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結成30年、COWCOWの結成は「運命」。「実は吉本行くねん」「ちょっと待ってくれよ!」【ロングインタビュー前編】2023/09/05

結成30年、COWCOWの結成は「運命」。「実は吉本行くねん」「ちょっと待ってくれよ!」【ロングインタビュー前編】

 吉本興業所属のお笑いコンビ・COWCOW。中学・高校の同級生で組んだコンビで、結成は1993年。最初にネタを披露したのは、中学時代の「クラスのお楽しみ会」だという。

 2011年に「あたりまえ体操」でブレーク。海外にも発信し、14年にはインドネシアで「あたりまえ体操」が流行。日本語以外に、インドネシア語、英語、韓国語などでさまざまな楽曲を公開し、TikTokのフォロワーは120万人を突破した。

結成30年、COWCOWの結成は「運命」。「実は吉本行くねん」「ちょっと待ってくれよ!」【ロングインタビュー前編】

 今年、結成30年。あらためて2人の出会いや学生時代の話を聞くと、まるで昨日のことのようにうれしそうに話してくれる。

 結成当時のエピソードや「やさぐれてしまった」という不遇の時代、天才肌の同期、1年かけて作り上げる単独ライブに込める思い…。多田健二さん、善しさんのお二人に、さまざまな話を聞いた。

単独ライブの準備期間は1年「せわしない感じはやめよう」

結成30年、COWCOWの結成は「運命」。「実は吉本行くねん」「ちょっと待ってくれよ!」【ロングインタビュー前編】

――10月8日より、4都市をめぐる全国ツアー「COWCOW 30th LIVE」が開催されます。今年はどんなライブになりそうですか?

多田 「結成30周年のメモリアルイヤーなんです。今までのツアーではコントを多めにやらしてもらってたんですけども、今年『THE SECOND~漫才トーナメント~』という漫才の大会が新たに始まったというのもあり、今回のライブは漫才が多めになるんじゃないかなという感じです。来年の『THE SECOND』を見越して、原点の漫才に帰るじゃないですけども。そこが例年のツアーとは大きく違うところかなと思っています」

善し 「毎年、その年に作った新ネタをやるというのが一番のコンセプトではあるので、新しいネタを中心に今までのネタもお届けしたいなと思っていますね」

――お二人は、2008年から毎年ライブツアーを開催されています。印象に残っている年について教えてください。

善し 「単独ライブ自体はその前からやってたんですけど、東京に出てきて、ネタばっかりのライブというのを始めたのが2008年でした。その一発目のライブは印象に残ってますね。若手の時って、やっぱね、無謀な考えあるんで、お金のこととかを考えられない脳みそで。とにかくやりたいことをやってしまうというのがあるので、衣装もしっかり作って、セットもガツガツに作ってましたね(笑)。それが東京のルミネtheよしもとでした」

多田 「2008年は広島公演もあったんですけど、小道具を作家さんに作ってもらってたんです。広島に出発する当日の朝、新幹線の駅のホームで最後の仕上げをするくらい、ギリギリまで作ってくれて。新幹線が出発する直前で受け渡ししてもらって、広島まで乗っていくというくらいバタついていました。それを経て『全国でやるというのはこんなに大変なんだ』と学んだので、翌年からは『もっと前もって準備しよう』と。今は1年前から準備しているので、余裕を持ってできてますね。若手だからこそできる荒々しさもよかったんですけども、この年になると『せわしない感じはやめよう』と。1年前からゆっくり作り上げていくやり方に変わりました」

――その年のツアーが終わったら、もう翌年のツアーのことを考えているんですね。

多田 「そうですね。いつも年末にツアーが終わって、お正月休みが明けた1月中旬くらいから準備を始めています。なので1年かけたツアーが終わると『やっと終わったな』って。結構、達成感がありますね」

――そんなに長期スパンで準備をされているとは思いませんでした。

多田 「そうなんです(笑)。なので、だからこそ見に来てほしいなという思いですね」

2人の出会いと初舞台

結成30年、COWCOWの結成は「運命」。「実は吉本行くねん」「ちょっと待ってくれよ!」【ロングインタビュー前編】

――結成30周年ということで、あらためて結成当時のエピソードも教えてください。お二人の出会いは中学時代ですか?

