北川景子、「ばけばけ」で武家の誇りを貫く母に!「1人で大河をしている感じも面白かった」2025/11/06 08:15

NHK総合ほかで放送中の連続テレビ小説「ばけばけ」(月~土曜午前8:00ほか)で、雨清水タエを演じている北川景子。主人公・松野トキ(髙石あかり)の生みの親で、松江でも随一の名家に生まれ、大勢の女中たちに囲まれながら何不自由なく育った。凛とした気品と厳しさを兼ね備え、親戚であるトキにも、礼儀作法やお茶など武家の娘としての教養を厳しく教えている人物だ。
髙石が主演を務める「連続テレビ小説」第113作の同作は、ふじきみつ彦さんが小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)とその妻・セツをモデルに描く物語。明治という西洋化で急速に時代が移り変わるなかで、松江の没落士族の娘・トキと、縁あって松江で英語を教えることになった英語教師のレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ)が出会い、文化や言葉の壁を越えて愛を育む。「怪談」を愛し、何げない日常を歩んでいく夫婦の姿を通して、埋もれていった人々の声をすくい上げる愛の物語だ。
武家の誇りを持ち続けるタエを演じる北川に、役への思いや撮影での印象について語ってもらった。

――ご出演が決まった時のご感想をお聞かせください。
「朝ドラにはご縁がないんだろうなと思っていたので、お話をいただいた時は『えっ、朝ドラですか』とびっくりしました。若い頃、すごく出たくてチャレンジしていたので、とてもうれしかったです。ただ、今は子どもが2人いるし、撮影場所が東京ではなく大阪で。撮影期間も長いので喜びと同じくらい家庭と両立していけるのか不安があったのですが、夫やお互いの両親が協力すると背中を押してくれました。演出の村橋(直樹)さんは大河ドラマ『どうする家康』(2023年/NHK総合ほか)でもご一緒しました。一回ご一緒した方から声が掛かるのはすごくうれしいです。タエの登場シーンは朝ドラというより大河みたいで、『あれ? 朝ドラって聞いてたんやけどな』と思いました(笑)。1人で大河をしている感じも面白かったです」
――演じられる雨清水タエさんはどんな役どころでしょうか?
「タエは自分が雨清水家の人間であることをすごく誇りに思っている、王道の武家の娘です。家を継ぐ人の支えとなって家を守っていくことへの誇りが強いので、そこは大事に演じようと意識しました。時代が変わり、夫の傳(堤真一)も亡くなって働かなくてはいけなくなりますが、突然言われても生活能力がないし、やり方が分からないし、そもそもやりたくもなかったのではないでしょうか。誇りを捨てて泥臭くお金を稼ぐなんて、タエにとっては死ねと言われたのと一緒。もし独り身だったら切腹していたはずです。でも、三之丞(板垣李光人)を野たれ死にさせるわけにはいかないので、食べさせていくために物乞いをして生きているんです。間違った形であれ、親としての愛情を持っているのもタエの魅力的だと思うので、そこをうまく演じられたらいいのかなと思います」

――タエの生き方や信念について、どのように理解していますか?
「長男を亡くし、次男は出奔。生きてくれている三之丞をなんとか立派に育てたい一心で、施しを受けても下げられなかった頭を下げられるようにもなりました。だけど、物乞いでも誇りを持つのはタダじゃないですか(笑)。なので、かっこ悪いかもしれないけれど、この先どうなったとしても誇りは捨てずに持ち続けようと思います。その誇りは三之丞にもどこかで持っていてほしいですね」
――印象的だったシーンについてお聞かせください。
「第3週15回で三之丞に『手放した分、いとおしくなるなら、だったら私も他所で育ちたかったです』と言われた時は、いかに間違った育て方をしていたのかを目の当たりにして、がくぜんとしました。あんなに三之丞を追い込んでいたとは、親としての呵責(かしゃく)を感じましたね。傳さんの『何を言うんじゃ、三之丞』というセリフも台本よりずっと切実な響きを持っていました」

――三之丞役の板垣李光人さん、傳役の堤真一さんとの共演について教えてください。
「板垣李光人さんは、彼が17歳で初共演した時から冷静で堂に入っていて中身が30~40歳ぐらいの風情。今回はもう本当に三之丞としてそこに息づいているので、私は彼の表情や細かい芝居を殺さないように存在できたらと思っています。傳役の堤真一さんはずっとドラマで拝見していた方なので夫婦役なんて信じられませんでしたし、本当に光栄でした。初共演でしたが堤さんが合わせてくださったおかげで、傳とタエの連れ添った夫婦の雰囲気も出せた気がします。タエの方が家柄が上なので『傳』と呼び捨てにしていましたが、家々が決めた結婚だとしてもタエは本当に傳を愛していたことが台本の端々から感じられました」
――生みの親であるタエはトキに対してどんな気持ちだと感じられていますか?
「あの時代なのでトキについてはもう気持ちが割り切れていると思います。子どもが生まれない家にはたくさん生まれたところから渡し、家の力を強くすることが大切だとタエも教えられてきたはず。過去に私が演じてきた武家の娘もそうでした。傳さんも死に際に『わしとおタエの子ではない』と明言していましたし、タエもその通りだと思っているのではないでしょうか。もちろん母性やトキを手元に置いておきたい気持ちもあったと思いますが、松野家を途絶えさせるわけにもいきません。愛情を持って育ててくれる親族にお渡しした以上は口出ししないのがルールですし、おフミ(池脇千鶴)さんに失礼になるので『産んだお母さんは私』という空気だけは出さないように気にしながらやっていました」

――「ばけばけ」の見どころと視聴者の皆さんへのメッセージをお願いします。
「ふじきみつ彦先生の脚本は深く描く部分と跳ねる部分のバランスが良く、真剣にやるところはやるし笑わせるところは笑わせるので、そのメリハリがとても面白い作品になっていると思います。豪華すぎるおばという感じで登場したタエは物乞いとなりましたが、やはり人間は危機に直面したときの生き方が大事。死にたいところを死なず、タエなりに諦めず、自分と向き合いながらなんとか生きようとする姿、そして息子を生かせようとする姿を見守っていただけたらうれしいです。この先どんな話になるかまだ私にも分かりませんが、タエと三之丞の親子関係にどこかで雪解けが来ることを信じながら頑張ります」
【番組情報】
連続テレビ小説「ばけばけ」
NHK総合
月~土曜 午前8:00~8:15 ※土曜は1週間の振り返り
NHK BS・NHK BSプレミアム4K
月~金曜 午前7:30~7:45
文/TVガイドWeb編集部
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