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多部未華子、17年ぶり朝ドラ「風、薫る」大山捨松役で存在感「主人公の2人がとても頼もしい」2026/06/15 07:45

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多部未華子、17年ぶり朝ドラ「風、薫る」大山捨松役で存在感「主人公の2人がとても頼もしい」

 見上愛上坂樹里がダブル主演を務める、NHK総合ほかの連続テレビ小説「風、薫る」(月~土曜午前8:00ほか)で“鹿鳴館の華”と称された実在の女性・大山捨松を演じる多部未華子

 文明開化の明治を舞台に、西洋式の看護を学んだ“トレインドナース”たちが新たな価値観を切り開いていく本作で、栃木・那須の元武家で元家老の家に生まれた一ノ瀬りん(見上)と、キリスト教の牧師に育てられた大家直美(上坂)。生い立ちも価値観もまるで異なる2人の人生に決定的な影響を与える存在として登場するのが捨松だ。

 アメリカ留学経験を持つ知性と、揺るがない信念を併せ持つ実在の女性。そのたたずまいの美しさと圧倒的な説得力は、登場するたびに視聴者の視線をさらい、SNSでも大きな反響を呼んでいる。「つばさ」以来、実に17年ぶりの朝ドラ出演となる多部。役と向き合う言葉の端々ににじむのは、役者としての確かな経験と、どこか肩の力の抜けた自然体だった。

――大山捨松という役のオファーを受けた際の率直な思いを聞かせてください。

「『これは、なんてやりがいのあるキャラクターなんだ』と感じました。実在した人物なので重みもありますし、彼女の生きてきた力強さのようなものが、すごく伝わってきて。それを演じられる楽しさはあるだろうなと、その時に明確に思いましたし、ぜひやってみたいと思いました」

――演じる中で、難しさを感じる瞬間はありますか。

「捨松さんは本当にかっこいい言葉をたくさん言う人物ですし、りんと直美に影響を与える役でもあるので、難しいなと感じることはあります。ただ、彼女の中にある信念。絶対に揺らがない、自分のやりたいことや、かなえたいことがセリフの中にもはっきり表れているので、そういう意味では、演じる上で迷うような難しさはあまりないんです」

――捨松の存在感や人を引きつける魅力は、どのように表現されていますか。

「外国での生活が長く、彼女の人生そのものがとても異質なので、そういった背景は常に意識しています。ただ、『こう見せた方がいいのではないか』と考えて演じているわけではなくて。見た目としても、1人だけドレスを着ているなど、ビジュアルの段階で異質さがあるので、それだけでも自然と目を引くと思うんです。なので、自分から何かを足そうとするよりは、台本に忠実に、ストレートに演じています」

――演じていく中で見えてきた、大山捨松という人物の魅力をどのように捉えていますか。

「あの時代に、女性だから、男性だからということではなく、『自分がどうしたいか』を第一に考えられる、すごくかっこいい人だなという印象があります。とてもクレバーな人物ですよね。自分のやりたいことをかなえるために、何かを犠牲にしながらも、芯の部分はぶらさずに貫いていく。そういう生き方をされた方だと思います」

――役に向き合う中で、捨松の人物像について新たに感じたことはありましたか。

「作品自体は捨松を中心に描くものではないですが、資料や著書を読んでいく中で、女性としての葛藤や、家族を持った後の葛藤なども見えてきて。そういった部分も含めて、すごくかっこいい女性だと思いますし、当時としては本当に異才の方だったのではないかなと。そういう生き方ができる女性には、私自身も憧れます」

――異才とも言える捨松を演じるうえで、大切にしている視点を教えてください。

「今回、とにかく主人公の2人に影響を与える役として参加しているという意識が強いんです。私が演じる捨松を通して、視聴者の方に何かを感じ取ってほしいというよりも、捨松の存在によって、主人公の2人がどのように自分の意思で、自分のやりたいことや好きなこと、人生を捧げるものに出会っていくのか。そしてそれを次の世代に残していく人物になっていくのか。その最初の影響を与える存在だと思って演じています」

――脚本の吉澤智子さんは、序盤のキーマンとして捨松の名前を挙げていらっしゃいましたが、ご自身ではどのように受け止めていますか。

「私自身は、たまに撮影に参加しているような感覚なので(笑)、今日こうして取材でたくさんの方に集まっていただいて、『キーマンなんだな』と思っているくらいで、あまり実感はないんです。特に構えているわけでもなくて。でも、結果的に影響を与えられているのかなとは思います」

――鹿鳴館のシーンでまとう、腰の後ろを膨らませたバッスルスタイルのドレスは印象的ですが、実際の着心地はいかがですか。

「ボリュームがかなりあるので、着るのに時間はかかります。ただ、帽子やレースの手袋まで全部身に着けると気が引き締まるので、とても楽しく着ています」

――かなり重量もありそうで、動きづらさもあるのではと感じます。

「着心地は……重ね着が多いので重いですし、大変ではあります。それでも、あの華やかなドレスを着ると気分も上がりますし、『捨松だ』という気持ちになれるので、私自身が一番楽しんでいると思います」

