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親子のリアルな姿に「痛いほど分かる」の声も──新ドラマ「リエゾン」で主人公・佐山が訴えかける“自分らしさ”とは2023/01/23

親子のリアルな姿に「痛いほど分かる」の声も──新ドラマ「リエゾン」で主人公・佐山が訴えかける“自分らしさ”とは

 テレビ朝日系で放送中の連続ドラマ「リエゾン-こどものこころ診療所-」。多くの人が生きづらさを感じる現代で、不得意なことがあったり、時に周りを困らせてしまったりする特性を持つ発達障害=凸凹(でこぼこ)を抱えていたら――。郊外の児童精神科クリニックを舞台に、自らも凸凹を抱える院長・佐山卓(山崎育三郎)と研修医・遠野志保(松本穂香)のコンビが、さまざまな生きづらさを抱える子どもとその家族に真っすぐ向き合い寄り添っていく姿を描いた、全く新しい医療ドラマだ。

 いよいよ放送がスタートした本作だが、第1話の放送終了後から「素晴らしいドラマだと思いました」「気持ちが分かりすぎてずっと泣いていました」「毎週見たくなる本当にいい作品」など、早速多くの反響が集まっている。(※以下ネタバレあり)

親子のリアルな姿に「痛いほど分かる」の声も──新ドラマ「リエゾン」で主人公・佐山が訴えかける“自分らしさ”とは

 第1話は、大学病院の小児科で研修を受けていた志保が、重大な医療ミスにつながり兼ねないミスを犯していたことが判明し、大学病院の教授からも「医者になることを諦めろ」と告げられてしまうことに。ショックでがく然とする志保は、幼い頃にけがをしては親に内緒で訪れていた小児科・心療内科の「りえ・こども診療所」へと、気づけば向かっていた。ところが、たどり着いた先は「さやま・こどもクリニック」となっており、志保は院長・佐山から、かつての「りえ・こども診療所」の院長・佐山りえ(風吹ジュン)は約2年前に亡くなり、佐山がクリニックを継いだことを知る。

 特に印象深かったのは、松本さん演じる志保が、佐山と臨床心理士・向山和樹(栗山千明)に自分の悩みを打ち明けるシーン。かつての自分の心のよりどころだった場所が変わり、佐山らの仕事を目の前で見たことで、自ら「私は発達障害なんでしょうか」と心の内を伝えるシーンは、志保の肩身の狭い思いもにじませる回想シーンも含め、志保を演じる松本さんの新しい一面が見られただけでなく、志保の苦労が見ている人にもヒシヒシと伝わるものがあったはず。

 そんな志保からの問いに、佐山は「おそらくあなたは、発達障害でしょう」とはっきり伝える。凸凹を持つ子ども、その親たちの葛藤を目の当たりにし、分かっていたもののその事実を知った志保は、佐山の言葉を受けて「私には無理だ」と夢を手放そうとする。そんな志保を前に、佐山はこんな言葉をぶつける。

「もしもあなたが、発達障害だったとしても。その症状を改善することはできます。今は不得手なことも多く、周囲を困らせることもあるでしょう。でも、あなたにしかできないことも、きっとあります。あなたのその凸凹に当てはまる生き方が、必ずあるはずです。痛みを抱えているからこそ、人に寄り添えることだってあるはずだ。だから、医者になることを、今この時点で諦めることはないと思います」。

親子のリアルな姿に「痛いほど分かる」の声も──新ドラマ「リエゾン」で主人公・佐山が訴えかける“自分らしさ”とは

 医師として凸凹を抱える子どもたちと向き合い続け、さらには自らもASD(自閉スペクトラム症)を抱える佐山が訴えかけたこの言葉は、志保のみならず、日常生活で生きづらさを感じている人にも寄り添い、救い出してくれるような温かなセリフだった。そして、“発達障害”という言葉だけが一人歩きしてしまっている中でも、「大丈夫。あなたはあなた。“自分らしさ”を大切に」というメッセージも込められているのではないかと感じてしまうほどに、印象深いセリフとなった。

親子のリアルな姿に「痛いほど分かる」の声も──新ドラマ「リエゾン」で主人公・佐山が訴えかける“自分らしさ”とは
親子のリアルな姿に「痛いほど分かる」の声も──新ドラマ「リエゾン」で主人公・佐山が訴えかける“自分らしさ”とは

 さらに、このドラマの“影の主役”・子役たちの演技も光り、印象的だった。第1話にはドラマ「コタローは一人暮らし」(2021年/同系)や「未来への10カウント」(22年/同系)で話題を集めた川原瑛都さん、「イチケイのカラス」(21年/フジテレビ系)、映画「99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE」(21年)などに出演した佐藤恋和さんがゲスト出演。凸凹を抱えた子どもをそれぞれ体現し、子どもたちのリアルな姿、そしてその子どもに悩む親の姿も鮮明に描かれた。志保が葛藤する裏で、言葉で説明することもできず、ただ感情を出すことでしか思っていることを伝えられない親子の姿は、見ていて刺さるものも。

親子のリアルな姿に「痛いほど分かる」の声も──新ドラマ「リエゾン」で主人公・佐山が訴えかける“自分らしさ”とは

 そんな子どもと親の問題を解決に導いたのは、紛れもない志保だった。「叱らないであげてほしい」「“うまく(絵を)描けたら見せてね”と言ったことはなかったか?」と、気持ちが分かるからこそ子どもたちの言動・行動一つ一つに目を向けた志保の姿は、相手のささいな部分も見逃してはいけないという学びや気づきにもなった。そして、“こどものこころ”がようやく分かったシーンは、間違いなく感涙必至。今後も本作の見どころの一つになっていくに違いない。

親子のリアルな姿に「痛いほど分かる」の声も──新ドラマ「リエゾン」で主人公・佐山が訴えかける“自分らしさ”とは

 「さやま・こどもクリニック」で研修医として働き始めた志保。佐山、向山とともに凸凹を抱えた子ども、その親たちとどう向き合っていき、どう医師として成長していくのか、最終回まで見逃せない。番組HPでは、ドラマの内容をより深く知ることできるコラムページ(https://www.tv-asahi.co.jp/liaison/column/)も掲載中。このページとあわせて、発達障害になじみがない人にもこのドラマが広く届いてほしい。

【番組情報】

金曜ナイトドラマ「リエゾンーこどものこころ診療所ー」
テレビ朝日系
金曜 午後11:15〜深夜0:15 ※一部地域では放送時間が異なります

テレビ朝日担当 S・H



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