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土屋神葉◆「僕が悩んでいるのを、界人さんも感じ取っていたと思うんです」 石川界人◆「“下野さん、やっぱりすごい人だな”と思いました」2021/05/26

土屋神葉◆「僕が悩んでいるのを、界人さんも感じ取っていたと思うんです」 石川界人◆「“下野さん、やっぱりすごい人だな”と思いました」

 フジテレビ“ノイタミナ”で現在放送中の「バクテン!!」は、高校の男子新体操部を舞台にしたオリジナルアニメ。中学最後の夏、偶然見た男子新体操に魅せられた高校1年生の主人公・双葉翔太郎が同学年のエース・美里良夜や先輩部員と共に成長していく物語で、翔太郎を土屋神葉、美里を石川界人が演じている。今回は、声優業界の中で後輩と先輩にあたる土屋と石川にインタビュー! アニメ本編を見た感想から、共演者でもある先輩声優たちの芝居についてなどたっぷり語ってもらった。

――「バクテン!!」のアフレコは既に終わっているそうですが、放送はご覧になっていますか?

土屋 「もちろん見ています! いやぁ、すごいですよね。モーションキャプチャーのCGと絵が組み合わさって、とても美しい表現になっていて…。僕らは、アフレコの時に完成前の映像を見ているので“何となく、こんな感じになるんだろうな”というイメージはあったんですけど、想像をはるかに超える美しさでした。放送を見てくれた友達も『男子新体操部ってカッコいいね!』と言ってくれて、声優として携われて良かったなと思いましたね」

石川 「本当に! 男子新体操って、マイナーとは言いたくないけれど、多くの人にとってはまだなじみ深い競技ではないと思うんです。なので、初回の放送(4月8日放送)は好奇心で見ていた方もいると思うんですけど、多くの人の心をつかんだんじゃないかなと思います。“自分も新体操をやってみたい”という気持ちが湧いてくるような映像になっていましたよね。それに、スポーツをテーマにしたアニメって、どうしても“競技シーンに作画が集中する”という先入観があるじゃないですか」

――いわゆる見せ場ですものね。

石川 「そう。だけど、競技のみならず日常シーンまでとても力の入った作画だったので、“そうではないんだよ”というのが序盤で視聴者の皆さんにお分かりいただけたのかなと思います。寮での調理シーンなども、細部に至るまでとても丁寧でしたから!」

――そんな本作で、お二人はメインキャラクターを担当されています。演じる上で最も大切にしたのはどこですか?

土屋 「変わった言い方になりますけど、僕はコーティングされたお芝居とコーティングされていない生々しいお芝居を使い分けたいと思っていたんです。“その方が、生々しいお芝居が際立つだろうな”と思って…。でも、いろいろ考えて、途中から使い分けず生々しさだけを意識しようという方にシフトチェンジしました。結局のところ、“翔太郎をなじみ深い人物にしたい”という目標があったので、そのためには生々しさを全面に出した方がいいだろうということで…。僕自身、“演じた!”と手応えを感じられるのもそっちでしたし」

土屋神葉◆「僕が悩んでいるのを、界人さんも感じ取っていたと思うんです」 石川界人◆「“下野さん、やっぱりすごい人だな”と思いました」

――自分の中で悩んだ末、そちらに落ち着いたのですね。

土屋 「そうですね。ただ“使い分けた方がいいのかな”と僕が悩んでいるのを、界人さんも感じ取っていたと思うんです。分かっていましたよね?」

石川 「まあね!(笑)」

土屋 「『バクテン!!』の現場では、界人さんに相談したこともありました。そうして、翔太郎という役をだんだんとつかんでいった感じですね」

石川 「僕は、“美里も人である”というところを大切にしました。この作品は、思春期という多感な時期を描いているじゃないですか。しかも、高校の3年間は人がアイデンティティーを確立する一番大事な時期で、いわば、変化しやすい時期だと思うんです。美里も、冷静沈着で感情の起伏が少ない人物ではあるけれど、月日がたつにつれてツッコミを入れたり、感情をあらわにする場面が出てくるんですよね」

