Cheer up! アスリート2020

連載

日本競泳女子のエース・大橋悠依選手

時代が彼女に追いついた。

 10代の活躍が珍しくない女子競泳界で20代になってから日本一に輝いた。’20年へ向けて輝きを増すトビウオジャパンの超新星。東京五輪へ、急激な進化を遂げた秘密とは?

 日本選手権の初優勝は21歳の時。「遅れてきたニューヒロイン」と呼ばれることもある。

「自分ではあまりなんとも思わないです。遅咲きだなとは思わないし、自分より年下の子たちがどんどん先に活躍していくのを見て、素直に『すごいなあ』と思っていました。抜かされた、という感覚はなかったですね」

 だから東京五輪が決定した時も「自分が」とは思わなかった。

「東京でやるんだ、という感じでした。まるで他人事。東京五輪の時に自分がいくつになっているかも考えていなかったので、東京五輪に出場することなど全然考えていなかったですね(笑)」

 そんな「東京五輪は他人事」も今は昔。今年、日本選手権の200、400m個人メドレーで3連覇を達成しても満足していない。

「日本選手権はしんどかったです。200m個人メドレーですごく苦労したので、その流れが良くないまま、少し暗い気持ちでずっと過ごしていました。タイムが良くなかったというのもそうなんですが、順調にトレーニングができていた分、本番であまり良くなかったというギャップに自分がしんどくなっちゃいました。練習ですごくガツガツする泳ぎができるようになったので、ここ1年ですごくパワーがついたと思っていたのですが、その練習での泳ぎ方と試合での少し楽な泳ぎ方との間にギャップがあったのかな、と。そこが今回の反省点ですし、試合の時の少し楽な泳ぎ方で練習を積み重ねないといけないな、と思いました」

 勝っても課題が残る。水泳って大変だね、と言うと「難しいです(笑)」と笑顔を見せた。

 その課題を抱えて7月の世界水泳に臨むことになる。

「今回の日本選手権で自己ベスト更新を目指して練習をしてきていたのですが、それができなかったので、世界水泳ではとにかく200mでも400mでも自己ベストを更新したいです。それと守りに入ったレースをしていると、海外の強いライバルたちには勝てないと思うので、前半から勇気を持って勝ちに行くレースをしたいと思っています」

 その気になるライバルは?

「400mではカティンカ・ホッスー選手が一番のライバルになると思いますが、200mにはシドニー・ピックレム選手、あと去年負けた韓国のキム・ソヨン選手も地元開催なので力を入れてくるでしょう。あまりホッスー選手ばかりを意識しすぎて他の選手に負ける、ということのないようにしないと、と思っています」

 そんなライバルたちに勝ち、金メダルなら東京五輪内定だ。

「プレッシャーはあまりないですが、意識はしています。ただ、夏の世界水泳で金メダルを取って内定をもらうことがすべてではないと思っています。確かに来年の日本選手権のこともあまり考えず、1年後に向けてトレーニングをすることが可能になるので、それはいいことだと思います。でも、そこばかりを意識しちゃうと気持ちが少し難しい方向に行ってしまうと思うので。金、金と思わずに、できることをやっていきたいと思っています」

 とはいえ、前回の世界水泳では銀メダルを獲得。今回は金も期待されての世界水泳となる。

「この2、3年ですごく伸びましたが、そんなに簡単にはうまくいかない、と自分でも思っていました。前回の世界水泳で銀メダルを獲得したレースもそうですが、完璧なレースをするという感覚が自分の中にある。それを超えるためには“根拠のある自信”がつくようにならないとダメだと思っています。こんなことができるようになったとか、こういう泳ぎができるようになったとか。テンポを上げたり、いろいろとできることが増えていかないと“根拠のある自信”はついていかないですね」

