杉咲花が“恋が怖い”主人公に。今泉力哉のオリジナル脚本・監督で描く繊細ラブドラマ2025/12/01 05:00

杉咲花が、日本テレビ系にて2026年1月14日にスタートする連続ドラマ「冬のなんかさ、春のなんかね」(水曜午後10:00)で主演を務めることが分かった。監督・脚本は今泉力哉氏が手がける。
杉咲の同系ドラマ出演は21年放送の「恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~」以来。今泉とは、杉咲が「杉咲花の撮休」(23年/WOWOWプライムほか)に出演した際に、今泉が第2話の監督、第3話の監督・脚本を担当した。
今泉は、映画「愛がなんだ」(19年)で第41回ヨコハマ映画祭・監督賞を受賞。その後も「街の上で」(21年)、「窓辺にて」(22年)、「アンダーカレント」(23年)、世界配信ドラマ「1122いいふうふ」(24年/Amazon Prime Video)など話題のヒット作を連発。昨年はFilmarks内で最も多くの人の心を動かしたとされるFilmarks Awards 2024・クリエーター部門監督ベストFan!賞を受賞。作品が途絶えることのない人気監督だ。その恋愛映画の旗手・今泉がオリジナル脚本を書き下ろし、日本テレビ系はもちろんのこと、GP帯ドラマで初監督を務める。
杉咲が演じるのは、土田文菜、27歳。小説家としてこれまでに2冊の小説を出版し、現在3冊目を執筆中。執筆以外に、普段は古着屋でアルバイトをしている。現在、恋人はいるのだが、さまざまな過去の恋愛体験が影響して、いつからか“きちんと人を好きになること”“きちんと向き合うこと”を避けてしまっている。文菜はふと思う。「真っすぐ“好き”と言えたのはいつまでだろう?」今の恋人と真剣に向き合うために、文菜はこれまでの恋愛を振り返っていく。
文菜がこれまでに経験してきたさまざまな別れやかなわなかった恋などから、人を好きになることにどこか怖れを抱いていて、「大切な人とはつきあわないほうがいいのではないか?」「そもそも恋愛とはなんなのか?」などと逡巡(しゅんじゅん)しながらも前に進んでいくドラマだ。
今泉監督オリジナルの脚本を読んで、杉咲は「ささやかな瞬間ばかりが描かれた作品」とコメント。「言ってしまえば、とりたてて大きな事件が起きたり、登場人物が成長するようなこともあまりない物語なんです。でも、何げない人と人とのやりとりの中で流れる『間』とか、小さな心の機微にも、思いやりや切なさがある」と作品の魅力を語る。
主人公について、「文菜は、人を好きになるということから少し距離を取ってしまう自分自身について、葛藤したり、思考を繰り返したりしながら、真剣に生きている人です」と説明。「もしかすると文菜の行動は、共感からは離れるものかもしれません。ですが、時間の有限性であったり、どんな出会いにも別れが付きまとうことに対して、深い寂しさを感じてしまう感度の高さに、私はひかれています」と役への思いを明かした。
今泉監督は、「誰かを好きになって、思いを伝えて付き合うことで、逆に決定的な別れがやって来て、その人ともう二度と会えなくなってしまうことがある。その一方で、お互いにひかれ合っていても適度な距離を保った関係でいられたら、ずっと仲良く過ごすことができたりもする。じゃあ、本当に大切な人とは、好きな人とは、縁が切れないために恋愛関係にならない方がいいのではないか。そういう人と人との距離間について、ここ数年考えることが多くあって。それが今回のドラマの大きなテーマの一つになっている気がします」と作品に込めた思いを語る。
続けて、「これは紛れもなく恋愛ドラマですが、これまでのドラマや映画の中ではあまり取り上げられてこなかったような、言葉にできない悩みや葛藤について描けたらいいなと思っています。誰かに相談したら、“どうしてそんなことで悩んでいるの?”と言われるようなことが描きたくて」と話し、「なかなか好きな人ができない人とか、“恋愛もの”というだけでハードルが高いと思うような人、そもそも“好き”ってなんだっけ? っていう人にも楽しんでもらえるような作品になればいいなと思っています」と期待を込めた。
また、タイトルについて、今泉監督は「“なんかさ”とか“なんかね”という言葉は、それ自体としてはあまり意味を持たないけれど、一つの言葉を発する際にどれだけその言葉を真剣に発しているのか、言葉にすることを怖れているのか、などが表現できる気がして」と説明。「また、今作は、ほぼほぼ会話劇で、冬から春の間にいろんな話をしていることを象徴するタイトルをずっと考えていて、この言葉にたどり着きました」と明かしている。

