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緒形敦、「豊臣兄弟!」織田信澄役で存在感「ここからが勝負」父・緒形直人との“共演”への本音も2026/07/12 20:46

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緒形敦、「豊臣兄弟!」織田信澄役で存在感「ここからが勝負」父・緒形直人との“共演”への本音も

 現在放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」(NHK総合 毎週日曜午後8:00ほか)で、織田信長(小栗旬)のおい・織田信澄を演じた緒形敦。第25回から本格的に物語へ関わり、茶会で信長をかばって負傷する場面、信長から疑いを向けられる緊迫の対峙(たいじ)、そして明智光秀(要潤)へ「われらの手で、信長を討つのです!」と迫る場面など、本能寺の変へ向かう流れの中で強い印象を残した。

 仲野太賀が主演を務める大河ドラマ第65作で描くのは、戦国時代の真っただ中、強い絆で天下統一という偉業を成し遂げた豊臣兄弟の物語。夢と希望の下克上サクセスストーリーだ。主人公は天下人の弟・豊臣秀長(仲野)。歴史にif(もしも)はないものの、「秀長が長生きしていれば豊臣家の天下は安泰だった」とまで言わしめた天下一の補佐役・秀長の目線で戦国時代をダイナミックに描く波乱万丈のエンターテインメントとなっている。脚本は、連続テレビ小説「おちょやん」(2020年)などを手がけた八津弘幸さんが担当している。

 祖父は緒形拳、父は緒形直人。ともに大河ドラマで主演を務めた俳優を家族に持つ緒形にとって、「豊臣兄弟!」は2019年の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」以来、2度目の大河出演となる。信澄役で感じた手応え、父の若き日の役を演じた「東京P.D. 警視庁広報2係」(フジテレビ系)での経験、アメリカ留学、服作りへの思いまで、緒形の現在地を聞いた。

緒形敦、「豊臣兄弟!」織田信澄役で存在感「ここからが勝負」父・緒形直人との“共演”への本音も

「父の信長を見て、戦国時代に憧れていました」

――「豊臣兄弟!」への出演が決まった時は、どんなお気持ちでしたか?

「素直にうれしかったですし、不思議なご縁も感じました。僕のデビュー作が、八津弘幸さん脚本の『陸王』(TBS系/17年)だったんです。当時は右も左も分からない状態でしたが、その時に八津さんにもごあいさつをさせていただきました。そこから9年たって、自分の中でも少しずつキャリアを重ねてきた中で、また八津さんの脚本で、自分にとって一つの分岐点になりそうな『豊臣兄弟!』に参加できる。俳優としても、すごく意味のあることだと感じました」

――出演はオーディションで決まったそうですね。

「はい。『豊臣兄弟!』のオーディションがあって、それが1年以上前だったんです。そこからだいぶ時間がたって、今回、信澄役で出演することが決まりました。オーディションの時点では役柄が決まっていたわけではなく、作品全体のオーディションという感じでした」

――出演が決まった時、最初に報告した相手は?

「まずは母に連絡しました。もともと時代物をやりたいという話は家族にもしていましたし、特に戦国時代で、着物を着て演じる作品にはずっと興味がありました。大河ドラマに出ることも目標の一つだったので、母もすごく喜んでくれて。『よかったね』と言ってくれました」

――祖父の緒形拳さんは大河ドラマ「太閤記」(65年)で豊臣秀吉を、父の緒形直人さんは「信長 KING OF ZIPANGU」(92年)で織田信長を演じています。緒形さんご自身にも、戦国時代への憧れがあったのでしょうか?

「ありました。単純に、小学生の頃から戦国時代が好きだったんです。父の演じた信長を小さい頃から見ていて、『格好いい時代だな』と感じていたことも大きいと思います。今回、自分が信長のおいにあたる信澄を演じることにも、不思議な巡り合わせを感じました」

――信澄は、父・信勝を信長に殺された過去を持つ複雑な人物です。役をどのように理解していきましたか?

