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「MADDER」武田梨奈が語る“真面目すぎる刑事”梶谷への思いと役作りの裏側2025/06/05

「MADDER」武田梨奈が語る“真面目すぎる刑事”梶谷への思いと役作りの裏側

 現在放送中のドラマ「MADDER(マダー)その事件、ワタシが犯人です」。天才高校生の茜(五百城茉央/乃木坂46)が黒川(山村隆太/flumpool)との出会いをきっかけに犯罪の世界へと足を踏み入れていく、本格ミステリー作品だ。今回は、一連の事件を追う捜査一課の刑事・梶谷美和を演じる武田梨奈さんに、この作品にかける思いや、撮影エピソードなどを聞いた。

――今回演じている梶谷刑事は、どんなキャラクターだと捉えていますか?

「基本的には、正義感やプライドを持って事件に向き合っている刑事という印象がすごく強かったです。でも、物語の後半で一瞬だけ、梶谷のプライベートが見える瞬間があるんです。その時に、ただ事件に対して真っすぐ向き合っているだけではない、ちょっと人間らしいところも瞬間的に見せられたらと思いました。ただ、やりすぎると本編の中に隠されたヒントが分かりやすくなってしまうので『どこまで出していいですか?』と、監督や共演者の方たちと確認したり、細かい部分を考えながら演じました」

――ご自身との共通点はありましたか?

「正義感が強い部分や、一つのことに真っすぐに向き合い、それしか見えなくなってしまうところは似ているなと思います。相手役の森野刑事(濱正悟)が楽観的でちょっと抜けている部分があるので、それに対してイライラして『こっちは真面目にやっているんだから』と言っちゃうところも似ているかも(笑)。梶谷は笑顔を見せず、眉間にシワを寄せながら淡々と事件を追っていきます。自分の生活を削ってまで。そこまでできるのはすごいと思います。森野くんから『お昼ご飯、何にします?』と聞かれて『今仕事中だから、お昼ご飯の話しないで』と怒るシーンがあるんです。私は絶対にご飯を食べたいタイプなので、ご飯を抜いてまで集中できる精神はすごいなと思いました」

――役作りのために準備されたことや、監督やスタッフと話されたことを教えてください。

「MADDER」武田梨奈が語る“真面目すぎる刑事”梶谷への思いと役作りの裏側

「もともと梶谷は40代の設定で、年齢は公表されませんが『気持ち的にはそれぐらいベテラン感を出してほしい』と監督から言われました。ひょうひょうとしている森野くんとは対照的な、落ち着きのある、どっしりとした刑事観です。私は今まで何度か一日警察署長をやらせていただいて、その際に女性の刑事さんとお話する機会がありました。皆さん、すごく余裕を持ってしゃべられる方が多いんです。私は一生懸命しゃべる方ですけど、そうじゃなく、フラットな状態で的確なことを述べられるという。そうした空気感は、刑事さん特有のものだと思います。多分梶谷もそういう空気感を持っているだろうと思ったので、声のトーンも含め、お芝居に落とし込みたいと思いました」

――OAを拝見して、梶谷さんは落ち着きのある刑事に見えています。

「ありがとうございます。あまり物おじしないリアクションにしようと思っているんです。1話から森野くんが登場して『誰?』っていうシーンがあるんですけど、それをテンポよく『え、誰だよ』って言うと梶谷のキャラクターが壊れてしまうので、冷静に『誰?』って。そういう落ち着いたトーンでボケツッコミをやるようにしています」

――濱さんとは3度目の共演だそうで、コミュニケーションを取りやすかったのでは?

