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「テセウスの船」「恋はつづくよどこまでも」上位独占! 1~3月冬クールのドラマ録画視聴ランキングはTBSの圧勝2020/04/28

 今回は、1~3月に放送された冬クールの連続ドラマから、関東約43万台超の東芝レグザ視聴データを基に毎週発表している「録画視聴ランキング」で振り返る恒例企画。あなたのお気に入りドラマはどのくらい支持されていたのか。世帯視聴率だけでは分からないドラマファンの視聴動向を探っていこう。

 まずは1~3月冬クールに放送された地上波の連続ドラマの放送回ランキングと、全話の平均値ランキングをまとめて見てみよう。ポイントは1位を100とした場合の割合を表している(なお集計期間の都合上「絶メシロード」は第8話までの集計である)。

 表を見ていただければ一目瞭然、今年の1~3月は「テセウスの船」と「恋はつづくよどこまでも」のクールだったと言っていいだろう。放送回ランキングでは上位ベスト20を両ドラマが独占しており、平均値ランキングでも3位以下を大きく引き離している。ただ、ランキングの動きに着目すると、2作品の推移の仕方はかなり違う。

 「テセウスの船」は“TBS日曜9時”という枠の強さもあり、初回から好調でその後も順調にポイントを伸ばした。次第に謎が深まるストーリーとともに高い伸び率でポイントをアップしていき、このままトップでフィニッシュを決めるかと思ったが、第2部に入った第7話で少々ポイントを落とし、その後もポイントを伸ばせなかった。日曜の在宅率が上がり、リアルタイム視聴が増えたのが要因かもしれないが、TBS日曜9時枠ドラマとしては珍しい動きだ。

 代わって第7話からグイッと数字を上げたのが「恋はつづくよどこまでも」である。第7話といえば、すっかり佐倉七瀬(上白石萌音)に心を許した天堂浬(佐藤健)のデレ全開もつかの間、イケメン御曹司・上条周志(清原翔)の登場でひと波乱?…という神回で、ここから「恋つづ」が「テセウス」を抜いてトップに立つ。SNSでの盛り上がりも受けて首位を独走。勢いからしてこのまま最終回まで突っ走るだろうと思っていたら、最後の最後で「テセウスの船」の最終回がトップを奪い返すという劇的な展開となった。黒幕の正体には賛否両論あったが、謎解きの興味で最後まで引っ張った力は認めざるを得ないだろう。同時に“医療モノ”と“お仕事成長物語”と“ツンデレ胸キュンラブストーリー”の3要素を高いレベルで満たし、TBS火曜10時枠の本領を発揮した「恋はつづくよどこまでも」も、長く記憶に残るドラマとなった。

 続いてこちらも恒例の「ドラマ継続率(最終回のポイントを初回のポイントで割った割合)ランキング」による分析である。初回より最終回のポイントが高い(=最終回継続率が高い)ということは作品内容に対する満足度が高い傾向にあるのではないかという仮説に基づき、各ドラマへの満足度を検証する試みだが、1~3月冬クールの「ドラマ継続率」のランキングは以下のようになった。

 これはもう驚くべき結果というしかない。通常この「ドラマ継続率ランキング」というのは、録画視聴の数自体は少なくても、放送を重ねるうちに支持を集めたドラマを発見するためのものなのだ。なのに、1位に「恋はつづくよどこまでも」、2位に僅差で「テセウスの船」と、初回から最終回まで10週連続でワンツーフィニッシュを決め、「平均値ランキング」でも3位以下を大きく引き離した2作品が、「継続率ランキング」でも大差でトップ2を独占しているのである。つまり上位2作品といえど初回の数字はさほど高いものではなく、両作品とも回を重ねるに従って次第に評価が高まった、内容が大きく支持されたドラマだったということである。すなわち(極端にいえば)1~3月冬クールはこの2作品以外に、内容で支持されたドラマはほとんどなかったということである。実際、最終回継続率が100%を超えた(=初回より最終回を録画視聴した人が多い)ドラマは33本中、たったの8本。しかも4~8位はほぼポイントが横ばいでお世辞にも大きく支持されたとは言い難い。はっきりポイントを上げたと言えるのは、上位の2本を除くとテレビ東京の小泉孝太郎主演「病院の治しかた~ドクター有原の挑戦~」の1本だけである(このドラマは確かに小粒ながら面白かった。レグザユーザーの目の確かさには驚かされる)。


 3月に入り社会環境の変化が目まぐるしく変わり、ドラマも視聴者も多かれ少なかれその影響を受けたことは確かだが、やはり「恋はつづくよどこまでも」と「テセウスの船」の2本のみが際立った3カ月だったと言わざるを得ない。片や「本格的SFミステリー&ホームドラマ」、片や「正統派少女マンガ的お仕事ラブストーリー」とジャンルは異なるが、どちらも昨今のヒットドラマの方程式を外した作品であり、同時に小手先ではない王道感がある。TBSドラマの好調はしばらく続くことになるのだろうか。

 4月以降のドラマがどういった形で放送されていくのかは正直まだ分からないが、こんな時、家にいて手軽に楽しめることがテレビの良さであり役割でもある。今後もテレビの賢い楽しみ方を紹介していくので、一緒に頑張りましょう。

TEXT:武内朗
提供:東芝映像ソリューション株式会社

武内朗(たけうちあきら)

TVアナリスト。東京ニュース通信社にて「TVガイド」「TV Bros.」編集長ほかを歴任。現在、株式会社ニュース企画代表。好きな言葉は博覧強記。3大フェイバリットコンテンツは、ビートルズ・ナイアガラ・魔法少女まどか☆マギカ。

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