――美里自身も、思春期を生きる男子高校生ですからね。

石川 「そうなんです。美里がもし“キャラクター”だったら、冷静沈着なままブレずに描かれると思いますが、この作品で求められていることって、そこではないと思うんです。キャラクターではなく、人だから変化する…それを意識しましたね」

――とても繊細なお芝居をされているのですね。ちなみに、翔太郎と美里が所属する私立蒼秀館高等学校(通称アオ高)の男子新体操部には先輩部員がいますが、演じている方々は、土屋さんと石川さんにとっても先輩にあたる方々ですよね。

土屋 「はい。小野大輔さん(七ヶ浜政宗役)や近藤隆さん(築館敬助役)、下野紘さん(女川ながよし役)、神谷浩史さん(亘理光太郎役)ですね。実は、僕と界人さんは基本的に2人で収録していたので、先輩方とはご一緒できなかったんです。ただ、先に収録されていたので、僕らが収録する時は先輩方が録ったばかりの声を聞きながら掛け合いをしていました。おかげでとてもやりやすかったですし、“皆さん、表現が本当に豊かだな”とあらためて感じました」

石川 「それに、ずるいよね!(笑)。先に録る方たちは、“掛け合う相手の声が聞こえない”という難しさがあるけど、一方で“相手が収録していないから、自分のフィールドで自由に戦える”という側面もあるから…。もちろん、そのためにはそれなりの技量がないといけませんけど。特に、女川と掛け合うシーンでは、テトリスに例えると“このピースしか入らない!”と思うことが多かったですね。演じている下野さんがどこまで意図しているかは分からないですが、そのたびに“ものすごい試練をいただいた”、“ありがとうございます! 成長できます!”と思いながら収録していました。すごく面白かったです。『バクテン!!』のメインキャストの中でも、下野さんは特に長くお世話になっている先輩なんです。僕が10代の頃からご一緒しているので…。だからこそ、難しい課題を与えてもらえるのはうれしかったですし、“下野さん、やっぱりすごい人だな”と思いました」

――今の収録スタイルだからこそのエピソードですね。それでは最後に、終盤に差し掛かる本作の見どころをお願いします。

土屋 「後半に向かうにつれて、登場人物の葛藤が色濃くなっていきます。葛藤する部員を他の部員が支えるなど、チームらしい“人対人”のシーンも多く描かれるので、きっと心が動かされるのではないかなと思います。僕自身も完成した映像をすごく楽しみにしているので、皆さんもぜひご覧ください!」

土屋神葉◆「僕が悩んでいるのを、界人さんも感じ取っていたと思うんです」 石川界人◆「“下野さん、やっぱりすごい人だな”と思いました」

【プロフィール】

土屋神葉(つちや しんば)
1996年4月4日、東京都生まれ。牡羊座。O型。今年、「第十五回 声優アワード」にて新人男優賞を受賞。アニメ「さよなら私のクラマー」(TOKYO MXほか)に出演中。「映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ」が6月11日公開。実写版「アイカツプラネット!」(テレビ東京系)では瀬川樹役で俳優としても出演中。


石川界人(いしかわ かいと)
1993年10月13日、東京都生まれ。天秤座。AB型。アニメ「僕のヒーローアカデミア」(日本テレビ系)、「蜘蛛ですが、なにか?」「ドラゴン、家を買う。」(ともにTOKYO MXほか)などに出演中。7月スタートの「ヴァニタスの手記」にも出演。

【作品情報】 

土屋神葉◆「僕が悩んでいるのを、界人さんも感じ取っていたと思うんです」 石川界人◆「“下野さん、やっぱりすごい人だな”と思いました」

「バクテン!!」
6月3日
フジテレビほか
木曜 深夜0:55~1:25

スポ根と青春群像劇を掛け合わせたオリジナルアニメ。私立蒼秀館高等学校(通称:アオ高)の男子新体操部に入部した1年生の翔太郎(土屋)と、同じく1年生で部の若きエースとして期待されている美里(石川)らを中心に描いている。3DCGによる美麗な競技シーンも話題。

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取材・文/松本まゆげ 撮影/為広麻里



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