「ブラッサム」主演・石橋静河を見守る松たか子「ドラマの中で出会えることを祈っています」2026/09/28 08:15

NHK総合ほかで放送中の連続テレビ小説「ブラッサム」は、明治から昭和にかけて激動の時代を生き抜き、自由を追い求め続けた作家・宇野千代をモデルにした物語。結婚や離婚、震災、戦争、倒産、借金など度重なる逆境に直面しながら、そのたびに「幸せのかけら」を見つけ出して前を向く主人公・葉野珠(石橋静河)。小説家になる夢を諦めることなく、一流作家へと成長する姿を描く。
本作では若き日の珠の奮闘ぶりを描きながら、ドラマの折々に85歳の珠(加賀まりこ)が登場する。人生に懸命に挑み続ける珠は80歳を超えてなお現役作家として第一線に立ち、創作への情熱を燃やしている。そんな彼女を公私にわたって支えるのが、松たか子演じる秘書の藤川優子だ。珠の傍らに寄り添い続ける優子の存在が、物語にどのような彩りと奥行きをもたらすのかが見どころの一つでもある。

このたびは、朝ドラ初出演となる松に、共演する石橋や加賀への思い、優子の人物像や役柄へのアプローチについて聞いた。
――初めて朝ドラに出演される心境、また意気込みをお願いします。
「朝ドラへの出演は思いがけないことでしたが、85歳の珠さんを加賀まりこさんが演じられると聞いて不思議な巡り合わせを感じました。加賀さん演じる珠に寄り添いながら、主演の石橋さんを陰ながら応援できたらと思っています。華やかでありながらチャレンジングな作品ですし、ブラッサムの一員になれたことをうれしく思います」
――どんな点がチャレンジだと思われますか?
「宇野千代さんをモデルにした作品ということで、史実をベースにしながらもオリジナルのエピソードが描かれていきます。一方で結婚を何度も経験したり、個性豊かな男性たちとの出会いを重ねながら、自分らしく生きる女性像を朝ドラで描くのはチャレンジだと感じます。だからこそ、うわべだけではない珠の生きざまや人間的な魅力が伝わっていくことが楽しみです」
――朝ドラでは、テーマソングを担当されたことがありましたね。
「『わろてんか』でテーマソングを担当させていただきました。笑いをテーマにした物語でしたが、時代背景もあって登場人物たちが涙を流す場面も少なくありません。それでも前を向き、笑いを追い求めていく。そんな“泣き笑い”の世界観を思い描きながら歌詞を書く時間はとても楽しく、自分にとっても貴重な経験になりました」
――実際に撮影に参加して、朝ドラのイメージは変わりましたか?
「1年という長い時間をかけて一人の役を演じるのは、本当に大変なことだと以前から思っていました。さらに、実際に参加してみてわかったのは、想像以上に多くの方々が制作に携わっていること。初回の顔合わせから多くのスタッフの皆さんが集まっていて、その規模感に驚かされました。これだけの人たちが一つの作品に力を注いでいるのかと。朝ドラに懸ける熱量を肌で感じました」
――主演の石橋さんとは他の作品でも共演されていますが、本作でも再び共演される運びとなりました。
「偶然にも近い時期に共演が続くことになったのですが、だからこそ石橋さんの邪魔をすることなく見守ることができたらなと。朝ドラの主演というのは本当に晴れやかで特別なお仕事ですし、その大役に石橋さんが決まったことをとても喜ばしく思いました。彼女の主演作に参加できることが光栄です。共演が重なるのも何かの縁ですし、この巡り合わせを自然に受け止めたいですね。今の石橋さんは『ブラッサム』の撮影に真摯に向き合い、自分のやるべきことに集中している。その姿を応援したい気持ちがあります」

