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「102回目のプロポーズ」は“好き”だけではない、さまざまな愛情の尊さを教えてくれる2026/05/02 10:00

「102回目のプロポーズ」は“好き”だけではない、さまざまな愛情の尊さを教えてくれる

 「僕は死にません!! あなたが好きだから!!」――突然大型トラックの前に飛び出し、こう叫んだ武田鉄矢。「101回目のプロポーズ」(フジテレビ系)を見たことがなくても、この名ゼリフと、眼前のトラックの風圧と恐怖に耐えながらそこに立つ彼の姿は知ってるという方は多いだろう。

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 あの衝撃から35年。「101回目のプロポーズ」が「102回目のプロポーズ」となって帰ってきた。主演は唐田えりか。星野達郎(武田)と、達郎が愛してやまなかった矢吹薫(浅野温子)の一人娘・星野光という役どころだ。チェリストだった母のDNAを受け継ぎ、自身もまたチェリストの道を歩んでいる。恋人は新進気鋭のピアニストであり大手ゼネコン「大月建設」の御曹司である大月音(伊藤健太郎)。このどこから見ても完璧なカップルにも、乗り越えなければならない障害があった。大会社の長男としてのプレッシャー、弟からのゆがんだ愛、会社のために音と光の結婚を阻止しようとする秘書の策略……家族をとるか、光との愛を選ぶかを悩む音。光もまた、そんな音の家庭環境に不安をおぼえつつも、音の愛を信じてプロポーズを受ける。

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 一方、霜降り明星せいやが演じる空野太陽は、達郎が経営する建設会社に勤めるサラリーマン。ピュアで真っすぐ、バカが付くほどの正直でお人よしで、せいやいわく「不器用を凝縮させたような男」だ。どことなくかつての達郎と重なる太陽は、光に一目ぼれし、“101回目のプロポーズ”を敢行、当たり前のように振られる。でも諦めきれない太陽の起こした行動が、やがて大きく物語を動かしていく……。

「102回目のプロポーズ」は“好き”だけではない、さまざまな愛情の尊さを教えてくれる

 1話・30分というテンポの良さ、ちょいちょい入れ込まれる「101回目」オマージュ、光が講師を務める子どもチェロ教室に堂々と通う太陽など、ツッコミどころも満載。純愛ドラマの名作と謳われた「101回目」との大きな違いは、その「愛」の多様性にある。軸にあるのは、光と音、そして太陽の三角関係。しかしそこに、音と家族との軋轢(あつれき)、達郎と光の親子愛、秘書・浦川聖司(落合モトキ)の大月家への過剰な献身など、さまざまな種類の愛が織り込まれる。

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 特に印象的だったのは、第8話「男同士の一騎打ち」で、太陽が音のスタジオに乗り込むシーン。突然音から「距離を置こう」と言われて戸惑い、悲しむ光を見ていられず、太陽が音に「光の時間を奪うな」と訴える。光を真っすぐに愛する太陽の熱意に、音はついに決断する。自分は病気に冒されていること、残された時間がわずかなこと。誰にも言えなかった秘密を太陽だけに打ち明ける。なぜ自分だけにそんな大事なことを……と困惑する太陽に、音は言う。「太陽さんに光を任せたくて」。

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 すべてを飲み込み、太陽は決断する。自分は身を引くことを。最後の最後まで音と光が楽しい時間を過ごせるように、自分はなんでもすると話す太陽に、今度は音が聞く。「なんでそこまで?」。

 「光さんのためです」「僕、光さんの笑顔のためだったらなんでもやります」「だから2人で光さんの笑顔のためにやれることやりましょ」。ここから音と太陽の、友情の物語が始まるのである。音が光と一緒にやりたいことをリストにして、実行するために裏方として奔走する太陽。渡せなかった手作りのお皿も、ギクシャクしていた音と家族との融和も、やってみたかった「普通のデート」も、音の心残りを一つ一つかなえていく太陽の優しさは、光への恋心を超えて、もっと大きな「愛」として物語を包み込む。食欲がないという音のサンドイッチを「じゃあ僕にください」と太陽が「あーん」する何げないシーン、音は最後に「大切な友達」というプレゼントを太陽からもらったような気がして、泣いてしまった。

「102回目のプロポーズ」は“好き”だけではない、さまざまな愛情の尊さを教えてくれる

 「好き」だけではない、さまざまな愛情の尊さを教えてくれた「102回目のプロポーズ」。デート中に倒れた音を助けようとして、手に持っていた赤いハートの風船を手放した光。空に上っていくハートの風船は、愛が当たり前ではないこと、しっかりとつかんでおかないとスルリと遠くへ行ってしまうことを教えてくれているようだった。

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【コンテンツ情報】
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オリジナルドラマ「102回目のプロポーズ(全12話)
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全話配信中
※第1話は無料。
※フジテレビ系(一部地域を除く)で水曜午後11:00~11:30放送中。
※放送日時は予告なく変更になる場合あり。

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文/西澤千央

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