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「風、薫る」見上愛×上坂樹里インタビュー前編 1年で深まった絆「会っていない時間も自然と考えるように」2026/09/11 08:15

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「風、薫る」見上愛×上坂樹里インタビュー前編 1年で深まった絆「会っていない時間も自然と考えるように」

 NHK連続テレビ小説「風、薫る」(月~土曜午前8:00ほか)で、ダブル主演を務める見上愛上坂樹里に前後編にわたってインタビュー。

 明治という激動の時代を舞台に、西洋式の看護学を学んだ一ノ瀬りん(見上)と大家直美(上坂)が、それぞれに生きづらさを抱えながら看護の世界へ飛び込み、やがて“最強のバディ”となり、未知の世界を切り開いていく本作。

 見上が演じるりんは武家に生まれ、さまざまな出来事を経験する中で看護の道へ進んだ女性。一方、上坂演じる直美も、自らの生き方を模索しながら看護を学び、りんと共に歩んできた。出会った当初は考え方も境遇も異なっていた2人だが、互いに支え合い、ときに意見をぶつけながら、かけがえのないバディとなっていく。

 約1年間に及ぶ撮影を共に走り切った見上と上坂。クランクアップ後の心境から、ダブル主演だからこそ感じた心強さ、撮影を重ねる中で深まった2人自身の距離、互いの俳優としての魅力まで語ってもらった。

「風、薫る」見上愛×上坂樹里インタビュー前編 1年で深まった絆「会っていない時間も自然と考えるように」

――長期間の撮影を終えて、今一番したいことは何ですか。

上坂 「今は何もしないことですかね(笑)。大きなものを終えて、ぽっかり心に穴ができたような感覚があって。寂しさもあるけれど、達成感ややり切った実感も混ざっていて、不思議な気持ちなんです。まずはゆったり過ごしたいです」

見上 「私は旅行に行きたいです。ここ数年、毎年旅行に行く時間をとれていたので、今年もどこかに行けたらいいなと思っています」

――旅行先はもう決めていますか。

見上 「全く決めていなくて。でも温泉が好きなんです。ちょうど1年前、那須でクランクインした時に、毎日温泉に入れるのが本当に幸せだったので、また那須に戻って温泉旅行ができたら最高だなと願っています」

――では、クランクイン前の自分に一言かけるとしたら?

上坂 「『死ぬ気で頑張れ』ですかね(笑)」

見上 「『いっぱい頼れる人がいるから大丈夫だよ』と言ってあげたいです。始まる前は、これまでヒロインを務めた方のお話を聞いたり、その姿を見たりしていたので、いろんなものを背負わなきゃという気持ちが過剰にあったんです。でも実際に始まってみたら、樹里ちゃんをはじめ、本当にたくさんの方が支えてくださって。自分が不得意なことを、得意な人に補ってもらうこともたくさんあったので、『一人で抱え込まず、いろんな人の胸を借りる気持ちで取り組んで』と伝えたいです」

「風、薫る」見上愛×上坂樹里インタビュー前編 1年で深まった絆「会っていない時間も自然と考えるように」

――りんと直美、2人の主人公を描くバディドラマだったからこそ感じたことを聞かせてください。

見上 「自分だけじゃなく、同じものを背負っている樹里ちゃんがずっと横にいてくれたことが、走り抜ける上で本当にありがたかったです。りんと直美も、一人だけでは成長できない部分があったと思います。これまでの朝ドラ作品では、主人公がいろんな人から影響を受けて、周りの人も成長していく物語が多いですけど、血がつながっていない2人の主人公が同じ速度で歩んでいくのは、これまでにない形だった気がします」

――りんと直美というバディの魅力を、どう感じていますか。

見上 「一人に何かあれば、もう一人が手を差し伸べて、そこから引っ張り上げる。実際に自分の人生を振り返ってみても、中高の同級生や幼なじみって、ずっと手をつないで歩いているわけじゃないけれど、いざという時に手を差し伸べてくれる存在だったなと思い出せました。2人だからこその温かさと、前に進む力があるドラマだったんじゃないかなと感じています」

上坂 「直美もりんも、同じ問題で一緒に悩む時もあれば、それぞれが一人の人間として生きていく中で、直美だったら(柳川)文さん(内田慈)や(小川)吾郎さん(甲斐翔真)、りんだったらシマケンこと島田健次郎さん(佐野晶哉/Aぇ! group)とのことがあって。その一人の人生だけを生きていたら触れられないところまで、お互いに踏み込めるんです。りんのことで直美も悩むし、直美のことでりんも悩んでくれる。肯定も否定もできるし、他人の人生に入り込める、そして入り込んでくれる存在がいることで、人生が豊かになるんだなと感じました」