「織田信澄という人物は史料がほとんどなくて、『そうだったのではないか』といううわさ程度のことが本に書かれているくらい。だからまずは、信長をはじめ、信長の家臣や兄弟、自分に関わる周りの人たちとの関係性を調べました。明智光秀の娘と結婚する人物でもあるので、その周辺も細かく調べて、その上で、八津さんの脚本に描かれている信澄をどう演じるかを考えていきました。プロデューサーの方からは、すごくミステリアスというか、何を考えているか分からないように演じてほしいという指示がありました。信澄は最終的に本能寺の変で光秀に信長を討つよう促しますが、その根底には、自分の父を信長に殺されたことがある。信長を討つことが悲願として、ずっと心の奥にあったのだと思います」

――信澄は悪役として見られやすい立場でもありますね。

「一見すると悪者かもしれません。でも、信澄にとってはそれが正義だったはずです。周りは許してくれないとしても、自分の中にある神様のような存在は許してくれるのではないか。そう信じて動いていた人物なのだと解釈しました。だからこそ、信澄なりの正義がきちんと見えるように準備していました」

緒形敦、「豊臣兄弟!」織田信澄役で存在感「ここからが勝負」父・緒形直人との“共演”への本音も

――本能寺で信長の前に現れる信澄を、どんなイメージで演じましたか?

「あの場面は、実際の信澄がいるというより、幻影のような感じでした。信澄の信長への思いが固まった、念のようなものに見えたらいいなと思っていました。立ち方も意識しましたし、斬りかかる時も、あまり感情をあらわにしない信澄が一気に向かっていく。その思いを信長へ向けるように演じました」

――第25回から第27回の本能寺の変まで、信澄は物語の重要な役割を担いました。脚本を読んだ時はいかがでしたか?

「本能寺の変は、この作品の中でも大きな局面。脚本を読んだ時は、まず驚きました。ここまで自分が関わるとは思っていなかったですし、『自分で物語が終わって、自分で始まるんだ』というような感覚もあって。素直にうれしかったです。最初に撮影した去年11月の時点では、第25回以降の脚本はまだ完成前で、そのため、初日は信澄が本能寺の変にどう関わるのか分からない状態で芝居をしていて、少し難しさもありました。ただ、その役割を担う以上、しっかり自分のところを全うして、その後の物語につなげたいという思いで臨んでいました」

――光秀役の要さんとは、どのように信頼関係を作っていったのでしょうか?

「要さんとは、信澄が光秀に本音を明かし、信長を討つよう迫っていく最後の2人のシーンについても話しました。場の空気を大事にしながら、お互いに楽しんでやりましょう、と。ガチガチに固めるのではなく、最後に信澄がちゃんと本音を言えて、解放されるところがあるので、そこを固めすぎるとどちらかが苦しくなると思ったんです。お互いに感じながら作り上げていければいいね、という話をしていました」

――小一郎役の仲野さん、秀吉役の池松壮亮さんとは、現場でどんなやりとりがありましたか?

「お二人とも本当に気さくな方で、仲野さんと池松さんの存在が、現場をすごく温かくしてくださっていました。本読みの時、僕が『今回、初登場です』とごあいさつすると、お二人は机をたたいて『うわー!』『よし、いくぞ!』という感じで迎えてくださって。それがすごくありがたかったです。現場はアットホームで、本当に男子校みたいな雰囲気でした。お二人が中心となって、みんなで一緒に作っていく空気があって、すごく楽しかったです。僕は初日だったので、まだ少し遠慮もあって、頭を下げるぐらいでしたけど(笑)」

「いつかあの楽屋をもらいたい」悔しさがモチベーションに

緒形敦、「豊臣兄弟!」織田信澄役で存在感「ここからが勝負」父・緒形直人との“共演”への本音も

――「豊臣兄弟!」は、緒形さんにとってどんな作品になりましたか?

「ここまで自分がクローズアップされる作品は、今まで、あまりありませんでした。デビュー作の『陸王』から9年たって、いろいろなキャリアを積み重ねてきた中で、ようやくこのような機会をいただいた。すごくチャンスだと思っていますし、しっかり全うしなければいけないという気持ちで挑みました」

――今回の大河の現場で、以前出演された「いだてん」の時のことを思い出す場面もありましたか?

