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日本人が熱狂した“世紀の二枚目スター”の魅力に迫るわが青春のアラン・ドロン2025/07/16 10:00

日本人が熱狂した“世紀の二枚目スター”の魅力に迫るわが青春のアラン・ドロン

 2024年8月の訃報に世界中から追悼の声が寄せられた名優アラン・ドロン。BS10スターチャンネルでは、没後1年の8月から3か月にわたり出演作23本を一挙放送。今もなおひき付けてやまない魅力を作品とともに振り返る。

 アラン・ドロンは美しかった。“世紀の二枚目”と呼ばれた端正な顔立ちはもちろんのことだが、単なるハンサムには終わらないミステリアス感がたまらなかった。昨年8月に彼の訃報が世界を駆け巡った時は、本当のスターがいなくなったという喪失感を感じた方も多いはずだ。

 フランス映画界で、まずは着目されたドロンだが、特に日本ではその人気が長く続いた。1960年代後半から80年代初頭までは、ドロンは映画雑誌の人気投票において常に1位で、当時のテレビのゴールデンタイムに放映された主演映画は、高視聴率を記録。また親日家でもあったドロンは、さまざまな日本放映のCMにも出演した。つまり、ほかの海外スターに比べて、圧倒的にドロンの存在をお茶の間でも堪能することができたのだ。これが日本人気の大きなベースになる。

 さらには当時の映画界の流れも大きく関与した。それまで人気だったアメリカ映画が、アメリカン・ニューシネマの時代に入り、ベトナム戦争の影響を受けた暗く重たい作品が増加。だがフランス映画は逆に娯楽性の強い作品が中心で、その結果、日本ではフランス映画の人気が高まった。その流れもドロンに注目を集めさせる大きな要因の一つだった。

 ドロンに恋したのは女性だけではない。CMや映画の影響でトレンチコートなど彼の着こなし方も話題となり、男性の憧れ的な存在にもなった。そんなドロンの人気を決定づけたのが、彼の代表作「太陽がいっぱい」(60年)だ。若きドロンが演じたのは、富豪の友人フィリップ・グリンリーフ(モーリス・ロネ)を羨望(せんぼう)のまなざしで見つめる貧しい青年トム・リプリー。その思いはやがて殺意へと変化。ついにフィリップを殺したトムは、彼になりすますことに必死になっていく。

 圧倒的な二枚目にもかかわらずどこか薄幸さがあって影があるドロンは、虎視たんたんと友人の命を狙う悲しい男トムにハマり過ぎるほどハマっている。その美しい野心家ぶりで女性から支持されただけでなく、当時の世界に対して何かを渇望していた若者層の心もつかみ、若き同年代のスターとしての人気を不動のものに。

日本人が熱狂した“世紀の二枚目スター”の魅力に迫るわが青春のアラン・ドロン

 もう一本、絶対忘れてはいけないのが「冒険者たち」(67年)。こちらは影のあるトム役とは正反対の、夢を抱く若者・マヌー・ボレリを好演している。厳しい現実の壁に阻まれながら夢のために頑張る3人の男女が、財宝を積んだ飛行機事故のニュースを知り一獲千金をもくろむ…という青春レクイエムだ。

 ここでは恋愛と友情の狭間で揺れる男心を繊細かつ明快に演じてみせ、さらなる女性ファンを獲得した。ちなみに、「太陽がいっぱい」と「冒険者たち」は声優・中村悠一によるBS10スターチャンネルオリジナルの新録吹替版もある(定番の野沢那智版もあり)ので、こちらにも注目だ。

 さて、そんなドロンが得意としていたのが、ギャングやキラーなど暗黒街に生きる人物たちだ。フィルムノワールの「地下室のメロディー」(63年)は、ドロンが尊敬するジャン・ギャバンと初共演した作品。老ギャングのシャルル(ギャバン)がドロン演じる若き犯罪者・フランシス・ヴェルロットと組み、カジノ襲撃に挑むストーリー。若いドロンが、名優のギャバン相手に引けをとらぬ素晴らしい演技を見せた。

 一方、ドロンがなんと西部劇に出演した話題作が「レッド・サン」(71年)。チャールズ・ブロンソンと三船敏郎ががっぷり組んだ作品で、銃と刀が荒野で交錯する。なんでも10代の時に海軍で拳銃の扱いを習ったそうで、この映画でも絶妙な銃さばきを見せる。

