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「にこたま」比嘉愛未が演じる30代独身女性の予期せぬ妊娠に対する“強さ”と“選択”とは?2026/01/08 12:00

「にこたま」比嘉愛未が演じる30代独身女性の予期せぬ妊娠に対する“強さ”と“選択”とは?

 2025年12月26日からFODPrime Videoで配信中のFODオリジナルドラマ「にこたま」は、恋愛、結婚、家族といった身近でありながら、簡単には割り切れないテーマに真正面から向き合う作品だ。原作は、渡辺ペコ氏による同名コミックス。本作は、出会って12年、長年同棲している浅尾温子(橋本愛)と岩城晃平(瀬戸康史)、そして晃平の同僚である高野ゆう子(比嘉愛未)の3人の関係性を、日常の風景や季節の変化の中で丁寧に描いていく。感情を過度にあおることなく、ふとした瞬間に生まれる揺らぎや違和感をすくい取るような視線が、物語全体に通底している。

「にこたま」比嘉愛未が演じる30代独身女性の予期せぬ妊娠に対する“強さ”と“選択”とは?

 比嘉愛未が演じる高野は、物語の中で大きな転機をもたらす存在だ。晃平と一夜のみ関係を持ち、妊娠が発覚するという出来事をきっかけに、彼女は誰かに委ねるのではなく、自分1人で産み、育てるという選択をしていく。表情が大きく変わることはなく、言動もどこか淡々としているが、その内側には確かな覚悟と感情が息づいている人物でもある。比嘉自身、高野について次のように語っている。

 「高野は、本心を誰かに打ち明けるよりも、自分の中で抱え込んで、自己解決してきた人なんじゃないかという印象がありました。母親との関係性も含めて、強くあらねばいけない、感情をあまり表に出さずに生きてきた女性なのかな、と。だから、言っていることははっきりしているのに、どこかつかみきれない。淡々として見えるけれど、内側にはちゃんと感情がある。その距離感が、最初はすごく難しかったです」。

「にこたま」比嘉愛未が演じる30代独身女性の予期せぬ妊娠に対する“強さ”と“選択”とは?

 高野は誰かに気持ちをぶつけるよりも、自分の中で整理し、決断を下していく。晃平との関係や妊娠という出来事に直面しても、感情を声高に主張することなく、「1人で産み、育てる」という選択を淡々と受け止めていく。その在り方は強さでもあり、同時に孤独でもある。だからこそ、高野の存在は物語に静かな緊張感をもたらしていく。役づくりの過程について、比嘉はこう振り返る。

 「私自身、これまでクールな役を演じることは多かったんですけど、高野はこれまでの役と違いました。分かりやすいクールさではなくて、削ぎ落とされた結果としてそう見えている人物なんですよね。最初はどう演じたらいいのか正直分からなくて、手応えもつかめなかったですし……、とにかくミステリアスな役でした」。

「にこたま」比嘉愛未が演じる30代独身女性の予期せぬ妊娠に対する“強さ”と“選択”とは?

 そう迷った時に背中を押したのが、瀬田なつき監督の演出だった。感情を足すのではなく、むしろ削ぎ落とすこと。淡々とした言葉の裏に、見る側が想像を巡らせる余白を残す。そのアプローチは、比嘉にとって新鮮な発見でもあった。

 「人間らしいなとも思いました。現実の人も、表面的に分かりやすい感情だけで生きているわけじゃない。高野も、自分の中で悩みながら、考えながら、それでも淡々と選択していく。その姿がすごく印象に残っています」。

「にこたま」比嘉愛未が演じる30代独身女性の予期せぬ妊娠に対する“強さ”と“選択”とは?

 そうした役との向き合い方の先にあったのが、撮影後も「高野ゆう子」を簡単には手放せなかったという感覚だ。

 「撮影が終わった後も、なかなか役から抜けきれなかったんです。クランクアップの翌日に、長野まで1人で旅に出て、自然の中に身を置いていました」――役を抜くというより、ちゃんと消化するような、あるいは成仏させるような感覚に近かったのかもしれない。それほどまでに、高野ゆう子という人物と真剣に向き合った時間だったのだろう。

「にこたま」比嘉愛未が演じる30代独身女性の予期せぬ妊娠に対する“強さ”と“選択”とは?

 「にこたま」には、明確な正解も、誰かを断罪する視線もない。ただ、それぞれの立場で、それぞれが選択を重ねていく。その積み重ねが、時に人を傷つけ、時に自分自身を揺さぶる。それでも人生は続いていくのだという、現実が映し出されている。

 比嘉は視聴者に向けて、こう語る。「この作品は分かりやすくないところも含めて、とても深いと思います。温子目線でも、高野目線でも、晃平目線でも、それぞれに重なる感情があるはずです。先入観を持たずに、自然に見ていただいて、ふと湧いてくる感覚を大切にしてもらえたらうれしいです」。

 感情を声高に主張しない高野という人物を通して、「にこたま」は「強さ」や「選択」のかたちを問いかける。比嘉が体現するその静かだが確かな存在感は、見る者に余白を残し、簡単には言葉にできない感情を浮かび上がらせていく。

「にこたま」比嘉愛未が演じる30代独身女性の予期せぬ妊娠に対する“強さ”と“選択”とは?

【プロフィール】
比嘉愛未(ひが まなみ)
1986年6月14日生まれ。沖縄県出身。2007年に連続テレビ小説「どんど晴れ」(NHK)でヒロインを演じる。ドラマ「放送局占拠」(日本テレビ系)、25年12月26日から公開中の劇場版「緊急取調室 THE FINAL」などに出演。

【コンテンツ情報】
「にこたま」(全8話)
FOD、Prime Video
2025年12月26日から配信中(金曜午後8:00に最新話を配信)
※配信日時は予告なく変更になる場合あり。
※FODでは1話無料。
※Prime Videoでの視聴には会員登録が必要。

「にこたま」比嘉愛未が演じる30代独身女性の予期せぬ妊娠に対する“強さ”と“選択”とは?

取材・文/杉嶋未来 撮影/尾崎篤志

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