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新春ドラマスペシャル「娘の結婚」主演の中井貴一が考える理想の家族像とは?「親が、きちんとした後ろ姿を子どもに見せられるかどうかが重要だと思います」2018/01/04

 1月8日に放送される新春ドラマスペシャル「娘の結婚」(テレビ東京系)。男手一つで育てた大切な娘の結婚に、もしも心配事があったら…!? “家族の在り方”を問いかけつつ、お正月から温かい気持ちにさせてくれるホームドラマですが、この度、出演者の方々にインタビューを敢行。第2弾は、娘の幸せのために奮闘する主人公・國枝孝彦を演じる中井貴一さん。テレビ東京初出演の中井さんに、局に対する印象をはじめ、台本を読まれての感想や、理想の家族像についてお伺いしました!

── 今回、テレビ東京のドラマに初出演で初主演ということですが、実際に出演されてみてどのような印象をお持ちになりましたか?

「実は、僕の親友がテレビ東京で働いているんです。彼がテレビ東京に入社した時に『中井がテレビ東京に出ることは一生ないだろうな』と言っていたんです。当時はドラマの放送もやっていなかったですからね。だから、今回『娘の結婚』の出演が決まって、電話をしようと思ったら、先にプロデューサーが報告に行ってくれていたらしくて。向こうから電話がかかってきて『いよいよこの時が来たな』って一言言われたんです(笑)。テレビ東京に出演することに関しては、その出来事が一番大きいかもしれないですね。あと、僕は、テレビ東京を見ている確率が非常に高いんです。特に在宅時の昼の海外ドラマからの映画(笑)。今後ドラマなんかも、歴史がない分、冒険ができる局なのではないかなと思うんですよね。やっぱり、他の局だとしがらみがあったりいろんな流れがあったりして、それに縛られたりするところもあるじゃないですか? もちろんテレビ東京もしがらみがあるかもしれないですけど…。でも、ドラマに関してはこれからプラスになっていくんじゃないかなと思いますね」

── 中井さんから見ても、テレビ東京のドラマには自由な雰囲気が垣間見えて、そこに魅力を感じられたりしますか?

「コンプライアンスなど、全局同じように責任を負わなきゃいけないことがあるんでしょうけど、自分が出演しているものに関しては、ぎりぎりのところはせめぎあった方がいいだろうなという気がします。だから『これはどう見ても、自分が演じることによって視聴者が嫌な思いをするんじゃないか』というものは僕もやらないです。ただ、揚げ足を取れば嫌な思いをするだろうということはやっぱりやるべきだと思っています。だから、テレビ東京にはそうあってもらいたいですし、今後ドラマをつくっていく中で『テレビ東京だからできるんだな』と言われれば、それだけ強くなっていくような気がしますね」

── これから、テレビ東京のドラマに中井さんがたくさん出演されると期待していいですか?(笑)

「どうでしょう…(笑)。でも、可能性はすごくあると思いますし、あってほしいと願いますね」

── ドラマでは、“家族の在り方”を考えさせられる内容となっていますが、台本を読まれてみての感想はいかがでしたか?

「台本ができる前に原作を読んで出演させていただくことを決めたんですけど、今ってホームドラマがすごく少なくなっているじゃないですか? お客さんが求めていないから作らないというわけではないと思うんですけど。ただ、やっぱりホームドラマって本当に難しいと思うんです。事件ものや病院ものは、そこに自然に凹凸ができてくるけど、ホームドラマって淡々と進んでいかなければならないという難しさがあって、しかもそれを連続ドラマでやると、今の視聴者の方がどこまで付いてきてくれるかということもあると思うんです。でもやっぱり、ホームドラマをなくしちゃいけないなという気持ちがしていて。だから、やれるとしたら、こういう単発ドラマの中に短縮して作っていくのがいいんじゃないかと強く思いましたね。あと、僕たちの世代は、子どもが大きくなって結婚している家族も多いんですけど、最近友人を見ていて『父親って何なんだろう?』とすごく感じるんですよね。一生懸命働いているけど、結局お母さんには勝てないなって(笑)。昔から想像はしていたんですけど、同世代になってみるとより強く感じるなと。友人たちと集まった時に『父親って何なんだろう?』と話をすることもあって。だから今回のテーマが、子どものために自分の仕事も全てシフトを切り替えながらやってきた父親の寂しさだったり、メールやLINEのような文字だけで会話をしていることになってしまっていたり、そういうことも物語の話の中に入っているので。そういう意味では、このドラマはいろんな要素の父の切なさが入っているかなと思いますね」