多田 「中学、高校の同級生で、中3、高3が同じクラスでした。中3の時は、僕ら2人を含めた仲良し6人組がいて、そのみんなで集団コントをお楽しみ会でやったんです。初めて2人だけでネタをやったのは、高3の文化祭。その頃、2人ともバッファロー吾郎さんがすごく好きだったので、バッファロー吾郎さんのネタをそのままやる『バッファロー次郎』というコンビ名にして(笑)。それが2人の初舞台です」

――お互いの第一印象は覚えていますか?

善し 「中学の時、休み時間に何げなくお笑いの話をしたんです。『昨日、あの漫才の番組見た?』ってお笑い番組の話をしたりして、『あ、お笑い好きなんやな』って印象でした。あとは、『こいつなんか変な顔してんな、おもろい顔してんな』って(笑)。高校生になってからもお笑いの話をしてたんですけど、ある日、休み時間に相方が、ノートの端の方に“バッファロー吾郎”って書いてたんですよ。僕らの世代だと、普通ならミュージシャンとか、少し前の世代だと尾崎豊とか、そういうのをノートの端に書くのが流行してたんですけど、それ見て『なんでバッファロー吾郎やねん。そんなに好きなん?』って言ったのを覚えてますね。僕もお笑い好きだったんで、そういうのでまた仲良くなって。とにかくお笑いの話をよくしてました」

多田 「同じクラスになったのは中3なんですけど、中1か中2で、僕は相方の存在を認識してたんです。というのも、もう見た目がめちゃくちゃ格好よかったんです」

善し 「……(インタビュアーを無言でじっと見る)」

――何も言ってないです(笑)。

善し 「大丈夫ですかね?(笑)」

多田 「ははは!!(笑)。まぁ、本当に、本当に格好よくて。僕らの世代って第2次ベビーブームで、中1の時は11クラスくらいあったんです。その中で“F4”じゃないですけど、男前四天王と呼ばれている4人がいたんですよ。その中に相方は入ってなかったんですけど、『あれ? 相方の方が格好いいけどな』って思うくらい格好よくて、しかもおしゃれやったんです」

善し 「……(無言でじっとして)」

多田 「制服に名札のプレートを付けるんですけど、みんな白い糸で縫い付けてるんですね。それを相方は赤い糸で付けてて。そんなことしてるやつ周りにいなかったんで、『うわ、赤い糸で付けてるやん。こいつめっちゃおしゃれやな!』って、それ見て僕も赤い糸で付けて(笑)。あとは上靴。普通、漢字で名前書くじゃないですか。でも相方はアルファベットで“yoshi”って書いてたんですよ。しかも“i”の上の点がハートマーク!」

善し 「僕としては普通やったんです」

多田 「おしゃれで格好よくて、なんか異質な生徒といいますか。ヤンキーともちょっと仲良かったんですけど、写真撮る時、ヤンキーってにらんだりするじゃないですか? でも相方はヤンキーに交じって普通にVサインしてて、『こいつ、やっぱなんか違う』と。周りに流されない、なんかおしゃれで格好いいやつっていう認識だったところで、中3で同じクラスになったんです。教室の後ろで『與志(よし)って変わった名前やなぁ』みたいなことを、最初一言目にしゃべった記憶があります」

――30年以上前のことも、すごく鮮明に覚えているのですね。

多田 「鮮明に覚えてます(笑)。あと、体操服。ストレートのジャージなんですけど、相方だけ裾にゴムを入れて絞ってたんです。『あいつ絞ってるやん!』と思って、僕もまねして」

善し 「覚えてない…」

多田 「で、僕も絞ったんですけど、ジャージをちょっと上げてはいてたんですね。そしたら『いやお前、絞ってんのに上げたらダサいやん。もっと下げな。シュッてなってんのが格好ええんや』と言われて。『あぁ、そう』って、ジャージを下げたんです」

善し 「よく分からん…(笑)」

高校卒業、そして「COWCOW」結成「じゃあ、一緒にやる?」

結成30年、COWCOWの結成は「運命」。「実は吉本行くねん」「ちょっと待ってくれよ!」【ロングインタビュー前編】

――友達という関係から「COWCOW」を結成したのは、いつになるのですか?

