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「風、薫る」甲斐翔真インタビュー前編 看護師の母が涙した朝ドラ出演「出会いに運命を感じる」2026/08/26 08:15

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「風、薫る」甲斐翔真インタビュー前編 看護師の母が涙した朝ドラ出演「出会いに運命を感じる」

 NHK連続テレビ小説「風、薫る」(月~土曜午前8:00ほか)で、小川吾郎を演じる甲斐翔真に前後編でインタビュー。

 見上愛上坂樹里がダブル主演を務める本作は、明治という激動の時代を舞台に、西洋式の看護学を学んだ一ノ瀬りん(見上)と大家直美(上坂)が、それぞれに生きづらさを抱えながら看護の道を切り開いていく物語だ。甲斐が演じる小川は、友人の見舞い先で直美と出会う陸軍二等軍曹。堅苦しい風貌とは裏腹に、愛情深く真っすぐな人物として、直美の人生に大きく関わっていく。

 連続テレビ小説初出演となる甲斐。前編では、母との縁が重なる本作との出会い、映像の世界に再び挑むために下した決断、そして、演じる小川の魅力や役作りについて聞いた。

「風、薫る」甲斐翔真インタビュー前編 看護師の母が涙した朝ドラ出演「出会いに運命を感じる」

――出演発表時には、お母さまも看護の仕事に就いているとコメントされていました。出演が決まった時の反応はいかがでしたか。

「母は泣いていました。まさか自分の息子が、自分の人生とも言えるような題材の作品に携わるとは、僕には想像できないくらい大きな出来事だったようです。母は今、訪問看護の仕事をしています。母は、3人の子どもを育て、子育てが終わってから看護学校に通い、国家資格を取りました。看護師になったのは、ここ2年ほどのことです。それくらい、看護に対して強い思いがある人。朝ドラで看護婦の主人公の夫となる役を息子が演じることには、なかなか感慨深いものがあったと思います」

――お母さまとの縁も含めて、この作品との出合いに、巡り合わせのようなものを感じますか。

「感じますね。舞台のスケジュールは、だいたい2、3年先まで決まるんです。一方で、映像はそうではありません。僕は『今年の上半期は映像をやりたい』と考えていました。舞台で得た経験がどれくらい自分の中で身になっているのか、違う世界で演技することで確かめられるのではないかと。映像の世界で勝負してみたくて、2、3年前から上半期の予定を空けていたんです」

――予定を空けてみて、どんな気持ちで結果を待っていましたか。

「結構な賭けでした。仕事がまったく入らない可能性もありましたから。でも、ふたを開けてみれば、夜ドラ(「ラジオスター」)、朝ドラと、ありがたい巡り合わせが続きました。題材にも役柄にも恵まれて。もちろん、自分でスケジュールを空け、計画的に動いた結果でもありますが、想像以上の形につながったと思います。まだすべて放送されていないので何とも言えませんが、やりたかったことの100倍いい経験ができました」

――「やりたかったことの100倍」という言葉からも、確かな手応えが伝わります。甲斐さんは、小川の真っすぐさをどのように捉えていますか。

「あそこまで真っすぐに人と向き合える人は、明治の時代には珍しかったのではないでしょうか。特に当時は、明治維新から30年がたったくらいで、日本という国が大きく変わり始めた時代。男女に対する認識も、日本と海外に対する認識も、今とは違って、まだなじんでいない。その中で、人をしっかり正面から見ることができる小川は、昔も今も、とても美しい人間です。直美という存在に出会い、女性としてというより、人としてかっこいい、信念を持った人間を目の当たりにした時、小川の中で何か心が動いたのではないかなと。そこにどっぷりとほれてしまったというか」

「風、薫る」甲斐翔真インタビュー前編 看護師の母が涙した朝ドラ出演「出会いに運命を感じる」

――ご自身と小川で、似ていると感じる部分はありますか。

「僕も割と諦めない心の持ち主なので、そこは似ています。小川のような人間でありたいとも感じますね。今はいろいろな誘惑があって、目の前にいる人をきちんと見ることが難しくなっている時代です。だからこそ、実際に目の前にいる人をちゃんと見られる力は忘れたくないです」

