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「ブラッサム」石橋静河、宇野千代から受け取る自由に生きる強さ「自分も日々たくましくなっている」2026/09/26 07:00

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「ブラッサム」石橋静河、宇野千代から受け取る自由に生きる強さ「自分も日々たくましくなっている」

 9月28日にNHK総合ほかでスタートする連続テレビ小説「ブラッサム」(月~土曜午前8:00ほか)で、主人公・葉野珠を演じる石橋静河。作家・宇野千代をモデルにした珠は、明治、大正、昭和を駆け抜けながら、自らの意思で人生を選び取っていく女性だ。

 撮影開始から約半年。石橋は、宇野の著作や残された言葉に触れながら珠と向き合い、圧倒的な撮影量が続く日々の中で「自分が日々たくましくなっている」と実感しているという。「ブラッサム」というタイトルへの思い、宇野の言葉から受け取ったもの、国仲涼子、渡部篤郎ら共演者との芝居、そして一人の女性の長い人生を演じる面白さについて聞いた。

「ブラッサム」石橋静河、宇野千代から受け取る自由に生きる強さ「自分も日々たくましくなっている」

――まず、石橋さんが演じる葉野珠をどんな人物だと捉えていますか。

「珠は好奇心旺盛で、『こうしてみたい』と思うと、次の瞬間には行動に移しているような人です。今も女性が完全に自由に生きられる時代ではないと思いますが、さらに100年ほど前、もっと女性がさまざまな役割を押し付けられ、自由がなかった時代にそれをしていた。そのたくましさに、私もいつも勇気をもらっています」

――宇野千代さんをモデルにした人物を演じるにあたり、どんな準備をしましたか。

「撮影が始まる前に友達と山口の岩国へ行って、生家に訪れ、千代さんに関する展示を見ました。『ここに千代さんが座っていたのよ』『ここがお父さんの部屋だったのよ』と、ボランティアの方々がものすごい熱意で教えてくださって。皆さんも千代さんなのかなと思うぐらい、生き生きとしていたのが印象的でした。あとは、千代さんが残されたエッセーや小説を読ませていただきました」

――宇野さんを知るほど、見えてきた魅力もありそうですね。

「本当に語り尽くせない魅力にあふれた方。エッセーや作品を読んだり、洋装や和装など、さまざまな姿で写っている写真資料を見たりすると、どれもすてきで、はつらつとしていて。時代を超えた友達ができたような気持ちでいます」

――そんな宇野さんから、珠という人物に特に受け継ぎたいと感じているものは?

「自分の人生を自分で選び取り、『自分はこれをしたい』ということを選び続けてきた。それがとても難しい時代に、選び続けたところを尊敬しています。自由ではなかったからこそ、自ら自由を獲得していった。その強さを珠として伝えていきたいですし、珠の姿を見て『私ももう一歩、勇気を持って進んでみようかな』と思っていただけたら。そういうふうに届くことを願いながら、日々撮影しています」

――タイトルの「ブラッサム」については、どんな印象を持っていますか。

「『ブラッサム』って、語感というか、口にした時に口元が笑顔の方に開く感じがして好きです。千代さんは数々のポジティブな言葉を残していますが、それが生まれたのは、実はどん底にいる時だったり、厳しい目を向けられている時だったりする。そういう時にこそ明るさを持って生きる姿にも、心をひかれます」

――石橋さん自身、撮影中に千代さんの言葉に支えられることも?

「あります。千代さんが『ご気分はいかがですか?』と聞かれると、いつも『最高です』と答えていたという話があって。骨折して入院している時も、そうおっしゃっていたそうなんです。自分を『最高です』と言える状態まで持ち上げていくって、すごいことだなと思って、私も言ってみようと思いました」

――実際に「最高です」と口にして、難しさもありましたか。

「調子がいい時はさらっと言えるんですけど、疲れていたり、落ち込んでいたりする時はなかなか言えない。やってみて、あらためて千代さんのすごさを感じました。『最高です』ってどういう意味なんだろうと考えると、とても深いものがあると思うんです。疲れた時でも、自分で『最高です』と言える状態を選べばいいんだということを、今回千代さんから学びました」

