「新たにヴェルディ好きになるきっかけを提供したい」――「カモン！ヴェルディ!!」北澤豪＆勝野みなみ【インタビュー】2024/03/29
Jリーグの初代王者でJリーグ創設当初から、実力と人気でリーグを牽引した東京ヴェルディ（当時はヴェルディ川崎）が、2006年から戦っていたJ2を抜け出して、16年ぶりにJ1復帰を果たした。そしてこの春、BS松竹東急では、名門復活に向けて勝負のシーズンを戦う東京ヴェルディを熱く応援する番組「カモン！ヴェルディ!!」がスタート。番組では、現役時代にヴェルディで大活躍した北澤豪と家族全員がヴェルディのファンだという勝野みなみが、東京ヴェルディの魅力や最新情報を届けるほか、試合のあった週は、北澤が得点シーンやポイントとなるプレーを分かりやすく解説する。このたび、番組スタートを記念し、ヴェルディ愛あふれる2人に、番組と東京ヴェルディについて熱く語ってもらった。
――「カモン！ヴェルディ!!」のMCに就任されましたが、率直な感想をお聞かせください。
北澤 「サッカーといえばヴェルディ、あるいはヴェルディからサッカーに入った人たちが再びヴェルディに注目し始めた感じがしますね。J1に復帰して番組が始まったり、いろんな人から連絡が来ていますから（笑）」
勝野 「母の代からヴェルディが好きですし、サッカーが家族をつなげる輪になっていて、サッカーに携わるお仕事をしたかったのでうれしかったです。まさかヴェルディの番組のMCになれるとは思ってなかったですけど（笑）」
――第1回、第2回を見させていただいて、お二人のコンビをサッカーに例えると、勝野さんがパスを出す司令塔、北澤さんがシュートを決めるストライカーという印象です。
北澤 「今はそうかもしれないけど、シーズンを通したら、勝野さんがストライカーになっていそう（笑）。結構ストライカー気質なんじゃない？」
勝野 「私がですか？ 全然ですよ」
北澤 「そのうち、俺が仕切って進行を担当して、勝野さんが説明していたりして（笑）」
勝野 「やはりそこは北澤さんがお願いします」
北澤 「でも、俺が見てきたヴェルディと、勝野さんの見てきたヴェルディでは映り方も全然違うだろうし、いろんな目線があった方がいいから、女性目線を交えてコメントしてよ」
勝野 「確かに。私目線で言えることがあれば言えるように頑張ります！」
――ヴェルディがJ1に復帰したのをきっかけに、あらためてヴェルディやサッカーを見る方もいると思います。現在のヴェルディがどんなクラブかを、北澤さんに教えていただきたいです。
北澤 「まず、今だけじゃなくて中長期で考えた時に、いい選手が下から育ってくるアカデミー中心のクラブであるのは間違いない。（谷口）栄斗、ボンちゃん（森田晃樹）とか、現在クラブに在籍している選手だけでなく、渡辺皓太（横浜FM）、チマ（藤田譲瑠チマ／シント＝トロイデン）とか、ほかのクラブで活躍する選手もたくさんいて、日本のレベルを上げているクラブでもありますね。読売クラブ時代から引き継がれるスキルの高さに、今は城福浩監督が情熱を加えていい方向に行っています」
――城福監督が情熱を加えたことで、クラブには具体的にどんな影響がありましたか？
北澤 「もちろん戦略的なこともあるけど、高いレベルになるとギリギリのところで、あと一歩出した、出さなかったとかで勝負が決まることも多い。そういう部分、人間力を強く伝えている印象だし、ヴェルディは若いチームだから素直に受け入れて勝てるチームになっていっていると思いますね」
――勝野さんは「母の代からヴェルディが好き」と話されていましたが、お母さんからどんな影響を受けたのですか？
勝野 「もともと、母と父が野球好きで読売（ジャイアンツ）が大好きな世代なのですが、Jリーグ発足をきっかけにサッカーを見る時に、（同じ系列の）読売クラブが前身のヴェルディを応援しようとなったみたいです。ちなみにですけど、母は北澤さんと同い年で誕生日も1週間ぐらいしか違わないんです」
北澤 「同じ時代を生きてきたんだ」
勝野 「周りからは『キーちゃん』と呼ばれていて、北澤さんと共通点が多くて、私が北澤さんと共演するのをすごく喜んでくれています（笑）。そんな母は父をおいて1人で観戦に行ったりもしていたそうで、私が生まれて物心がついた時には、周りに読売のグッズがあったので親から子に受け継がれた血筋で好きになりました（笑）」
――お二人それぞれの目線で、お薦めの注目選手も教えてください。
