「豊臣兄弟!」仲野太賀が明かしたポスター秘話と小一郎の覚悟「トークライブin朝来」リポート2026/06/15

NHK総合ほかで放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」(日曜午後8:00ほか)から、主演の仲野太賀(小一郎/のちの豊臣秀長役)が兵庫県朝来市で開催された「大河ドラマ豊臣兄弟トークライブin朝来」に登壇した。会場には多くのファンが集まり、仲野は撮影の裏話や役への深い思いを語った。
イベント冒頭、大きな拍手と雄たけびで迎えられた仲野は「本日はこんなにもたくさんの方々が見に来てくださって、本当にうれしいです。最後まで皆さんに楽しんでいただけるよう、たくさんおしゃべりできたらいいなと思っております」と笑顔であいさつした。司会の石井美江は、仲野への熱烈な歓迎ぶりに驚きつつ、トークライブはポスタービジュアルの制作秘話から始まった。

池松壮亮(藤吉郎/のちの豊臣秀吉役)との笑顔が印象的なポスタービジュアルについて、「これはですね、120%ぐらい」と自身の笑顔の度合いを表現した。仲野の熱烈なオファーにより、写真家・川島小鳥氏が撮影を担当。撮影はドラマの冒頭、ロケの合間に行われた。ポスターの制作過程については、仲野と池松、川島、アートディレクター、制作チーム、宣伝チーム、マネジメントチームが「ほぼ血まみれになりながら、本当につかみ合いながら」議論を重ねて作り上げたという。
ポスターには「戦乱の世を駆け抜けていく」という決意表明と希望が込められている。特に雨の描写では、ドラマ前半の印象的なシーンで雨が多いことから「雨だとしても、お天気雨のようなイメージで。そこにちゃんと希望が感じられる日差しをしっかり入れている」と工夫が込められていることを明かした。小道具の風車は、豊臣兄弟誕生の地・中村が“風の国”という裏設定があったため、風を感じさせる演出として取り入れられた。美術部や照明部、衣装、メイクなど、全員でアイデアを出し合い、作り上げた思い出深い1枚だと語った。
放送開始から半年が過ぎ、いよいよ折り返し地点を迎える中、座長としての1年間を振り返り、「大変は大変でした。戦国の時代を描いているので、演じる感情の振れ幅がすごく大きくて。斬る斬られる、生きる死ぬというものがすごく近くにあるので、感情の揺れは大きかったです」と率直な感想を述べた。しかし、落ち込んだときはスタッフや共演者の支えで乗り越えられたという。
座長をやっていてよかった瞬間については、「ありすぎるというか。ずっと不思議な感じなんですよね」と述べ、自身が主人公として真ん中にいることが夢のようだと語った。池松、小栗旬、菅田将暉、麻生久美子といった尊敬するキャスト陣に囲まれ、多くのスタッフが物語を紡いでいることに感謝を示しつつ、「自分の人生の中でも本当にキラキラした1年半になるんだろうな」と語り、早くも終わるのが寂しい気持ちになっているとこぼした。
時代劇特有のセリフ回しに苦労したようで、過去の自分に向けて「お前、思いのほかセリフがうまく言えねえから、ちゃんともっとセリフを練習しろよって言いたいですね」とアドバイスを送り、会場の笑いを誘った。時代劇のセリフは難しく、口の筋肉が追いつかないことがあったという。あまりにもセリフを噛(か)んでしまったそうで「(小栗)旬さんに『お前、次噛んだら切腹な』って言われたこともあります」というエピソードも披露。本番で何度も噛んでしまった際には、池松がそっと膝をたたいて励ましてくれたという、豊臣軍団のチームワークのよさも垣間見えた。

仲野は昨年から精力的に全国プロモーション活動を行っている。名古屋、大和郡山、岐阜などを巡り、直近では滋賀県高島市で松下洸平、大東駿介、迫田孝也とのトークライブ、5月には池松と博多どんたく港まつり、菅田と名古屋でトークライブを展開した。
博多どんたくではあいにくの雨で、オープンカーでのパレードがアルファードに変更されたが、仲野と池松は「せめて」と車を降りて傘を差して沿道の声援に応えた。「お客さんと対峙(たいじ)すると、やっぱりパワーがもらえるんですよね。自分が見てくれっていうことよりも、もらうことの方が全然多くて」と、ファンからの応援が自身の力になっていると語った。最近では「仲野さん」と呼ばれるよりも「小一郎」と呼ばれることが増え、「どんどん自分の中に小一郎という存在が、なじんでいく感じも。すごくシンクロしている感じがします」と役との一体感を実感したという。
さらに、小一郎の変遷について、「まだ侍の世界を知らない、素朴な1年間が非常に純度の高い時期だった」と尾張中村の地で過ごしていた時代の小一郎を振り返った。農民としてのアイデンティティがしっかりあった頃だと述べ、その後、兄・藤吉郎の誘いで侍となり、激動の生活を送る中で成長していく姿を語った。特に、但馬の国を治める立場となった現在の小一郎については、「根っこの根っこは小一郎は変わらぬまま、どんどん、どんどん貫禄がついていったら」と今後の展望を明かした。

