映画「ない花」“影子”原菜乃華と“真昼”作間龍斗が注目してほしい、互いのキャラの魅力とは?2026/11/04 12:00

原菜乃華さんと作間龍斗さん(ACEes)がダブル主演を務める映画「ないものねだりの君に光の花束を」が、11月20日に全国公開。汐見夏衛さんによる同名小説の実写化で、原は個性がなく、“普通”である自分に嫌気が差している高校生・染矢影子、作間は人気アイドルグループのメンバーで、誰もがうらやむ“特別”なクラスメート・鈴木真昼を演じる。
原さんと作間さんは本作のどのような部分に魅力を感じ、どう向き合ったのか。影子と真昼に抱いた共感や貴重な役作りの裏話、安藤尋監督との撮影秘話などを聞いた。さらに、2人が“ないものねだり”で求める能力の話題なども。
“恋よりも深くて強い絆で結ばれた2人”を描く本作に感じる魅力
――本作は「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」など、泣ける青春小説のヒットメーカー・汐見さんによる同名小説の実写化です。オファーを受けた当時、どのようなお気持ちになりましたか?
原 「事務所の方から、『このお話が来ています』と原作を渡していただいたんです。その後にすぐ原作を読んで“絶対にやりたい”と思い、お話を受けさせていただきました。影子が自分とすごく近くて、フラットに自然体で演じられそうな印象を受けたのと、胸にグッとくるシーンがたくさんあったので」
作間 「僕も小説を先に読ませていただいたのですが、“映像ではどうなるんだろう”“アイドルのシーンはどれぐらいやるのだろう”など、いろいろ想像をかき立てられて、撮影がすごく楽しみでした。汐見先生の作品ならではの淡い雰囲気、“こういう感じになるのかな”とイメージしていた質感が形になって、うれしかったです」

――まもなく11月20日に公開を迎えますが、改めて本作のどのような部分に魅力を感じていますか?
原 「今までにあまり見たことがない、名前の付けがたい影子と真昼の関係性が一番の魅力ではないかなと。お互いにとってかけがえのない存在で、似ていないように見えて実は近しい部分がある。恋よりも深くて強い絆で結ばれた2人が、どういうやりとりの末に成長していくのかを見守っていただきたいです」
作間 「人と人って複雑だな、と思いました。その人の“裏”を見せてもらえたように感じられても、さらにその“裏”がある人もいる。僕自身、人との付き合い方を改めて考えるきっかけになりました。どの年代の方にも“こういうことあるよね”と、共感できる部分が詰まった作品だと思います」

「すごく近い」原と作間が影子と真昼に共感できた部分を明かす
――劇中では、人気アイドルでもある真昼が世間とのギャップに苦悩するなど、葛藤する姿も描かれます。お二人も芸能活動をされる中で、共感できる部分もあったのでしょうか。
作間 「ありました。ただ職業は関係なく、誰でも一度は抱える悩みではないかなと。僕は真昼と同じ職業ではありますが、いつまでたっても人に対しては不器用なままですし、誰かと距離を縮めるのも難しい。そこは特に共感しながら演じていました」
原 「私も“こうであってほしい”という、皆さんの理想に寄せてしまう真昼の気持ちは分かります。それが良い悪いという話ではなく、真昼はそれを徹底してずっとやってきて、自分でも気付かないうちにたまってしまうものがあった。それでも、つらいことがあった時に、一緒にいるだけで心が休まる存在がいるというのはすてきだなと。そういう意味では、真昼にうらやましさも感じました」
――先ほど、原さんは影子とご自身が「すごく近い」とおっしゃっていました。それはどのような部分なのでしょうか。
原 「私も、つい人と比べて“自分なんて”と落ち込んでしまうんです。特に学生の頃はそれの連続で……自分をすごく低く下げて、周りの人の良いところばかりが気になって。どんどんネガティブに、内に入って、物事をひねくれて考えていました。なので原作を読んだ時に、10代の頃の自分をそのまま表しているようで複雑な気持ちにもなって……。ただ、演じることで救われる部分もあるのかなと。あの頃落ち込んでいた気持ちが、今回演じることで少し消化できるかなとも思いました」

