Feature 特集

「転校生ナノ」熊切和嘉×仲島有彩が語る“かわいい”と“怖い”のギャップの魅力2026/04/28 18:00

「転校生ナノ」熊切和嘉×仲島有彩が語る“かわいい”と“怖い”のギャップの魅力

 世界中を熱狂させたタイの人気ドラマの日本版リメーク「転校生ナノ」が、FODで独占配信中。頭脳明晰(めいせき)で美しく、不敵な笑みを浮かべるナノが教師や生徒たちの欲望や嫉妬、疑惑や執着といった負の感情を呼び起こしていく禁断の学園ミステリー・スリラーだ。

FODで視聴する

 本作で、俳優デビューとなる新星・仲島有彩がナノを演じ、アジアを代表する4人のトップクリエーターが全6話のエピソードを手がけることでも話題を集めている。

 TVガイドWebでは、主演の仲島と4人のクリエーターのスペシャル対談を実施。第2弾は、仲島とepisode2「ソーシャル・ラブ」、episode4「正しいのは私」を担当した熊切和嘉監督が登場! ナノと演劇部員の男子との恋の衝撃の行方を描くepisode2、ナノが理想の教育を掲げる高校教師の素顔に迫るepisode4の撮影を振り返ってもらった。

――6作品の最初に撮った作品が熊切監督のepisode4「正しいのは私」だったそうですが、仲島さんは俳優デビューで初主演の本作の撮影に入るときはどんな心境でしたか?

仲島 「タイ版の『転校生ナノ』が本当に素晴らしい作品だったので、撮影に入る前はその世界観を壊さないように、かつ、皆さんの期待を上回るものを作り上げなければいけないというプレッシャーが大きくて。でも、タイ版をすごく研究しましたし、1年ほど役づくりに時間をかけたので、それを出すだけだった本番はそんなに不安はなかったです」

「転校生ナノ」熊切和嘉×仲島有彩が語る“かわいい”と“怖い”のギャップの魅力

――1年間の役づくりでは具体的にどんなことをされたんですか?

仲島 「演技レッスンの先生と一緒にオリジナルのナノを何度も見て、ナノの立ち方や座り方など所作の一つ一つを研究しました。例えば座るときのバッグを置くタイミングとか、そういう細かいところまで取り入れるようにしたんです」

――熊切監督から見て、仲島さんの初めてのお芝居はどうでしたか?

熊切 「最初に撮ったのがepisode4の(高校教師・阿井美奈子役を演じた)安達祐実さんと対峙(たいじ)するシーンだったんですけど、安達さんは完璧な芝居をされる方ですから、実際はたぶんすごく緊張していたと思います。でも、仲島さんはそれがあまり顔に出ない方で。今まで知り合ったことのない、どこか浮世離れした雰囲気もあって、そのマイペースな芝居がナノにぴったりハマりました」

仲島 「いや、安達さんと初めてお会いしたときは“私、今からこの方に挑発的な態度をとるのか?”と思って、ものすごく緊張したし、最初のプレッシャーはスゴかったです(笑)。でも、ナノになりきって、すべてを客観視するようになってからは結構お芝居に集中できました」

「転校生ナノ」熊切和嘉×仲島有彩が語る“かわいい”と“怖い”のギャップの魅力

――現場で安達さんから何か声をかけてもらいましたか?

仲島 「私が目をギョロっと動かして安達さんを見るお芝居があるんですけど、その目を見て『すごくよかったね』って褒めていただきました」

熊切 「物理実験室でナノが見せる最後の顔ですね」

仲島 「そうです。うれしかったです」

――仲島さんは先ほどタイ版のナノを研究したと言われましたが、タイ版のナノの印象と、そこにどんな新たな解釈やエッセンスを加えて演じられたのか教えてください。

仲島 「タイ版のナノは、私が演じたナノより飛び抜けて奇妙で明るいし、いい意味でもう少し子どもっぽい感じがしました。でも、日本版の脚本を読んだときの印象はそれとはまた違って。全6話でいろいろなキャラクターになるんですけど、一貫してブレないものがあるし、この世界に溶け込むのが得意なのに、あえて人と距離をとって、もう一つの別のワールドにいるように思えたんです。そんなナノを私はイラストに描いて、タイ版よりもっと引いたところから冷静に世界を見ている、いつも1人でいるナノをイメージしながら演じました」

――熊切監督はどんな要素や世界観を新たに取り入れようと思いましたか?