北澤 「息子の同級生で小さい頃から知っている栄斗。今でも相談されることもあるし、思い入れは強いよ。あと栄斗の藤井風みたいな髪形にも注目（笑）」
勝野 「髪形ですか？（笑）。でも、一緒に取材に行った男性スタッフさんが、谷口選手を『イケメンだな～』って言いながら撮っていました（笑）」
北澤 「普通になるより特徴があっていいよ。その方が見つけやすいし」
勝野 「確かに北澤さんも髪形に特徴があって見つけやすかったです。私の注目は、キャプテンでアカデミー出身でもある森田晃樹選手です」
北澤 「軸となる大事な選手だからね」
勝野 「ほかのクラブからオファーもあったのに、育ってきたヴェルディから離れたくないということで。そういうストーリーもすてきだと思います」
北澤 「今は移籍が当たり前の時代だけど、大事なのは自分がどうしたいかだからね。なんか分かる」
勝野 「北澤さんもヴェルディ一筋ですが、移籍を考えなかったんですか？」
北澤 「誘いはあったよ。だけど、みんなが移籍してしまったから、俺が残るしかないと思って残ったね。俺も中学は読売のアカデミーにいたし」
――４月13日には、16年ぶりにJ1での“東京ダービー”（東京をホームとする東京ヴェルディとFC東京による試合）があります。しかも、ヴェルディのホームゲームです。
北澤 「俺は（ヴェルディが東京に移転した01年の）初の東京ダービーに出ているけど、今ほど注目されていなかったと思う。Jリーグの理念である地域密着は、地方クラブの方に意義が大きくなる中で、東京にJリーグのクラブがある意義を考える意味でも、いい試合をしないとね。今季はFC町田ゼルビアもJ1に昇格していて東京に3クラブあるし、より考えるいい機会にしないといけないよね」
勝野 「城福監督はFC東京の監督（08年～10年・16年）もされていましたし、FC東京のサポーターさんは意識して燃えているでしょうね」
北澤 「因縁があるからね。ブーイングを受けると思うけど、それは幸せなことだよ。それだけ勝負の上で重要な存在として意識されているんだから」
勝野 「番組でも熱く盛り上げていきたいですね！」
――今後、「カモン！ヴェルディ!!」をどんな番組にしていきたいですか？
勝野 「ヴェルディは公開練習が少ないクラブなので、そこは私たちメディアが徹底取材してお伝えしたいと思います。あと、取材を通して選手や監督の面白い話も聞けているので、コアなサポーターからライトなファンまで楽しめるように伝えていきたいです」
北澤 「選手はもちろん、コーチやフロントも協力してくれるんだよね」
勝野 「選手や監督、コーチにスタジオに来ていただける予定です」
北澤 「来てもらったからには、いろいろ明かしてもらわないと（笑）。今、サッカーやヴェルディを好きな人にも好きになるきっかけがあったはずだから、われわれがこの番組で新たにヴェルディを好きになるきっかけを提供していければなと思いますね」
【プロフィール】
北澤豪（きたざわ つよし）
1968年8月10日生まれ。東京都出身。中学時代は読売クラブのジュニアユースに在籍し、プロではヴェルディ一筋で11年にわたって活躍する。日本代表としても58試合に出場。現役引退後は解説者として活動するのに加え、日本障がい者サッカー連盟会長を務めるなど、サッカーの普及・環境作りに尽力している。
勝野みなみ（かつの みなみ）
1997年12月8日生まれ。三重県出身。趣味はスポーツ観戦で、サッカーでは母の影響でヴェルディ好きになる。大学時代にはブラインドサッカーをプレーしていた。20年のミスインターナショナル日本大会で準ミスインターナショナル日本代表3位に選出される。現在はフリーのキャスターとして活動する。
【番組情報】
「カモン！ヴェルディ!!」
BS松竹東急
金曜 午後11：00〜11：30
3月29日は初の生放送。放送の前に行われる「明治安田Jリーグ フライデーナイトJリーグ」京都サンガF.C.戦で今シーズン初の勝利を目指す東京ヴェルディの様子を届ける。また、注目選手のインタビューや城福浩監督が今の思いやクラブの未来について語る特別企画も。さらに、チーム編成のキーマンとなる強化部長・江尻篤彦氏に直撃し、チーム編成や裏側などについて迫る。
※BS松竹東急は全国無料放送・BS260ch
取材／TVガイドWeb編集部・山木敦 文／山木敦 撮影／蓮尾美智子
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