多田 「僕は高校を卒業したらNSCに行こうと決めてたんですよ。で、普通やったら『バッファロー次郎』も組んでるし相方誘って行くんですけど、相方はバンドをやってたのもあって、モテてたんです」

――格好よくて、おしゃれで、バンドもお笑いもできて…。

多田 「そうなんですよ!! だから僕は嫉妬してたんです。僕は高1から高3の夏まで野球漬けで、文化祭もちゃんと参加したことなかったんですよ。でもふたを開けたら、相方は文化祭でバンドのステージに立ってて。野球やめたての僕は、『なんだこの世界は!!』と衝撃を受けたんです。ほんならステージの上にいる相方の方を見て、女の子が『キャーッ!!』って騒いでるんですよ。とはいえ、相方が誘ってくれたことで『バッファロー次郎』を組んで、僕もステージに上がって、ウケて。そのおかげで学校で『面白いな』って言ってもらえる存在になったんですけども、やっぱり相方の『キャーッ!!』の衝撃が忘れられないんです」

――(笑)。

多田 「そこから相方に嫉妬して(笑)。それで相方を誘わず、1人で吉本に飛び込もうと思ったんです。『こんなチャラチャラしてるやつとは組まへんぞ。NSCで相方を見つけて芸人になるんだ』と決意して。で、いよいよ高校卒業間近となると『進路どうすんの?』って話になるじゃないですか。その時、僕は『大阪デザイナー専門学校に行く』ってうそついたんです。ほんなら相方が、『芸大を受けてたけど全部落ちたから、俺も大阪デザイナー専門学校行く』って言ってきたんですよ。いざ入学して僕がいなかったらさすがに悪いなと思って、ある日、相方の実家に『実は吉本行くねん』って言いに行ったんです。そしたらちょうど専門学校の願書を書いてる時で」

善し 「願書を書いて、あとはもうポストに入れるだけっていう状態やったんです。専門学校なんで特に試験とかもなくて、願書出して、あとはお金を振り込むだけという時に来たんで『はよ言ってくれよ』と。一緒の専門学校行くと思ってたから妄想も広がってて、『ここで待ち合わせして、ここの売店でフランクフルト食べて…』って。『こっちはスタンバイできてるのに、ちょっと待ってくれよ!』と思いましたね(笑)。1人で専門学校行くのはちょっと嫌やったんで、『NSC行くんやったら俺も一緒に行くわ』って。そこで決めました。そこからNSCの願書を取り寄せて、僕も出したんです」

多田 「NSCも意外と倍率が高いみたいなんですけど、2人とも運よく受かって。一番最初の授業が漫才を披露する授業だったんですけど、そこで養成所の先生に褒めていただいて、『じゃあ、一緒にやる?』みたいな。本当にそこから始まって、今に至るという感じです。正直、僕も1人で入るのはめっちゃ不安やったんですよ。強がってはいたものの、『ホンマに相方見つかんのかな?』って。だから一緒に入れて、今となっては本当によかったなと思います」

――すごい関係性です。

善し 「そうですね」

多田 「いろんな運命が重なって、結成に至ったんやなって。僕も正直そう思ってます」

小籔千豊、土肥ポン太ら同期たちと、朝まで過ごした梅田のファーストキッチン

結成30年、COWCOWの結成は「運命」。「実は吉本行くねん」「ちょっと待ってくれよ!」【ロングインタビュー前編】

――大阪NSC12期生のお二人。同期には小籔千豊さんや2丁拳銃さん、土肥ポン太さんらがいらっしゃいます。同期はどんな存在ですか?

