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「世にも奇妙な物語」長寿シリーズ誕生の裏側! レジェンド・小椋監督&髙丸Pインタビュー【前編】2026/10/30 12:00

「世にも奇妙な物語」長寿シリーズ誕生の裏側! レジェンド・小椋監督&髙丸Pインタビュー【前編】

 1990年に1時間番組としてスタートし、レギュラー放送が終了してからも「特別編」として毎年放送され続けてきた日本を代表する長寿ドラマシリーズ「世にも奇妙な物語」が現在FODで毎月オリジナル新作を独占配信しており、話題となっている。

 そこで今回の「FODの特別編」の仕掛け人の1人である共同テレビの髙丸雅隆プロデューサーと、「奇妙」を初期から支えてきたレジェンドクリエーター・小椋久雄氏に話を聞いた。

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シリーズの原点は実験精神だった

――まず小椋さんにお聞きします。小椋さんは「世にも奇妙な物語」の番組立ち上げから参加していると伺いましたが、前身の「奇妙な出来事」から関わっていたということでしょうか?

小椋 「いえ、私はその時期別のドラマをやっていて『奇妙な出来事』には関わっていないんです。そのちょっと前の89年夏に「フローズンナイト〜凍てつく真夏の夜〜」という単発ドラマがありまして、これは左とん平さん演じるタクシー運転手が青山墓地(青山霊園)で洞口依子さんが扮(ふん)したお客さんを乗せて、その客がタクシーの中で怖い話を三つしてあげるって言って、それがドラマになっているというもので。私はその中の1話とタクシーの部分を撮りました」

――オムニバスでさらにストーリーテラー的な人物もいてということは、後の「世にも奇妙な物語」の原形がほぼ出来上がっていたんですね。これは存じ上げませんでした。

小椋 「まあ前例ということでは海外の作品でも類似するパッケージの番組もありましたからそれを参考にして。とにかくああいう実験的なドラマを作ってみようよ、ということで、みんなで作った感じでした」

――なるほど。それで「世にも奇妙な物語」としてゴールデンで放送が始まった時にまた招集されたというわけですね。

小椋 「そうです」

――「世にも奇妙な物語」というとストーリーテラーのタモリさんの印象が強いです。

小椋 「長くやっていただけてありがたいですね。タモリさんが出演する部分のアイデアを考えるのは毎回楽しかったです」

――オープニングのCGとテーマ曲(「ガラモンソング」)もインパクトがありました。このタイトルバックも小椋さんが手掛けていらっしゃいます。

小椋 「そうですね。今から見ると初歩的なCGなんですけど、たぶん日本のドラマで初めてモーフィングCGを使ったんじゃないかと思います。モーション・コントロール・カメラっていう大きな機材を使って撮った覚えがあります。今ならコンピューターで簡単にできるけれども」

――そうしたCGなども含めて、やはり当時はこういうタッチのドラマは少なかったのですね。

小椋 「たぶん『奇妙』だからできたという部分はあると思います。ほかのちゃんとしたドラマ……なんていうと『奇妙』に失礼だけど(笑)――ほかのドラマに比べて『奇妙』は敷居が低かったんです。『奇妙』だから何でもやろうよ、みたいな。いきなり新人の脚本家が来ても、ドラマをあまり撮ったことがないディレクターが来ても、面白いからやらせてみようよっていうのもあって。なんていうんですかね、そういうフットワークの軽さが『奇妙』を広げていった気がします」

北川悦吏子、岡田惠和らも輩出した“登竜門”

――ここから新しく出てきた作家の方も多いですよね。

小椋 「そうですね。北川悦吏子さんとか中園ミホさんとか、戸田山雅司さんとか、あと岡田惠和さんとか。面白い作家がいるみたいじゃない? じゃあお願いしてみようよって頼むというようなことが多かったですね」

――まさに登竜門ですよね。

小椋 「演出もそうです。CMのディレクターだとか、バラエティーを作ってる人とか、いろんな人が入ってきて。そこが『奇妙』の敷居の低さというか、もちろん怖い話とか、ホラーとか、SFとか、ファンタジーもあるんですけど、ナンセンスなものとか、これって落語だよね! みたいなものとか、プラットフォームとしてすごく自由なんですよ。こんなの『奇妙』じゃないよ、というのがない。そんな番組ってほかにあんまりないですよ」

――髙丸さんにお伺いしますが、今、小椋さんがおっしゃったような「奇妙」の一つの特徴、トライする精神のような部分というのは、今でも引き継がれていますか?

