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【「ラストチャンス」リレーインタビュー/最終回】社長を演じた仲村トオルがおくる、温かいエールとは!?「僕も、皆さんと同じように不安がある。だからこそ、日々頑張れるんです!」2018/09/02

 樫村徹夫(仲村トオル)の思い切った行動と判断力で、再建に向けての明るい道筋が見えてきた「デリシャス・フード」。今までずっと強気に出ていた銀行員・杉山誠三(町田啓太)たちの土下座姿も見られて、スッキリした方も多いのではないでしょうか?(笑)。 しかし、ネットニュースに「デリシャス・フード、債務超過!倒産の危機」と出てしまい…、最後の最後まで真っ赤な七味唐辛子が降りかかってくるようです。

 リレーインタビュー最終回は、主人公の樫村を演じる仲村トオルさん。役づくりのヒントになったエピソードや、杉山を演じた町田啓太さんについて、また銀行に対する意外な印象などを明かしてくれました。視聴者の皆さんから募集した質問にもお答えいただきましたので、ドラマの和気あいあいの撮影風景やラストチャンスの“L”がどこかに隠れた仲村さんの写真と併せてご覧ください!

──演じられた樫村は、異業界で分からないながらも“人を大事にすること”や“夢を持つこと”を信念に社長として突き進んでいく姿がとても印象的でした。そんな樫村を演じるにあたり、どのような役作りをされたのでしょうか?

「一番大きなヒントになったのは、クランクインした日に原作小説のモデルとなった方にお話を伺ったことですね。ドラマの監修もされている方ですが、『傾いた会社を引き継ぐことは、自分が作った借金ではないというような、責任感が少し軽くなる感覚はなかったですか?』と質問をさせていただいたら、『そういうのは全くなかった』と。『それよりも、会社をつぶしてしまうと、働いている社員やその家族の人生も良くない方に変わってしまうから、なんとかそうならないようにしようという思いが、自分が頑張る原動力になった』とお答えいただいたんです。それがとてもヒントになったし、そういう思いを伺ったから結果的にそう演じたような気もしますし。会社を立て直した“再生請負人”としての自分の名誉を目指して頑張るよりも、一生懸命働いている人たちの人生や家族を守るということの方が、全力で走れたり、戦えるというような感覚があるんだなと思いました」

──椎名桔平さん演じる宮内亮は冷静に「会社を立て直すためには、社員を切り捨てることも考えないといけない」という意見をしてきたりしますが、そういった中でも、樫村社長はそこを信念にして最後まで突き進んでいきますよね。

「そうですね。でも、最後の形というのは…あれは何と言えばいいんですかね(笑)。試行錯誤、紆余(うよ)曲折した結果、そこしかないというところに着地したという感じかな。ただ、なんで頑張れたかと言うと繰り返しになりますけど、やっぱり自分のためというより、自分以外の誰かのためというのが頑張れた理由じゃないかなと思います」

──セリフには専門用語も多く、言い回しなど難しかったのではないでしょうか? 実は、椎名さんと勝村さんが、仲村さんのセリフがあまりにも難しくて多いので「俺たち、仲村さんに比べたらラッキーなんじゃない」と2人で笑ってたというお話が…(笑)。

「苦戦した記憶はあまりないですけど、違和感を感じたところはあったかもしれません。例えば、第三者割当増資という言葉に『そんな株の発行の仕方をして、そもそも株主さんたちは黙っているのかな?』とか『そんな増資の仕方が許されるのかな?』と感じたり。あとは、杉山役の町田啓太くんと話したんですけど、銀行ってわれわれが持つ感覚から見て不思議に思うところがいくつかあるんですよね。『お金を借りてください、お客さま』と言われて、『え!? 貸してもらう方がお願いするんじゃないの!?』と感じたり(笑)。セリフとしてはそういうことだと理解しつつ演じていましたけど、違和感があるところもありましたね」

──町田さんにお話を伺った時も、仲村さんから銀行に関する話を聞いてすごく勉強になったと言われていました。物語では、そんな町田さんが演じる杉山と樫村の関係性も結構変わってくるじゃないですか? 途中バチバチしてくるところなどは、仲村さんから見ていかがでしたか?

