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解説・町田樹さん×実況・板垣龍佑アナが語る「カーニバル・オン・アイス2020」の魅力<独占インタビュー>2020/11/13

 10月3日にさいたまスーパーアリーナで開催された「カーニバル・オン・アイス2020」。同日に行われた「ジャパンオープン2020」に出場した選手たちと、豪華ゲストスケーターたちが、それぞれの個性あふれる演技で観客を魅了しました。

 11月15日にBSテレ東、BSテレ東4Kで放送される「フィギュアスケート カーニバル・オン・アイス 2020 ノーカット特別版」では、その模様を解説・町田樹さん、実況・板垣龍佑アナウンサーによるスペシャル解説付きでお届けします。

 番組の収録を終えた町田さんと板垣アナに、「カーニバル・オン・アイス2020」の見どころなどについて伺いました!

――「カーニバル・オン・アイス2020」は、新型コロナウイルス感染症の影響から例年と異なる点が多々ありましたが、どう感じられましたか?

町田 「海外スケーターが来日できないため、世界選手権を経験しているようなトップ選手の出演が例年よりも少なくなりました。なので、正直なところちょっと物足りなさを感じるかもしれないと開催前は思っていましたが、それは杞憂でしたね。たとえスーパースター級の選手がいなくとも、これほど豊かで面白いフィギュアスケートイベントが開催できるのだという驚きがあり、これから先に希望を感じました。そう思わせてくれたのも、出場選手が真摯で情熱的な演技を披露してくれたからこそです」

板垣 「コロナ禍によりフィギュアスケートを生で見られる機会が激減してしまった中、今回は有観客で行われました。生で演技を見る機会ができたことは本当に素晴らしいことで、僕も本当にうれしかったです。選手からも、大会やショーが開催されたことに対する感謝の思いや、みんなの前で滑ることができる喜びというものが感じられました。そして、テレビを通じて全国の皆さんがフィギュアスケート界の“現在(いま)”を見られるということも素晴らしいことだと思います」

町田 「現場では、徹底した感染症対策が行われていました。そういう意味では、この『ジャパンオープン』と『カーニバル・オン・アイス』が安全にアイスショーや競技会を行うロールモデル、雛形になったのかなと思います。フィギュアスケートは表現活動ですので、選手たちは『見ている人に何かを伝えたい』という使命感を持って氷の舞台に立っています。ですので、会場に観客がいると本当に演技が違ってきます。さまざまなリスクがありますから、主催者側は開催についてギリギリまで迷われたのだと思いますが、そんな中でも開催に尽力してくれた皆さまに敬意を表したいと思います」

板垣 「宮本賢二さんが振り付けしたオープニングナンバーでは、(新型コロナウイルス感染症対策として)選手同士が接触しないような振り付けになっていました。それでも選手、お客様、そして我々スタッフを含めて“みんなが繋がっている”感じがありました。まさに、会場一体となったアイスショーだったと思います」

――今回は例年と比べて若手選手が多く出場しましたが、その点において実況・解説で苦労したところはありますか?

町田 「『ジャパンオープン2020』では、競技のエンターテインメント性を出すためにAIの情報処理スタイルを先取りしてジャンプやスピンなどの技の成功確率などを交えながら競技会用の新しい実況・解説のメソッドを作り上げるというチャレンジをしました。一方、『カーニバル・オン・アイス2020』では、それぞれ選手の良さを伝えるという使命感を持ち、いつも通りの実況・解説を行いました。ただ今回は、次世代を担っていくジュニアスケーターが多く出演していましたので、『この選手はここがもっと伸びていくだろう』という“期待ポイント”を伝えることも意識しています」

板垣 「これまであまり知らなかった選手を調べるなど、僕としてはとても勉強になりました。また、トップスケーターと比べれば、まだ世間的にはそんなに知られてない選手たちを、“自分なりにかみ砕いて視聴者に伝える”という、例年とは違う新たなやりがいを感じました」

――町田さん、板垣さんが「カーニバル・オン・アイス2020」でそれぞれ特に印象に残った選手の演技を教えてください。

町田 「皆さん素晴らしい演技でしたが、強いて挙げるならば、私は日野龍樹選手と山本草太選手です。日野選手の交響曲第3番『オルガン付き』は、『俺を見ろ!』という、観客の心をつかみにいく意気込みが感じられる力強い演技でした。観客に『この選手はどんな景色を見せてくれるんだろう』という期待をさせて、そして期待した以上の景色を見せる。そこまで観客を誘い導くことが本当のプロフェッショナルだと私は考えています。今回の彼の演技は、それがしっかりできていたように感じました。また、『カーニバル・オン・アイス』は『ジャパンオープン』の直後に行われますので、本当にハードなのです。そういう点で今回、アイスショーの出演経験が少ない若手選手はジャンプなどに苦戦していましたが、日野選手は豊富な経験がありますから、プロのエンターテインメント空間で高いクオリティーの演技を届けました。そういう意味でも、彼は今回のMVPの1人でしたね」

