風間俊介&庄司浩平「40までにしたい10のこと」祖父江里奈Pが語るドラマの裏側2025/09/12 12:00

テレ東系では、マミタさんによる同名漫画を主演・風間俊介、共演・庄司浩平で実写ドラマ化した「40までにしたい10のこと」(深夜0:12)を毎週金曜に放送中。40歳目前の枯れた上司・十条雀(風間)とクールな高身長イケメン部下・田中慶司(庄司)が織り成す、大人のオフィスラブストーリーを描いている。
雀が作った「40までにしたい10のこと」リストに共に挑む中で、徐々に心の距離を縮めてきた2人。しかし、項目の一つである「千疋屋のパフェ」を達成しようと出かけた先で同僚の田中(平井亜門)に遭遇してしまい、それを機に擦れ違いが起こり始め…。雀の40歳の誕生日であるクリスマスイブが刻一刻と近づく中、2人の恋の行方、そして未達成のリストはどうなってしまうのか?
このたび、来たるクライマックスを前に、祖父江里奈プロデューサーにインタビューを敢行。反響を受けての思いや風間さんと庄司さんの魅力、思い入れの深い回や本日9月12日に放送される第11話の撮影裏話などを聞いた。祖父江Pが“ご褒美”と語る最終話の見どころも。
――まず、あらためてなぜ雀役を風間さんにオファーしようと思ったのか教えてください。
「雀役をどなたに演じていただこうかと会議を行う中で、いろいろな方のお名前が上がったんです。そこから上層部だけではなく、BLが好きな若手社員たちにも意見を聞いてリストを作ったところ、風間さんのお名前が最上位にあって。私自身、『初恋、ざらり』(2023年)という作品でご一緒した経緯もあり、ぜひ風間さんにお願いしたいと思ったのですが、最近のBLドラマは若手の俳優さんがやられている印象が強く、風間さんが受けてくださるとは思えなかったんです。なので、やっていただけるかどうかは分からないけれど、ダメ元でお願いしてみようとオファーをしたのがきっかけでした」

――対する慶司役の庄司さんはオーディションを経て選ばれたのですよね。
「はい。主演に風間さんというすごく知名度のある方が決まったので、相手役は“原作のイメージに合っている方”を最優先に選びたいと思っていました。そこから慶司のイメージに近いキャスティングも考えたことは考えたのですが、オーディションをやったらもっといい出会いがあるんじゃないかなと。すごく人気のある原作で、ファンの方も皆さん熱心ですし、慶司役に選んだ理由が絶対に必要。“オーディションで厳選を重ね、最も慶司のイメージに近い人を選ぶ”というのが、ファンの方に対する誠意でもあると考えていたんです」
――オーディションでは、どのような部分をチェックされたのでしょう。
「原作の設定に合わせて、年齢と身長制限を設けさせていただきました。あとは、お顔立ちや見た目がいかに慶司と近いかというところ、そしてやはり演技力ですよね。慶司を演じ切ることができるのか、風間さんのお芝居についてこられるのか、というところを見ながら選ばせていただきました」

――話が進むにつれて反響が大きくなり、毎回トレンド入りを果たすなど多くの人が本作に魅了されています。手応えは感じられていますか?
「手応えは撮影中から感じてはいましたが、実際に数字もついてきたことがうれしいですね。特に、TVerで高い再生数を取れたことが良かったです。BLドラマというのは、ファンの方々が有料配信プラットフォームに加入してくださったり、DVDやグッズを買ってくださるなど、狭く深く受けるジャンルです。逆に、TVerは無料で見られるのもあり、間口の広いマスに受けるドラマが数字を取る傾向にあります。BLはメジャーな作品にはなりづらいと言われている中で、この原作は広く支持される可能性のある作品だと思っていましたし、TVerで回ることを目指して作っていきました」
――現状、その結果をどのように捉えていますでしょうか。
「回を追うごとに再生数が伸び、目標値を達成することもできました。“マスに届くBLドラマを作りたい”とずっと言ってきたのですが、それを今回かなえることができたのかなと。SNSなどで反響もいつもチェックしていますが、『BLドラマは普段見ないけれど、この作品は面白いから見ている』というご意見を見かけると、私個人としては特にうれしくて。当初、マミタ先生が『この作品が多くの方に届くのが喜び。思い切って、楽しんで自由に作ってください』と言ってくださって、それを実現できたことにも幸せを感じています」