「ありました。『いだてん』の時は、陸上選手役で、セリフも一言二言くらい。撮影も1日で終わりました。その時、NHKのスタジオで僕はロッカーに荷物を入れて、ベンチで待っていたんです。一方で、主要キャストの方々にはそれぞれ楽屋があって。その姿を見て、『自分もいつかあの楽屋をもらいたいな』と思ったことを覚えています。両親や祖父が同じスタジオで芝居をしていたことも知っていたので、自分が求めているものと現実とのギャップに悔しさもありました。でも、そういう思いがモチベーションにもなっていましたし、今回、信澄という重要な役で大河ドラマに戻ってこられたことは、一つ成長できた証しのようにも感じています」

――ご家族とのつながりという意味では、1月クール放送の「東京P.D. 警視庁広報2係」で、お父様の直人さんが演じる役柄の若き日を演じられたことも話題になりました。実際に演じてみていかがでしたか?

「歩き方や立ち居振る舞い、後ろ姿が似ていると言われることは多かったので、そこはあまり作り込まず、あえて自然体でいけばいいかなと。ただ、父が劇中でどういうしぐさをするかはオンエアを見ないと分からなかったので、意識はしつつ、刑事という役をしっかり全うしようと思っていました。放送後にSNSを見たら、『雰囲気がすごく似ている人がいると思ったら息子さんだった』『キャスティングがすごい』といったコメントがあり、すごくうれしく励みにもなりました」

――撮影現場でお父様と顔を合わせることはあったのでしょうか。

「1日だけ撮影日が重なった日がありました。僕の撮影が朝に終わって、メイクを落として帰る頃に、父が楽屋にいたんです。あいさつに行こうと思って行ったのですが、お互いにその状況が新鮮すぎて、何を話していいか分からなくて(笑)。『お疲れ』みたいな感じで、5秒くらいで出ました。現場では父は大先輩ですし、皆さんもすごく敬意を持って接しているじゃないですか。そこで僕が普段通りに接するのも違うなと思いました。今回は父の若い頃という役をいただいたので、父の存在があったからこその役でもある。だからこそ、現場では距離感を大事にしながら、静かにしていました」

――デビュー当時の記事で、「父と共演するのはまだ自信がない」と話されていたのを拝見しました。今回「東京P.D.」でお父さまの若き日を演じたことで、その感覚に変化は?

「今回は同じ作品ではありましたけど、父とのシーンはなかったので、感覚としてはまだ変わっていないかもしれません。共演となると、まだ厳しいです(笑)。父はデビュー作の映画『優駿』で祖父と共演していて、けんかのシーンで加減なしにボコボコにされたらしいんです。それは二人らしいなと思いますけど、自分はまだまだですね」

「自分の軸で進みたい」留学、服作り、そして俳優としての現在地

緒形敦、「豊臣兄弟!」織田信澄役で存在感「ここからが勝負」父・緒形直人との“共演”への本音も

――ここからは、少し時間をさかのぼって、俳優としての土台につながるお話も伺えたらと思います。学生時代にはアメリカに留学し、サッカーにも打ち込まれていたそうですね。その経験は、今の俳優業につながっていますか?

「一番影響を受けているのは、若い頃に海外へ行った経験だと思います。俳優は、物事に対して否定から入ってしまうとできない仕事だと思っているんです。例えば、世間的には理解されにくい趣味を持っている人がいたとしても、自分がその役を演じる可能性がある。だから『そこにはどんなロマンがあるんだろう』と肯定的に考えないと、自分の幅が狭くなってしまう気がするんですよね」

――その考え方は、海外での経験によって大きくなったのでしょうか?

