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有村架純×岡田健史「中学聖日記」最終回目前インタビュー 「晶としては必要ない感情を岡田健史として受け取った」と第1話を回顧2018/12/12

 12月18日に最終回を迎える「中学聖日記」(TBS系)。有村架純さん演じる中学校教師と、岡田健史さん扮する中学生の男子生徒の恋を丁寧に描いた連続ドラマです。

 物語は進み、3年後のストーリーへ。末永聖(有村)は小学校の教師として再出発。一方、黒岩晶(岡田)は18歳の高校3年生に。第5話で「あれは間違いだった。あなたが……15だから」と晶を突き放した聖に、第7話で晶はこう告げました。「僕、もう18です」。

 一度は断ち切った思いが、もう誰にも止められないくらいに加速して、小学校の教師になるきっかけを作ってくれた恩人の丹羽千鶴(友近)からは「教師、もうやる資格ない」「『彼が好き』……それは全ての言い訳になるんだよね?」「おめでとう。お幸せに」と言い捨てられてしまい…。見守ってくれていた母親、別れた後も大切に思ってくれていたかつての恋人の気持ちも裏切ったその先に残ったものは、賃貸物件を借りることさえ苦労する聖の姿でした。

 追い討ちをかけるように聖を訪ねてきた警察官。「未成年者の連れ去りがあったと通報があった」と、聖は連行されてしまいます。結末が予想できない怒濤の展開の真っただ中である本作ですが、ここではクランクアップを迎えた直後、取材に応じてくださった有村さん、岡田さんのインタビューをお届けします。

「デビュー作が『中学聖日記』で、黒岩晶で良かったなって、心の底から思える現場でした」(岡田)

──クランクアップを迎えての、今の率直なお気持ちをお聞かせください。

有村 「まだ実感がないです。でもラストを迎えた時に感じたことは、これまで本当に1話1話、ワンシーンワンシーンを大事に撮っていたので、この4カ月間、聖としてもがいたり、苦しんだりした時間を過ごせたことは良かったなぁと思いました。すごく幸せでした」

岡田 「自分としてはこれがデビュー作で、初めてのお仕事でこんなに大きな役をいただけたことや、現場での優しいスタッフの皆さんに対して、自分はどういうふうに応えられるかって考えた時に、演技で返すしかないなって思っていたんです。だけど実際は、スタッフの皆さんからいただくもの以上のものを演技で返すことができなかったなと感じていて…。でも、すごくぜいたくな話かもしれないんですけど、自分のデビュー作が『中学聖日記』で、黒岩晶で良かったなって、心の底から思える現場でした」

──全てのシーンを撮り終えられた今、印象に残っているシーンや、演じるのが難しかったシーンを教えてください。

有村・岡田 「(しばらくの間考えて)」

有村 「選ぶの、すごく難しいですね」

岡田 「僕からいいですか? 本当に全部が自分にとって大切なシーンばかりで、全てに全力で取り組ませてもらったんですけど、中でも印象に残っているのは9話で自転車の2人乗りをしているシーンです。この日はすごく風が強くて、でも後ろに聖ちゃんを乗せていたので、晶としてはちゃんと真っすぐ走らないといけないっていう状況で。なのに横風がすごくてめちゃめちゃ揺れて、頑張って体幹を使って走ったことが印象に残っています」

有村 「私は、6話、7話、8話はどのシーンも難しかったです。自分の気持ちを隠して、ごまかして、うそをついて生きなきゃいけないっていうのが難しくて。気持ちとは裏腹な言葉を口にしたり、裏腹な態度を見せていたり…。聖がずっと抱えているものを表現しないといけなかったので、晶くんに対しても千鶴先生に対しても、いろんな人に対してうそをつき続けるということが私はすごく苦しくて、しんどかったなー…という印象が残っています。どのシーンを撮っていても、『本当は晶くんを思っているよ』っていう気持ちが見てくださる方にちゃんと伝わるかな、って考えていました。特に6話以降は、千鶴先生がいてくれたから今も小学校の先生として勤めることができているという恩があるのに、またそれを裏切ることはできないとか…。そういう聖が抱えるいろいろな事情もあって、晶くんのことを思っているけど、やっぱりそれだけじゃいけないっていう聖の葛藤みたいなものを表現しないといけないのが、それまでとはまた違った難しさがありました」

岡田 「難しかったのは、11話で、高校生になった晶が久しぶりに激高するシーンです。ただ単に暴言を吐くとか声を大きくするだけだったら中学生の子どもっぽさが出てしまうので、どうしたら3年の月日を経て成長した晶が怒っている、というのを見せることができるか難しかったです。自分のせりふのテンポにも注意しつつ相手役の方のせりふもちゃんと聞かないといけないしで、いろんなことを考えながらそのシーンに臨んで、すごく大変でした」

