町あかりのプレイリスト～テレビのうた～◆その13：伝説の「カメリアダイアモンド」CM関連曲5選2023/06/10
日本でのテレビ放送開始から70年。ドラマ主題歌やCMソングなど、テレビによって国民に周知された楽曲は無数にあります。「町あかりのプレイリスト」は、昭和から令和までテレビを通して愛された楽曲について、平成3年生まれのシンガー・ソングライターの町あかりが、独自の目線で語る連載です。
「カメリアダイヤモンド」を知っていますか？ 宝石販売店「ジュエリーマキ」や「じゅわいよ・くちゅーるマキ」などを運営した株式会社三貴のかつての主力商品でした。この「カメリアダイヤモンド」のCMが、1980年代末～90年代にかけて深夜帯を中心に連日放送され、使われた曲は軒並み大ヒット。第13回では、そんな「伝説の『カメリアダイアモンド』CM関連曲5選」と題して、珠玉の歴代CMソングの中からセレクト。ラグジュアリーでかっこいい、リッチな気分になれるプレイリストを作ってみました。
1曲目は、KATSUMI「危険な女神」（90年）。ソバージュのヘアスタイルが当時トレードマークでもあったシンガー・ソングライターのKATSUMIさんの2ndシングル。ボーカルもパーカッションの一部といえるような、リズミカルなサビが印象的です。アップなテンポとは裏腹に、愛した女性との距離の遠さに寂しさを感じているラブストーリー。ただ誘惑され、もてあそばれているのは分かっていながらも熱い思いを止められない、困惑する気持ちがひしひしと伝わってきてドキドキするような情熱的な物語です。ラテン・ロックのアレンジが、これからの暑い季節にもぴったり！
次は、岩崎宏美「夢狩人」（85年）。両A面「決心／夢狩人」としてリリースされ、2曲とも「カメリアダイアモンド」のCMソングに起用。宏美さんご本人もCMに出演しました。作曲は奥慶一さん、作詞は松井五郎さんが担当。「ダン・ダンダンダン」というリズムが延々と続き、民族的な音色とシンセサイザーの響きの融合がリスナーを異世界へと誘ってくれます。知らない惑星の砂漠地帯で楽器をたたきながら、ゾロゾロと歩いているような気分に…。そして、最大の魅力は宏美さんの低音ボーカルにあると思うのです。作曲家の筒美京平さんはかつて「（宏美さんの歌声の）本当のよさは中低音にある」と語ったそう。そんな魅力が存分に生かされているメロディーラインは、民族衣装が風に揺れているようにも聴こえ、夢心地になれます。
3曲目は、森山良子「NAVIGATION」（89年）。森山さんの43枚目のシングルで、作曲は都志見隆さん、作詞は万里村ゆき子さんが担当。「おお、いい曲を知っちゃったなー！」と興奮した1曲です。こちらも異国情緒を感じさせるようなパーカッションの音色が印象的。夜明け前の闇夜のような雰囲気の中で、チョウのように舞うフルートの響きが一筋の希望の光に感じられます。愛する人と航海に出る喜びと不安が入り混じった、複雑な感情が描かれたストーリー。ドラマチックな構成に心が揺さぶられ、ミュージカルを見ているような豊かさがあります。
4曲目は、高橋真梨子「桃色吐息」（84年）。作詞は康珍化さん、作曲は佐藤隆さんが担当。こちらもエキゾチックな香り漂うヒット曲です。私がたまたまこういった多国籍的な楽曲を選んでしまっただけなのか、それとも「カメリアダイヤモンド」CM曲にはこういったテイストの曲が多かったのでしょうか。「青息吐息」という四字熟語から連想されたであろう、つややかな女性の吐息は桃色である、という発想がユニーク！ 妖艶（ようえん）な大人の世界観が高く評価され、本曲は「第26回日本レコード大賞」で作詞賞を受賞しました。美しさを失う寂しさ、そして愛にも終わりが来るという諸行無常が切なく描かれています。クリスタルなシンセ・サウンドが印象的で、まさにダイヤモンドがよく似合う1曲です。
最後は、宇崎竜童「炎の女」（81年）。作曲は宇崎さん自身、作詞は阿木耀子さんのゴールデンコンビによる3連符リズムのロック・ブルースです。サックスが切なく泣いています！ 男らしいボーカルが味わい深く、まるでオオカミが寂しく遠吠えをしているかのよう。心の底から湧き上がるような声で、愛とジェラシーが入り混じったような複雑な感情を巧みに歌い上げます。舞台が横浜であるという描写はないのですが、竜童さんのハスキーボイスを聴いていたら無性に横浜・みなとみらいに行きたくなっちゃいました。ロマンチックな名曲です。
いかがだったでしょうか？ 今回のプレイリスト（Spotify）はこちらから！
＞＞https://open.spotify.com/playlist/5kuDp6HIT8Dq6UIbU3hKtt?si=2689988565414d3f
どの楽曲にも魅惑的な女性が多く登場していますね。実際、CMには、ジュディ・オングさん、池上季実子さん、秋吉久美子さん、桃井かおりさんをはじめとした美しい女優さんがたくさん登場。当時はいわゆる華やかなバブル時代。美しいダイアモンドを身にまとった強い女性たちの姿が、多くの人の心をつかんだのでしょう。
いろんな物の価格が上がっている昨今、日々節制に励んでいる方も多いと思います。そこでゴージャスな時代の音楽に浸って、リッチな気分になってみるのはいかがでしょうか。どんな時代も、心は豊かでありたいですね！
【ご意見・ご感想etc.を募集中！】
「町あかりのプレイリスト～テレビのうた～」に関するご意見・ご感想、ご要望は
Twitterで「#TVガイドweb」「#町あかりのプレイリスト」のハッシュタグを付けてツイートしてください。
抽選で、町あかりさんのアルバムを7名様にプレゼントいたします。
町あかり
シンガー・ソングライター。2010年から活動を始め、作詞・作曲、編曲、執筆、イラストや衣装制作まで自身で行う。19年には、ビクターエンタテインメントからメジャー5thアルバム「あかりおねえさんのニコニコ♡へんなうた」をリリース。20年10月に、日本コロムビアから初のカバーアルバム「それゆけ！電撃流行歌」を発売。ほか、アーティストへの楽曲提供も行う。映画「男はつらいよ」と昭和歌謡曲、そして文鳥を愛する。最新アルバム「総天然色痛快音楽」が好評発売中。
★公式WEBサイト：https://mcakr.com
★公式Twitter：https://twitter.com/mcakr
★公式YouTube：https://www.youtube.com/channel/UCOY4XPB9BnFfkl_br8snMkQ
★Podcast：https://open.spotify.com/show/1QNJ7NgOdrOqVUMXfirD2m?si=2k0SOAYrTDa46Cn02lMrCQ
関連リンク
この記事をシェアする