「中学3年生で留学した学校には、19か国くらいから人が集まっていました。宗教も文化も違うし、靴を履いたままベッドに乗る人もいる。最初は意味が分からないんですけど、彼らにとってはそれが普通なんですよね。そういう環境にもまれる中で、『この人にはこの人の文化や歴史があって、だからこう考えるんだ』と受け入れられるようになりました。その感覚は、役者をやる上ですごく大きかったと思います」

――もともと、そうした環境にも自分から飛び込んでいけるタイプでしたか?

「全然そんなことはなかったです。ただの中学生でした。サッカーは日本ではできる方でしたけど、それだけでは全然通用しない。日本語も英語も通じないし、プライドなんてズタボロにされました。でも、若いうちに一度そういう経験をして、『ありのままの自分でいいんだ』『分からなくて当たり前なんだ』と受け入れられるようになりました。だからこそ今も、壁にぶつかったときにはまずそれを受け止めて、素直に学ぶ姿勢を大切にするようにしています」

――英語が話せないまま海外に行こうと思ったきっかけは?

「英語が話せたら、モテるだろうなと思って(笑)。『めっちゃ、かっこよくない?』みたいな。本当に最初のきっかけはそれでした」

――サッカーでは、プロを目指した時期もあったのでしょうか?

「中学まではありました。でも、そこまで強い思いではなかったです。中学の頃から洋服も好きだったので、ファッションデザインの大学に行こうと思っていました」

緒形敦、「豊臣兄弟!」織田信澄役で存在感「ここからが勝負」父・緒形直人との“共演”への本音も

――現在も、ものづくりへの関心は強いそうですね。

「洋服を作っています。基本的に私服は自分で作ったものを着ていますし、舞台の衣装を作ったり、役者仲間から『こういうバッグを作って』と言われて作ったりすることもあります。そういう時間がすごく楽しいです」

――生地を選んで、切って、縫うところまでご自身で?

「そうです。どこかに通ったわけではなくて、基本的にはYouTubeが先生です。YouTubeは最強ですね。何でも作れます(笑)。やってみると意外とできるんです。今はシャツやバッグ、レザーバッグのようなものも作っています。いずれは家具も作ってみたいです。作ること自体が好きなんでしょうね」

――服作りへの関心は、演じること以外の表現にも広がっていきそうですね。

「自分の感性で作った服を誰かに着てもらって、その人が芝居をする。そこまで含めて一つの表現にできたら面白いなと思っています。将来的には映画を撮ってみたいという思いもありますし、衣装から世界観を作っていくようなことができたら楽しそうですよね」

――では、最後に、「豊臣兄弟!」を経た今、ご自身の俳優としての現在地をどう捉えていますか?

「ようやくスタート地点に立てたという感覚です。これまでもいろいろな作品に出させていただきましたが、今年に入って、自分を見てもらうきっかけになる作品と出会えている気がしています。だからこそ浮足立たず、ここからが勝負だと思っています。みんなと同じ方向へ進むより、自分の好きなものや感覚を大事にしながらやっていきたいタイプなのかもしれません。服作りもそうですが、自分の軸を持って進んでいきたい。そうした積み重ねが、次の出会いや仕事につながっていけばうれしいです」

緒形敦、「豊臣兄弟!」織田信澄役で存在感「ここからが勝負」父・緒形直人との“共演”への本音も

【プロフィール】
緒形敦(おがた あつし)
1996年6月20日生まれ。神奈川県出身。2017年、TBS系日曜劇場「陸王」で俳優デビュー。主な出演作に大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」(19年/NHK総合ほか)、「大豆田とわ子と三人の元夫」(21年/カンテレ・フジテレビ系)、「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」(21年/NHK総合)、「東京P.D. 警視庁広報2係」(26年/フジテレビ系)、映画「LOVE LIFE」(22年)、「レジェンド&バタフライ」(23年)、「ら・かんぱねら」(25年)などがある。

【番組情報】
大河ドラマ「豊臣兄弟!」
NHK総合
日曜 午後8:00~8:45ほか
NHK BSプレミアム4K
日曜 午後0:15~1:00ほか
NHK BS・NHK BSプレミアム4K
日曜 午後6:00~6:45

取材・文/斉藤和美 撮影/尾崎篤志

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