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「世にも奇妙な物語」配信に広がる「奇妙」ワールドの未来とは? レジェンド・小椋監督&髙丸Pインタビュー【後編】2026/11/01 12:00

「世にも奇妙な物語」配信に広がる「奇妙」ワールドの未来とは? レジェンド・小椋監督&髙丸Pインタビュー【後編】

 FODで毎月オリジナル新作を独占配信しており、話題となっている長寿ドラマシリーズ「世にも奇妙な物語」。今回の「FODの特別編」の仕掛け人の1人である共同テレビの髙丸雅隆プロデューサーと、「奇妙」を初期から支えてきたレジェンドクリエイター・小椋久雄氏へのインタビューをお届けする。前編に続く後編では、FODで「奇妙」を配信する意義や、小椋氏の新作(「世にも奇妙な物語 FODの特別編」第5編「メモリアー母の記憶ー」/10月31日から配信中)についてなどの話を聞いた。

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「FODの特別編」にレジェンドが再集結!

――「FODの特別編」がスタートしたのはどのような経緯だったんでしょうか?

髙丸 「はい。これはFODさんのオリジナル作品として、共同テレビでも最近『東京P.D. 警視庁広報2係』のシーズン2を作りましたけれども、その中で『奇妙』を毎月1本ずつやるのはどうでしょうかとご提案を受けました」

――作品と配信の相性というのはどうお考えですか?

髙丸 「時代的にも配信に行くというのはいいことかなと。毎月作るのは大変そうだなとは思いましたけれども(笑)」

――それから今回、小椋さんを含めてかつてのレジェンドクリエーターの方々が集結するというのも、ファンにとってはうれしい報せでした。

髙丸 「FODで新しいことを始めるということですから、やはり“スゴイ!”と思ってほしくて。何をやったらそうと思われるかなと考えてお声がけしました」

――落合正幸さん、星護さん、鈴木雅之さん、そして小椋久雄さんがいわゆる四天王といわれていますが、すでに配信第1弾の「明日から来た男」で、落合監督が14年ぶりに復帰して話題になっています。小椋さん、今回久しぶりの「世にも奇妙な物語」はいかがでしたか?

小椋 「そうですね。今回は脚本も書きまして」

――脚本は「奇妙」では初めてですか?

小椋 「クレジットに脚本として出るのは初めてですね。まあ、今回は企画から脚本まで全部自分で携わらせていただいたんで、それはちょっと面白い経験でした。こんな企画がありますって髙丸さんにプレゼンして、何個か選んでいただいて。脚本を書いて意見を返していただいて、また書き直してって感じで。楽しかったですね」

――「奇妙」のために温めている企画というのはいくつもあるんですか?

小椋 「はい。いくつかあります。今1番やりたい企画は、ちょっと短すぎて……これ大丈夫かなと(笑)」

長寿の秘密は時代に合わせた“進化”

――今回の「メモリアー母の記憶ー」というのは、どのような作品でしょうか。

小椋 「記憶にまつわる物語です。記憶にまつわる『奇妙』というと、小堺一機さんが出演した『思い出を売る男』という作品があって(94年10月放送)。自分の血液を売ってお金に換えるというのが昔あったじゃないですか。それの記憶版ですね。自分の思い出や記憶を売ってお金に換える。それで今回は髙丸さんとも相談して、記憶を売る側の不幸の先をやろうと。その先をやらないと新しい『奇妙』じゃないよねということで、売る側だけじゃなくて、記憶を買う側の気持ちを描いてみようと発想しました」

「世にも奇妙な物語」配信に広がる「奇妙」ワールドの未来とは? レジェンド・小椋監督&髙丸Pインタビュー【後編】

――なるほど。同じテーマで進化していくというか、先に進んでいくというのは面白いですね。長い歴史を持つ番組ならではの試みだと思います。未来を空想していくというか。

髙丸 「それでいうと今回9月に配信した『人権逆転裁判』というのがあるんですが(FODで配信中)、これはAIスピーカーが殺人を犯したとして裁判にかけられるという話で、今の時代のAI、最先端のテーマを扱えていると自負しています」

――そういうチャレンジが大切ですね。

小椋 「今の『奇妙』の難しさってね、例えば昔はタイムスリップとかそういうSF的な、ヘンテコリンな設定は『奇妙』の専売特許だったんですよ。今はほかのドラマでもそういう設定が普通に出てくるでしょ。タイムスリップとか、人が入れ替わっちゃうとか、当たり前になってきている。しかも今は現実に起きていることでも奇妙なことがたくさんあるので、そのあたり『奇妙』の制作は大変だなと思いますね」

――それは確かにありますね。毎クール2、3本は、人が入れ替わったり、タイムスリップしたりしています。

小椋 「視聴者側もそれに慣れてきていますから。そこは難しいですね」

――今後、小椋さんが『奇妙』でやってみたいテーマはありますか?

