「あの竹は?」松本人志のひと言に感じた優しさとセットの裏側「西田二郎+」第9回2026/06/12 17:00

「ダウンタウンDX」を20年にわたってけん引し、今は「DOWNTOWN+(ダウンタウンプラス)」で「謎の男」として暗躍する“伝説のテレビマン”西田二郎。テレビの枠を飛び越え、長年苦楽を共にした出演者の素顔や番組の裏側、独自の視点でエンタメの最前線を赤裸々につづる不定期連載「西田二郎+(プラス)」! 今回は「松本人志のひと言に感じた優しさ」を語る。
どうも、西田二郎です。
毎月さまざまな企画でお届けしている「DOWNTOWN+」の生配信「LIVE+」ですが、今回はある配信で生まれた「セット」にまつわるエピソードをお話ししたいと思います。
今年の3月だったと思うんですが、松本さんが一人で語る生配信を行いました。これまでの配信では大型LEDを使った華やかなセットが多かったと思うんですが、今回は余計なものをそぎ落として、“松本さんだけ”が際立つ空間を作りたいと思ったんです。
そんな時、京都・嵯峨野の竹林のイメージが浮かび、セットには10〜12本ほどの竹を少しだけ斜めに配置しました。打ち合わせの際には松本さんに「ソリッドにやりたい」と伝えて、セットの図面も見てもらっていました。
そして本番。スタジオに入ってきた松本さんの第一声は、予想外のものでした。
「なんで光ってへんの?」
僕は一瞬、「え?」となりました。いやいや、竹ですから光る予定なんてありません。図面も見てもらっていたので、「竹のセット」という認識だと思っていたんです。
ところが松本さんからすると、図面の色味の関係で竹がLEDのように光っているように見えたらしいんです。
「なんでやねん。あれ見た時、光っとったやないか」
「いや、竹ですよ」
「光らへんの?」
そんなやりとりが続き、スタッフの間でも「次は竹を光らせた方がいいのかな」という空気になったような気がします。
次の小峠(英二)さんを迎えた配信ではLEDバーを使ったサイバーな世界観に、伊集院(光)さんの回では電球を無数につるした幻想的な空間を作りました。配信ごとに違う世界観を見せたい、僕自身はそんな思いでセットを考えていたんです。
そんな時に、松本さんがボソッとつぶやいたんです。
「あの竹でやらへんの?」
そのひと言を聞いた瞬間、僕はハッとしました。
もしかしたら松本さんは、「あの時『光ってへんやないか』って言ったことに、二郎が反応して、光らせなあかんと思ってるんちゃうか」と感じていたのかもしれません。
「そこまでの感じで言ったんちゃうぞ、あの竹使ったらいいのに……」
そんなニュアンスが、「あの竹は?」の中に含まれているように感じて、なんかその優しさに感動した瞬間でした。
多分この辺のやりとりって、僕だけに伝わる言外のコミュニケーションっていうか、そんな感じですね。
まあ、もちろん僕自身、あの竹のセットはすごく気に入ってるし、また松本さんが一人でしゃべる時があれば、ぜひあの竹のセットでいきたいなと思ってます。
【プロフィール】
西田二郎(にしだ じろう)
1965年生まれ。1989年に読売テレビ入社。「11PM」のディレクターを経て、「ダウンタウンDX」のプロデューサーに。2015年に営業局へ異動し、新規事業などを担当。現在は静岡放送(SBS)のCCIO(チーフコンテンツイノベーションオフィサー)を務めるほか、一般社団法人未来のテレビを考える会の代表理事なども務めるほか、2026年6月、株式会社エビリーの最高クリエイティブ責任者(CCO)に就任。
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