 ドロンの魅力は再度見直しても奥深い。23作もの出演作を一気に見られる機会もないので満喫してほしい。

アラン・ドロンの魅力① “神”ルックスと肉体美

日本人が熱狂した“世紀の二枚目スター”の魅力に迫るわが青春のアラン・ドロン

 とにかくドロンの顔は精悍(せいかん)だ。しかもその瞳が印象的。まるで少女漫画から飛び出してきたかのように憂いを帯びているからだ。本人もその美貌には自信があったようで、わざわざスカウトされるために国際映画祭中のカンヌを歩き、実際にスカウトされたというから、本人も自信が確信に変わったはず。とにかく程よく鍛えられた筋肉美も含め容姿が100点満点のスターだった。

アラン・ドロンの魅力② 輝きに隠された影

日本人が熱狂した“世紀の二枚目スター”の魅力に迫るわが青春のアラン・ドロン

 スターとして最高の輝きを放ったドロンだが、子どもの頃は辛苦しかないような人生を歩んでいた。まずは両親が離婚。その後、わずか4歳で里子に出されることに。6年間、里親のもとで暮らした後、実母に引き取られたが、やがて邪魔者扱いされるようになり、寄宿舎へ。そこで体罰などを受けた。そういった境遇がドロンに暗い陰やミステリアス性をもたらしたのだ。

アラン・ドロンの魅力③ 巨匠にも愛された演技力

日本人が熱狂した“世紀の二枚目スター”の魅力に迫るわが青春のアラン・ドロン

 「太陽がいっぱい」では、目の下の肉をけいれんさせつつ男を殺害するなど、ドロンの鬼気迫る演技力に圧倒された。その全身全霊を込めた演技が、「仁義」(70年)などハードボイルド路線を手がけたジャン=ピエール・メルヴィル、ミケランジェロ・アントニオーニ、ルキノ・ヴィスコンティなど、多くの巨匠をとりこにした。なかでもヴィスコンティ監督の「若者のすべて」(60年)は必見だ。

アラン・ドロンの魅力④ 名だたる俳優陣との共演

日本人が熱狂した“世紀の二枚目スター”の魅力に迫るわが青春のアラン・ドロン

 結果的には3度も共演することになったジャン・ギャバンや、ジャン=ポール・ベルモンド、ロミー・シュナイダー、チャールズ・ブロンソン、三船など、多くの名優たちと丁々発止の演技合戦を見せてきたドロン。普通、スター俳優は同様の大物スターとの顔合わせを避けたがるもの。でもドロンはあえて率先して挑み、自分の演技の幅を広げるのを楽しんでいたという。

【番組情報】
■没後1年特別企画:アラン・ドロンよ永遠に PART1
「太陽がいっぱい」
8月5日 午後4:30~6:50
8月28日 午前6:40~9:00 ※新録・完全吹替版
金持ちの友人を殺害した青年が、彼の財産と恋人を手に入れるため完全犯罪を実行する。

「冒険者たち」【4Kリマスター版】
8月5日 午後6:50~9:00
8月29日 午前6:40~8:50 ※新録吹替版
海底に眠る財宝を探す旅に出た親友同士の男性2人と女性1人の、微妙な愛と友情を描く。

「さらば友よ」
8月6日 午後4:30~6:40
8月29日 午前8:50~11:00
軍医と外国人部隊帰りの男性が、債券を金庫に戻す仕事を引き受けるが、仕組まれたわなだった。

「太陽が知っている」
8月6日 午後6:40~9:00
8月28日 午前9:00~11:20
南フランスの豪華な別荘を舞台に、2組の男女の愛のもつれの果てに起こる殺人事件を描く。

「仁義」
8月7日 午後4:10~6:50
8月27日 午前8:45~11:15
宝石強奪のために集まったならず者たちと刑事の対決を通し、男たちの友情と裏切りを描く。

「レッド・サン」
8月7日 午後6:50~9:00
8月27日 午前6:40~8:45
米大統領に献上する宝刀を奪った強盗団と、宝刀を奪還しようとする侍が対決する西部劇。

「ビッグ・ガン」
8月8日 午後4:30~6:40
8月26日 午前6:40~8:40
息子の誕生日に組織から足を洗おうとした殺し屋が、組織に妻子を殺され復讐(ふくしゅう)に立ち上がる。

「チェイサー(1977)」
8月8日 午後6:40~9:00
8月26日 午前8:40~10:50
親友の代議士の死を知った実業家が、政財界を揺るがす文書を巡って黒い陰謀に立ち向かう。

■没後1年特別企画:アラン・ドロンよ永遠に PART2
「地下室のメロディー」[HDリマスター版]
「若者のすべて」[4Kレストア完全版]
「あの胸にもういちど」
「パリの灯は遠く」
「リスボン特急」
「スコルピオ」
「スワンの恋」 など放送予定
※内容は予告なく変更される場合あり

文/横森文



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