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最強朝ドラ「なつぞら」の数字で見る“気になるポイント”とは? ~録画視聴データから探る「なつぞら」中間リポート~2019/06/27

 “100作目の記念作”ということでオンエア前から話題を呼んでいたNHK連続テレビ小説「なつぞら」も、放送開始から3カ月が経つ。アニメーターを目指して上京した主人公・奥原なつの夢の旅路もそろそろ折り返し地点。ということで東芝レグザ録画視聴データなどを基に「なつぞら」のここまでの歩みを振り返ってみよう。

「なつぞら」は、これまでにも「てるてる家族」や「風林火山」、「精霊の守り人」などの傑作ドラマを手がけてきた向田邦子賞受賞作家・大森寿美男氏のオリジナル脚本。広瀬すずが主演を務めることや、松嶋菜々子、小林綾子、山口智子、貫地谷しほりなど、かつての朝ドラヒロインが次々に登場するなど、“100作目の朝ドラ”にふさわしいスペシャル感とともにスタートした。戦争で両親を失い、北海道・十勝に引き取られて育ったなつがアニメーターになる夢を抱いて上京、1956年になんとか「東洋動画」に入社することになった…というのが第9週までのあらすじである。

 そして、以下に掲げたのはその第9週まで、すなわち、第1回(4月1日放送)から第54回(6月1日放送)までの9週間分の録画視聴ポイントをグラフにしたものである。対象としたのは地上波=NHK総合の本放送。ポイントは最も数値が高かった回を100とした比率である。

 近年の4月スタート(東京制作)の朝ドラは、物語の中盤でヒロインが夢を抱いて東京にやって来て「東京編」が始まる、というのがお約束になっている。レギュラー陣の顔ぶれにも変化がつけられるし、物語的にもそれなりの効果を上げているのだが、実はここ数年ヒロインの上京時期が以前より早くなってきている。「あまちゃん」や「花子とアン」はまさに中盤、6月下旬頃に東京編が始まったが、「とと姉ちゃん」は3週目、「ひよっこ」は5週目、「半分、青い。」の鈴愛(永野芽郁)も6週目途中で上京してきた(鈴愛の場合、その後挫折して田舎に戻ったりしていたけれども)。「なつぞら」では、なつが上京してきたのは第8週なのでここ2~3年の中では結構遅い。十勝編をきっちり描いた分、なつの気持ちとしても、上京する決意を固めるのに時間がかかったということだろう。戦災、開拓、アニメ作りという三つのテーマを均等に扱うというのが、このドラマの姿勢だからだと思われる。

 ここで、昨年の「半分、青い。」、一昨年の「ひよっこ」の録画視聴データのグラフと、「なつぞら」のデータとを見比べていただきたい。最も違うのは(まだ第9週までのデータとはいえ)、「なつぞら」のポイントのピークが放送開始3週間ほどに集中していることである。「半分、青い。」も、「ひよっこ」も、多少の凸凹はあっても基本的には右肩上がりで推移して、最終回近くにピークが来ていた。「なつぞら」はそれとは違う動きを見せているのである。

 2週目までは、子供時代のなつを子役の粟野咲莉が演じているが、最高ポイントとなった第9回はその子役時代。家出したなつが柴田家のみんなと再会、思いを吐き出し号泣した回。ナレーションを務める内村光良が、死んだなつの父親だったことが判明したことでも話題になった。次に高いポイントを取った第13~14回は、子役からバトンを受けた広瀬がメインで登場した最初のパート。子牛の出産と大人になった山田天陽(吉沢亮)との初2ショットの回だった。そして第13~14回以降それ以上のポイントを出せていない(第32回に小さなピークがあるが、実はこの前の1週間なつは新宿へ行って兄・咲太郎(岡田将生)と再会を果たしていて、久々に十勝に戻った回だった)。世帯視聴率(テレビ視聴率)も同様に推移していて、広瀬すず登場の第3週がピークで、以降はその数字を超えていない。ちょっと心配な動きである。

 改元に伴う10連休の影響も多少あるかもしれないが、十勝編終盤から東京編にかけて、少し物語が混乱、停滞していたことは否めないだろう。アニメーション制作編に突入して、ここからワクワクするストーリーが待っている。物語の展開とともに、後半の数字の動きにもぜひ注目していてほしい。

【ご注意】

・ランキングデータは、関東1都6県の東芝製テレビのユーザーから許諾を頂いた約36万台の視聴情報を、インターネットTVガイドが集計し、独自のジャンルごとにランキング形式にまとめたものです。
・ポイント数は1位を100とした場合の比率となります。

武内朗(たけうちあきら)

TVアナリスト。東京ニュース通信社にて「TVガイド」「TVBros.」編集長ほかを歴任。現在株式会社ニュース企画代表。好きな言葉は博覧強記。3大フェイバリットコンテンツは、ビートルズ・ナイアガラ・魔法少女まどか☆マギカ。

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