬間は、すごく切なかった!」

宮沢 「そうだね。それまでは何を言われても、等は“うん、分かった”と言える心の余裕があった。でもあの時、“ノー”とは言わないまでも、すぐに“イエス”と言えなくて、申し訳なさも感じていて。等にとっては、自分が抜けてしまったら家族のバランスが乱れてしまうとか、弟の柊を1人置いていくわけにはいかない、という気持ちがあって…。やっぱり僕もあの瞬間、2人の距離が空いてしまったな、という切なさみたいなものを感じました」

小松 「あと麗から“月影現象”のことを聞いた時、それまで感情を表に出さなかった柊が“僕のせい(で死ん)だ”と涙を見せるシーンも、演じていてかなり切なかったのを覚えてます」

【プロフィール】

小松菜奈(こまつ なな) 
1996年2月16日、東京都生まれ。みずがめ座。O型。2008年よりモデルとして活動を始める。14年に「渇き。」で長編映画に初出演。近年の代表作に映画「さよならくちびる」(19年)、「糸」(20年)など。林遣都とダブル主演を務める映画「恋する寄生虫」が11月に公開予定。


宮沢氷魚(みやざわ ひお) 
1994年4月24日、アメリカ生まれ。牡牛座。「MEN’S NON-NO」専属モデルとして活動。2017年にドラマ「コウノドリ」で俳優デビュー。近年の代表作に初主演映画「his」(20年)、「騙し絵の牙」(21年)など。来春に放送予定のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」に出演予定。

【作品情報】

映画「ムーンライト・シャドウ」

映画「ムーンライト・シャドウ」
9月10日公開

さつき(小松)と等(宮沢)は運命的に出会い、恋に落ちる。等の弟・柊(佐藤緋美)と、その恋人のゆみこ(中原ナナ)の4人は、多くの時間を一緒に過ごすように。しかし突然、等とゆみこが命を落とす。

原作/吉本ばなな 監督/エドモンド・ヨウ 脚本/高橋知由 
出演/小松菜奈、宮沢氷魚、佐藤緋美、臼田あさ美ほか

【プレゼント】

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(応募期間:2021年9月1日正午~9月8日午前11:59)

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取材・文/折田千鶴子 撮影/天野良子 
ヘア&メーク/Kie Kiyohara(beauty direction)[小松]、Taro Yoshida(W)[宮沢] 
スタイリング/二宮ちえ[小松]、秋山貴紀[宮沢] 
衣装協力/Chika Kisada(EDSTRÖM OFFICE)、TOGA PULLA(TOGA原宿店)[小松]、TOGA VIRILIS(TOGA原宿店)[宮沢] 
問い合わせ先/EDSTRÖM OFFICE(03-6427-5901)、TOGA原宿店(03-6419-8136)



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