東京オリンピックの競技を解説【トライアスロン】鉄人レースは“トランジション”も見どころ。アジア大会で優勝歴のある高橋侑子に注目2021/07/13
直訳すると3種競技となるトライアスロン。1人の選手がスイム(水泳)、バイク(自転車ロードレース)、ラン(長距離走)を連続して行い、順位を競う。1974年9月にアメリカ・カリフォルニア州で世界初の大会が行われ、1978年に米国・ハワイ州でスイム3.8km、バイク180km、ラン42.195kmのアイアンマン・トライアスロンが開催。これがアイアンマン世界選手権に発展した。オリンピックでは、2000年のシドニー大会から男女とも正式競技になり、スイム1.5km、バイク40km、ラン10km、計51.5kmのオリンピック・ディスタンス(またはスタンダード・ディスタンス)と呼ばれる距離でメダルが争われている。今大会からは男女個人に加え、新種目の男女混合リレーも行われる。男女ともに2人以上の選手を派遣する国・地域が出場でき、女子→男子→女子→男子の順番で、各選手がスイム0.3km、バイク7.4km、ラン2kmをこなし、順位を競う。
鉄人レースの通称通り、頑強な肉体とスタミが必要であり、3種目それぞれの高い能力も求められる。だがそれ以上に、経験とそれに裏付けられた戦略も重要だ。競技当日の気象条件や、レース展開によって自分のペース配分や、勝負を仕掛けるタイミングは変わる。誰かが集団から飛び出したら、その選手の得意種目や調子を見極めたうえで、追いかけるか、様子を見るのかを判断しなければいけない。変化する状況を把握し、冷静に対応できないと、メダルは見えてこないのだ。また、スイムからバイク、バイクからランへと種目を転換する「トランジション」も注目ポイントだ。定められたエリアで次の種目に合わせたウェアに着替え、シューズを履き替えるのだが、この間もタイムは進む。そのため選手たちは着替え時間を短縮するため、ウェアやシューズ、ヘルメットなど用具の配置を考え、あらかじめバイクシューズをペダルに付けておいたりして、着用の手順にも工夫を凝らす。トランジションも競技の大事な勝負どころであり、見どころだ。
男子は、アリスター・ブラウンリー(イギリス)が、2012年ロンドン大会、前回リオデジャネイロ大会を連覇。東京オリンピックもメダル争いに加わってきそうだ。ほかにフランス勢、スペイン勢なども有力。女子は、世界ランキング上位を占めるアメリカ勢とイギリス勢の争いか。日本は、男子の小田倉真、ニナー賢治、女子の高橋侑子、岸本新菜が出場。2018年アジア大会で女子個人、混合リレーで優勝した高橋が期待を集める。
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