――実際のお二人も、撮影を重ねる中で距離が近づいていったのでしょうか。

見上 「何か大きなきっかけがあったわけではなくて、日々の積み重ねの中で、どんどん信頼関係が生まれていきました。なんとなく、お互いに何を考えているのかがテレパシーのように分かってきて。それが、りんと直美にもつながるところがあった気がします」

――長い時間を共にしたからこそ生まれた感覚もあったのでは?

見上 「私は1年間撮影し続ける経験がなかったので、新しい感覚でした。もちろん、樹里ちゃんのことを自分のことのように分かるわけではないんです。自分とは違う人だと分かっているけれど、自分が『今何を考えているかな』と気にするより、『樹里ちゃん、今何を考えているんだろう』と考える時間が自然と増えていって。それがすごく幸せなことで、不思議な感覚でした」

上坂 「家族よりも長い時間を一緒に過ごしていましたし、撮影で会っていない時も、スーパーやお菓子屋さんに行った時に『あ、これ愛さん好きそう』と自然と考えるようになっていました。それこそ愛さんも、土日が明けて(月曜日の)リハーサルの時に『これあげる』って、おいしそうなお菓子をくれたりして。そういう掛け合いが当たり前のようになっていたのが、一番大きかったです」

「風、薫る」見上愛×上坂樹里インタビュー前編 1年で深まった絆「会っていない時間も自然と考えるように」

――お二人の距離が近づく中で、りんと直美の見え方にも変化はありましたか。

見上 「そうですね。きっと、りんと直美もそうだったんじゃないかなと。新潟編もそうですし、2人はずっと一緒にいたわけではなく、それぞれ違う人生を歩んでいるけれど、お互いのことをどこかで思い合っていて。だんだん相手の思考回路が分かってくるところも、2人にとても近いものがありました」

上坂 「同意見です(笑)。それぐらい仲が縮まりました」

――俳優として、お互いに尊敬しているところや刺激を受けたことは。

見上 「樹里ちゃんは、とにかくおおらかで、周りを安心させる空気感を持っているんです。どんなに現場が大変な時でも、本当に一回も愚痴を言っているのを聞いたことがなくて。ずっと変わらない柔らかな雰囲気で現場にいてくれることに、みんなも助けられたと思います」

――お芝居についてはいかがですか。

見上 「感受性がとても豊かで、相手のお芝居を受けながら柔軟に直美を演じている印象がありました。だから、自分でも想像していなかったところにまで直美が広がっていく瞬間もあったんじゃないかなと。そうやって生まれる化学反応は、作品を作る上での面白さでもあるんですよね。台本を読んでいるだけでは想像できなかった、いろんな直美の表情や感情を、一番近くで見ることができて幸せでした」

上坂 「いっぱいあります。ありすぎるんですけど(笑)。まず、現場での居方です。どれだけ1日のスケジュールが長くて、自分がきっと一番大変な時でも、どんな時も周りを見て、引っ張ってくれる。私ももちろんそうですし、『風、薫る』という作品を先頭で毎日引っ張って、照らしてくれたのは、本当に愛さんの力だと思っています」

「風、薫る」見上愛×上坂樹里インタビュー前編 1年で深まった絆「会っていない時間も自然と考えるように」

――見上さんのお芝居で印象的だったことは?

上坂 「愛さんはリハーサルの段階から、りんがそのシーンで求められていることだったり、前にこういうやりとりがあったから、この場面ではどうなるのか、逆に『なぜこうなるんだろう』ということまで、細かく監督とお話しされている姿が印象的でした。愛さんからりんに切り替わる瞬間はすごく分かるんですけど、その瞬間に現れたりんが直美にいろんなものを与えてくれたので。そんなりんと共に走り切ることができて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです」

――撮影を振り返って、特に苦労した時期は?

