「日本統一 東京編」自分が“なりたい”という理想を込めて氷室と田村を作っています2025/06/28 18:00

2013年8月25日から始まった「日本統一」シリーズは、シリーズ累計60作を超える大ヒット任侠シリーズ。本宮泰風さんと山口祥行さんがダブル主演を務め、これまで、シリーズ以外にも映画や地上波テレビドラマも制作されてきた。
このたび、3度目の地上波ドラマとなる「日本統一 東京編」(水曜深夜1:00)が7月2日よりテレ東の水ドラ25枠にて放送開始される。
シリーズ初の女性メインキャストを迎えるなど、さまざまな挑戦を盛り込んだ本作の見どころ、12年続くシリーズへの思いを本宮さんと山口さんに語ってもらった。

初の女性レギュラーキャストも登場し、地上波ならではの華も添えた作品に

――「北海道編」(22年/北海道文化放送)、「関東編」(23年/日本テレビ)に続く地上波第3弾の「東京編」。シリーズ作品と地上波ドラマは取り組み方に違いはありますか?
本宮 「地上波にはレギュレーションがあり、審査が入るので、レギュラーシリーズのように、僕らが本来やりたいような撮影はどうしてもできない部分がありますね。山口さんの過激なセリフも抑えていただく必要があって」
山口 「いつものシリーズに比べると、かなり抑えました」
――本宮さんは“企画プロデュース”としてもクレジットされていますが、特に意識されたことは?
本宮 「『日本統一』をやる以上、コンプライアンス的な制約はあっても攻めないといけないところがあるわけで、局側との相談に始まり、台本作りなど、ギリギリのところを探っていきましたね。内容よりも姿勢の面で攻めたという印象が強いです(笑)」
山口 「放送は地上波ですが、スタッフや役者はシリーズを通して同じですからね。コンプライアンスに気を付けながら、やるべきことは本宮さん、辻(裕之)監督、制作陣が整えてくれるので、僕ら役者はいつものスタンスです。アドリブは少なめにしましたね(笑)」
――シリーズが12年続き、さまざまなメディアで展開される作品になったことをどう感じていますか?
本宮 「『日本統一』は生き物なんです。当初は地上波で放送できるようになるとは思ってもいませんでしたし、いろいろな反響をいただくうちに、秋元康さんに書き下ろしていただいた映画の主題歌を僕らの舎弟(山崎一門)が歌ってCDになったりして(映画『劇場版 山崎一門〜日本統一〜』主題歌「男の貧乏くじ」)。これからも、先を考えずにシリーズを重ねていけば、おのずと行くべきところに向かっていくんじゃないかな」
――いよいよ放送が始まる「東京編」の見どころを教えてください。
本宮 「シリーズには女性が登場しないので、たまに監督がつまらなそうにしたりしていますが(笑)。やはり地上波での放送となると女性の存在も重要かなと考えて、脚本作りの段階からどういう立ち位置で女性キャラクターを入れるかを考えました」

――そして、篠田麻里子さん、かたせ梨乃さんが花を添えることに。
山口 「男ばかりの現場で、梨乃さんと篠田さんが思った以上に現場を楽しんでくださったのがうれしかったですね」
本宮 「『日本統一』はいろいろなグッズを作っているんですが、撮影の日に僕がたまたま持っていたシールを篠田さんに差し上げたんですよ。『これ、よかったらどこかに貼ってください』って。そうしたら、その場でタブレットに貼ってくれて。『人に見えるところにそれ貼ったらよくないんじゃないですか?』と言ったら『お守りです』と言ってくれました(笑)」
山口 「ほかに、『東京編』ならではの特徴といえば、トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)を題材にしているところですね。今、トクリュウが絡む事件がすごく多いですからね」
本宮 「注意喚起の意味も込めてはいます。それは、いろいろな被害を出しているトクリュウの怖さというよりも、一般人がその事件に加担してしまう怖さです。バイト感覚で犯罪に手を染めてしまう怖さをクローズアップして描いている部分はありますね」
自分も役も年を重ねて、何かを変えようと思って柔軟を始めました

