小栗旬“正真正銘”念願の織田信長役「豊臣兄弟!」仲野太賀・池松壮亮に「心震える」2026/07/05 20:45

現在放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」(NHK総合 日曜午後8:00ほか)で、織田信長を演じる小栗旬のインタビューを前後編に分けておくる。
豊臣秀長(小一郎)役の仲野太賀が主演を務める大河ドラマ第65作で描くのは、強い絆で天下統一という偉業を成し遂げた弟・秀長(仲野)、兄・秀吉(池松壮亮)の“兄弟”の物語。「秀長が長生きしていれば豊臣家の天下は安泰だった」とまで言わしめた天下一の補佐役・秀長の目線で戦国時代をダイナミックに描く波瀾万丈のエンターテインメントだ。脚本は連続テレビ小説「おちょやん」(NHK総合ほか)や「半沢直樹」(TBS系)などで知られる八津弘幸さんが手がけている。
6月28日放送の第25回では、信長が祝宴の場で相撲に敗れた長老格の家臣3人に追放を言い渡す波乱が起きる。7月5日放送の第26回では、阿波と讃岐を手中に収めた信長が、羽柴家一同によって市(宮﨑あおい)とともに長浜城へ招かれるというエピソードが展開された。いよいよ信長にとってクライマックスの「本能寺の変」が迫る中、インタビューの前編では4年ぶりの大河出演や念願の信長役への向き合い方、また、主演の仲野、そして秀吉を演じる池松壮亮への思いなどを聞いた。

――「鎌倉殿の13人」(22年)で主演を務められて以来の大河ドラマ出演になります。出演決定時の心境をお聞かせください。
「まず、現場のスタッフに『おかえり』と迎えてもらえたことが何よりうれしかったです。『鎌倉殿の13人』で主演をさせてもらった時に、大河ドラマは大変だなと思ったんです。でも、4年後にまた参加している自分がいて……人間って忘れてしまうものなんですね(笑)。それくらい俳優にとって魅力のある場所です」
――その中で、織田信長役というオファーに感じ入るものはありましたか。
「一度は“正真正銘”の信長を演じてみたかったので、その夢がかなってうれしかったです。以前演じた信長(フジテレビ系「信長協奏曲」)は、フェイクだったので(笑)。信長を演じてみて、元々“強い存在”のイメージがありましたが、今作の信長は人間味があり、僕たちと同じように苦悩や葛藤を抱えていることを作品を通して感じました」

――人間味があるというお話が出ましたが、小栗さんの思う信長像を教えてください。
「今作では描かれていないのですが、信長が“うつけ”と呼ばれていた時代は、経済的に豊かで明るい世の中を作りたいと考えていたと思います。でも、周囲に理解してもらえず、力で制圧するという選択をしたことが、彼を“破壊者”へと導いてしまったのではないでしょうか」
――そんな信長にとって、“豊臣兄弟”はどのような存在ですか?
「時代背景を考えれば、もっとたくさんの武将や人物が信長を取り巻いていたはずです。ただ、『豊臣兄弟!』という世界において彼らは、信長にとってなくてはならない存在です。僕は信長を『好きでいられるのか』と思う瞬間があるのですが、2人が間違いなく信長を愛している姿を見せてくれるので、『君たちがずっと僕のことを愛してくれているなら、僕も愛されているつもりで接する』と思わせてくれる兄弟でした」

――兄を支える主人公の小一郎は、信長の目にはどのように映っていると考えますか。
「出会った頃は秀吉よりも頭が切れて使える人物だと思っていたところ、次第に反論してきて疎ましい存在になっていきます。でも、兄を助けたいと動く姿を見ると信長自身が作りたかった兄弟の絆を小一郎が示し続けているようで、傷をえぐられているような気持ちになっていたのかなと」
――一方の秀吉も、信長にとって重要な人物に感じます。
「秀吉は、信長にはない感覚を持っている人物です。本来ならこうするだろうという想像を軽々と超えてくる。最初は大事な駒として置いておかなければいけないと思っていましたが、意外とミスも多く、意に背くことが多くなりました。それでも、信長は何度も秀吉を許すんですよね」
――例えば、どんなシーンが思い浮かびますか?
「第16回の延暦寺の一件では、犠牲になる必要のない人まで殺せと指示を出します。でもこの命令に秀吉は背くと信長は予見していたはずです。その上で、信長を納得させるにはどうすればいいかまで考えて秀吉は行動していたのではないかと……。でも、彼だけを簡単に許してしまうと他に示しがつかないと葛藤していたのではないかなと。視聴者の皆さんに『また許すのか』と思われないように意識して演じていました」
――そんな思いがあったのですね。先ほど信長は“破壊者”だという話がありましたが、そんな型破りな信長に共感できる部分はありますか?
「さすがにやりすぎている部分が多いので、理解できないことが多いです。それでも信長は多くの人をとりこにする魅力がありますよね」