小椋 「さっきもちょっと言いましたけど、ナンセンスなというか、ドラマとしてしっかりしていないやつ。なんかもうこれペラペラじゃん! っていうような、これ誰が撮ったの? っていうようなのをやってみたいですね。たぶん私『奇妙』の演出では最高齢になると思いますけど、一番高齢の人がこのペラペラなのを撮ったらしいよっていうのもまた『奇妙』らしくていいかなと(笑)」

――いいですね。これはぜひ髙丸さんにもご検討いただいて!

髙丸 「はい。検討します(笑)。今回のFODもそうなんですが、地上波の特別編でも、やはりホラーがあって、ヒューマンがあって、ナンセンスなものもあってという多様性が大事だと思います。ラインアップ自体に役割があるといいますか。『FODの特別編』でも4本、5本と本数がたまってくると、どこかでナンセンスなものも見てみたいなとか。ものすごくホラーっぽいものもまだ入っていませんしね。そういうバランスが『奇妙』っぽさなのかなと思います」

――ありがとうございます。最後にお二人に伺います。「世にも奇妙な物語」の魅力とはなんでしょう?

小椋 「最初にわれわれが目指した原点に回帰するような話になりますが、誰でもちょっとドアを開けたら入ってしまうような、それが『奇妙』の世界なんですね。夢の世界というかな。そういうコンセプトはずっと守られていくべきだし、お客さんもそれが見たいんじゃないかな。ちょっと呼び止められたら自分も入ってしまうかもしれない、そんな身近な奇妙な世界。そういうものを目指していけば喜んでいただけるんじゃないかと思います」

髙丸 「先ほど小椋さんも言っていましたが、僕も痛感しているのはほかの普通のゴールデンのドラマがどんどん“『奇妙』化”しているといいますか。そういう中で自分たちはいかに『奇妙』としてあり続けるのか? ということを常に考えています。その一方で、すごいことをやらなければならないと思いすぎて、今、小椋さんが言ったドアを開けた先のほんの少し違う世界、というところから離れてしまってるんじゃないかということにも気を付けています。私ももうずいぶん長くやってきているので、自分は自分の『奇妙』をやりつつ、若い人と組むときには若い人が考える今の『奇妙』をやってほしいなと思いますね。とにかくバリエーションの豊富さと、扉を開けた隣の世界というコンセプトを忘れないようにしたいですね」

――若い方々はやはり『奇妙』に対する憧れのようなものを持って入ってくるのでしょうか?

髙丸 「ありがたいことに『世にも奇妙な物語』がやりたくてこの業界に入りましたという話を聞いたこともあります(笑)」

――おーっ、すごいですね。

髙丸 「子どもの頃から見ていましたって言いますね。これは俳優さんたちもそうで、『子どもの頃見ていてずっと出たいと思ってたんです、やっと出られました』って言ってくれる人がたくさんいるので。35年やっているということは、35歳、40歳の人が小さいときに見ているということですからね。それはやはり長くやっていて、非常にありがたいことだなあと思います。」

――今後の「奇妙」もぜひ楽しみにしたいと思います。今日はありがとうございました。

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【プロフィール】
小椋久雄(おぐら ひさお)
「世にも奇妙な物語」のレギュラー放送記念すべき第1回・3エピソード目「楊貴妃の双六」(90年4月放送。FODで配信中)をはじめ、「懲役30日」(98年9月放送)、「逆男」(99年9月放送。FODで配信中)などの演出を担当。プロデューサーも務めた。ほかの演出作品に「白鳥麗子でございます!」「チャンス!」などがある。

髙丸雅隆(たかまる まさたか)
「世にも奇妙な物語」シリーズ開始当初は助監督として携わり、のちに「親切成金」(99年3月放送)や「ニートな彼とキュートな彼女」(2014年4月放送)などの演出を手掛ける。ほかのプロデュース作品は「ストロベリーナイト」シリーズ、「ばらかもん」ほか。

【コンテンツ情報】
「
世にも奇妙な物語 FODの特別編」(全12編)
FOD
第1~5編配信中(以降、毎月最終土曜午後9:00に最新話を配信)
※過去の「世にも奇妙な物語」も一部エピソードを配信中。

「世にも奇妙な物語」配信に広がる「奇妙」ワールドの未来とは? レジェンド・小椋監督&髙丸Pインタビュー【後編】

文/武内朗

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