板垣 「これまで、『ジャパンオープン』の後に『カーニバル・オン・アイス』でトップスケーターたちがジャンプを次々と成功させているのを見ていましたので、どこかそれを当たり前に感じてしまっていましたが、やはり相当大変なことなのですね」

町田 「インターバルが3、4時間しかありませんからね。本当に過酷です。若手選手たちが苦戦してる中で、日野選手がバシッと決めましたので、そこでもう一段階、舞台空間の次元が上昇した感じがしました」

――山本選手の演技は、どんなところが印象に残りましたか?

町田 「山本選手は、『北京冬季オリンピックを真剣に狙う』と公言していますが、その言葉の通り、技術も表現も飛躍的に向上していました。『カーニバル・オン・アイス』では、『黒い瞳』を滑りましたが、彼自身の代表作の一つといえるような素晴らしいプログラムに仕上がっています」

――どういった点に、山本選手の進化を感じましたか?

町田 「山本選手も、日野選手と同じく『俺についてこい』という表現者の気構えのようなものがしっかりと表れていたと思います。また、私は男性スケーターが『黒い瞳』を踊る上で三つのポイントがあると思っていまして、一つ目が『危険な男の香りを放っていること』、二つ目が『重厚と軽やかさを融合させていること』、そして三つ目が『コサックダンスやロシア民踊などに通じる印象的な踊りの所作、ポーズを見る者の網膜に焼きつけるようにはっきりと表すこと』です。彼は、そのすべてが達成できていたと思います」

――町田さんが『黒い瞳』を演技された時も、その点を意識されていましたか?

町田 「そうですね。この三つのポイントはあくまで私の持論ですので、山本選手がそれを狙っているどうかは分かりません。でも、私が考える『黒い瞳』のイメージにバッチリとハマっていましたので、とても好きなプログラムの一つになりました」

板垣 「町田さんの『黒い瞳』は危険でした!(笑)」

――では、板垣アナウンサーが印象的だった演技を教えてください。

板垣 「町田さんが挙げたお二方以外ですと、まず本田ルーカス剛史選手です。僕は素人なので偉そうなこと言えないですけど、雰囲気があるというか…」

町田 「(雰囲気は)今季から出たのだと思います。彼は今季『表現を頑張る』と公言しているのですが、その実現に向けて本当に努力してることが感じられました」

板垣 「『表現力がある』と簡単に言ってしまうのはよくないかもしれませんが、リンクに立つ彼の表情などから、そういうことを感じました』

町田 「“表現力とは何か”ということを言葉で伝えることはもちろん大切ですが、板垣さんのおっしゃる通り、観客が思わず見入ってしまうような、匂い立つものがありましたね。その言葉では説明できないような空気感、彼がそれを纏(まと)い始めている感じが見て取れました」

板垣 「これから4回転ジャンプをしっかりと身につけていくと考えると、すごく楽しみです」

町田 「今回、本田選手が演技した『苦悩する地球人からのSOS』は“苦悩”がテーマになっているプログラムで、随所に“苦悩”を象徴するような振り付けが散りばめられていますが、どうやって動けばそれを伝えられるのかということを彼がしっかり理解していることが見て取れました。まずは、けがをしっかり治していただきたいですね」

板垣 「それから、横井ゆは菜選手も印象的でした。これまで彼女は感情を解き放つような曲が多いイメージでしたが、今回披露した『なんでもないや』は感情を押し殺すようなしっとりとしたナンバー。こういう曲にもトライしているのだと驚きました。しかも、ほとんどミスもなく、息をのむほど美しかった。今後にさらなる可能性を感じました」

――今回、残念ながら出演できなかった村元哉中選手&髙橋大輔選手からのVTRメッセージもあります。新しいカップルの参戦で、今シーズンは例年以上にアイスダンスにも注目が集まっていますね。

町田 「『カーニバル・オン・アイス』では、アイスダンスカップルの小松原美里選手&コレト・ティム選手が演技を披露されています。小松原選手はインタビューで村元&髙橋組について聞かれ、『アイスダンスでは私たちの方がキャリアがありますので、負けてはいけないと思います』と力強いコメントをしていました。村元&髙橋組もデビューシーズンということで勝負を懸けてくると思いますので、そういった意味では今季のアイスダンスは、スポーツとしての面白さ、ライバル同士の切磋琢磨が見られるのではないかと期待しています」

板垣 「村元選手&髙橋選手の練習の映像を拝見しましたが、楽しみでしかありません。以前、村元さんが『髙橋選手はスピードがあるので、そのスピードを生かしたアイスダンスカップルなったら、面白いかもしれません』とおっしゃっていました。これまでのアイスダンスにはなかった新しいプログラムが出来上がってくるのかな、と期待しています。リズムダンスのプログラムは『The Mask』ということですが、この曲は合いそうですよね」

町田 「そうですね。2人の得意分野かもしれません。デビュー戦となる『NHK杯2020』が楽しみですね」

――お二人での『カーニバル・オン・アイス』の実況・解説も今回で4度目になりますね。進化はありましたか?

