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杉野遥亮、本音は「本当に悔しい」――草彅剛主演「罠の戦争」最終回目前インタビュー2023/03/27

杉野遥亮、本音は「本当に悔しい」――草彅剛主演「罠の戦争」最終回目前インタビュー

 草彅剛さん主演の連続ドラマ「罠の戦争」(フジテレビ系)。愛する家族を傷つけられた議員秘書が、知略を尽くして鮮やかなわなを仕掛け、悪しき政治家を失脚させる痛快エンターテインメントドラマです。本日3月27日の最終回の放送を前に、草彅さん演じる鷲津亨と同じ議員事務所で働く蛯沢眞人役・杉野遥亮さんにインタビュー。本作への思いや見どころを語っていただきました。

「俳優として、すごく幸せ」

杉野遥亮、本音は「本当に悔しい」――草彅剛主演「罠の戦争」最終回目前インタビュー

――草彅さんと共演した時間は、いかがでしたか?

「本当に、ありがたい経験だなってずっと思っていました。ただただずっと、ぜいたくだな、なんとか頑張りたいなという気持ちでしたね。『演技って、もう分からないな』と思うことってたくさんあるんですけど、やっぱり草彅さんを目の前にすると、発するエネルギーやオーラがすごいので、それに自分も引っ張ってもらったなという感覚があります。それを勝手に自分もまねしたいなとか、『どうやったらこんなふうにできるんだろう』と思ったりもしました。でも、草彅さんが積み重ねてきたものに比べたら、自分はまだまだだなというのを本当に痛感したし、正直『俺…どうしよう』って思っていました。言葉にするのは難しい部分もあるのですが、俳優として、すごく幸せだったなと思います。ただ、すごく1人で勝手に落ち込んだこともあって。それは草彅さんを見たからということだけではなくて、今回ずっと『自分、本当できないな』って打ちひしがれていました。そんな中、草彅さんはたぶんそういう僕の様子を繊細に見てくださって、温かい言葉を掛けてくださって。そういう部分に救われましたし、あとはやっぱり、一緒にお芝居をしている時に『楽しいな』と感じる瞬間が多かったんです。そういう先輩と出会えたことが、本当によかったなと思います」

――草彅さんと、すてきな時間を過ごしたんですね。

「先日、草彅さんとお会いしたんですよ。ずっと機会を探っていたんですけど、クランクアップの日に伺うことができて。3、4回ハグしました(笑)。そういう先輩と出会えることってなかなかないですし、もう本当に『ありがとうございます』という思いでいっぱいです」

――第10話のラストでは、ついに草彅さん演じる亨と、杉野さん演じる眞人が敵対関係に。草彅さんとはそのシーンについて話し合ったのでしょうか?

「いえ、していないです。僕自身は、自分に正直に考えることもあったし、一方で『どうやって合わせていこうかな』と考えることもあったりと、まちまちだったんです。お芝居をする中で、自分の感情を作ることを優先させる時もあれば、草彅さんのお芝居を見ている時もあって。でも、そのシーンに関しては、『そこに向けて作っていきたいな』と自分では思っていたんですよね。個人的には、すごく悔しい気持ちを抱えながら草彅さんと向き合っていたんですけど。ただ、その時に出たものがすべてだと思うんです。今回、『今の自分の現状ってこうだな』って受け止めることもあったし、完パケで草彅さんの演技を見て、自分なりに思うこともいろいろとありました。あとは、第11話のクランクアップのシーンは、言葉を交わさなくても伝わる感じがして。胸にくるものがありました」

「自分の芝居って何だろう」

杉野遥亮、本音は「本当に悔しい」――草彅剛主演「罠の戦争」最終回目前インタビュー

――最終的に、眞人が亨に復讐していくという展開は、杉野さんは最初からご存じだったのですか?

「最初にそういうふうには伺っていました」

――序盤は亨を慕っていた眞人が、ある事実を知ったことで、最終回では亨に復讐を仕掛ける展開に。眞人の気持ちの変化を演じるにあたって、意識していたことはありますか?

「やっぱり最初に全話の台本をいただくわけではないので、そう言われてはいても、本当にそういう場面がくるかどうかは僕は知らなかったんです。ただ、自分の中で、眞人のお兄さんに対する思いの部分をどれだけ作れるかが勝負だなと思っていました。それを出すとか、それを抑えるとか、感情だけで積み重ねていくのが結構難しかったんですよね。今回思うのは、もっとロジカルな面も必要だったなと。そういうことにずっと苦悩していました。『ただ感情とバックボーンと役を入れていくだけじゃ、これってできないな』と。例えば、会話の前後のセリフとか、自分が引っ掛かるポイントを見つけるのに苦労したり。知識としては知っていたんだけど、なんかこう、右往左往していたんだと思います。自分が眞人を演じながらも、そういう悩みもあって。結果的に、それが眞人自身とリンクしてよかったなとは思っているんですけど、なんか…」