熊切 「ナノは人によって悪魔にもなるし、神様にもなる触媒のような存在だと思っていて。地獄に堕ちそうな人が地獄に突き進んでいくのを促進させるような人ですけど、ファンタジーとして見ることができたタイ版と違い、日本版はもっと生々しいものになるような気がしたんです。けれど、テレビでも放送するものですから、そこはバランスを考えながら、僕が昔好きだった佐藤嗣麻子監督の『エコエコアザラク』(1995年)のようなダーク・ファンタジーにできたらいいなと思っていました」

――ほかの監督が撮る作品も意識されたのでしょうか?

熊切 「そんなに意識はしてないです。10本のエピソードのなかから今回の2本を選んでそれが通ったし、僕が最初に撮影に入りましたからね。まあ、畑中みゆきさんが撮ったepisode6もナノの本当の部分が垣間見えるので興味はあったけれど、あれは女性監督が撮った方がいいだろうなと思ったので、僕はインパクト重視でいきました(笑)」

――episode2「ソーシャル・ラブ」とepisode4「正しいのは私」では、それぞれどんなナノを見せようと考えられましたか?

熊切 「最初に撮った『正しいのは私』は静謐(せいひつ)なフィルムノワールのようなトーンで、ナノを不思議な優等生のようにして。『ソーシャル・ラブ』の方はSNSの映像などを取り入れたポップなテイストで、恋に恋する乙女のようなナノを演出しました。でも、どちらも仲島さんが演じているわけですから、2作を通してつかめそうでつかめないナノになればいいなと思ってましたね」

「転校生ナノ」熊切和嘉×仲島有彩が語る“かわいい”と“怖い”のギャップの魅力

――episode2の、“かわいいナノ”から“怖いナノ”に豹変する講堂のシーンも強烈でした。

仲島 「あのシーンはすごくワクワクしましたね(笑)。ほかの作品のナノは猫をかぶるようなことはしないけど、episode2ではずっと猫をかぶっていて、やっと本性を出せた場面だったので印象に残っていて。演じていてもすごく楽しかったです」

熊切 「撮影から時間が経ってしまったので記憶がちょっとあいまいだけど、あのシーンが怖くなるように、それまでのシーンでは『思いっきり、ぶりっこして』みたいなことを言ったような気がします」

仲島 「熊切監督がナノと演劇部員の佐野晴(百瀬拓実)のラブラブ具合をいかに出すかっていうところにかなり注力されていて。ほかの作品の監督と比べて、ナノの“ギャップ”に重きを置いていたのがすごく印象に残っています」

――その後の、講堂のステージに上がって奇妙な動きをするナノにも驚きました。

仲島 「私はあのシーンがこのシリーズで最大の山場だと思っていたんですけど、マリオネットのような動きをしながらナノの本性を見せなければいけないというダブルの難しさがありました。私がホン(脚本)読みのときにやったマリオネットでは怖さや不気味さが足りなくて、ただのダンスのようになってしまったんです。なので、マリオネットの踊りの先生からアドバイスをいただきながら、ロボットダンスでもジャズダンスでもない、操られているような奇妙な感じを出すようにしたんですけど、あれはすごく大変でしたね」

熊切 「あのマリオネットの動きは、実は脚本にはなかったんですよ。でも、仲島さんは手足が長いから、それを生かした身体表現で何か面白いことをやりたいなとずっと考えていて、パッと思いついたあれを提案しました。結構大変そうだなとは思いましたけど、すごく練習してくれたおかげで、インパクトのあるいいシーンになったと思います」

「転校生ナノ」熊切和嘉×仲島有彩が語る“かわいい”と“怖い”のギャップの魅力

――仲島さんにとって、初めてタッグを組まれた熊切監督はどんな方でしたか?

仲島 「監督は現場から少し離れた場所にいて、助監督さんを通して指示を伝えられるのかな? って思っていたんです。でも、熊切監督はずっと私に付き添ってくださって『こうしよう』と直接言われたし、新人の私の意見もちゃんと聞いてくださる優しい方で。現場も明るくて楽しかったから、初主演でそれを知ってしまった私は今後が逆に不安になりました。それぐらい、とても恵まれた環境だったんです(笑)」

――熊切監督とはどんな意見交換をされたんですか?