──あらためて、お互いの印象をお聞かせください。

有村 「毎シーン毎シーン、聖と晶くんが一緒にいるシーンに限らずなんですけど、さらっと終わるシーンは一つもなくて。一つ一つのせりふもそうですし、せりふがないところもそうですし、本当に1mm、2mmの感情の動き方を大事にしながら紡いでいたので、私は晶くんとのシーンはすごく充実してたなって思います。こうしたい、ああしたいっていうのを特に大きく話すこともなく、相手から来るものを受けて、自分も返すっていうことに徹したいって思っていたので、そういった意味ではとても信頼できる方でした」

岡田 「本当に何もかもが未熟な自分を晶として受け入れてくださって、そして本当にできないことが多くて、何度も監督にも粘ってもらって撮ったシーンがたくさんあるんですけど、それでも嫌な顔一つせず、毎回向き合ってくださいました。有村さんのことを、心の底から尊敬しています」

──有村さんにお聞きしたいのですが、出会った当初と今では、岡田さんへの印象は変わりましたか?

有村 「衣装合わせで初めてお会いした時と今とでは、全く顔つきが変わっていると思います。会うたびにその日々の変化に驚かされて、『あ、また目つきが変わってる』とか、そういうことをお芝居をしながら感じていました。だけど、お芝居をしている時に晶くんからもらう真っすぐなエネルギーは1話から11話まで同じもので。……同じというか、熱量はずっと感じていました。最初はやっぱり『自分が引っ張っていかなきゃ』とかすごく思っていたんですけど、途中からそんな必要もなくなるくらい、どんどん背中が大きくなっていくのをずっと見ていたので、すごいな~って思っていました」

──岡田さんにお聞きしたいのですが、聖先生もとい有村先生に、教えてほしいことはありますか?

有村 「ないよね?(笑)」

岡田 「有村さんはすごく料理がお上手で、さつまいものポタージュを現場に差し入れしてくださったこともあるんです。本当においしいから、料理を教えていただきたいです!」

有村 「(笑)。レシピで良かったらいくらでも教えます(笑)」

「その時の晶くんの切ない顔が忘れられないです」(有村)

──3年後の聖と晶を演じる際に、心がけたことはありますか?

有村 「聖は変わっているようで変わっていないというか、6話でも『私だけがあの頃のまま。前に、進めないまま』と言っているんですけど、やっぱりずっと止まっていて進めていないような気がしていたので、私としては大きく何かを変えようっていう意識はなかったです。ただ、晶に対して『もう二度と来ないで』と突き放す言葉を言えているのは少し成長しているのかなって思っていたし、本当に感覚の問題なので言葉にするのは難しいんですけど、3年後の聖はなんか違うな、っていう気持ちはありました」

岡田 「晶に関しては、新井さん(新井順子プロデューサー)がこの3年の間に何があったかを細かく話してくださって、それを自分でイメージしながら演じさせていただきました。中学生の時の晶は愛想笑いもできなくて、社会性にあんまり富んでいない少年だったと自分は感じていたのですが、6話で高校生の晶が初めて出るシーン――雑貨市の店員さんと会話をしているシーンだったと思うんですけど、そこでは笑えるようになっているんです。それは3年前の晶にはなかったことで、そういう社会性が少しでも身に付いているのを見せようと意識しました。あと…髪、切りました(笑)。服装も、中学生の時はXXLくらいのTシャツを着て子どもっぽく見せられるようなサイズだったんですけど、衣装さんや新井さんといろんな試行錯誤をしながら高校生の晶を作って、自分のピッタリのサイズの服にすることで一気に大人っぽく見えるようにしてもらいました」

──お互いのお芝居を受けて、すてきだなと感じたり、影響を受けたシーンをお聞かせください。

有村・岡田 「(長い間考えて)」

岡田 「1話の、聖先生と晶が2人で車内にいて、聖先生が授業で言っていた『春夜喜雨』っていう漢詩の意味を晶が理解するシーンなんですけど、そこで先生が『まだ先生になるの早かったかなぁ』ってすごく自信をなくしているのを見て、晶としてはやめてほしくないから『先生やめないですよね』って心配するんです。自分としては、聖先生はついぽろっと言っちゃった、くらいの気持ちなんだろうなって捉えて現場に入らせてもらったんですけど、撮影に入ると、有村さんが少し涙ぐまれていたんです。その涙を見て、晶としては必要ない感情を岡田健史として受け取って、本当は先生を心配しないといけないのに『すごく奇麗だな』って思っちゃったんです。そんなふうに想定外なリアクションをされるのが楽しくて。まだまだほかにも『すごい、こんな演技されるんだ』ってたくさんの想定外がほかのキャストさんとのシーンでもあったんですけど、中でもそのシーンは、印象的に思った一つです」