――日々の撮影で、気持ちを切り替えたい時はどうしていますか。

「千代さんのエッセーを読むことが一番です。とても明るい気持ちになれるんですよね。千代さん自身が一番楽しんでいる姿を見ると、こちらも勇気をもらえる。『もっといける、もっと頑張れる』と思います」

――「半分、青い。」(2018年)以来の朝ドラ出演です。当時と比べて、今回は現場での立場も大きく変わりますね。

「『半分、青い。』に出演させていただいた時は、まだドラマというものに全然慣れていなくて、ただ撮影についていくのに必死で、あっという間に終わってしまった記憶があります。今回は最初から最後までいるので、途中から現場に入られるキャストさんの緊張も感じます。現場の空気はすでにでき上がっていますし、皆さんそれぞれの思いを持って来られるので。なるべく新しく入られた方がリラックスして撮影に臨める空気にしたいと思いながらやっています」

――半年ほど撮影を続けてきて、朝ドラ主演ならではの大変さも感じますか。

「大変なのは、やっぱり撮影量ですね。今までの主演の方々はすごいなと思いながらやっています。次から次へといろいろなシーンを撮る毎日で、最初は圧倒されました。でも、一つのシーンを終えたら気持ちを新たにして、また次へ進む。その繰り返しは、この環境だからこそ学べることだと思います。何を得ているのかは、まだ言葉にできないですし、やり終えてみないと分からない。でも、自分が日々たくましくなっているのは感じています」

「ブラッサム」石橋静河、宇野千代から受け取る自由に生きる強さ「自分も日々たくましくなっている」

――ここまでの撮影で、特に心に残っているのは?

「家族のシーンには、とても美しい瞬間がたくさんありました。国仲涼子さん演じる継母・リョウさんや、渡部篤郎さん演じる父・清治さん、きょうだいたちとの場面で、皆さんのお芝居に心をぐらぐらっと動かされる瞬間がたくさんありました」

――国仲さん演じるリョウさんは、珠の背中を押す存在でもあります。

「最初の頃、清治さんがいる時のリョウさんは控えめで、清治さんの言うことが絶対。それに従っているお母さんという印象なんです。でも、珠の背中を押すリョウさんを見た時に、『誰よりも強い人なんだな』と感じました。その時代を生きる女性の強さも感じましたし、国仲さんが本当に魅力的に演じられていて。特に珠の背中を押すシーンでは、国仲さんが“爆弾”を持ってきたと感じるぐらいのパワーだったんです」

――“爆弾”というのは、どういう意味でしょう。

「珠に対する“愛情の爆弾”というか、全肯定というか。『あなたは私の娘だ。私はあなたをすべて肯定する』という母の強さに圧倒されて、もうお芝居という感じがしなかったですね。本当に素晴らしい瞬間を作ってくださいました。実際に現場で向き合うと、自然と自分の中にあるものを引き出されていくような時間でした」

――一方、渡部篤郎さん演じる父・清治は強烈な人物です。父娘の関係をどう考えていますか。

「千代さんが『ドストエフスキーの小説に出てくる狂人のようだった』と書かれているような、強烈なお父さまなんです。珠から見ると、もちろん厳しいし、怖い。でも、そこに父の孤独や悲しそうな後ろ姿を感じて、『もっと知りたい』『理解したい』『何を考えているのか教えてほしい』という思いも強くある。その気持ちを意識しながら演じました」

――実際に渡部さんが演じる清治と向き合って、いかがでしたか。

「脚本を読んでいて、清治さんは本当に難しい役だと思いました。でも、渡部さんの目はとても優しかったんです。そういう渡部さんの優しい部分があるからこそ、珠もただ『怖いお父さん』と拒絶するのではなくて、『もっと知りたい』『もっと分かり合いたい』という気持ちになるんだろうなと感じました」