――これまで第1~10話が放送されてきました。以前、ドラマ公式SNSで“第5話は神回”とおっしゃっていましたが、やはり第5話には思い入れが?
「それぞれがそれぞれにいい回であるというのを大前提として、第5話はすごくいい回になったなと思っています。雀さんは慶司の姉たちに自分の気持ちを吐露し、慶司は公園で自分の気持ちと向き合い…と、離れているのに2人の気持ちが重なっているさまを表現できました。ただ、風間さんと庄司さんはそれぞれ離れた場所で撮影されていて、ご自身のシーンしか分からない状態だったのもあり、私たちが『5話はいいんだよ!』といくら熱弁しても『そんなに良かったかな?』という感じできょとんとされていて(笑)。編集している私たちだから分かる良さであって、最後までお二人はピンときていない様子でした(笑)」
――制作発表時やインスタライブの際など、これまで風間さんと庄司さんがさまざまな撮影裏話を披露してくださいました。祖父江さんの中で印象に残っている裏話を一つ教えてください。
「第11話では、2人の感情が激しくぶつかり合うシーンがあるんです。まさに芝居合戦という感じで、2人のやりとりを間近で見ていて心を打たれました。ただ、庄司さんはそのシーンが終わった後に監督のところに行って、『本当に今ので良かったですか?』と確認されていて。おそらく、納得できていないのではなくて、ご自身の演技プランとは違うものになっていたんですよね。でも、私は思わず『今のすごく良かった!』と、わざわざ庄司さんに声を掛けに行ってしまったくらい素晴らしいシーンで。風間さんの演技に引っ張られて、本来は予想していなかった演技が引きずり出されたのだと思います。撮影をしていると、たまにあるんですよね、そういう瞬間って。それもあり、第11話もすごく印象に残っています。あとは…もっと楽しい話がいいですよね?(笑)」

――ぜひ、たくさん聞かせてください!
「第10話は雀と黒木(平子祐希/アルコ&ピース)を中心に物語が描かれましたが、黒木は3姉妹の父親という設定。黒木が『す~ずめ~!』と末っ子役の5歳の子を肩に乗せて登場するシーンがありましたが、あそこはもう“平子さんのポテンシャルをこんなにも生かせるシーンができて良かった!”という思いでいっぱいです(笑)」
――黒木はドラマオリジナルキャラクターですが、どういう経緯で登場させることになったのでしょうか。
「この作品はBLドラマでありながら、アラフォー男性の日常をリアルに描くというのを一つ目標にしていたので、物語の幅を持たせるためにも同僚のキャラクターを1人登場させてみようと。雀は同性愛者ではありますが、同時にただのアラフォー会社員であり、独身のアラフォー男性。じゃあ日常生活はどんな感じだろうと考えた時に、同僚を1人増やしてみようと」
――そんな経緯で生まれた黒木ですが、なぜ平子さんにオファーを?
「私が単純に平子さんのことを好きというのもありますが、黒木がキラキライケメンだとラブストーリーの中で意味を持ってしまう気がしたんです。それこそ慶司の恋のライバルに見えてしまうかもしれないし、雀がコンプレックスを感じてしまうかもしれない。慶司からアプローチされた時に“俺より黒木の方がカッコいいのに”となったらいけないな、と思ったんです。なので、黒木はキラキライケメンではなく、気の置けない仲間のようなキャラクターにしたいな、と考えた結果が平子さんでした。なにより、平子さんって広告代理店の営業マンにいそうじゃないですか?(笑) 実際、代理店に勤める私の友人も『ああいう人、営業で見かける!』と言ってくれて、そういう意味でもリアルかなと思いました」