「MADDER」武田梨奈が語る“真面目すぎる刑事”梶谷への思いと役作りの裏側


「はい。すごく話しやすくて、お芝居の相談もしやすかったです。梶谷と森野が登場するのは毎回1シーンくらいなので、その1シーンをいかに視聴者の皆さんに印象付けられるかが大事だと思います。梶谷たちって、物語のテラー的なポジションというか、視聴者の皆さんと一緒に考察していく役割だと思うんです。なので、ちょっとコミカルなシーンではあるけど、コミカルになりすぎないように、でも真面目すぎないようにと、常にバランスを取りながらやっていました」

――物語の後半に向けて、さらに深まる謎や見どころについて教えてください。

「5話以降、物語はどんどん二転三転していきます。10話の最後まで、私も想像できないくらいの展開があるので、1話も逃さずに見てほしいですね。ミステリードラマではありますが、現代社会に訴えるものをちゃんと残せているエンターテイメント作品になっていますので、いろんな世代の方に見てもらいたいです」

――後半のキーパーソンやキーワードがあったら教えてほしいです。

「たくさんありますけど…。登場人物たちがしゃべっているセリフだけじゃなく、意外とその周りにあるものや、人物が身に着けているものに、ちょっとしたヒントが隠されています。それを当てるのはなかなか難しいと思いますが、物語を追っていくと『あれ、これはいつもと違うんじゃない?』という瞬間があるんですね。すごくよく見ている人は分かると思うし、そこがヒントにつながってくると思います。スタッフの皆さんが、良いあんばいで映像的な仕掛けをしているんですよ。カット割りも含めて。『なんでここは寄りになっているんだろう?』と意識してみると、そこにヒントが隠されているという。そういう作りは面白いなと思います」

――途中で梶谷というキャラクターの見方や演じ方が変わったことはありましたか?

「最初は”堂々とした刑事”というイメージでしたが、物語の後半になるにつれて、どんどんいろんなことが分かってきます。5話では、梶谷がある人物と1対1で対峙(たいじ)するシーンがあります。それまではこっちがすごく詰めていたけど、だんだんと逆の立場になっていく瞬間があるんです。梶谷が言葉を発せなくなるぐらい圧倒されて、追い詰められるので、すごく緊張感のある現場でした。その辺から、この事件に関わる梶谷の感情がまた変わってくるのかなと思いました」

――キャストの皆さんは、最初から真犯人をご存知だったんですか?

「台本を読んでいるので、もちろんみんな知っていました。ただ、なかなか理解するのが難しいシーンもあるので、『これって、こういうことですよね』と常に確認しながらやっていましたね」

――撮影現場での珍事件があったら教えてください。

「私、一緒にお芝居するのがほとんど濱さんか五百城さんでしたが、お二人ともすごくチャーミングで面白い方でした。五百城さんはちょっとミステリアスな役柄ですが、カメラが回ってないところではすごくかわいらしい方で。ふにゃ~って伸びをしている姿を『かわいい』と思って見ていました。濱さんとは撮影以外でもボケツッコミをよくしていました。基本的に私がツッコむんですけど(笑)。ある時『あれって、こうでしたっけ?』と真剣な顔で聞いてきたので『そうだね。こうでこうだよ』と答えたら、『すいません、聞いてなかったです』だって。そこで私が『おい!』とツッコみ、それを見て五百城さんが笑っていたり。そういうことを楽しんでいました」

――最後に、視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。

「MADDER」武田梨奈が語る“真面目すぎる刑事”梶谷への思いと役作りの裏側


「台本を読んだ時、ここまで先が見えない話はなかなかないと思いました。かなり凝ったミステリーになっているので、結末を読める人はちょっといない気がします。集中力は必要になると思いますが、それを踏まえた上で見ていただけたらうれしいです。私もいち視聴者として楽しみたいと思います」

【プロフィール】
武田 梨奈(たけだ りな)
1991年6月15日生まれ。神奈川県出身。AB型。最近の主な出演作に、ドラマシリーズ「ワカコ酒」(2025年)、連続テレビ小説「虎に翼」や「民王R」(ともに2024年)などがある。主演映画「Shambhala-シャンバラ-」(2026年)が公開予定。

【番組情報】
「MADDER(マダー)その事件、ワタシが犯人です」
カンテレ・フジテレビ 毎週木曜
深夜2:15~深夜2:45
※放送時間変更の可能性あり。FODにて先行配信

「MADDER」武田梨奈が語る“真面目すぎる刑事”梶谷への思いと役作りの裏側

取材・文/水野幸則 ヘアメーク/内城千栄子 スタイリスト/三島大輝



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