宮野真守 ニューアルバム「FACE」へ込めた思い 歌手デビュー17年を経て見えてきたものとは――2025/11/12 18:00

テレビ、映画、舞台、ライブでのステージと、さまざまな場で活躍する宮野真守。声優・俳優としてマルチな才能を発揮し、アーティストとしても長いキャリアを誇る。そんな宮野は、歌手デビュー17年目となる今年、11月19日に8枚目のアルバム「FACE」をリリースする。今回はこのアルバムを題材に、音楽を通じた表現について、宮野のポリシーを聞いた。そこから見えてきたのは、“宮野真守”としての生きざま。自分だからこそ生み出せる表現への確固たる思いは、彼の人生観にもつながっている──そう感じさせてくれるインタビューをお届けする。
“FACE”という言葉を使って、“時代の顔になっていく”ぐらいの強い気持ちを打ち出していこうと思ったんです

──宮野さんのアルバム制作はライブを想定することから始まると聞きました。8thアルバムは『FACE』、これを提げてのツアーは『VACATIONING!』とタイトルが違いますが、それぞれどんなコンセプトを掲げているのですか?
「ここ最近、オリジナルアルバムを作る時はライブのテーマから考えることが多くなっています。アルバムの世界観をライブで演出することが大事なので、まず“側”をしっかり作ってから楽曲やビジュアルを構築していく。でも実は今回、“出がらし状態”からスタートしたといいますか(笑)。去年は『DRESSING』というシングルを提げて『DRESSING!』というタイトルのツアーを開催したのですが、それが、今までにないツアーができたという手応えがあったんです。ファッションショーを取り入れたライブで高級感・ラグジュアリー感を出すことができて、いままで誰もやっていなかった演出になったんじゃないかと思って。今回もその成果を発展させた形でやりたいと考えてはいたんですが、何をテーマにすればいいんだろうと悩んだんです」
──そこから『FACE』『VACATIONING!』につながった経緯とは?
「今年も露出させていただく機会がたくさんできたこともあり、今の自分の勢いを見せたいと考えました。そこから、“自分が今大事にしていることはなんだろう”“自分の特徴はなんだろう”と突き詰めて、自分ならではの“顔”を今一度打ち出してみたらどうかと思ったんです」
──たしかに、宮野さんにはさまざまな“顔”があります。それをステージで表現していこうという発想に?
「そのテーマなら自分のポリシーも感じるし、強いメッセージになるんじゃないかなと思ったんですよね。そんな話から、“いろいろな部屋があるイメージって面白いですね”と言ってくれたスタッフがいまして。例えば、マンションを舞台にして、いろいろな部屋でのさまざまな生活や人々の顔を、役者の宮野真守がパフォーマンスしていったら面白いよねと。ただ同時に、どこか腑(ふ)に落ちない自分がいたんです。前回打ち出したラグジュアリーさやリッチなイメージをエクステンドさせた形じゃないと、自分の心にGOが出せなかった。それからずっともんもんと考えて……部屋に着目するならホテルでもいいのかなと思ったんです。リゾートホテルが舞台なら、ラグジュアリー感やスケール感も広げられるし、アミューズメント的な見せ方もできるかなって。そんな場所で、ファンのみんなと一緒にバケーションを過ごす感覚のライブにできたらすてきじゃないですか。それで、ライブは『VACATIONING!』というタイトルに決めたんです」