有村 「晶の真っすぐさに聖は毎回気持ちが持っていかれそうになりつつも、自分の理性と闘って…っていういろんな揺れ動きが常にある中で、どのシーンも本当に真っすぐ目を見てくるから…。(岡田さんと目を合わせて)ふふふ(笑)。逃げることができないなって思っていました。あと…(少しの間考えて)8話で聖と晶が会って、聖は自分の気持ちとは違うことを晶くんに伝えて『がっかりしました』って言われるんですけど、ドライの時から涙が出ていて、その後もずっと泣いていました。本当はそうじゃないのに自分の好きな人からそんなことを言われて、見放されたというか…。失望させてしまったっていう自分の情けなさに、悔しいとか、何やってるんだろう私、みたいな気持ちがあふれたと同時に、その時の晶くんの切ない顔が忘れられないです」

「“確かめたい”って思わせてくれる」(有村)

──撮影を終えた今だから感じる、「中学聖日記」の魅力はどのようなところだと思いますか?

有村 「まず映像の美しさです。ロケでの撮影が多かったので、スタジオでは表現できない美しさが表現されているなと思います。運良く風が吹いたとか、雨が降ってきたとか、そういう偶然が演出してくれるものがあったような気もします。あとは何よりも、どこも逃したくないって思わせてくれるのがこの作品の魅力だなって思っていて。表情だけじゃない部分、手の先から頭の先から足の先まで、それらを包み込む周りの空間、そういうものを何度も見て、確かめて…。“確かめたい”って思わせてくれるところが、すごく魅力的だなって思います」

岡田 「演じている時から思っていたことなんですけど、クランクアップしてあらためて、“好きになる”ということに年齢とか職業とか立場とか、そういうものは関係ないんだなということを聖と晶から学びました。“好きになる”ということがどういうことなのかを見てくださる方が考えるきっかけになるような、そんな作品だと思います」

──第10話の放送を終え、最終回を楽しみにしている視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。

有村 「もう迷うことのない聖が、これからいろんな問題に向き合いながら2人で乗り越えていくために、『お互いに今できることをやろう』って晶と目に見えないところでつながっているような、そんな10話だったのではないかなと思います。残すは最終回のみとなりましたが、SNSに『早く2人が幸せになってほしい』とか『結ばれてほしい』ってたくさんコメントをいただいているのを読みながら、見てくださっている方が聖と晶を応援してくれているのをすごくうれしく思っています。この作品の世界観に入り込んで、聖や晶や、ほかの登場人物たちと同じように気持ちを揺れ動かされながら見てくださっているのなら、すごく幸せです。もどかしくて苦しいと思うんですけど、どうかこの2人の行く先を、一緒に乗り越えていってほしいなと思います」

岡田 「10話は特に、晶にしても聖ちゃんにしても、お母さん(夏川結衣)にしても、勝太郎さん(町田啓太)にしても原口さん(吉田羊)にしても、相手のことを思うが故とはいえ、『そんな行動をとってしまうの?』と思ってしまう回で、自分はすごく“愛”が表れた回だなと台本を読んだ時に感じました。ついに最終回の放送になるんですけど、本当にたくさんの人の思いが詰まっている作品になっていると思います。まだほかの現場を経験したことがないのでこんなことを言っても説得力はないかもしれないんですけど、現場は本当にすてきなスタッフの皆さんばかりで。夏の暑い日から、11月に入って肌寒くなってくるまで、過酷な環境の下で撮影もしてきて、でも見てくださる方にとっては『だから何?』って思われるかもしれないんですけど、すてきな方々と一生懸命作り上げてきて、個人的にもデビュー作で思い入れのある作品になりました。先ほども同じことを言ってしまったんですけど、“人を好きになる”とはどういうことかというのを、あらためて考えてもらうきっかけになるような作品になっていると思うので、ぜひ最後まで見てほしいです」

 一言一言をゆっくり、揺るぎない思いを言葉にする有村さんと、目の奥に秘めた輝きが思わず言葉としてあふれてくるような岡田さんのインタビューをさせていただきました。お二人の言葉の一つ一つ、その全てを聞き逃したくないと、取材をしながらそんなことを感じていました。感情、言葉、立場…いろんなものを揺るがせる“恋”。一つの恋をきっかけに大きく揺らいだ聖や晶が、手にしたもの、そして、手からこぼれ落ちてしまったもの。「確かめたい」。この作品を表現するのにこれ以上の言葉はないなと思うほかありませんでした。

【番組情報】

「中学聖日記」(最終回)
TBS系 
火曜 午後10:00~11:07

取材・文/宮下毬菜(TBS担当)

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