――現場での渡部さんは、清治とはかなり違いますか。

「すごく優しいです。真逆です(笑)」

――85歳の珠を演じる加賀まりこさん、珠の秘書・藤川優子役の松たか子さんについても伺いたいです。

「お二人とは一緒のシーンがまだないので、現場でお会いする機会もそれほど多くありません。加賀さんとは、たくさん言葉を交わしたわけではないのですが、『大丈夫よ』と言ってくださって。その一言で『100%大丈夫だ』と思いました。松さんはこれまでにも何度か共演させていただいていて、ずっと見上げてきた方で、本当に大好きな方です。参加されると聞いて大喜びしました。加賀さんと松さんが、自分の“ゴール”にいると想像すると、もう何でもできるような気がする。それぐらい心強いです」

「ブラッサム」石橋静河、宇野千代から受け取る自由に生きる強さ「自分も日々たくましくなっている」

――では、これからの撮影で、楽しみにしていることは?

「大正ロマンですね。着物のデザインがどんどん華やかになって、そこに洋装も入ってくる。いろいろな価値観や美の基準が混ざり合っていく時代なので、衣装や建物も含めてワクワクします」

――一人の人物の人生を、これほど長い時間をかけて演じることについてはどう感じていますか。

「本当に財産ですね。これだけ長い人生を演じられる作品は、ほかにはなかなかないと思います。私は、何げない瞬間がきちんと描かれることがうれしくて。洗濯をしている時や縫い物をしている時、家に帰る道を歩いている時に、『どんな気持ちで家の中に入るんだろう』と考えるんです。そうした何げない瞬間にも、私たちの感情って動いているじゃないですか。そこまで演じられるというのは、ぜいたくだなと感じています」

――半年ほど演じてきた今、珠という人物に新たに見えてきたものも?

「始まる前から大きく印象が変わったわけではないのですが、最初の珠は10代の女学生で、厳しいお父さんがいて、家の空気も張り詰めている。まだ何者でもなく、自分を前に出せないというか、自分が何をしたいのかも分からないところから始まるんです。そこから少しずつ、『自分はこうしたい』『こう生きたい』というものが、ゆっくり立ち上がっていきます」

――何度も立ち上がる珠の姿を、どう受け止めていますか。

「“その人が何かになる瞬間”に自分が立ち会っているような感覚があって、とても楽しいです。何者かになって、それが周りからのプレッシャーなどで一度崩れて、またさらに強くなって立ち上がる。本当に何度も壊れて、また作っていく。それを繰り返している感覚があって、演じるほど面白くなっています」

――そうした珠の姿と、ご自身を重ねる部分はありますか。

「私は常に、もっと変わりたいと思っています。もっと面白い表現がしたいし、もっと面白い人になりたい。そう思っていると、やっぱり壁にぶつかる。でも、苦しむことも成長している証しだと受け止められるし、一つブレイクスルーしたら、また次の壁が現れる。最近は、そういう時間も楽しいんです。苦しいですけど、『これは次に成長する機会なんだ』と思えることが、一つの喜びでもあります」

 何度も壁にぶつかりながら、それでも前へ進もうとする珠。その人生を演じる日々は、石橋自身にとっても新たな一歩を重ねる時間になっているようだ。これから珠がどんなふうに悩み、立ち上がり、自分の道を選んでいくのか。毎朝、その姿を応援しながら見届けたい。

「ブラッサム」石橋静河、宇野千代から受け取る自由に生きる強さ「自分も日々たくましくなっている」

【プロフィール】
石橋静河(いしばし しずか)
1994年7月8日生まれ。東京都出身。2015年に俳優デビューし、17年公開の主演映画「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」で数々の映画賞の新人賞を受賞。以降、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(2022年/NHK総合ほか)、「燕は戻ってこない」(2024年/NHK総合ほか)などの話題作に出演。映画「ナギダイアリー」(公開中)、「このごにおよんで愛など」(11月27日公開予定)にも出演。

【番組情報】
連続テレビ小説「ブラッサム」
NHK総合
9月28日スタート
月~土曜 午前8:00~8:15 ※土曜は1週間の振り返り
NHK BS・BSプレミアム4K
月~金曜 午前7:30~7:45
※NHK ONEで同時・見逃し配信

取材・文/斉藤和美

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