「ああいう劇的な関係の変化みたいなものが、『ドラマBiz』ならではの面白さなのかなと。どこか戦国時代みたいなところがあるというか(笑)。どの組織に属したかによって、それまで一緒に戦っていた仲間が敵同士になったりしますもんね。ビジネスドラマの面白いところは、杉山の人間性が変化しているわけではないところだと思うんです。杉山は、一生懸命仕事をする銀行マンであり続けている。同じ部署で仕事をしていた時はかわいくてよくできる有能な部下だったのが、貸す側と借りる側になった時に、下克上のような上下関係ができただけ。だから、『借りてください』と言っていた人が『返せ!』と言い始めた時に、別人のように豹変(ひょうへん)するという。実は人としては変わっていないんだけど、立場と関係が変わったから豹変したかのように見える人物を、町田くんはとても素晴らしく演じていたなと思います」

──杉山の豹変ぶりはすごかったですもんね。先ほど、樫村が持つ信念の話がありましたが、仲村さんご自身が仕事をする際にお持ちの信念がございましたら、教えてください。

「ほとんどないつもりです。逆に『こういう信念を持ってなきゃいけない』とか『これは譲れないな』と思っていたものを、どんどん捨ててきた20数年だったんじゃないかな」

──それはなぜ捨てていくようになったのですか?

「役に立たない道具だったからかな。例えば、僕はある監督に言われた『小さな表現で大きなことを伝えるようにしよう』という言葉が好きで。今でもまずはそうしたいと思っていますが、とある作品に出演させていただいた時に、その作品の監督に『表現が小さすぎる。それでは観客には伝わりません』と言われたんです。その作品には必要のない道具だったんですね。というように『ここは譲れないなあ』と思っていたところを譲ってみたら『あれ? 新しい自分が現れた』みたいな瞬間があったりして。そういう経験をちょっとずつ積み重ねてきた結果、今、信念なんて持ち合わせてないんじゃないかな」

──椎名さんにも同じことをお伺いしたら、「ない!!」と言われていました(笑)。

「そうですよね(笑)。それこそ、前に遠藤憲一さんと共演させていただいた時に、遠藤さんがディレクターに『これって生理的に可能ですか?』と聞かれて『可能、可能! だって役者に生理なんてないもん!!』と答えられていたことがあって。だから、僕はさっき違和感を感じたことがあると言いましたけど、樫村が違和感を感じていないんだったら、感じてないように演じるしかない。『俺、こんな瞬間に土下座するなんて絶対嫌だ』と思いますけど、樫村が『ここは土下座しかない』と思ったんだったら、すごいスピードで土下座しますよ(笑)」

──それこそ、撮影の時には実際にかなり土下座されたんですよね?(笑)。勝村さんが「何回も土下座させられた」と言われていました。

「しましたね(笑)。信念の話に戻ると、『現場にいる人たちに信頼されたいな~』ってことかなあ。信念じゃなくて願望みたいなものですね」

──いやいやいや! 共演者の皆さんも「樫村社長と働きたい」と言われていましたもんね。

「まぁ、それは役柄(笑)」

──仲村さんが演じられているからですよ!

「いやいや~(笑)」

──ドラマ同様、働いていてもやる気が出なかったり、将来に対して不安を感じている視聴者の方も多いかと思うのですが、そんな皆さんに、社長を演じた仲村さんからアドバイスやエールをお願いします!