── 父親からすると「最近あんまり話せていないな」と感じていても、娘の方は「LINEでこまめに連絡をとって話している」という感じ方の違いが表現されていたりしましたね。

「その差というか、温度感の違いがすごいですよね。そういう文明のツールの発達によっていろんなものが変わるってごく当たり前なんだけど、今はその一番変わってはいけない根源を変えようとしているところがあるような気がして。だから、視聴者の方がそういうところを少しでも『そうそう!』と思ってくれればいいかなと。ホームドラマって『そうそう!』と共感できる部分が良いと思うので、そういうふうに感じてもらえたらいいですね」

── 今回演じられた孝彦は、愛らしい部分があったりして人間臭いキャラクターだと思うのですが、中井さんご自身はどういう人物だと思って演じられたのですか?

「僕の想定では、学生時代は意外と遊んでいたんじゃないかなと(笑)。でも、惚れた女と結婚して、そして、妻の死によっていろんなものを改心し、子どものために人生を捧げようとしている男だと思います。でも、サラリーマンを演じる時にはいつも、普通にいそうな人でありたいと思っているんですね。特定したキャラクターを強く出すことよりも、100人いるサラリーマンのうちの60%を占める人間を演じたいと考えているので、孝彦もそうありたいという風に思っていましたね」

── 役作りをされるにあたり、参考にされたことはありましたか?

「意外とデパートに行くので、その時に気を付けて店員さんを見たりしましたね。やっぱり、日本のデパートってきちんとしているなと思いましたね(笑)。海外のデパートだと、店員さんも仕事で楽しむ術を知っている分、いい加減というところもあると思うんですけど、日本はちゃんとしているなって。だから、僕もちゃんと演じようと思いました(笑)」

── 撮影現場は、どのような雰囲気でしたか?

「忙しい雰囲気でした。もう、早朝からずっとロケなんです。さらに、最近ずっと雨。37年仕事やっていて初めてですよ、こんなに天気悪いの。きっと雨を呼ぶ人がいるんですね(笑)。でも、本当に忙しいですけど、波瑠さんや満島くんを含め他の共演者の方達も最高の人達が出演しているので、現場の雰囲気は本当に良かったと思います。ただ、ロケ場所が遠いのと、天候だけはどうしようもできないですよね(笑)」

── 中井さんからみて、今回共演された波瑠さんと満島真之介さんの印象はいかがでしたか?

「あの世代と芝居をすると「僕らがあれぐらいの時に、先輩ってこうやって見ていたんだなあ」とすごく手に取るように分かるんです。「楽しいんだろうなあ」って(笑)。みんなこうやって世代交代をしていって「2人も30年たつと、今の僕と同じような立場になるんだ」というのを、微笑ましい2人を見ながら感じていました(笑)。今、楽しいと思える時に、楽しんでおくべきだとはすごく思いますね。僕らは、先輩たちにもらったバトンをあいつらに渡していくことが役目なんだろうなという気がします。そのためには、負けない気持ちを持つことだと思うんですよね。彼らの時代が来るんだろうけど、そこに僕が立ちはだかることが、彼らのためになる。それが、僕の信条かもしれないですね。年を取ると、体力も落ちてくるから3倍も4倍も努力をしないといけない。その努力ができなくなった時に俳優を辞めようと思いますけど、努力ができる間は、彼らの前に立ちふさがろうかなと思っています」