――石橋さんの俳優としての魅力やお人柄について、どのように感じていらっしゃいますか?
「彼女の魅力については、私が語るよりもお芝居を見た皆さんが感じ取ってくださるでしょうし、これからさらに大きく花開いていくのではないでしょうか。とても頼もしく、落ち着きがあって、懸命に言葉を探しながら自分の思いを伝えようとする真摯(しんし)な一面があると思います。その反面、無邪気にはしゃいだり、思い切り弾けたりすることが好きな人にも思えます。『ブラッサム』のタイトル映像のように、どこまでも自由に駆けていく姿は魅力的です」
――石橋さんに今メッセージを伝えるとしたら、どんなことを伝えたいですか?
「朝ドラの主演ですから、私には想像も及ばない重圧や責任を背負いながら、日々撮影に向き合っているに違いありません。本人は『今は折り返し地点』だと話していましたが、珠の人生にはまだこれから多くの試練が待っています。そんな彼女のことを思うと、今はただ見守り、会った時に彼女の目を見て応援することくらいしかできません。ただ、もしこの先に、ドラマの中で石橋さんが演じる珠と出会う機会があるなら、その時にはきっと今よりさらに強く、たくましく、美しくなった彼女と向き合えるはず。そう考えると、今からとても楽しみです」

――85歳の珠を演じる加賀さんとは過去にも共演されていらっしゃいますが、これまでの印象や尊敬しているところなど、お聞かせください。
「加賀さんと前回ご一緒したのは、もう20年以上前のことになります。本当に久しぶりの共演ですが、率直なお人柄やふとした瞬間に見せるチャーミングな一面は今もまったく変わりません。本音で向き合わなければと思わせてくれる方です。表面的な言葉で取り繕ってもすぐに見透かされてしまいますね。今もなお、さまざまな舞台をご覧になったり、新しいものに触れ続けたり、とても勉強熱心な方です。学ばせていただくことが本当に多く、見習いたいところばかりです」

――松さんが演じる優子は珠の秘書という役柄ですが、どんな人物でしょうか?
「常に珠さんのそばにいる存在ですが、珠さんは優子に何もかもを委ねているわけではないんです。むしろ、珠さんが『すてきね』『きれいね』『うれしいね』と心を動かされた瞬間、その思いに共感する役割を担っていた人なのかなと感じます」
――一番近くにいる優子の共感は、珠も心強かったでしょうね。
「珠さんを一人にしないという意味で支えていることもありますが、それ以上に同じ景色を見て『すてきですね』と共感できることに、優子自身も喜びを感じていたのではないでしょうか。秘書という立場を楽しみ、その役割にやりがいを感じているからこそ、珠さんも信頼を寄せていたんでしょうね」

――優子と珠の関係性を、松さんはどのように捉えていますか?
「優子は秘書として珠さんに寄り添いながら生きていきますが、そのことをマイナスに捉えたり、何かを諦めた人生だとは感じていないはずです。むしろ、自分一人では見られなかった景色や経験できなかった時間を珠さんから共有してもらっている。そんな憧れや喜びを感じながら、珠さんのそばにいたんじゃないかなと。だから、自分を犠牲にしているという感覚ではなくて、珠さんの人生に自分を重ね合わせて、一緒に夢を見ていたのではないでしょうか」
――珠と優子ならではの、すてきなバディ感ですね。
「陰で支える存在だからといって遠慮がちに控えているというより、『珠さんのそばにいることが好きなんです』という気持ちが根底にある人。そうした思いを大切にしながら、珠さんを支えつつ、その時間を楽しんでいる優子を演じられたらと思っています」
――ありがとうございました。珠の人生を誰よりも近くで見守る優子が、物語の中で今後どのような役割を担うのか、そして石橋さん演じる珠との出会いは果たせるのか。今後の展開に注目しています。
【プロフィール】
松たか子(まつ たかこ)
1977年6月10日生まれ、東京都出身。1993年に女優デビューし、ドラマ、映画、舞台、音楽活動と幅広い分野で活躍。近年の主な出演作は、ドラマ「スロウトレイン」(2025年/TBS系)、映画「ファーストキス 1ST KISS」(2025年)、映画「ラストマイル」(2024年)など。
【番組情報】
連続テレビ小説「ブラッサム」
NHK総合
9月28日スタート
月~土曜 午前8:00~8:15 ※土曜は1週間の振り返り
NHK BS・NHK BSプレミアム4K
月~金曜 午前7:30~7:45
※NHK ONEで同時・見逃し配信
取材・文/K・H
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