──いろいろな顔を見せるという発想からの『VACATIONING!』だったんですね。
「もちろん、アルバムタイトルとツアータイトルが同じになることもあります。でも今回は、作品を作る上で、新しい出会いをしたいなという気持ちがあって。というのも、既存曲にもいろいろな表現をしている曲があるし、だったら、新しいクリエーターさんと手を組んでみてもいいんじゃないかと思ったんです。そんな経緯から、“マルチフェイス=多面性”をタイトルにしてみてもいいのかなと」
──新しい顔を引き出したいという期待も込めてのプロジェクトだったんですね。でも、アルバムタイトルは『FACE』。コンセプトの“マルチフェイス”にしなかった意図は?
「多面性は今の僕の大きな特徴ではあるけれど、それだけじゃない。“いろんなことをやっている人”ではあるんだけど、どの役も本気でやっているし、どの分野も真剣に取り組んでいるという思いが強いので、“FACE”という言葉に絞って、“時代の顔になっていく”ぐらいの強い気持ちを打ち出していこうと思ったんです」
──対照的なメークの宮野さんが向き合っているアルバムジャケットも印象的です。
「“顔”をフィーチャーするならば、どういう表現ができるかなと考えたんですよ。『DRESSING』もアップの写真を使ったジャケットでしたが、あの写真はありのままをさらけ出すといった方向性で。今回は、自分の顔をアート作品として打ち出していったら面白いんじゃないかという発想ですね。アシンメトリーに対照的な顔を組み合わせることで、“演じている自分”と“演じていない自分”が表現できるかなと考えたんです」
──ちなみに、宮野さんは、いろいろな顔を持っているご自身をどう捉えていますか?
「“宮野真守”というプレーヤーを第三者として見ている自分が常にいますね。このジャケットと同じというか、自分を客観的に見ている自分がいる、という感じでしょうか」
──新しい出会いを求めたというアルバム制作、印象に残っているエピソードはありますか?
「アルバム先行曲の『ジャンプしてみて』は、『LuckyFes’25』に出演するために作った曲なんです。僕はまだまだ夏フェスビギナーだから、フェスで盛り上がれる楽曲を持っていなくて。きっと、宮野真守を初めて見る人も多いだろうし、楽しい楽曲があってもいいかなと思ったんです。それで、幅広く声を掛けて楽曲を募って、コンペにかけたんです。その時の条件として伝えたのは、“フェスで盛り上がれる曲”“アップテンポな曲”という感じで、ジャンルはなんでもOKで、歌詞も特に意味がなくても大丈夫ですというオーダーでお願いして(笑)。そうしたら、爽やかなロックからポップスまでといろいろな楽曲が集まって。その中で燦然(さんぜん)と輝いていたのが、『ジャンプしてみて』だったんです」
──昭和テーストを盛り込んだファンキーなミュージックビデオが大バズりしましたね!
「新しく出会ったクリエーターの方が作った曲だから、今までにないキャッチーさがありますよね。何より、“ジャンプしてみて”っていうフレーズがフェスにハマるなと思ったんですよ。でも、それだけではなく、やっぱり僕の琴線に触れたのは、ソウルやファンクといったブラックミュージックテーストがあるノリのいい曲調。フェスの雰囲気とは違う次元のストーリーラインを楽曲から感じて、“ひと聴きぼれ”しました」
──宮野さんにとって新たな挑戦になったといえますか。
「挑戦でしたね。僕にとって新しい作り方でした。実は、デモの段階では、全体を通してお兄ちゃんが絡まれる内容だったんですが、あまり物騒な曲にはしたくはなかったので(笑)。僕もいろいろ意見を出させてもらいながら、お兄ちゃんだけじゃなく、多くの人たちに呼びかけられる歌に仕上げました。そのおかげで、よりメッセージ性が薄い曲になりましたけど(笑)。とはいえ、自分がやってきた音楽へのこだわりは捨てていないので、意味はないとはいいつつ、ちゃんと意味はあって、サウンドやフレーズにもとことんこだわっています。かなり綿密なやりとりをして作っているので、“意味がない=適当”ではない、すごく絶妙なラインでいけたんじゃないかな」
──だからこそ、バズッたんだと思います。フェスでも大盛り上がりしたのでは?
「みんなが一緒にジャンプしてくれました。うれしかったです」