見上 「年明けですかね。年内はロケも多くて比較的ゆったり撮っていたんですけど、年明けから養成所に入学して、りんや直美が学ぶことを私たち自身も学ばなければいけなくなって。包帯を巻いたり、シーツを扱ったり、そういうことを覚えながら撮影していかないといけなかったので、最初はやることの多さにてんやわんやしていました」

――一方で、養成所の仲間たちとの撮影はいかがでしたか。

見上 「私は女子校出身ということもあって、たくさんの女性陣と同級生として一緒に撮影できることがすごく楽しかったです。とても仲がいいけれど、それぞれが自分の世界に入ったり、撮影前に役へ集中したりするタイミングを、話さなくてもなんとなく分かるメンバーで。何とも言えない絶妙なバランスのメンバーだったからこそ、苦労もありながら、かなり楽しい期間でもありました」

上坂 「看護学校養成所のシーンは、みんなで朝から夜まで一緒で、撮影するシーンも多くて大変でした。でも、みんながいたから乗り越えられましたし、愛さんがおっしゃったように、にぎやかに盛り上がっている時もあれば、静かな時もあって。みんな無理をせず、その空気になじめていたんです。養成所のパートが終わって急に人数が少なくなった時に、『すごく充実していたんだな』と気付きました。ただ、個人的につらかったのは吾郎さんの週です」

――約1年間、明治時代の女性を演じたことで、身についたことはありますか。

見上 「りんは武家の娘だったので、所作指導の先生方に毎日現場で、本当に細かい指の動きまで見ていただいていました。最初は一から百まで全部教えてもらわないとできなかったことが、だんだん身に付いていく感覚があって。段差を上る時も、『こう上ったら着物が崩れないな』とか、『今この辺が崩れているから、お芝居しながら直そう』とか、自然にできるようになりました。もちろん、日々着物を着ている方には全然かなわないですが、それでも所作はこの1年を通してかなり身に付いたんじゃないかなと実感しています。すぐ忘れちゃいそうですけど(笑)」

上坂 「終盤の撮影で、新しい看護の実習服を着て、土間で料理を作るシーンがあったんです。煮物の鍋のふたを閉める時、着物だったら袖を片手で押さえるのですが、ワンピースだから必要ないのに、どうしてもやっちゃって(笑)。先生に『今、それ必要ないよ』と言われて。それを本番でもやってしまったんですけど、『着物をこんなに長い間着てきたからこそ、身に付いたことなんだな』と思って。それは成長できた部分なのかなと感じました」

見上 「逆にリアルだったんじゃない? 明治時代の人も、初めて洋服を着たらそうだったはずだよ」

――撮影が終わった今、2人で一緒にやりたいことは?

見上 「前に話したよね」

上坂 「たぶんそれです。私が生のカキを食べたことがなくて。その話をした時に『じゃあ今度食べに行こう』っていう会話があったので、食べに行きたいです」

見上 「ぜひ温泉にも入って、そういう1日を作ろうね」

 約1年間、りんと直美として、そして見上と上坂として隣を走り続けた2人。物語が終盤へ向かう中、それぞれが大切な人との関係をどう受け止め、看護と向き合ってきたのか。後編では、役として歩んできた1年をさらに掘り下げる。

「風、薫る」見上愛×上坂樹里インタビュー前編 1年で深まった絆「会っていない時間も自然と考えるように」

【プロフィール】
見上愛(みかみ あい)
2000年10月26日生まれ。東京都出身。19年にデビュー。NHKドラマ「きれいのくに」(21年/NHK総合)で注目を集め、近年はNetflix「恋愛バトルロワイヤル」(24年)、大河ドラマ「光る君へ」(24年/NHK総合ほか)、映画「不死身ラヴァーズ」(24年)、CX「119エマージェンシーコール」(25年)、映画「国宝」(25年)、映画「正直不動産」(26年)、Netflix「喧嘩独学」(26年)などに出演。第49回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。

上坂樹里(こうさか じゅり)
2005年7月14日生まれ。神奈川県出身。2021年に「ミスセブンティーン2021」に選出され、「Seventeen」専属モデルとして活動を開始。同年、配信ドラマ「そらぞら」で俳優デビュー。NHK特集ドラマ「生理のおじさんとその娘」(23年/NHK総合)でヒロインを務め注目を集める。近年の主な出演作は、「ビリオン×スクール」(24年/フジテレビ系)、「御上先生」(25年/TBS系)、「いつか、無重力の宙で」(25年/NHK総合)など。

【番組情報】
連続テレビ小説「風、薫る」
NHK総合
月~土曜 午前8:00~8:15 ※土曜は1週間の振り返り
NHK BS・NHK BSプレミアム4K
月~金曜 午前7:30~7:45
※NHK ONEで同時・見逃し配信

取材・文/斉藤和美

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