町田 「4年前、私は解説者として本当に初心者でしたので、限られた時間の中に自分の考えを当てはめていくということが大変でしたが、その部分はかなり成長してきていると思います。プロフェッショナル中のプロである板垣さんの“相方”としてふさわしいスキルが少しずつ身に付いてるという手応えはあります」

板垣 「先生…! “相方”じゃないですよ、僕は“助手”ですよ!(笑)」

町田 「いや、同志としてイーブンですよ!(笑)。最初の方は収録当日に打ち合わせをして…という感じでしたが、今は普段から密に連絡を取り合っていますので、連携力、コンビネーションはさらに高まっていると思います」

板垣 「電話でも、LINEでも、それからZOOMでの打ち合わせもしましたね。町田さんは(ZO0M中の)バック(背景)が全部本棚で、優雅でしたね…」

町田 「(笑)。ZOOMなどのアプリケーションがコロナ禍で普及し、われわれもそれを使ってより連携が図れるようになりました。板垣さんだけでなく、ディレクターさんやプロデューサーさんを含めて何度も会議を重ねて本番を迎えてます。全員のコンビネーションが、何よりの強みですね」

板垣「本当にありがたいことです。今回は企画を練るところから全員で行なっていて、そういうことは4年前にはなかったことですね」

――チームワークがさらに増した実況・解説も見どころですね。今日のインタビューでも、お二人の仲のよさがすごく伝わってきました。板垣さんは町田さんのことはもう何でも知っていらっしゃるのではないですか?(笑)

板垣 「それは申し訳ないのですが、町田さんファンの中ではかなり知っている方かも…(照笑)」

町田 「そうですね、私の“素”もご存じですよね(笑)」

板垣 「最近、その“素”に近いものもオンエアーでどんどん出てきているかと。そこも注目ですね(笑)」

――では、あらためて視聴者の皆さまにメッセージをお願いします。

町田 「多くのフィギュアスケートイベントが中止ないし無観客イベントとなりましたが、一方でストリーミング配信などの映像でフィギュアスケートを見る機会が増えました。どんな小さな大会でも遠隔で見られる時代が来たのだと、私も便利に感じていました。しかし今回こうしてライブで試合やショーを見ると、やはり映像だけでは伝わらない魅力というものがたくさんあると感じました。フィギュアスケートをはじめ、文化・芸術というのは、イベントを直接鑑賞するということが一番、その文化・芸術を支えることにつながります。今回のショーもテレビで絶対に見ていただきたいのですが、その上で、コロナ禍が収束しましたら、ぜひ直接会場にも足を運んでいただきたいと視聴者の皆さまにお願いしたいです」

板垣 「今回、海外の選手は会場にはいませんが、その分、未来あるフレッシュなメンバーがそろっています。彼らのどういったところが優れているのかということを、ふんだんに実況・解説で触れているつもりですので、放送を見て、今、そして、これからのフィギュアスケートに没頭していただきたいですね。それから、もちろん、まち…“町田語録”もあります!」

町田 「“かんだ”から、そのコメントは採用しない(笑)」

板垣 「そんな!(笑)。でも4年経ちましたけど、これからも貪欲に新しいことにチャレンジしていきたいですね」

町田 「これからも実況・解説の新たなスタンダードを開発していけるように、頑張っていきたいと思います」

 フレッシュな若手選手から熟練のベテランスケーターまで、フィギュアスケートの奥深い魅力を堪能できる「カーニバル・オン・アイス2020」は、11月15日午後2:00からBS テレ東、BSテレ東4Kで放送。どうぞ、お見逃しなく!

【番組情報】

「フィギュアスケート カーニバル・オン・アイス 2020 ノーカット特別版」
BSテレ東・BSテレ東4K
11月15日 午後2:00~4:00

【雑誌情報】

TVガイド特別編集 KISS&CRY 氷上の美しき勇者たち 2019-2020シーズン総括・不屈の魂号~Road to GOLD!!!
(表紙・巻頭特集:宇野昌磨選手/KISS&CRYシリーズVol.35)
発売中
https://honto.jp/netstore/pd-book_30408241.html

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