主人公・文菜の現在の恋との向き合い方を描く上で、学生時代の恋人から今の恋人に至るまでの、それぞれの人と過ごした時間やその時々の恋愛感情も丁寧に描かれていく。文菜の恋愛軸を形成した男性たちのキャストは後日発表となる。
杉咲花(⼟⽥⽂菜役)コメント
――今泉力哉監督の脚本を読んだ感想を教えてください。
「言ってしまえば、とりたてて大きな事件が起きたり、登場人物が成長するようなこともあまりない物語なんです。でも、何げない人と人とのやりとりの中で流れる『間』とか、小さな心の機微にも、思いやりや切なさがある。あまりドラマにならないような、シーンとシーンの間にきっと繰り広げられているであろうささやかな瞬間ばかりが描かれていて。今泉監督らしい細やかな視点の優しさに筋肉がゆるまって、ふぅ、と息を吐きました」
――主人公・土田文菜はどんな人ですか?どのように演じていきたいですか?
「文菜は、人を好きになるということから少し距離を取ってしまう自分自身について、葛藤したり、思考を繰り返したりしながら、真剣に生きている人です。もしかすると文菜の行動は、共感からは離れるものかもしれません。ですが、時間の有限性であったり、どんな出会いにも別れが付きまとうことに対して、深い寂しさを感じてしまう感度の高さに、私はひかれています。文菜という人物を本当に実在する人のように観てもらえるように、ただそこにいられたらいいなと思います」
――本作の好きなポイントは?
「一言の失敗も許されないような緊張感が張り詰めたこの時代に、自分の意思を持ったり、気持ちを伝えるということは、なんだか高いハードルがある気がします。そんな中で、悩み、失敗や反省もしながら、自分なりの答えを見つけ出していこうとする登場人物たちに、勇気をもらっています」
――視聴者の皆さんへ、メッセージをお願いします。
「この座組で連続ドラマをやれることをたまらなく思っています。恋愛をするひと、しないひと。恋愛がよく分からないひと、したくないひと。自分という人間をいまも探しているひと。人の数だけ、いろんな生き方があって。多様な登場人物たちに、自分や家族や友達の姿を見つけだしてもらえるような作品にできたらいいなと思います。だらっと息抜きしながら見てもらえるように、私たちも気を楽にしながら、心を込めたいと思っています」
今泉力哉(監督・脚本) コメント

――「冬のなんかさ、春のなんかね」とはどのような作品ですか?
「誰かを好きになって、思いを伝えて付き合うことで、逆に決定的な別れがやって来て、その⼈ともう⼆度と会えなくなってしまうことがある。その⼀⽅で、お互いにひかれ合っていても適度な距離を保った関係でいられたら、ずっと仲良く過ごすことができたりもする。じゃあ、本当に⼤切な⼈とは、好きな⼈とは、縁が切れないために恋愛関係にならない⽅がいいのではないか。そういう⼈と⼈との距離間について、ここ数年考えることが多くあって。それが今回のドラマの⼤きなテーマの一つになっている気がします。これは紛れもなく恋愛ドラマですが、これまでのドラマや映画の中ではあまり取り上げられてこなかったような、⾔葉にできない悩みや葛藤について描けたらいいなと思っています。誰かに相談したら、“どうしてそんなことで悩んでいるの?”と⾔われるようなことが描きたくて。なかなか好きな⼈ができない⼈とか、“恋愛もの”というだけでハードルが⾼いと思うような⼈、そもそも“好き”ってなんだっけ? っていう⼈にも楽しんでもらえるような作品にな
ればいいなと思っています」
――タイトルについて、教えてください。
「『⾔葉』ってその響きや⽂字の並びによって、重さや軽さ、柔らかさなど、さまざまな表情があると思っていて。今回はなるべく重⼒がない⾔葉を探していました。“なんかさ”とか“なんかね”という⾔葉は、それ⾃体としてはあまり意味を持たないけれど、一つの⾔葉を発する際にどれだけその⾔葉を真剣に発しているのか、⾔葉にすることを怖れているのか、などが表現できる気がして。また、今作は、ほぼほぼ会話劇で、冬から春の間にいろんな話をしていることを象徴するタイトルをずっと考えていて、この⾔葉にたどり着きました」
――杉咲さんが主演を演じることで楽しみにしていることは?
「以前ドラマでご⼀緒してみて、杉咲さんにはとても繊細で真⾯⽬で、⾯⽩い⽅だなという印象を持っています。⽂菜って、何に悩んでいるのかも漠然としていて、脚本を書いた⾃分でも理解できない部分がある⼈間なので、演じるのがすごく難しい役柄だと思うのですが、そういった部分も杉咲さんとだったら⼀緒に悩んで、考えて、楽しんで、いい作品をつくっていけるのではと思っています。杉咲さんの思考と、声や⾝体の魅⼒とともに、このドラマをつくれることはとても光栄で⼤変⼼強いです」
――視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。
「主⼈公の⼟⽥⽂菜は万⼈から好かれるようなキャラクターではないかもしれません。でも、“私は⽂菜のことがすごく分かる”とか“⾃分だけかもと思っていた悩みや苦しさを描いてくれている”と思ってくれる⼈が必ずいると信じて脚本を書いています。恋愛って、考えれば考えるほど分からなくなってしまったり、呼吸がしにくくなってしまったり、しなきゃしないでいいものだったりするのですが、そういった⼈々が⽂菜を⾒て、今のままでいいんだ、とか、私だけじゃないんだ、と思ってもらえたら幸いです。私は普段、主に映画を⼿がけているのですが、ある時、杉咲さんが『今泉さん、ドラマもとてもいいんですよ』って⾔ってくださったことがあって。お茶の間だったり、⼀⼈暮らしの部屋だったり、バイト先の休憩室だったり、⾏きつけの定⾷屋の天井の隅っこのテレビだったり。思い思いの場所で、たくさんの⼈が同時視聴する“テレビドラマ”という媒体で、この物語を届けられること。また、オリジナル脚本でこんな機会をいただたことに感謝しつつ、この作品に触れた⼈が少しでも笑えたらいいなと思っています。お楽しみに」
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