 そんな彼女は今、東京五輪をどのような思いで見ているのか。

「五輪にはまだ出たことがないのでわからないです。ただ、世界選手権で優勝するのと五輪で優勝するのとでは周囲の評価も違う。同じ金メダルでもそこに違いがあるのかな、と。水泳をやっていろいろなものを見てきたからこそ、そう思っています。あと、五輪には魔物がいるといいますが、それがどういうものなのか気になります。でも、東京で開催するということで見てくださる皆さんも盛り上がると思いますし、そのパワーを借りることができればと思いますね」

 リオ五輪後から3年連続日本一。東京五輪を前に彗星(すいせい)のように現れた感はやはり否めない。

「周囲の変化ですか? 私をよく知る人たちからは『そんな感じでも、あなたは日本チャンピオンなんだね』と言われます(笑)」

 おかしそうに笑う大橋は「遅れてきたニューヒロイン」ではない。「自然体のヒロイン」だ。

【TVガイドからQuestion】

Q1 印象に残っているスポーツ名場面を教えて!

最近ではフィギュアスケートをよく見ています。どの大会というのではなく、羽生結弦さんはもちろん、宇野昌磨さんもすごいなぁと。特に羽生さんは次元を超えている。何が彼をあれほど奮い立たせているのか気になります。

Q2 好きな音楽(応援歌)を教えて!

音楽はいっぱい聴きます。嵐とか、最近は欅坂46、AAA、それとガールズグループのBiSHとか聴きますね。試合前に気持ちを奮い立たせたり、落ち着かせるために聴く曲としては、Mrs. GREEN APPLEの曲が多いです。

Q3 “2020”にちなんで、“20”代のうちにやっておきたいことを教えて!

結婚ですかね(笑)。もちろん今は無理ですけど、引退したら20代のうちに結婚したいと思っています。あと、嵐が好きなので「VS嵐」に出たいと思っているのですが、難しいでしょうね。五輪でメダルを取らないと無理かなーと(笑)。


競泳競技概要
第1回大会から行われている人気競技。選手が決められた距離を泳ぎ、その速さを競う。スタートの際「Take Your Marks」の掛け声から号砲までは静止しなければならず、動いた場合は失格に。男女の50、100、200、400、800、1500m自由形、100、200m背泳ぎ、100、200m平泳ぎ、100、200mバタフライ、200、400m個人メドレー、4×100mと4×200mリレー、4×100mメドレーリレー、男女混合4×100mメドレーリレーで、合計35種目が行われる。
【プロフィール】
大橋悠依(おおはし ゆい)
1995年10月18日滋賀生まれ。天秤座。B型。

▶︎姉が水泳をやっていたことで幼稚園から水泳を始める。「成り行きですね(笑)」
▶︎姉はその後水泳をやめたが「小学校3年生ぐらいの時に選手コースに上がったので、この道がいいのかな、と思い続けました」
▶︎大学2年まで思うような記録が出せず、’16年日本選手権400m個人メドレーで3位。リオ五輪出場は逃すが、「自分のレースだけをすると決めて半年ぐらい頑張って、大学に入って初めて成果を出せた試合。ここから一気に自分の水泳が変わったと思っているので印象に残った大会です」
▶︎’17年日本選手権で200、400m個人メドレー優勝。ブタペストでの世界水泳に出場し200m個人メドレーで銀メダルを獲得。昨年はパンパシフィック水泳選手権で200、400m個人メドレー優勝、’19年日本選手権200、400m個人メドレー3連覇。
【番組情報】 
「世界水泳 韓国・光州2019」
7/12(金)~28(日)開催 
テレビ朝日系で放送 ※放送時間未定

大橋悠依(個人メドレー)のほか、牧野紘子(バタフライ)、白井璃緒(自由形)らが出場。カティンカ・ホッスー(ハンガリー)らリオ五輪メダリストとの争いに注目。日本選手は金メダル獲得で東京五輪出場が内定する。
【プレゼント】
サイン入り生写真を2名様にプレゼント!

応募はコチラ→https://www.tvguide.or.jp/tvguide_enquete
(応募締切:2019年6月12日午前11:59)

ハガキでの応募方法は「TVガイド」6/14号(P114)をご覧ください。
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取材・文/田村友二 撮影/Marco Perboni



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