――第10話をはじめ、先ほど話題に出た第5話などもそうですが、オリジナルエピソードもこの作品の見どころの一つ。どのようにエピソードを制作されたのでしょうか。
「大きな軸は原作通りに描きつつ、それを補完するようなエピソードを足していった形です。これはどの作品においてもそうですが、オリジナルエピソードやキャラクターを作る時には“原作の軸を邪魔しない”というのを強く意識していて。あくまで原作のストーリーに華を添えるといいますか、補強させていただくような、そういうイメージで要素を足していきました」
――第1話からこれまで、さまざまな胸キュンシーンも展開してきました。胸キュンシーンにおけるこだわりなどがあれば教えてください。
「お二人は勝手にキュンをやってくださるので、こちらから要望することがあまりなかったですね(笑)。例えば、家具屋のベッドで慶司が雀さんにもたれかかるシーン(第7話)がありましたが、あれも現場で生まれたお二人のアドリブ。そういうことをやるんですよ、あの2人は(笑)。ファンの皆さんも、もう全てのシーンを拾ってコメントしてくださって、“よく気付いたな”と思うこともあれば、“そんなつもりはなかったけれど、そう捉えてくださったんだ”と驚くこともたくさんあって、毎回うれしく拝見しています」

――祖父江Pご自身のお気に入りの胸キュンシーンを挙げていただくと?
「私は、第2話のラスト、2人の指が触れ合うシーンです。手をつなぐでもなく、少しだけ指が触れているのが逆にキュンとしませんか? ちょっとした指の動きだけで、始まったばかりの2人のもどかしい関係を表現しているのが見事だなと思いました。当然台本には“指が触れる”くらいのことしか書いていないわけで、いい意味で“何これ!”と驚きながら編集していた覚えがあります」

――風間さんと庄司さんご本人の関係性も兄弟のようでほほ笑ましく見えますが、祖父江Pの目にはどう写っていましたか?
「実際にすごく仲が良いですし、とにかくたくさん会話をするんです。これは2人に限らず、この現場スタッフの特徴でもあったと思うのですが、本当によくしゃべっていました。さらには、いざ撮影となると意見を交わして、めちゃくちゃディスカッションもする。監督とお二人とで、『こうしたい。どうしたらいいと思う?』『僕はこうだと思います』『じゃあ僕はこう動くから、こう動いてもらえる?』といった会話を延々としているんです。その上、休憩中は休憩中でくだらない話をずーっとしていて…(笑)。でも、それがすごくいいなと思っていました」
――俳優として、お二人に対して“すごいな”と感じた瞬間を教えてください。
「もう、その連続ですよ。まず風間先生は…あっ、私は先生と呼んでいるのですが(笑)。風間先生は、とにかくお芝居のバリエーションが多くて。同じシーンでも、こんなに演じ方がたくさんあるのかと驚かされます。しかも、監督の“こうしたい”という要望に対してもすぐに打ち返すことができる。“いい俳優”というのは演技の引き出しが多い人を指すと思っているのですが、風間先生は引き出しが無限にあるんですよね。そして、庄司さんもそれは同じで、まだ若いのにたくさん引き出しがある。頭もいいですし、すごく反射がいいのだと思います。相手が何か変えてくると、それに合わせて対応することができて、風間さんにもついていくことができる。そんな庄司さんが意図しない演技を引きずり出された、第11話はぜひ多くの方に見ていただきたいです」

――第9話から、見ていて胸が詰まるような切ないシーンが続いています。クライマックスの注目ポイントは?
「おっしゃる通り、つらいと思いますがどうにか頑張って見続けていただきたいです。そうすると、その先にはとんでもないご褒美があります…という感じでしょうか(笑)。もう第12話のクライマックスからエンディングにかけては、“つらい思いを我慢して見て良かった!”と思えるシーンの連続だと思います」
――最後に、多くの人が続編を望んでいると思います。期待していてもいいのでしょうか?
「私個人としては、もちろんやりたいと思っているので努力はします。今の時点では何も決まっていないのですが、できるように全力で頑張りたいです」

【番組情報】
ドラマ24「40までにしたい10のこと」
テレ東系
金曜 深夜0:12~0:42
※9月12日(第11話)は深夜0:18~0:48
取材・文/TVガイドWeb編集部
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