――対して、作間さんは情報解禁時に「これまでに感じたことのないものを経験した」とコメントを出されていましたが、これは具体的にどういう経験ですか?
作間 「僕は、真昼のような過去を抱えている人と出会ったことがなくて。もしそういう人が実際にこの業界にいたらどうなるだろうと、いろいろ考えました。その中で自分が育ってきた環境や過去から逃げ出したくなる気持ちは分かるのですが、役柄といえど、追い詰められて逃げるというのは初めての経験で……」
――作間さんご自身は、これまでつらいことがあった時に“逃げ出したい”と考えたことはありますか?
作間 「いえ、僕自身は超ニュートラルで、逃げ出したいと思う前に全て消化しているタイプなんです。リフレッシュをしに海外旅行に行きたいな、と考えるくらい。なので、真昼をどこかそばから見ている感覚で演じていた部分もあります」
――作間さんは普段ACEesとして、アイドルとしても活動しています。真昼として、ライブのシーンなどもありますが、どういう感覚だったのでしょうか。
作間 「すごく変な感じがしました。特に、ステージに立つシーンは“どっちの自分だ、今”と交錯しましたね。観客役としてエキストラの方がたくさん来てくださったのですが、カメラをスタンバイしている時に、つい『元気ですか~!』と呼びかけてしまったりして。その後、自分を客観視して“今からおまえ、違う顔してやるんだぞ”と恥ずかしくなり、ふとわれに返りました(笑)」
――真昼を演じるにあたり、メンバーである浮所飛貴さんの要素を取り入れたと、ライブのMCでお話されていたそうですが……。
作間 「そうですね。浮所本人というより“浮所になりたい人”のイメージです(笑)。真昼の表の顔をどう作ろうかと考えた時に、すごく明るくて、キラキラアイドルで……と想像していたら、浮所の顔が浮かんできました」

過酷なロケ撮影、安藤尋監督との撮影を振り返る
――すてきですね。劇中では学校のみならず、特に後半ではさまざまな場所が登場します。撮影時、思い出深く残っているエピソードがありましたら教えてください。
原 「年末あたりに撮っていたので、とにかく寒くて……。特に森やトンネルでの撮影の時は、とんでもない枚数のカイロを貼っていました。22枚くらいかな?」
作間 「えっ、そんなに貼っていたんだ。スタッフさんがみんな『原ちゃんを温めろ!』と、言っていたのは覚えているけれど」
原 「はい(笑)。あと、山奥の撮影ではとにかく歩いたなと。学校のシーンでは2人で話しているシーンが多くて、風景があまり変わらないのですが、学校を飛び出してからはいろいろなところを練り歩いて。いい運動にもなりました(笑)」
作間 「もはやエクササイズだったよね。僕としては司書室も印象的で、2人でたくさん話すシーンを撮影したなと。しかも、現場に汐見さんがいらっしゃったのですが、偶然にも司書室での長いシーンの日で……(笑)。あの狭い中でいろいろな場面を繰り広げるので、緊張感がすごかったです」
――安藤尋監督からは、何かお芝居についてオーダーなどはあったのでしょうか。
原 「特にないんです。『もうちょっとこうかな』程度のお話はあったのですが、基本的には私たちに任せてくださっていました」
作間 「本当に腰が低い方で、『もう、やっちゃってください!』とおっしゃって……」
原 「指示を出す時も、わざわざ近くまで来て、目を合わせて伝えてくださるんです。本当に優しい方で、いい意味で何をやっても大丈夫な感覚があって。楽しかったですし、すごく居心地が良かったです」
――それでは撮り直しなども特になく、順調に進んだということで……?
原 「はい。撮り直しは全然なくて、なんなら毎日巻いていました」
作間 「そうなんです。『次、このカットは〇〇いらないです』みたいなことも臨機応変にやられていて」
原 「おそらく、監督の頭の中で完成形の絵が出来上がっているんですよね。なので、余分に撮っておくということもなくて、最初からスムーズに進みました」
――“普通”な影子と“特別”な真昼ですが、お互いの“ここを見てほしい”と思う注目ポイントを挙げていただくと?
原 「“目”です。真昼は言葉が多いわけではないですし、何を考えているのか表に出る人でもないのですが、心を開いてくれたことが垣間見える瞬間があって。影子として、真昼を見ているだけで泣けてしまうようなシーンがあるんです。そのシーンをはじめ、何をせずとも目を見るだけで伝わってくる感情があって……それに本当に助けられたので、ぜひ目を見ていただきたいです」
作間 「ありがとうございます。今回は原さんのお芝居を受けて理解できることもあって、原さんが出してきたものに応える意識でやっていたんです。“人の話をよく聞いていた”感覚といいますか。影子の良さはいろいろあるので難しいのですが、今ぱっと思い浮かんだのは“声”。撮影中も“これは映画館で聞いたらすごいぞ”と思っていて」
原 「いやいや。それを言ったら作間さんもそうですよ!」
作間 「原さんの声は、話しているとムービースタイルに自動変換されるんです。ステレオで聞こえてくる感じ。“声がすてきだな”と思いながら演じていたわけではないのですが、思い出せる声といいますか」
原 「自分で言うのも変なのですが、試写を見て、われながら“真昼も影子もいい声だな”と思っていました。耳が心地いいといいますか……」
作間 「自画自賛したいわけではないのですが、正直思ったよね(笑)。でも実際、試写を見てくださった方から『声が良かった』と言っていただくことが多くて」
原 「私もです。『声が良かった』という感想をいただきました」
作間 「ノイズにならないんです。原さんの声は質感がすてきで、声の奥にどういう感情がこもっているのかを読み取れる。ぜひ、耳を澄まして聞いていただけたら」