仲島 「さっきのマリオネットのシーンの最後でナノが糸が切れたようにガッて倒れるんですけど、その後に吐くセリフの言い方について、どっちの言い方が奇妙に聞こえるか? 相手役の晴に響くのか? といったことをお話しして。その結果、自分も納得のいく、すごく好きなシーンになったのを覚えています」

「転校生ナノ」熊切和嘉×仲島有彩が語る“かわいい”と“怖い”のギャップの魅力

――最後に、お二人が思う「転校生ナノ」の魅力を教えてください。

仲島 「誰もがひっかかるところがどの作品にもあるんじゃないかなと私は思っているので、見てくださる方にはそれに気付いてほしいですね。それこそ『ソーシャル・ラブ』は私と同世代の方々にはすごく響く内容だし、どなたが見ても必ず自分の普段の生活と結びつくところがある。そこがこの作品の面白いところだと思います」

熊切 「タイ版を日本に置き換える際に、今の日本で起こっている問題をできるだけ入れるべきなのではないかなと脚本家である妻(浪子想名義)に相談して脚色してもらいました。なので、今の日本を映したダーク・ファンタジーとして楽しんでもらえたらうれしいですね」

【プロフィール】
熊切和嘉(くまきり かずよし)
1974年9月1日生まれ。北海道出身。大阪芸術大学の卒業制作作品でぴあフィルムフェスティバル準グランプリを受賞「鬼畜大宴会」(97年)をはじめ、映画「海炭市叙景」(2010年)、「私の男」(14年)、「#マンホール」「658km、陽子の旅」(ともに23年)など数々の作品が国際映画祭で注目される。

「転校生ナノ」熊切和嘉×仲島有彩が語る“かわいい”と“怖い”のギャップの魅力

仲島有彩(なかじま ありさ)
2005年9月30日生まれ。神奈川県出身。高校生の時に横浜中華街でスカウトされて現事務所に所属。特技は英語(アメリカ留学経験あり)、暗記。今作「転校生ナノ」が俳優デビュー作となる。

FODで視聴する

【コンテンツ情報】
転校生ナノ」(全6話)
FOD
episode 1~4 配信中
episode 5 4月30日午後8:00から独占配信
episode 6 5月3日午後8:00から独占配信
※episode 1は無料。
※配信日時は予告なく変更になる場合あり。

<episode2「ソーシャル・ラブ」 あらすじ>

「転校生ナノ」熊切和嘉×仲島有彩が語る“かわいい”と“怖い”のギャップの魅力

転校生のナノ(仲島有彩)を助けたことをきっかけに、平凡な演劇部員・佐野晴(百瀬拓実)は“王子”として祭り上げられ、ナノとの恋物語がSNSで拡散される。2人が理想のカップルとして消費されていく一方、晴の恋人・結衣(朝日奈まお)は“悪役”に仕立て上げられ炎上し、正義と称賛に酔いしれた晴も引き返せなくなっていた。やがて物語は、誰も想像しなかった結末へ――。“いいね”の数が真実を書き換える世界で、最後に笑うのは誰なのか。

<episode4「正しいのは私」 あらすじ>

「転校生ナノ」熊切和嘉×仲島有彩が語る“かわいい”と“怖い”のギャップの魅力

教育改革を掲げ、「正しさ」で生徒を導こうとする高校教師・阿井美奈子(安達祐実)。だが共感や優しさが重視される時代で、その厳格さは次第に孤立を招いていた。校内で起きたある騒動をきっかけに、彼女の正義は大きく揺らぎ始める。そんな阿井の前に立ちはだかる、転校生のナノ。静かなまなざしで矛盾を見抜き、核心を突く言葉で彼女を追い詰めていく。理想を掲げる教師と謎めいた少女――。その裏に隠された真実とは?

「転校生ナノ」熊切和嘉×仲島有彩が語る“かわいい”と“怖い”のギャップの魅力

取材・文/イソガイマサト 撮影/尾崎篤志(仲島有彩)

U-NEXT

この記事をシェアする

U-NEXT

Copyright © TV Guide. All rights reserved.