――「日本統一」が長く続くシリーズとして愛されている理由をどうお考えですか?
山口 「任侠モノとして描いてはいますけど、普通の会社に置き換えても、それぞれの役職にはまる登場人物がいると思うんですよね。そういう目線で見てくれている視聴者の方たちが、組織が少しずつ大きくなっていくさまを楽しんでくれているのかなって」
本宮 「それぞれの役が作品の中で成長していますからね。12年も続いているので、僕たちも作品の中で年を重ねていますしね」
――視聴者の皆さんの期待が伝わっているという。
本宮 「『日本統一』には、メッセージの一つとして、僕ら昭和で教育された人間が持っている価値観のようなものが入っているんです。本気で怒って体でぶつかってくれる人が実は信頼できる人なんだ、とか。そういう部分は、気付く人にだけでも分かってもらえたらうれしいです」
山口 「愛情のある人間たちとはいえ、彼らを暴力的に描いている部分にはいろいろな意見があるとは思います。でも、正直、極道が主役を張るドラマを地上波で放送すること自体が快挙じゃないですか。だからこそブレずに、言葉だけでは伝わらない愛情表現を描いてはいます。描写は強烈かもしれませんが(笑)、今の作りのドラマにはない部分を楽しんでいただけるんじゃないかな。そういう意味で、『日本統一』って、勧善懲悪の時代劇に近い部分があるのかもしれないですね」
本宮 「今思うと、僕らが見ていた昭和のドラマってすごかったですよね。『あぶない刑事』だって警察官があれだけ発砲しても許されていたし」
山口 「『西部警察』なんか、軍事兵器レベルの装備が出てきていたしね(笑)」
本宮 「いい意味での“古臭さ”も『日本統一』から感じてもらえたらいいなとは思います。最初にも言いましたが、いろいろ戦いながら作ってギリギリのところを攻めて、及第点は取れたんじゃないかなと」

――そんな「日本統一」というタイトルにちなみまして、ご自身が統一したいこと、もっと攻めていきたいことを教えてください。
本宮 「柔軟性ですね。柔軟性といってもメンタルではなく身体。今、山口と2人で一生懸命ストレッチをやっているんですよ」
山口 「開脚とか、極めたいよね(笑)」
──いくつから鍛え始めてもちゃんと身体は応えてくれると言いますよね。
山口 「すごく変わりましたよ」
本宮 「山口は『東京編』のクランクインの頃に始めて、僕がちょっと出遅れたんです。同じぐらいの硬さだったのに、山口はかなり成果が出ています」
山口 「今は僕の方が断然柔らかいです。まだまだ白帯ですけど(笑)」
本宮 「やはり、年を重ねていろいろな面で衰えが出ているんです。これまではそれなりにやれていたのですが、僕も山口もさすがにきついなと思うことが増えて来て。何かを変えなくてはいけないと考えた時に、自分たちの身体が硬いことに気が付いたので、とりあえずはストレッチをやってみようと」
山口 「走ったら肉離れしそうだもんね」
本宮 「100%肉離れする(笑)」
――身体を作り直し、人として、俳優として目指していきたい今後の展望とは?
山口 「目指すというか……泰風みたいに自分が矢面に立つというその姿勢。そういう男になりたいですよね。なれないけど(笑)」
本宮 「僕は、自分が“なりたいという理想をキャラクターに込めて氷室と田村を作っているんです。元々は出演のオファーを受けて始めた作品だったので、自分の役に対して何かを込めるとは考えてはいなかったです。でも、シリーズが長く続き、自分でそのキャラクターを動かせる立場になったからこそ、こういうスタンスになれたんだと思います」

【プロフィール】
本宮泰風(もとみや やすかぜ)
1972年2月7日生まれ。東京都出身。1994年に俳優デビュー、以後、「鬼平犯科帳」、「静かなるドン」、「ナニワ金融道」シリーズを始め、数多くのテレビドラマや映画に出演。2025年は、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK総合ほか)、「晩酌の流儀4 ~夏編~」(テレ東系)、映画「ゴーストキラー」などに出演。
山口祥行(やまぐち よしゆき)
1971年8月6日生まれ。東京都出身。ジャパンアクションクラブ出身で、2017年には第5回ジャパンアクションアワードにてベストアクション男優・最優秀賞を受賞。数多くのドラマ、映画などで活躍。2025年6月には主演映画「田村悠人」が公開された。6月21日放送のテレビ朝日ドラマプレミアム「看守の流儀」にはスパイとして暗躍する受刑者・瀬山竜役で出演。
【番組情報】
水ドラ25「日本統一 東京編」
7月2日スタート
テレ東ほか
毎週水曜 深夜1:00~1:30
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