原と作間が“ないものねだり”でほしい能力は……
――“目”と“声”にも注目させていただきます。最後に、お二人が“ないものねだり”で今後ほしい能力、もっと伸ばしたい能力を教えてください。
作間 「球技です!」
原 「本当に同じことを言おうとしていました(笑)」
作間 「球技全般が本当にできなくて、もう少しできたら楽しみが増えるのに……と。それこそ、この作品の番宣で、今日ピックルボールをしてきたんです(※取材時)。でも、2人とも球技がダメでボロボロで、結構悲しい気持ちになりました(笑)」
原 「作間さんにそれを言われてしまったら、私の顔がないです。作間さんはこう言っていますが、私よりも全然上手なので。私は目も当てられない……」
作間 「今日は2人ともなんとかできたのですが、あれが別の球技と考えるともう恐ろしくて(笑)。球技はできないですね」
原 「そしたら、私は運動神経全般がほしいです! 中でも球技は本当にダメで、今後作品でやらなきゃいけない時が来たらどうしようと。今はその時が一番怖いです(笑)」

【プロフィール】
原菜乃華(はら なのか)
2003年8月26日生まれ。東京都出身。近年の出演作に、ドラマ「ちはやふる-めぐり-」(日本テレビ系)、「るなしい」(テレ東系/ともに26年)などがある。現在、ドラマ「もうパパ!」(テレビ朝日系=ABCテレビ制作)で主演、「アナログナース〜デジタルってなんなんだよ!?〜」(テレビ朝日系)に出演中。
作間龍斗(さくま りゅうと)
2002年9月30日生まれ。神奈川県出身。ACEesのメンバーとしても活躍。近年の出演作に、ドラマ「ながたんと青と-いちかの料理帖-2」(WOWOW)、「月夜行路 -答えは名作の中に-」(日本テレビ系/ともに26年)、映画「うちの弟どもがすみません」(24年)、「山田くんとLv999の恋をする」(25年)などがある。
【作品情報】
映画「ないものねだりの君に光の花束を」
11月20日全国公開
原菜乃華 作間龍斗(ACEes)
向井怜衣 八神慶仁郎 喜内優心 荒井啓志 小林和真 春本ヒロ
吉沢悠 戸田菜穂
眞島秀和
原作:汐見夏衛「ないものねだりの君に光の花束を」(角川文庫/KADOKAWA刊)
監督:安藤尋 脚本:狗飼恭子
配給:ショウゲート
取材・文/片岡聡恵
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