── 今、中井さんの先輩にあたる年代の方も、まだまだ活躍されている方がたくさんいらっしゃいますよね。

「先輩がいてくれると、ものすごく楽なんです。大体僕は失礼な人間なので、先輩に茶々を入れるところもあるんです…(笑)。ただ先輩がいてくれるだけで、下に対する緊張感も緩和してもらえるんですよね。後輩たちから見て頑張らないといけない分、先輩たちには頼れるという関係性ができます。だから、いつも先輩にお会いする時は『長生きしてくださいね』って必ず言います(笑)」

── ドラマでは“家族”がテーマですが、中井さんご自身が考えられる理想の家族像とはどういうものですか?

「僕は、親が子どもに教育をするということは、とっても難しいことだと思うんですよね。だって、僕自身、小学生の時の自分と今の自分があまり変わってないから(笑)。子どもの頃に心配していたことが、大人になってもずっと同じように残っていたりしますからね。だから、子どもが生まれることによって親にされるだけであって、親が子どもを教育していくということは、非常におこがましいことだと思うんです。例えば、犬を飼って調教師の人に調教してもらうんですけど、その時に「飼い主さんも一緒に来てください」と必ず言われるんです。それで、一緒にいくんですけど、よくよく考えると、自分が調教されているんです。犬が調教されているんじゃなくて、実際は「中井さん、違います! 歩き方が違う! 中井さん、そこで持ってやります。大丈夫ですね? はい、止まれです。違います! お座りは合図が違います!」と全部僕が調教されるんです(笑)。そして、犬は調教された僕に従うようになっていくわけであって。だから、一番大切なことは、親が後ろ姿をどう見せるかっていうことだと思うんですよね。親が自分たちを律して、子どもに見せられるきちんとした後ろ姿でそこに立てるかどうかということが重要なんじゃないかな。だから、そういうことができている家庭は、僕の理想かもしれないです」

── このドラマをどういう方々に見ていただきたいですか?

「物語の中では、ナレーション(心の声)が多くて、親世代と子ども世代の両方の心の声が入るので、そういう意味では幅広く見てもらえたらいいなと思いますね。僕達が子どもの時って、いろんなものが正月っぽかったし、暮れは暮れぽかったじゃないですか? それがどんどん時代と共に薄れていって、ずるずるっと年を越しているような気がするんですよね。だから、老若男女問わず、お正月の仕事始めの前にこのドラマを見てほっこりしてもらえたらいいかなと思います。深く考えなくても、同じ世代の子どもを持つ親の人達は『こうなるのかな~』と共感をしてもらえたらうれしいです。でもね、時代がどんなに変わっても、結婚の時の挨拶はみんなすると思いますよ。100年経っても、LINEであいさつする人はいないと思う(笑)。それだけ、唯一家族の中で、正面をきって親子で話すべきことなんじゃないかと。ぜひ、その伝統は受け継いでいってほしいですね」

【プロフィール】

中井貴一(なかい きいち)

1961年9月18日生まれ。東京都出身。ドラマ「きんぴか」(WOWOW)、「山田太一ドラマスペシャル 時は立ちどまらない」(テレビ朝日系)、「雲霧仁左衛門」シリーズ(NHK BSプレミアム)、映画「花戦さ」「グッドモーニングショー」、舞台「メルシー!おもてなし~志の輔らくごMIX~」「趣味の部屋」「カーディガン」などの話題作に出演し、多方面で活躍している。映画「嘘八百」が1月5日公開予定。

【番組情報】

新春ドラマスペシャル 「娘の結婚」 
7テレビ東京系 
1月8日 午後8:00~9:54

取材・文・撮影/鬼木優華(テレビ東京担当)

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