多田 「小籔くんと土肥ポン太は、昔からすごかったんですよ。いわゆる天才肌といいますか、何の準備もしてなくてもできるやつらで、まさに“お笑いが天職”という感じの2人で。いつからか『この2人のまねしてたらアカンな』という思いを抱くようになったんです。『何の準備もしなくてもいけるわ』みたいなことをしてると、たぶん、僕は消えてなくなるやろうなって。『自分はこの2人とは違うんやから、ちゃんとやらないとダメやな』と。すごく影響された2人です。あと僕らが若手の時は、心斎橋の“2丁目劇場派閥”と“うめだ花月派閥”があって、2丁拳銃は2丁目劇場派閥やったんですよ。小籔くんと土肥ポン太と僕らはうめだ花月派閥で、ずっと苦楽を共にした仲なんで、より2人のすごさを目の当たりにしてきたというのもあります」

善し 「NSCは楽しかったですね。漫才とコントの授業があってネタをやるんですけど、同期の中では結構やってた方やと思うんです。クラスもAとかBで。小籔とは後半に同じクラスになったことで仲良くなりました。その頃はとにかくガムシャラなんで、『俺らが一番おもろい』なんてことはみじんも思ってなくて、同期を見て『みんなすごいな』って。小籔とか土肥ポン太は一緒にいて面白かったんで、その後もずっと一緒に遊んでました。いい意味で、切磋琢磨(せっさたくま)はしてたと思います。小藪、土肥ポン太、僕らとあと何人かで、劇場終わってから朝まで、梅田のファーストキッチンにずっといました。お酒も頼まず、ジュース1杯で(笑)」

多田 「東通商店街のとこにファーストキッチンがあって、そこにずっといました。ある日、僕がジュースを飲み干して、コップに残った氷をガリガリ食べてて。そしたら誰やったかなぁ、誰かが僕のコップを下げようとしたんで『あっ!』って言ったら『え? 何も入ってなかったで?』って言うんです。『いや、氷が入ってる!!』『あ、氷か! ごめん!!』みたいな。そんな感じで、氷で粘ってずっとしゃべってましたね(笑)」

 上京後のエピソードや、「THE SECOND」に出場して感じた現在の本音などをお聞きしたインタビュー後編はこちら:https://www.tvguide.or.jp/feature/feature-2409476/

結成30年、COWCOWの結成は「運命」。「実は吉本行くねん」「ちょっと待ってくれよ!」【ロングインタビュー前編】
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結成30年、COWCOWの結成は「運命」。「実は吉本行くねん」「ちょっと待ってくれよ!」【ロングインタビュー前編】

【プロフィール】

COWCOW(かうかう)
多田健二(1974年8月8日生まれ、大阪府枚方市出身)と、善し(1974年10月19日生まれ、大阪府枚方市出身)が中学時代に出会い、高校卒業後、共に大阪NSC12期生として入学。93年4月、コンビ結成。2001年より、活動拠点を大阪から東京に。98年、「第19回ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞、99年、「NHK新人演芸大賞」大賞受賞、01年、「第36回上方漫才大賞」優秀新人賞受賞。15年、「歌ネタ王決定戦」優勝。11年、「あたりまえ体操」で大ブレーク。14年にはインドネシアで「あたりまえ体操」が流行。日本語以外に、インドネシア語、英語、韓国語などでさまざまな楽曲を公開し、TikTokのフォロワーは120万人を突破。23年には結成30周年を迎え、10月8日の愛知・名古屋公演を皮切りに、「COWCOW 30th LIVE」を全国4都市で開催する。

【公演情報】

「COWCOW 30th LIVE」
①10月8日(日)愛知・今池ガスホール(午後6:00開場/午後6:30開演)
②11月4日(土)福岡・よしもと福岡ダイワファンドラップ劇場(午後6:00開場/午後6:30開演)
③11月25日(土)東京・ルミネtheよしもと(午後7:00開場/午後7:30開演)
④12月17日(日)大阪・なんばグランド花月(午後7:00開場/午後7:30開演)

取材・文・撮影/宮下毬菜



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