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松山ケンイチ、ひきこもりの心境に共感。「優しさと思いやりを持って、一緒に歩いて行けたら」2020/11/20

松山ケンイチ、ひきこもりの心境に共感。「優しさと思いやりを持って、一緒に歩いて行けたら」

 NHK総合で11月22日に放送される、「NHKスペシャル ドラマ『こもりびと』」(午後9:00)の取材会が行われ、主演の松山ケンイチが登壇。作品への思いを語った。

 本作は、「NHKスペシャル」班の膨大な取材の蓄積を基に、ひきこもり当事者の声をドラマで描いたヒューマンドラマ。松山は、重いストレスを抱え、働けなくなったことをきっかけにひきこもりとなった主人公・倉田雅夫を演じている。10年以上のひきこもりから抜け出す道を必死で探る雅夫。そんな雅夫の存在を周囲に隠して生きてきたが、自らの余命宣告を機に、最後にもう一度息子と向き合おうとする元教師の父・一夫を武田鉄矢が務める。

 共演した武田とは「敵対した関係」だったため、キャッチボールの芝居ができず、「部屋の中で1人でゲームばかりしている特殊な環境だった」と振り返る今回の撮影。松山は「なかなかない機会で面白いなと思いながら撮影に臨んでいた」そうだが、「雅夫が抱えている、傷ついて、再起不能になって部屋から出られなくなるような心理状態を、部屋の中でゲームをしながらどうやって表現しようか、俳優としては難しいところでした」と苦悩もあったそう。

 役を演じるにあたり、過去にひきこもりをしていた人から話を聞いたり、NHKの過去の特集映像を見るなど、さまざまな準備をしたという松山。なかでも、ひきこもり当事者が作る雑誌「ひきポス」の記事はとても興味深かったそうで、「面白いのでぜひ読んでほしいです。全く共感できない話しか書かれていないだろうと思っていたら、共感しかありませんでした。自分もそういう部分を持っているし、そうなる可能性もあるなと思いました。だからもっと知ってもらいたいですね。大事なことを、ひきこもるという形で社会に訴えているんじゃないかなと感じました。こうしてドキュメンタリーやドラマにもなるし、社会に影響を与える力を持った存在だなと思いました」と語る。

松山ケンイチ、ひきこもりの心境に共感。「優しさと思いやりを持って、一緒に歩いて行けたら」

 具体的に共感できる部分については、「自分が過去に、傷ついたことや傷つけたことが頭から消えないんですよ。フラッシュバックみたいに蘇ってくるんです。そういう部分が、話をしてそっくりだなと思いましたし、そういう部分に敏感で、誰よりも人の目を気にしている。傷つきたくないし、傷つけたくないんですよね。本当にいろんな出来事を覚えているんですよ。そんな繊細さというか、もともとみんな持ってるけど、それを持ち続けることで、生き方が不都合になってくる。だから、いちいち気付いていたら無理だって、ふたをするんだと思うんです。でも、ひきこりの人は“それをしたくない、できない人”という印象があって。でも、自分でもそれをやると疲れるなと思っているので、すごく共感しました」と明かす。

 自分がひきこもりにならなかった理由を聞くと、「やっぱり仕事というのもありますし、幸せなことですけど、家庭っていうのもありますし。1人だと動かないようなところが、いろんな人間関係のなかで突き動かされるというか、そういう部分はあると思います。ただずっとそればかりだと疲弊して、家から出たくなくなるんですけどね。やっぱり人に救われるんだと思います」と、生きる上で人との出会いが大切だとしみじみ。

 劇中では、伸びた髪の毛に、髭を蓄えた姿で登場する松山だが「実は僕も仕事をしていな時はこういう姿で、似ているんですよね」と笑いつつ、「たぶん、すべてをシャットアウトしたいんですよね。でも、ひきこもりというイメージのステレオタイプのようにはなりたくなくて。せっかく演じるなら、ひきこもりの人たちにも共感してほしいですから、自分も同じだなと思った部分を大切しながら演じました。犯罪を犯しそうとか、この世界に必要ないとか、そのようになってしまうと違うなと。その人たちを含めて社会だと思ったので」と自身の心境を、役柄に投影しながら演じたことを伝える。また、ひきこもりの人がパーカーを着ているイメージがあったため、衣装にパーカーが用意されていたそうだが、実際は「寝たいと思った時にすぐ寝るためには、パーカーは不便だから着ない」との話を聞き、その案はなくなったというエピソードも披露。

 さらに、劇中では、THE BLUE HEARTSの楽曲が大きな役割を果たしているが、松山はこれまで、高校時代に聴いたり歌ったりしたことはあったものの、歌詞をしっかり聴き込むまでではなかったそうで、「台本でじっくり読んだら、雅夫が言いたいことを全部言ってくれているところがあって、こういう歌詞だったんだと。高校生の頃には感じられなかった、繊細さや優しさをすごく感じました。最初は台本にあったTHE BLUE HEARTSがよく分からなかったんですが、読んでいくうちに、THE BLUE HEARTSしかないなと思うようになりました」と話した。

 そして「ひきこもりにはいろいろなタイプがあるし、自分も把握はしきれない。50歳のひきこもりの方には会ったことがないしけれど、反対に身近にひきこもりの方もいたりする。ドキュメンタリーとかでは、過去の事件のこともあって、ネガティブな存在に捉えられがちですが、それは一つの側面でしかない。別にひきこもりじゃなくたって、事件はありますし。ちょうどいい存在があったから、そこに押し付けちゃおうという感じもあった気がするんです。でも、同じこの国に生きている人ですし、その人たちから学ぶべきものがあるので、こうしてドラマが出来上がっているし、そこは忘れないでほしいですね。同じ人として、優しさと思いやりを持って、一緒に歩いて行けたらいいんじゃないかと思います」とメッセージを寄せた。


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