――明治という時代背景は、どのように調べていきましたか。

「時代背景や、小川が所属する近衛歩兵第三連隊についてはたくさん調べました。ただ、最後まで忘れないようにしたのは、彼も一人の人間だということです。明治を生きた人に実際に会ったことはないので、最初はどうしても想像の中の、二次元的な存在になってしまう。でも、台本を読み、ほかの登場人物との関わりを重ねるうちに、無理に『明治の人間』になろうとしなくてもいいのかもしれないと考えるようになりました」

――時代の違う小川を、身近に感じられた瞬間もあったのでしょうか。

「小川は、江戸から明治へと移り変わる新しい日本を生きる青年。僕は、平成と令和しか知らない現代の青年です。昭和から今に至るまでにも、グローバル化やインターネットの普及、人と人との距離感の変化がありました。江戸から明治へ移る時代にも、きっと同じような戸惑いや変化があったはず。そう考えると、変化のただ中にいる若者という点では、僕と小川はそれほど遠くない。そんな結論に至りました」

「風、薫る」甲斐翔真インタビュー前編 看護師の母が涙した朝ドラ出演「出会いに運命を感じる」

――では、軍人という職業の感覚は、どう捉えて役に落とし込みましたか。

「当時の軍人が持つ感覚は、現代とは異なります。天皇陛下を守ることが国を守ることにつながり、さらに家族や大切なものを守ることへとつながっていく。そうした考え方は、きちんと押さえました。ただ、軍人という職業だけに引っ張られず、ドラマの中で一人の人間であり続けることを大切にしました。格好や所作で軍人らしさを見せながら、直美と話す時には、その鎧(よろい)がはがれる。そして、ふと軍人の顔に戻る瞬間もある。そうした細かな変化は意識しました」

――クランクインの日は、どんな撮影から始まったのでしょうか。

「今でも忘れません。いきなり佐賀弁で、しかもかなり長いせりふのある登場シーンだったんです。ピシッと立ちながら芝居をして、佐賀弁を話し、軍人として振る舞う。いくつもの感覚を同時に働かせる必要があって、苦労しました。そこから徐々に慣れ、小川として現場に立てるようになりました」

――軍服に袖を通すと、自然とスイッチが入りそうですね。

「不思議と、あの服を着ると背筋が伸びるんです。近衛歩兵第三連隊を示す『三』が付いていたり、階級によって軍服が変わったりする。あの服を着られる人は、当時の軍人の中でもかなりのエリートです。そうした背景を調べるうちに、比喩的な意味でも背筋が伸びていきました。軍服だけでなく、浴衣のシーンなどもあり、服が芝居に与える影響の大きさも感じました。軍服を着ている時と、家で直美とご飯を食べながら着物姿で話す時とでは、口調も違います。家ではあぐらをかくこともありますが、軍服姿であぐらをかくことはまずありません。体の状態が変わることで、話し方や心の持ちようも変わっていく。その面白さを実感しました」

――厳格な軍人でありながら、直美の前では柔らかな表情も見せます。小川を、彼女にとってどんな存在にしたいと考えていましたか。

「直美にとって、一つの光、明かりのような存在になれたらいいなと。直美には、過去に軍人だと思っていた人物にだまされた経験もあります。軍人らしさと人間らしさの間を行き来する小川は、当時の軍人としては珍しいタイプ。僕自身も魅力的な人物だと感じながら演じていました」

 母との縁、映像の世界に再び挑むための決断、そして小川への思い。甲斐の言葉からは、この作品にたどり着くまでの歩みと、役に寄り添いながら過ごしてきた時間が伝わってきた。後編では、直美を演じる上坂との共演、撮影を重ねる中で自然に育まれていった夫婦の空気、そして出征を前にした小川の心の変化について、さらに話を聞いていく。

「風、薫る」甲斐翔真インタビュー前編 看護師の母が涙した朝ドラ出演「出会いに運命を感じる」

【プロフィール】
甲斐翔真(かい しょうま)

1997年11月14日生まれ。東京都出身。2016年に「仮面ライダーエグゼイド」(テレビ朝日系)で注目を集め、その後はミュージカル「ロミオ&ジュリエット」、「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」など舞台でも活躍。近年はNHK夜ドラ「ラジオスター」(NHK総合/26年)に出演。

【番組情報】
連続テレビ小説「風、薫る」
NHK総合
月~土曜 午前8:00~8:15 ※土曜は1週間の振り返り
NHK BS・NHK BSプレミアム4K
月~金曜 午前7:30~7:45
※NHK ONEで同時・見逃し配信

取材・文/斉藤和美

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