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【向田邦子賞受賞インタビュー】脚本・兵藤るり×企画&プロデュース・清水一幸スペシャル対談2025/07/03 15:00

【向田邦子賞受賞インタビュー】脚本・兵藤るり×企画&プロデュース・清水一幸スペシャル対談

 優れた脚本作家に贈られる向田邦子賞の第43回(2024年度)贈賞式が6月末に都内で行われ、史上最年少となる28歳の兵藤るり氏が「マイダイアリー」(昨年10~12月放送、ABCテレビ制作 ※テレビ朝日系)で受賞。兵藤氏のお祝いに、出演者の望月歩や企画・プロデュースの清水一幸氏が駆け付けたほか、清原果耶佐野勇斗M!LK)もビデオメッセージで祝福した。

 この度、授賞式直前に兵藤氏と清水氏のスペシャル対談が実現した。

――「マイダイアリー」はどういうプロセスで作られましたか?

清水 「最初に大学生の話にしたいと言ったのは僕で、それに対して兵藤さんがコンセプトを提示してくれて、話し合いをしましたね」

兵藤 「はい。最初に主要キャラ5人を考えましたが、まず、女子3人と男子2人というイメージはあったんです。女子3人は最初から知り合いで、主人公の優希(清原)はどんな人と友達になるかなと考えて、まひる(吉川愛)と愛莉(見上愛)を考えました」

清水 「最初、ギフテッドの子を主役にする企画もありましたが、結局、それは広海(佐野)になりました。女の子3人が同じ大学の学部の友達で、その大学に広海が編入してくる設定がいいのではないかと」

兵藤 「そして、最後のピースが虎之介(望月)。女子3人と広海、あと、どういう空気感の人がいたらいいかなと思って生まれたのが虎之介です」

清水 「虎之介がいないと、3人と広海は出会わなかったですからね」

兵藤 「その後、“毎話、現在から過去を振り返る構成にして、1話ごとにキーワードがある”というルールを守りつつ作っていきました」

清水 「ドラマって大体、『こういう設定で作って』という枷(かせ)があるものですが、今回それが全くなかったんです。でも、好きに作っていいという状況の中で作るのは、実はすごく難しくて。だから、自分たちで“毎話、過去を振り返る”というルールを作りました」

――ドラマの中で好きだったシーン、セリフを教えてください。

清水 「好きだったのは、みんなが優希を迎えに来た6話のシーン。あと、一番印象に残っているのは、1話の“ポップコーンを食べ切れる関係性”です。“なるほどね”と思いました」

兵藤 「セリフで言うと、3話の最後、トラウマに苦しんでいたまひるに広海が『勝手に置かれたものになんで立ち向かわなきゃいけないのかな』と言うところです。このセリフはいろんな人に伝わってほしいと思ったし、自分の中でも心に残っています。シーンでは、6話の最後、優希が遺灰を撒く場面です。手のひらに遺灰を置いて、一旦風に流されるけど『行かないで』と思わず握ってしまう。その一連の感情を、清原さんが丁寧にすくってくださいました」

――今、考察モノのサスペンスなども多い中、特に大きな事件が起きない日常を描く作品で勝負しようと思われた理由は何ですか?

清水 「勝負というか、それが作りたかったんですね。人生であと何本ドラマを作れるかと思った時に、やりたいものをやりたいなと思ったし、兵藤さんの描く“良い人しか出ない、繊細な物語”を見たいという気持ちが大きかったので」

――清水さんから見た、兵藤さんの脚本の魅力とは?

清水 「やっばり、兵藤さんにしか書けないセリフです。僕は、“このセリフが出てくるのが自然なシーンって何だろう”と考えることはできても、セリフそのものが思い付くことは絶対にないので」

――今後またタッグを組むなら、どんなドラマを作りたいですか?

兵藤 「ホラーや復讐(ふくしゅう)劇をやってみたいです」

清水 「前に一度、『こんなものもあります』と企画書を見せてもらったけど、あの作品は若干黒かったね」

兵藤 「はい、そういった企画書も他の企画書に紛れ込ませました(笑)」

清水 「『マイダイアリー』は真っ白な作品だけど、“黒い兵藤さん”も見てみたいです。まだ28歳ですし、今後が楽しみです」

【向田邦子賞受賞インタビュー】脚本・兵藤るり×企画&プロデュース・清水一幸スペシャル対談

【プロフィール】
兵藤るり(ひょうどう るり)
1996年12月29日生まれ。東京都出身。2020年に「就活生日記」(NHK総合)で脚本家デビュー。以降、ドラマ「恋に無駄口」(22年/テレビ朝日ほか)などで共同脚本、「わたしの一番最悪なともだち」(23年/NHK総合)で脚本を手掛ける。


清水一幸(しみず かずゆき)
1973年3月3日生まれ。埼玉県出身。朝日放送グループホールディングスIP開発局長。ドラマ「日曜の夜ぐらいは...」(23年/テレビ朝日系)、「素晴らしき哉、先生!」(24年/テレビ朝日系)などのプロデュースを手がける。


<向田邦子賞とは>
故・向田邦子さんがテレビドラマの脚本家として、数々の作品を世に送り出し活躍してきた功績を称え、現在のテレビ界を支える優秀な脚本作家に贈られる賞として、1982年に制定。選考は歴代受賞者らによる向田邦子賞委員会が担当。前年度に放送されたテレビドラマを対象に、選考委員がノミネート作品を選定。本選を含めて4回の討議を経て受賞作品を決定している。選考委員は大森寿美男氏、岡田惠和氏、大森美香氏、井上由美子氏、坂元裕二氏(向田邦子賞受賞順)。

取材・文/水野幸則 撮影/蓮尾美智子



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