イベントには、福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館の歴史学芸員・石川美咲氏も登壇。朝来市は、先々週放送された第21回「風雲! 竹田城」で描かれた竹田城のある地である。ここで、史実の竹田城と小一郎の関係や、生野銀山を巡る歴史的背景を解説した。実際に竹田城跡を訪れた仲野は、「秀長さんは、この道を歩いたのかもしれないなとか、こういう景色を見ていたのかもしれないなとか」と、自身の役柄と歴史の足跡が重なるロマンに感動した様子がうかがえた。
生野銀山について石川氏が、「太田垣輝延が生野銀山を掌握しており、この銀山は『銀あることあたかも土砂の如し』と言われるほど大量の銀が採れた」と説明。続けて、織田軍がこの地を直轄化しようとしたのは、毛利氏が石見銀山を所有し、その収入を戦争遂行に充てていたため、銀が合戦の勝敗を左右する重要な要素であったからだと述べ、このことから生野銀山と竹田城を押さえた小一郎の働きが、もっと評価されるべきだと強調された。
また、秀長が残した古文書には、円山川での鮎漁を特定の四業者にのみ許可し、密漁者を発見しながら黙っていた者も処罰するという内容が記されていた。石川氏は、「秀長が需要と供給の経済感覚を理解しており、鮎の価格を維持しようとした経済政策であった」と秀長の経済感覚の鋭さを伝えると、仲野は「秀長らしさをすごく感じる」と感心した様子を見せた。

ドラマの話題に戻り、但馬の竹田城攻めが描かれた第21回で、仲野は初めて総大将として軍を率いた心境を語った。これまで秀吉に頼っていた小一郎が独り立ちする重要な局面であり、仲野は「小一郎だからこその大将らしさ、総大将らしさみたいなのはすごく心がけました」と役作りのこだわりを明かした。
続けて、第7話の蜂須賀正勝(高橋努)との交渉シーンで、前野長康(渋谷謙人)が川に突き落とされた後、甚助(前原瑞樹)もアドリブで突き落とされていたという裏話を告白。このアドリブは現場で大いに盛り上がり、高橋も笑いをこらえるのに必死だったという。仲野は「ちょっとした工夫で、このシーンをどう盛り上げるか、どう台本以上のことをするかというのが“チーム豊臣”の中にあって、足せるものは足していこうという会話が結構多いんですよね」と、現場のクリエーティブな雰囲気をのぞかせた。
宮部継潤(ドンペイ)とのエピソードでは、小一郎の姉・とも(宮澤エマ)の子ども・万丸を人質に出すことを小一郎が説得するシーンについて、出演者や監督と議論を重ねたことを明かし、現代の感覚と侍の時代の感覚の塩梅をどう表現するか、子どもを人質に出すことの重みを丁寧に描くことに注力したという。
このほか、藤堂高虎(佳久創)と出会った姉川の合戦のシーンでは、小一郎が初めて人を斬る描写があった。仲野は「元々農民であった小一郎が人を斬ることへの抵抗や精神的なストレスを丁寧に表現したかった」と述べ、この経験がその後の小一郎の成長につながると語った。
そして、竹田城調略の際に太田垣輝延(中野英雄)に放った「家臣の命をなんじゃと思っとるんじゃ」というセリフについて、仲野は「元々農民であった小一郎が侍となり、人を斬ることになって。ちゃんといっぱい傷ついて、傷を感じて、それを忘れない。そういうことが小一郎らしさだと思っていて、だからこそ家臣一人一人の痛みが見える」と、これまでの小一郎の積み重ねがこのセリフに宿っていると明かした。また、仲野の父である中野が輝延を演じていたことから、輝延を殴った時には「これは、母ちゃんの分だとか思いながら、そういう気持ちでやってました」と、冗談めかして回顧した。

最後に仲野は、第23回「さらば半兵衛」の見どころとして「菅田将暉」と即答。「菅田将暉の竹中半兵衛は圧巻なので、ぜひ、楽しみにしていただければと思います」とアピールした。
来場者へのメッセージとして、「こうして皆さんと顔を見合わせて、こういう会場に来ると、とってもパワーをいただけます。大河ドラマの撮影もまだ残り半年ありますが、今日のパワーを糧にして、最後まで走り抜けたいと思っておりますので、どうか最後まで応援よろしくお願いします」と感謝と決意を述べ、大きな拍手の中でイベントは幕を閉じた。
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