――苦戦することの多い役だったんですね。

「いろんな先輩を見て、なんか、『自分の芝居って何だろう』って。今回、すごく崩したりしてたんですよ。『こうかな?』『あっ、違うかも』『こうかな?』『違うかも』みたいな。『何かを見つけたい』って、すごくどん欲になっていたと思うんですね。それが結果的に眞人とリンクする部分があったんですけど、でも、難しかったなって。お兄さんのことを自分の中で膨らませていくのが、自分としては、『もっとできたな』とか。もう、なんか反省会になっちゃってるんですけど(笑)。撮影が終わった後って、反省しちゃうんですよ。よかったとは思えないから。撮影は終わって、放送前というタイミングでの取材だからというのもあるんですけど、反省しちゃうんですよね。すみません」

――撮影中、草彅さんをはじめとしたキャストの皆さんや、監督に相談することはあったのでしょうか?

「監督には相談しました。やっぱり、怒りを内包するのも、それを維持するのも大変で。あとは、やっぱりこんなに先輩に囲まれる現場ってなかなかない経験なんです。第1話の政治資金パーティーのシーンに、大勢の大人の俳優さんがいるのを見た時、『このドラマすごいな!』って思って、楽しみな気持ちになったんです。だから『俺、頑張りたいな』ってめっちゃ思ったりして。空回っちゃったなとか、もうちょっと冷静になればよかったとか思ったりもするんですけど(苦笑)」

「本当言うと、悔しいんですよ」

杉野遥亮、本音は「本当に悔しい」――草彅剛主演「罠の戦争」最終回目前インタビュー

――経験豊富な先輩方との共演で、得るものはありましたか?

「もともと、シリーズ第2弾の『嘘の戦争』に出演させていただいたのですが、この『罠の戦争』も当時と同じ監督ですし、スタッフさんも同じ方が多いんです。当時まだまだ新人だった僕にとって、このチームってすごく重厚で、プロの集まる現場という印象が強くて。だから今回自分もそこに入るということで、『もっと俳優として頑張りたい』『もっとできることを見つけたい』って、とにかく努力しなきゃという思いだったんです。『見つけにいかなきゃ』って前のめりになっちゃったんですけど、結果的に感じたのは、そうじゃないなって。『先輩たち、フラットだな』とか、『いろんな人がいて、いろんなやり方があるな』ということが分かって、すごく勉強になりました。ただ…本当言うと、悔しいんですよ。『俺、もっとできたな、くそっ!!』って、めっちゃ思ってるんですよ(苦笑)。本当に悔しくて…。本当に悔しいから、もし次があったらもっと頑張りたいな、もっと自分ができることをちゃんと表現していきたいなって思っているんですけど。でも、今回先輩たちとご一緒できたのは財産だなと思っています。草彅さんと片平(なぎさ)さんのシーンは、現場に見に行っちゃいましたもん。やっぱり面白いし、演技から伝わってくるエネルギーがすさまじいんですよ。それを現場で体感したくて。『僕、ここに入れてよかったな』って思います。だから、僕、もっと頑張ります」

――最後に、最終回の見どころをお聞かせください。

「眞人にも、感情の決着がつくかなと思います。あとは、僕、ずっと(井川遥演じる、鷲津)可南子さんってすてきだなと思うんですよ。井川さんもすごく気持ちが伝わってくるお芝居をされるので、なんか、“心”って大事だなって。それは芝居という面でもそうですし、あとは、人としても。ホロッとしたり、スカッとしたりしながら、そういうことが伝わってくる最終回になっているんじゃないかなと思います」

杉野遥亮、本音は「本当に悔しい」――草彅剛主演「罠の戦争」最終回目前インタビュー

【プロフィール】

杉野遥亮(すぎの ようすけ) 
1995年9月18日生まれ。千葉県出身。おとめ座。O型。2015年、雑誌「FINEBOYS」(日之出出版)の専属モデルオーディションでグランプリを受賞。17年、映画「キセキ -あの日のソビト-」で俳優デビュー。主な出演作は、映画「羊とオオカミの恋と殺人」「水上のフライト」「東京リベンジャーズ」シリーズ、「やがて海へと届く」「バイオレンスアクション」、ドラマ「スカム」(TBSほか)、「ハケンの品格」(日本テレビ系)、「直ちゃんは小学三年生」「東京怪奇酒」(ともにテレビ東京ほか)、「恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~」(日本テレビ系)、「ユニコーンに乗って」(TBS系)、「僕の姉ちゃん」(テレビ東京ほか)など。NHK大河ドラマ「どうする家康」、「罠の戦争」(フジテレビ系)に出演中。

【番組情報】

「罠の戦争」
フジテレビ系
月曜 午後10:00~10:54

取材・文/宮下毬菜(フジテレビ・関西テレビ担当)



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