菊池風磨、橋本将生にも伝えた“現場の流儀”に加藤浩次も感心「こち予備」の舞台裏2025/12/25 04:00

日本テレビ系で2026年1月7日にスタートする連続ドラマ「こちら予備自衛英雄補?!」(水曜深夜0時24分=中京テレビ制作)の完成披露試写会が12月24日、ユナイテッド・シネマ豊洲で行われ、主演の菊池風磨(timelesz)、原作・脚本・監督を務める加藤浩次が登壇した。
本作は、「ヒーローもの」でありながら「密室会話劇」という一見、相反するモチーフを掛け合わせた、まったく新しいクセだらけのヒーローストーリー。加藤が連続ドラマで初めて原作・脚本・監督を手がけ、「コンプレックスが地球を救う」をテーマに、おかしみと熱さを織り交ぜながら描き出す、少し風変わりで愛すべき物語だ。小さい頃からある理由によって周囲と溶け込めず、コンプレックスを抱えた、どん底のフリーター・ナガレ(流偉月/菊池)が、予備自衛英雄補として集められた7人の仲間たちと繰り広げる人間ドラマが展開される。
完成した第1・2話を鑑賞したという菊池は、放送開始まで残り2週間というタイミングに「本当にあっという間ですね」と率直な思いを口にし、「この作品が世に出た時、どんな反響があるのかすごく楽しみ」と期待を寄せた。その一方で、「まあまあふざけています」と笑顔を見せながらも、「1話、2話は意外とまだおふざけ具合が抑えめ。そこから一気に加速していくので、その要になるのが1話、2話です」と今後の展開を示唆した。
一方、50歳を超えて初めて連続ドラマの監督を務めた加藤は、「新しいことに挑戦できたのが純粋に楽しかった」と切り出し、「50歳を過ぎると、どうしても今までやってきたことをなぞりがちになるけれど、今回はまったくやったことのない挑戦だったので、初心に帰れたというか、すごく謙虚な気持ちになりました」と実感を語る。「今までが傲慢だったんで、スタイルがね」と自嘲気味に笑い、「だいぶ謙虚になって、家族にも優しくなりました」と会場を和ませた。
作品タイトルについて、菊池は「最初に仮で聞いていたものはもっと分かりやすかったので、正直めちゃくちゃ難しくなったなと思いました」と当時の印象を率直に語ると、加藤から思わぬ理由が明かされた。「『こち亀』が当たっているんで」。国民的人気漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』にあやかったという説明に、菊池も「うわ、すげえ納得しました」と膝を打った。ただ菊池は、「なじみがないからこそ、『これ何だ?』って引っかかりがある。今はすごくいい名前だなと思っています」と語り、略称は「こち予備」で親しんでほしいと呼びかける。
物語の中心となる「第6会議室」のセットについても、加藤は強いこだわりをのぞかせる。「あそこは本当にお金をかけました。正直に言うと、黒澤明監督の『天国と地獄』に出てくる部屋の構造をオマージュしています」。奥行きと段差を意識した空間に仕上げたといい、菊池も「あの段差、相当使えました」と納得の表情を浮かべ、加藤は「これからもどんどん使われていく」と今後を見据えた。
主人公・ナガレというキャラクターについて、加藤は「愛されるバカです」と端的に表現。「愛されるバカでいてほしい、というのが最初からのイメージだった」と語り、その人物像が物語の核であることを強調。

菊池へのオファーが実は1年半前から行われていたことも明かされた。加藤は「早めに押さえておこうと思って」と笑いながら、「バラエティーで何度か絡んで、対応がうまいなと思った。映画も見ていたし、芝居もできて、コメディーの反応もいい。ヒーロー像として一番合うのが菊池だった。他の選択肢はなかった」と起用理由を説明する。さらに「これ、timeleszになる前ですからね」と補足すると、菊池も「オーディションのうわさもまだ外に出ていない頃でした」と応じた。加藤が「timeleszで当たって“やった”と思った」と正直に打ち明けると、菊池が「そこは言わなくていいです」とツッコむ場面もあった。
加藤は菊池の人柄についても触れ、「純粋な部分がすごくある。いろんな批判を受けても自分を貫いているところが、ナガレにぴったりだと思った」と評価し、台本についても「菊池に合わせて作っていった部分がある」と当て書きだったことを語った。
そんな加藤の言葉を受け、菊池も「僕はもう加藤のことがずっと大好きだった」と告白。幼少期からドラマやバラエティーを見てきたといい、「『人にやさしく』(2002年/フジテレビ系)の役が特に好きだった。ちょけているのに、真剣に物事を伝える姿がかっこいいと思っていた」と憧れを語ったうえで、「演じている時は、加藤を“降ろして”いました」とまさかの発言。加藤が「降ろせんの、俺」と返すと、菊池は「30年近く見てきたので、自然と寄せられるんです」と笑顔を見せ、深いリスペクトをにじませた。
ナガレの役作りについて菊池は、「最初に台本を読んだ時は、トラウマもあって少しふさぎがちな子なのかなと思っていた」と語り、「でも本読みの時に加藤から『もっとテンション上げていい』と言われて、そこからイメージが一気に広がった」と説明。コンプレックスは抱えつつも、人が好きでコミュニケーションを取りたい内面に気付いたことで、「内に秘めていた部分を、役としてよりオープンに表現できるようになった」と解釈の変化を明かす。
撮影現場の空気については、加藤の演出方針が大きく影響していたという。「迷ったらOKを出すと決めていた。めちゃくちゃ巻いたら、みんな喜ぶだろうと思って」。菊池も「平均して2、3時間巻いていた。1時間巻きだと物足りなく感じるくらい感覚がバグっていた」と振り返り、「巻いているからこそ、自然と提案も出てきた。ピリッとした瞬間が一度もなくて、本当にずっと楽しかった」と現場の充実感を伝える。
また加藤は、撮影後に目にした菊池の意外な行動にも言及。「移動車で帰る時、助手席に乗ってるんですよ。めちゃくちゃ好感度上がった」。菊池は「マネジャーと仲が良すぎて。後ろだと距離があるので」と理由を説明し、「前に座って、コンビニでコーヒーを買って、撮影の話をしながら帰るのが好きなんです」と語った。
さらに移動車についても、「エージェント契約になって車が自分持ちになったけど、今は実家で10年くらい乗っていた車を使っている」と明かし、会場を驚かせた。この光景を主題歌を担当するサカナクションの山口一郎も目撃しており、「菊池が助手席に乗っていったぞ」「あんな好感度高いアイドルいない」と感心していたという。