――その魅力はどこから来ているのでしょうか。
「池松くんとも話していたんですが、“GOD”はGenerate(創造)・Operate(維持)・Destroy(破壊)の頭文字だという説があるらしいんです。まさに信長のような破壊者がいて、秀吉が創造し、維持していった家康(松下洸平)がいたのではと。そこで池松くんに『破壊者が一番人気あるんですよ』と聞いて、やっぱり自分ができないことをできる人に魅力を感じるのではないかなと確信しました」
――なるほど、そういう会話があったのですね。では、仲野さん、池松さんについてはどのような印象を持っていましたか?
「ピュアで真っすぐです。彼らだからこそ、この豊臣兄弟が成り立っているのでないでしょうか。2人はいつも最適解をくれるんです。こうじゃないかなと考えていたことを軽々と超える芝居をしてくれるので、それに引っ張ってもらうシーンが多々ありました」

――若い2人から刺激をもらっていたのですね。
「彼らと芝居をすると、心が震える瞬間が多々あるんです。この2人ならついていきたいなと思わせてくれる存在です。でも、信長役としてはそういう感情で演じていいのかと葛藤があって……。純粋に彼らについていける家臣たちがうらやましいと感じました」
――すてきなエピソードですね。お二人が演じるからこそ“兄弟”の持ち味が発揮されると。
「(仲野)太賀くんが演じるからこそ、底知れない優しさを身にまとっている小一郎になっています。池松くんが演じる秀吉は、明るいだけではなく怖さを感じるところがあって、一緒に芝居をしていると、その狂気性のようなものが突き刺さりました」
――では大河ドラマ主演の先輩として、お二人へのメッセージをお願いします。
「真っすぐ作品に向き合っている太賀くんと池松くんと一緒に芝居ができて、改めて自分も芝居に向き合う気持ちを抱かせてもらったことが、財産です。今作の信長が魅力的だと言っていただくこともありますが、それは2人をはじめ共演者の皆さんが引き出してくれたものだと切に思います」
――ありがとうございます。ところで、SNSでは「斜めの小栗は不穏すぎる」と小栗さんの“首の傾き”が注目されています。ご存じですか?
「はい、認識しております(笑)」

――意識されていたのでしょうか?
「自分としては意識をしていたつもりはないですが、身分が高くなっていくほど、文句を言う人がいないので、どんな格好をしてもいいじゃないかと思ったのが、“傾き”の始まりです。それを『鎌倉殿の13人』の時にもやっていたから、『小栗旬が傾くとやばい』と言われて……。後半はこれだけ言われると逆に傾かないようにしようと思い真っすぐ座るようにしました(笑)」
――これからも首の角度に要注目ですね。ありがとうございました。
後編では、いよいよ迎える「本能寺の変」の驚きの撮影秘話や豊臣兄弟へ託す思いなどに迫っていく。
【プロフィール】
小栗旬(おぐり しゅん)
1982年12月26日生まれ。東京都出身。94年より芸能活動を開始し、ドラマ「GTO」(98年/フジテレビ系)で注目を集める。「花より男子」シリーズ(TBS系/05年、07年、08年)、「花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~」(07年/フジテレビ系)、「リッチマン、プアウーマン」(12年/フジテレビ系)など数々の話題作に出演。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(22年/NHK総合ほか)では大河ドラマ主演を務めた。映画では「クローズZERO」シリーズ、「罪の声」(20年)、「フロントライン」(25年)などで活躍。
【番組情報】
大河ドラマ「豊臣兄弟!」
NHK総合
日曜 午後8:00~8:45ほか
NHK BSプレミアム4K
日曜 午後0:15~1:00ほか
NHK BS・NHK BSプレミアム4K
日曜 午後6:00~6:45
取材・文/S.Kirinuki
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