EXILE・ÜSAが福岡・大牟田市動物園を訪問。共にアフリカを旅した若き飼育員と「動物保護」を考える2018/07/02
7月15日に放送されるRKB毎日放送制作の特別番組「地球に生きる仲間たち！～絶滅危惧種に会いに行こうinアフリカ～」（仮題、午後4：00）では、福岡県・大牟田市動物園の飼育員・河野成史さんとEXILE・ÜSAが希少な生物を求めて約2週間にわたりアフリカを訪問。番組では帰国後、職場に戻った河野さんがケニアでの経験を生かした試みについても取り上げる。大牟田市動物園でのロケには、河野さんと共にアフリカを旅したÜSAも登場した。
RKBでは約3年前から、大牟田市動物園のキリン・リンくんの「婚活プロジェクト」を取材。制作担当ディレクターによると、ある日キリン担当の河野さんから「野生の動物を見たことがない」という言葉を聞き、実際に野生の王国を訪れ、そこで見たものを河野さんが動物園にどのようにフィードバックし、表現できるのかを見てみたいと思ったことから当番組の制作に至ったそうだ。
ロケ終了後の囲み取材では、2人にケニアを訪問した感想や番組を通して視聴者に伝えたいことなどを聞いた。
──ケニアで一番印象に残った場所と動物を教えてください。
ÜSA 「象がすごくかわいいなと思いました。ケニアのナイロビにある象の孤児院へ行きましたが、そこには密猟者などに襲われて親をなくした子象たちが保護されていて、その子たちと触れ合うことができました。象はすごくフレンドリーで、匂いを嗅いだらその人のことは忘れないっていう話を聞いたりして、人間との距離がすごく近いなという印象を受けてました。その後も野生の象の群れにも出会ったりして、優しさと力強さと両方もった姿をみてすごく感動しました」
河野さん 「やっぱり、担当しているキリンが印象に残っています。彼らが本来すんでいる自然環境を見られたのが僕にとっては一番プラスで、飼育下でもそこを目指すべきだと思っているので、そういう姿を見られたのは一番良かったかなと思います」
──飼育下にいるキリンと野生のキリン、一番の違いはどこですか。
河野さん 「一番分かりやすいところで言えばやっぱり体つきですね。飼育下では『過長蹄（かちょうてい）』というひづめが伸びすぎることがよくあります。野生でも伸びているキリンはいるのかと疑問に思って行ったんですけれど、みんな奇麗でした（笑）。やっぱりそれだけ運動もしていますし、飼育下のように栄養価の高いものを食べているわけではないので、低栄養のものをたくさん食べて、腸を動かしていているはずなので、そういったものも影響して体の状態がいいのかなと思いました」
──野生の姿を見て、飼育下で具体的に生かせると思った点はありましたか。
河野さん 「キリン舎の展示場の中はほとんど何もない。あっても木が数本あって、しかもそれは金網で囲まれているような状態。それはやっぱりキリンにとって物足りないのかなと感じていた部分でもあったので、今回野生のキリンが想像以上に木の茂った場所にすみ、たくさんの群れでいる様子を見て、そういう姿を再現したいなと思いました。なので、今後はたくさん展示場に木を植えて、食べる・体を掻くなど彼らのいろいろな選択肢として木をたくさん植えたいなと。それに加えて、これまでやってきた取り組みのように、木だけでなく人工物も併用した展示場をこれから少しずつでも作っていけたらなと思っています」
──実際に野生の動物を見て、野生での動物はストレスを感じていないように見えましたか。
河野さん 「正確に言うと、ストレスが全くない動物って野生でも飼育下でも絶対にいなくて、野生下では常に敵に襲われるかもしれないというストレスがあると思いますが、われわれとしては飼育下だからこそ起こりうるストレスは消していきたいなと考えています。ただ、意外だったのはケニアのマサイ・マラ国立保護区などでも車で近寄ったとき、ライオンが寝てたんですよね（笑）。おそらく、観光客が多くて慣れているのだと思うのですが、象もまったく気にせず道を横切っていたので驚きました」
──飼育員の方と行かれての感想をお聞かせください。
ÜSA 「僕には分からない視点を河野さんが持っていて。キリンに餌をあげる入れ物の形とか、実際にアカシアの木を見て思いついたと聞いて、すごいなと思いました。キリンが器用に舌を使いながら葉っぱを食べているのを見て、野生で使う能力を動物園にいても思い出させるようなものを作りたいというのを知って、面白いなと思いました」
──マサイの人との交流や現地で感じたのはどんなことですか。
ÜSA 「マサイの人が住んでるところには柵もないので、朝起きたらすぐ猛獣に会う場合もある。動物との距離感が近くて、地球に生きる仲間として暮らしているという考え方が素晴らしいなと思いました。マサイの男性は牛語が話せるとかも（笑） 何十頭も牛を飼っていて、数を数えたことはないけど、どの牛がいなくなったとか分かるらしいです。すごい能力ですよね」
──アフリカの方々はお祭りで踊っているというイメージがありますが、ダンサーとして得たものはありますか。
ÜSA 「マサイの人たちは、いろんな儀式、例えば成人の儀式などで踊りますが、楽器を使わずに自分たちの声や足音で踊るんです。その声もライオンの声だったり、ものまねのようにいろんな動物の声を出せるんですね。時には鳥を呼んだりだとか、本当に動物と一緒に生きてるんだなというのはすごくリスペクトするところでした。いつか僕もダンスで動物たちと会話ができたらすごいなと思います」
──大牟田市動物園に来られての印象は？
ÜSA 「キリンが健康診断で採血するところを見させてもらいました。昔は麻酔で眠らせて採血するという形をとっていたらしいんですけれども、動物にとっても危険だし負担が大きい。人間もリスクがある。それを協力し合い、人間と動物が歩み寄ることによってリスクを減らし、互いにハッピーになる取り組みをされているのを見て、距離感が近くて素晴らしい動物園だなと思いました」
──大牟田市動物園を訪れる人にメッセージをお願いします。
河野さん 「大牟田市動物園は、今ありがたいことにすごく注目してもらっている動物園です。『環境エンリッチメント』（動物本来の行動を引き出すための環境を整えること）や『ハズバンダリートレーニング』（動物たちに協力してもらい行う健康診断）などは、日本全国の中でもうちが一番だと思います。ここは動物を見て『かわいい』で終わるのではなく、違った視点からも見られる動物園だと思うので、ぜひ足を運んでもらいたいです。」
──この番組を通して視聴者に感じてほしいことは？
ÜSA 「人間も動物も、生きとし生けるもの全てが地球の仲間であり家族であるという意識を持つことによって、全ての生き物が幸せに暮らせる第一歩になるんじゃないかなと。この番組を見て、絶滅危惧種が助かるように何ができるかなと皆さんに考えてもらえると思うんですけれども、まずはそういう意識を心に持つことから始めてみる。その中から自分に何かもっとできることがあったら一歩進んでみたり。こうして動物園に足を運んで飼育員の方の話を聞くこともそうだと思いますし、何か地球に生きる仲間たちへの思いを考えるきっかけになったらいいなと思います」
河野さん 「今回の番組では絶滅危惧種に焦点を当てていますが、アフリカに限らず、数が減っている動物はたくさんいて、その原因の多くが、人間の生活の豊かさなどが影響しているのではないかと思います。そういったものを実際にテレビで見てもらって、目の前にある問題がどういった経緯でそこにあるのかを考えてもらえるきっかけになったらいいなと思います」
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