「将来に不安を感じない人生なんてあるんでしょうか?(笑)」

──確かに、皆さん何かしら不安は感じながら生活されていますよね。

「そうですよね。だから、その不安を何とかしようと頑張れるんじゃないかな。僕も、視聴者の皆さんと同じように未来に対する不安や、仕事に対する心配事があります。だからこそ、良くないことになりそうな可能性をつぶすために頑張るし、準備するんだと思います。たまに、不安を感じていない自分を発見して『何安心してんだよ』って不安になったりしますけどね。『今日はあまりセリフがない走っているだけのシーンだ』と思って安心している自分に対して、『不安材料探せよ!』みたいな」

──すごいストイックですよね、その姿勢が。

「いやいやいや! というか僕らはみんなそうですけど、常に失業直前かもしれない状態の職業なので(笑)。そうですね、不安はあった方が頑張れると思いますよ」

──また今回、視聴者の方から仲村さんへの質問を募集させていただいたので、そちらにもお答えいただけますか? まずは、普段の体調管理はどのようにされているんですか? スタイルを維持されるために気を付けていらっしゃることなどあれば教えていただきたいです。

「スタイル維持には気をつけていますね。マッチョでタフな男の役で『2週間後にクランクインです』と言われたら間に合うような状態でありながらも、『病弱で今まで力仕事をしたことがない文学中年の役です』と言われたら、それにも適応できるようにニュートラルな状態でいられるようにしています」

──筋トレや食事制限で調整されるのですか?

「食べるものには気を付けていますね。でも、バランス良く食べようとか、飲みすぎたら栄養ドリンク飲んでおこうとか、そんなものですよ(笑)。『肌に良い』と言われるものを食べてみたり…そういったことをほんの少し気にしています!」

──もう1問、お答えいただけますか? 先程セリフのお話がございましたが、どういうふうに長ゼリフを覚えていらっしゃるのですか? 膨大な量のセリフを記憶する時の方法を教えてください!

「まずは、繰り返し読む。相手のセリフを隠して読んだりしながら眼と声で覚えていますね。同じワードが複数回出てくる時には、色鉛筆で線を引いてそのビジュアルで記憶したりもします。次の段階では、テープレコーダーに自分と相手のセリフを全部録音して、ひたすら聞きますね」

──五感を使って覚えられているんですね!

「そうですね。セリフが長かったり、専門用語が多いような手ごわい時には、最後の手段として書いて覚えます。写経のように(笑)。書くのが一番覚えられると思います! 時間がかかりますけど(笑)」

 かっこいい雰囲気を醸し出しつつ真剣に答えてくれたかと思いきや、時には笑顔を見せながら冗談を言って場を和ませてくれるなど、その気遣いが本当にすてきな仲村さんでした。写真撮影では「どこかにLを入れてもらえませんか?」とのお願いに、リレーインタビューをさせていただいた6人の中で最大のLポーズを取ってくれるという神対応も! さすが樫村社長でした(笑)。

 全6回の「ラストチャンス」リレーインタビューは、いかがでしたか? ドラマは、いよいよ最終回です。「デリシャス・フード」の行方はもちろんですが、皆さんがいろんな思いを込めて演じたそれぞれの人物が、果たしてどう決断し、どんな道を選ぶのか…。ぜひ最後までお楽しみください!!!

【プロフィール】

仲村トオル(なかむら とおる)
1965年9月5日生まれ。東京都出身。ドラマ「あぶない刑事」シリーズ(日本テレビ系)、「チーム・バチスタ」シリーズ(フジテレビ系)、「帰ってきた家売るオンナ」(日本テレビ系)、「検証捜査」(テレビ東京系)、映画「ビー・バップ・ハイスクール」、「22年目の告白-私が殺人犯です-」、舞台「遠野物語・奇ッ怪 其ノ参」、「プレイヤー」などの話題作に出演。現在、ナビゲーター役を務める「土曜名馬座」(テレビ東京系)が放送中。

【番組情報】

ドラマBiz「ラストチャンス 再生請負人」 
テレビ東京系 
月曜 午後10:00~10:54(初回は、午後10:00~11:09)

取材・文/鬼木優華(テレビ東京担当) 
撮影/蓮尾美智子

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