髙丸 「引き継がれているんですけど、時代の流れで変わってきているところもあって……。最初の頃の『奇妙』って1時間枠で3本なので1本15分。正味12~13分くらいのものもあると思います。それが、今僕が担当している地上波の特別編だと割と長くなって1本25分くらいのものが多いんです。15分だと結構勢いで行けるんですが、25~30分くらいになるとさすがにね。もちろん、尺を短くして本数を増やす可能性も今でもなくはないのですが……」

小椋 「そうなんだよね。15分だとひとネタでできちゃうというか、どんでん返しが1回あって終わり! みたいなのができたんだけど」

髙丸 「さすがに30分くらいになると、起承転結がちゃんとしていないと見られないですから」

小椋 「ドラマ寄りにしていかないとキツいよね(笑)。昔『生き蟹』というエピソードがありましてね(90年8月放送)。2軒の家が生きたカニを買って、隣の家は食べるんだけど、もう1軒の方はかわいそうだからって生かしとくんですね。で、隣の家は火事で燃えちゃうんだけど、生かした方の家はカニが泡を吹いて火を消すという(笑)。カニの恩返しのようなナンセンスな話なんですけど、これも15分だからできるんで。30分だとちょっと持たない(笑)」

――尺の長さがドラマの内容にも影響するんですね。具体的に個々のエピソードを作る時のプロセスはどのような形で始まるんですか?

小椋 「その時、ちまたではやっているもの、例えばポケベルがはやっていたらポケベルで一つ作ろうかとか、そういうことはありました。世相を取り入れていく。それから逆に『奇妙』が現実を追い越していくというのかな、かつて『バーチャル・リアリティー』という話があったんですが(91年10月放送)、そのころ実際にバーチャル・リアリティーを見せる装置はまだできていなくて。30年経ったら出てきましたからね。『奇妙』では架空だったものが現実になっているということはいくつもありますね」

――すでにいくつか挙げていただきましたが、小椋さんが個人的に印象に残っている「奇妙」のエピソードはありますか?

小椋 「星護くんっていう後輩がいるんですが、彼の作品は好きですね。特にジュディ・オングさんの『女優』というのは名作だと思います(91年5月放送)。あとは落合(正幸)監督。『映画の特別編』(00年11月公開)の『雪山』は怖いホラーで、よくできていると思います。私はね、いつもその2人に挟まれて(笑)。星くんはちょっと尖ったもので、落合くんがホラー。そうすると私はヒューマンドラマに行くしかなくなっちゃうんですよね。『幸福の選択』(90年10月放送)や『結婚シミュレーター』(『映画の特別編』)とかね」

――確かに小椋さんはそういった心温まるエピソードが多いイメージがありましたが、そういう事情がおありだったんですね……。

小椋 「いやいやホラーも撮りましたけどね……。あと私が撮ったものでは石田純一さん主演の『熊の木本線』(96年1月放送)がかなりヘンテコリンです。ジャンル分けできない『奇妙』さです」

――髙丸さんは印象に残るエピソードはありますか?

髙丸 「自分が演出した作品だと『7歳になったら』(12年4月放送。FODで配信中)でしょうか」

「世にも奇妙な物語」長寿シリーズ誕生の裏側! レジェンド・小椋監督&髙丸Pインタビュー【前編】

――あれ怖いですよねー。

髙丸 「若い世代の社員に『子どもの頃に見て怖かったです』と言われます(笑)。あとは『相席の恋人』という宇津井健さんに出ていただいたものですかね(12年10月放送)。個人的には恋愛系の『奇妙』というのを若干切り開いたかなと思っています」

(近日公開予定の後編に続く)

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【プロフィール】
小椋久雄(おぐら ひさお)
「世にも奇妙な物語」のレギュラー放送記念すべき第1回・3エピソード目「楊貴妃の双六」(90年4月放送。FODで配信中)をはじめ、「懲役30日」(98年9月放送)、「逆男」(99年9月放送。FODで配信中)などの演出を担当。プロデューサーも務めた。ほかの演出作品に「白鳥麗子でございます!」「チャンス!」などがある。

髙丸雅隆(たかまる まさたか)
「世にも奇妙な物語」シリーズ開始当初は助監督として携わり、のちに「親切成金」(99年3月放送)や「ニートな彼とキュートな彼女」(2014年4月放送)などの演出を手掛ける。ほかのプロデュース作品は「ストロベリーナイト」シリーズ、「ばらかもん」ほか。

【コンテンツ情報】
「
世にも奇妙な物語 FODの特別編」(全12編)
FOD
第1~4編が配信中(以降、毎月最終土曜午後9:00に最新話を配信)
※過去の「世にも奇妙な物語」も一部エピソードを配信中。

「世にも奇妙な物語」長寿シリーズ誕生の裏側! レジェンド・小椋監督&髙丸Pインタビュー【前編】

文/武内朗

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