――所作の面でも工夫が必要ではないですか。

「奥に深く腰掛けてしまうとボリュームが出すぎてしまうので、少し手前に座るなど、映り方によって調整しています。衣装担当の方とも『埋もれて見えないか』みたいな話はよくしていますね」

――鹿鳴館のセットもとても豪華でした。

「鹿鳴館は『一番お金がかかった』と聞いていて、美術スタッフの方がかなり時間をかけて建てたと事前にうかがっていました。天井の高さもなかなかない規模だと聞いています。スタッフの方々からも『もう二度と建てられないセットだ』と撮影のたびに言われていて、それくらい力が入っている場所なんだなと感じました」

――実際にその空間で演じてみて、どんな感覚だったのでしょうか。

「やっぱり、きれいなドレスを着て鹿鳴館のセットに入ると気分は上がりますね。他のキャストの方もすてきなドレスを着ていましたし、ダンスの練習も含めて、その日のために時間をかけて準備してきたシーンでもあったので、とても楽しかったです」

多部未華子、17年ぶり朝ドラ「風、薫る」大山捨松役で存在感「主人公の2人がとても頼もしい」

――捨松の夫・大山巌役を演じる髙嶋政宏さんとのダンスシーンも華やかでしたが、稽古から本番まで、どのように向き合っていましたか。

「髙嶋さんが本当に真面目な方で、私はただついていったという感覚でした。ダンスの先生からも『男性のリードに身を任せてください』と言われていたので、私自身が何か苦労したという実感はあまりなくて、むしろ髙嶋さんの方が大変だったと思います」

――稽古の中で印象に残っていることは?

「私が入る前から髙嶋さんは1人でずっと練習されていて、そこに私が加わって、またご指導いただいて……というのを繰り返していました。休憩中も練習を続けていらっしゃって、本当に真面目な方だなと感じました。それに加えて、『この間に2、3回、個人レッスンを受けました』と聞いたこともあって、『そんなにこの期間で?』と驚いたこともありました」

――実際に任せて踊ってみて、手応えはいかがでしたか。

「本番では安心して身を委ねることができましたし、『僕に任せてください』といつも言ってくださっていたので、不安や怖さはまったくなかったです。『分かりました』とついていく数日間でしたが、とてもチャーミングで面白い方でした」

――鹿鳴館のダンスシーンは、大きな見どころの一つでしたよね。

「私たちとしてはうまくできたと思っていますが、それがしっかり伝わっていたらいいなと思います。“鹿鳴館の華”と呼ばれる役でもあるので、華やかに見えていたらうれしいです」

――夫婦役として共演された髙嶋さんの印象について聞かせてください。

「最初にお名前を聞いた時は、いい意味で『個性が強そうな方なのかな』という印象でした。実際にお会いしてもその印象は変わらなかったんですが、とても愛されるキャラクターの方だなと感じました。レッスン中の真面目さや一生懸命さ、メイクルームでもずっとセリフを練習されている姿を見て、すごく愛らしい方なんだなと思いました」

――年の差のある夫婦という設定については、どのように感じていましたか。

「年上でありながらどこかかわいらしさを感じる部分が髙嶋さんにもあって、捨松自身もそう感じていたのではないかなと思いました。現場に入ってからは、とてもしっくりきていました」

――撮影の合間で印象に残っているやりとりは?

「私がミュージカル好きということもあって、次に出演される舞台のお話しなどを。『僕は馬アレルギーなんです』と急におっしゃって、『馬が近くにいると鼻がムズムズしてくるんですよ』と聞いて『へえ』と(笑)。そんなたわいのないやりとりをしていました」

――お二人の“個性”という意味では、どちらが上だと思いますか。

「それは絶対に髙嶋さんだと思います。みんなそう言うと思います(笑)」

――英語を話すシーンも多くありますが、どのように準備されていますか。

「英語監修の塩屋(孔章)先生とレッスンをさせていただいていて、毎回かなりみっちりやっています。現場に入って動きがつくと、またそこで細かく修正していただいたりもします。『直美さんは本当に素晴らしい』と言われてプレッシャーをかけられたりもするんですけど(笑)、そういう中で毎回レッスンしています」

多部未華子、17年ぶり朝ドラ「風、薫る」大山捨松役で存在感「主人公の2人がとても頼もしい」

――今後、第12週では、バーンズ先生(エマ・ハワード)との英語でのやりとりも見どころの一つになりそうです。現場ではどのようなやりとりをしていますか。

「英語のシーンはいつも、塩屋先生に『大丈夫でしたか?』と確認しながら進めています(笑)。毎回そんな空気ですね。バーンズ先生も、日本語は得意ではないとおっしゃっていて、『難しいですよね』とお互いに共感しながらやりとりしています」