共演者について話が及ぶと、菊池はまず火尾紗衣役・のんの存在感を挙げ、「現場にいてくれると和む。真顔がデフォルトで、気付くと笑顔になっているんですよ。すごく怒っているシーンでも、カットがかかると無意識に笑顔になっている」と明かす。本人は「もっとクールでいたい」と話していたそうだが、「どんな顔がいいの?」と尋ねるとにらみつけるような表情を見せたため、「それだったら笑顔の方がいい」と、結果的にその柔らかな空気感が現場で愛されていたという。一方で加藤は、「のんちゃんに『このシーンはどういう気持ちですか』って、めちゃくちゃ詰められた」と苦笑し、「寄ってこられると脇汗かいていました」と振り返った。
続いて加藤が名前を挙げたのが窓隅光役・六角精児だ。「セリフが完璧。いつ覚えているんだって思いました」と驚きを語り、菊池も「セリフ量が多いのに完璧。台本を見ているシーンを一度も見たことがない」と舌を巻く。
こうした流れの中で、加藤が改めて印象に残ったこととして挙げたのが、キャスト陣が誰一人台本を手にしていなかったという点だ。「台本を見ているシーンを一度も見なかった。気付いたら、誰も持っていなかった」と話すと、菊池も「そうですね。あえて持たないようにしている、という意識はあります」と応じる。加藤は「自分は役者をやる時でも毎回台本を見てしまうタイプ。ドライでも持っているくらいだったから、それを誰も持たずに成立させているのが純粋にすごい」と率直な感想を口にする。
これに対し菊池は、「コントの現場だと台本を持つのが普通なこともありますけど、周りが持っていない環境にいたので、自然と持たなくなっただけ」と説明。その姿勢は後輩にも伝えているといい、最近ではメンバーの橋本将生(timelesz)が初めてドラマで主演を務める際、「台本だけは持つな」とアドバイスしたことを明かす。「持っていると、こう見られる、ああ思われるから、そこは意地張っていけって。その直後がこの作品の現場だったので、もう絶対に台本を持てなくなりました」と笑いを誘った。
さらに、セリフが飛びそうになった場合についても、「基本的には思い出します。とんでもない長ゼリフでなければ」と語り、「車の中や休み時間に確認することはあっても、現場には持っていかない」と一貫したスタンスを明かす。その背景には、中学生の頃、初めてドラマに出演した際にマネジャーから受けた「現場では台本を持つな」という教えがあったという。「アイドルとして、役者さんの現場にお邪魔している感覚があった。最低限、台本を覚えて入ることだけは徹底しよう、という考えでした」と語り、その姿勢が今も自分の中に根付いていることを示した。
主題歌「いらない」を手がけたサカナクションについて、加藤は「山口一郎は北海道・小樽の後輩。先輩が後輩に頼む感じでした」とオファーの経緯を説明。制作にあたっては「発注というより、ドラマの世界観や伝えたいことを共有した」といい、完成した楽曲を「めちゃくちゃドラマに合っている」と評価した。菊池も「サカナクションが大好きで、ソロイベントでカバーしていた。自分の主演ドラマで主題歌になるなんて思っていなかった」と感激し、「聴いた瞬間、鳥肌が立った」と声を弾ませた。

最後に菊池は、「最初はこっ恥ずかしく感じるシーンも、後から『こういうことを伝えたかったんだ』と腑(ふ)に落ちる瞬間がある。ずっと真剣でも、ずっとふざけているわけでもない、そのバランスを楽しんでほしい。できれば2、3回見てほしい」と呼びかける。
これを受けて加藤は、「真面目じゃないものがあってもいい」と語り、「自己肯定できなくても、周りの友達が『大丈夫だよ』と言ってくれることで救われることもある。そんなにすごくなくても、肯定していいんだよということを伝えたかった」と力を込める。そして「すごい人がすごいだけじゃない。取りえがなくても存在意義はある。10話まで見て、それが伝われば本望です」と穏やかに締めくくった。
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