──新たな出会いが宮野真守の“顔”を広げてくれたという。
「それでいったら『Kiss me now』もそうですね。これも新しいクリエーターの方と組ませてもらったのですが、すごく若いチームだったんです。レコーディングもすごくハッピーなノリで、“こんな明るいレコーディングがあるんだ”と思いました(笑)。僕のレコーディングはこれまで、どちらかというと綿密に積み上げていくスタイルで。『Kiss me now』のクリエーターたちは歌い手でもあるので、僕が歌っている時に一緒に歌っているんですよ(笑)。そういうノリもアイデアとしてたくさん出してくれて、楽しくレコーディングできました」
──まだまだ新しい挑戦を続けるなか、宮野さんが音楽活動をしていく上で大切にしていることとは?
「子役から始まって、ずっとお芝居をやってきましたが、僕はそもそもテレビが好きなんです。テレビに出てくる幅広いパフォーマンスに興味があるから、“歌うこと”にも昔から憧れがあったんです。だから、2008年にデビューした時は素直にうれしかった。でも、歌手としてデビューするなら覚悟も必要だと思ったんです。“歌に憧れがある”という気持ちだけで歌うのは失礼だと思っていたので、プレーすることをとことんまで突き詰めようと、ライブの演出も自分で手がけています。それを17年も続けさせていただいたからこそ、アーティストとしての脳もすごく鍛えられたと思います」
──音楽を始めた時のポリシーが、宮野さん自身の血肉になっている。
「今は“プレーする人”というより、“自分の音楽をやりたい人”になれましたね。こういうパフォーマンスをしたい、こういう音楽をやっていきたい、こういう見せ方をしたい、それが自分の中から出てくる人に。というか、“音楽でこういう表現ができるようになれた”という言い方が正しいかな。それが、エンターテインメントに身を置く人間としてのすごく大きな武器になっていると思います」
──そんな自分を経ての今後の展望を聞かせてください。
「海外での活動は興味がありますね。『VACATIONING!』は“ASIA LIVE TOUR”と銘打って、上海と台北にも行きますが、もっといろいろな国や地域に行ってみたい。出演させてもらうアニメーションのおかげもあって、海外の方々からたくさんのメッセージをいただくんです。これまで、アニメのイベントでロサンゼルスに行ったりもしましたし、そういうところで歌ってみたいという気持ちはありますね」
──宮野さんはテレビがお好きとのことですが、同じくテレビファンの「TVガイドWeb」読者へ向けたメッセージをお願いします。
「“マルチフェイス”や“VACATIONING!”は、さまざまな活動をさせていただいているからこそ至ったテーマです。これからも、テレビはもちろん、いろいろなメディアを通して、“マルチフェイス”を見せていこうと思ってます。声優、俳優、アーティストと、いろんな僕を見て、気になったらぜひ追いかけてほしいし、追いかけていただけたら絶対損はさせません。まずはぜひ、ライブに遊びに来てください」

【プロフィール】
宮野真守(みやの まもる)
1983年6月8日生まれ。埼玉県出身。2001年、海外ドラマ「私はケイトリン」の吹き替えで声優デビュー。以後、アニメや映画の吹き替えなど幅広く活躍。また、俳優として、テレビドラマや映画、舞台にも多くの出演実績を持つ。歌手としては2008年の1stSingle「Discovery」から17年のキャリアをもち、日本武道館やさいたまスーパーアリーナといった大規模単独公演もコンスタントに行っている。
【Information】
『FACE』
11月19日発売
初回限定盤(CD+Blu-ray)

通常盤(CD Only)

【プレゼント】

宮野真守さんのサイン入り生写真を1名にプレゼント!
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【締め切り】2025年12月10日(水)正午
【注意事項】
※ご当選者様の住所、転居先不明・長期不在などにより賞品をお届けできない場合には、当選を無効とさせていただきます。
※当選で獲得された権利・賞品を第三者へ譲渡、または換金することはできません。
※賞品をオークションに出品する等の転売行為は禁止致します。また転売を目的としたご応募もご遠慮ください。これらの行為(転売を試みる行為を含みます)が発覚した場合、当選を取り消させていただくことがございます。賞品の転売により何らかのトラブルが発生した場合、当社は一切その責任を負いませんので、予めご了承ください。
※抽選、抽選結果に関するお問い合わせにはお答えできませんので予めご了承ください。
撮影/尾崎篤志 取材・文/TVガイドWeb編集部 ヘアメイク/宮本愛(yosine.) スタイリスト/横田勝広(YKP)
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