――りんと直美に向き合うシーンでは、捨松の言葉の強さが印象的です。

「りんや直美と向き合うシーンは、台本を読んだ時に『なんていいセリフなんだろう』と感じることが多いです。ただ、それらのシーンは動きがほとんどなく、正面から向き合って言葉を交わすので、とても難しいとも感じています」

――そうした対峙(たいじ)のシーンで、特に大切にしていることは何でしょうか。

「捨松は、2人それぞれのよさや性格を理解した上で寄り添っている人物だと思っています。その中で、『どうすれば2人が自分たちなりの答えを見つけられるか』を常に考えています。セリフ自体は台本通りに発していますが、押し付けるのではなく、あくまで2人が自分たちなりの答えを導き出せるように提示する。そのバランスを大事にしています。特に動きの少ない対峙(たいじ)のシーンでは、寄り添いながら言葉を届けることを意識しています」

――主演の見上さんとは、CMでの共演を経ての作品共演となります。現場ではどのような印象を持たれましたか。

「見上さんは、いつもニコニコしていて天真らんまんで、現場のムードメーカーという感じです。本当に常に明るくて。主演は撮影量も多くて着替えの回数も多いですし、大変だと思うんですけど、疲れた様子を一切見せないんです」

――今回の共演を通して、作品への向き合い方で印象に残っていることはありますか。

「台本の読み方や向き合い方にすごく印象的な部分があって。自分の役としてどう見えるかというよりも、『作品全体としてどう見えるか』を俯瞰(ふかん)で考えて、監督と話されているように感じて。CMの現場ではそこまで踏み込む機会はなかったので、作品作りに対する向き合い方がとても印象的でした」

多部未華子、17年ぶり朝ドラ「風、薫る」大山捨松役で存在感「主人公の2人がとても頼もしい」

――上坂さんについてはいかがでしょうか。

「私が朝ドラをやっていた時と同じ年齢なんですが、『私はこんなにしっかりしていたかな』と思うくらい、どっしりしていて、肝が据わっている印象があります。役の直美と通じる部分もあるのか、現場でもとても落ち着いているように見えます」

――ご自身が同年代でヒロインを務めていた頃と比べて、どのような違いを感じますか。

「当時の私は前室でゴロゴロしていた記憶しかなくて……。上坂さんはずっと本を読んでいらっしゃるんですが、私はセリフでいっぱいいっぱいで、そんな余裕はなかった気がします。主演は本当にやることが多いので、その中で本を読めるのがすごいなと思いますし、たまに私が現場に入ると、読んでいる本が変わっていて、『もう読み終わったんだ!』と驚かされたりもします」

――「つばさ」以来、17年ぶりの朝ドラ出演。久々に現場に戻ってみて、どんな思いがありましたか。

「久しぶりにスタジオに行って、最初は『久しぶりでうれしいな』という気持ちがありました。懐かしさもありつつ、でもすごく新鮮な気持ちで。役回りも当時とは違うので、どちらかというと新鮮さの方が強いですね」

――当時のスタッフの方々との再会もあったそうですね。

「『つばさ』の時にご一緒していたスタッフの方が今の現場にもいらっしゃったり、久しぶりに私が来たということで遊びに来てくださったりして、思い出話に花が咲く時間もありました。二十歳の時にほぼ1年一緒に頑張っていた方たちと再会できたのは、とてもうれしかったです」

――17年ぶりの出演について、周囲からの反応は届いていますか。

「あまり自分の耳には入ってこなくて……本当に何も言われていないですね(笑)。友人も見ているのかどうか分からないくらいで。両親は見ていると思うんですが、特に感想を聞いたことはなくて。ただ、夫が福島出身で、捨松ゆかりの地でもあるので、『大山捨松を演じる』と話した時に、親戚の方が『あの大山捨松をやるの?』と反応してくださったと聞きました」

多部未華子、17年ぶり朝ドラ「風、薫る」大山捨松役で存在感「主人公の2人がとても頼もしい」

――捨松が関わる看護や医療、慈善活動に触れる中で、ご自身の中にも変化があったのではないでしょうか。

「もともと医療に携わっている方々には強い尊敬の気持ちがありますし、実際に何度も助けていただいています。ただ、看護という道を築いた人物の存在までは知らなかったので、こういう歴史があって、今の社会に看護師という職業があるんだという流れを知ることができて、より興味を持つようになりました」

――その経験を通して、ご自身の中でどのような実感が生まれましたか。

「もともと尊敬の気持ちはありましたが、そこにさらに理解が加わったという感覚ですね。私はわりとすぐ病院に行くタイプなので(笑)、日頃からお世話になっています」

――では、捨松は主人公の背中を押す存在ですが、多部さんご自身が「この出会いがあったから今がある」と感じる原点とは?

「特定の人物というよりは……ミュージカル好きの両親に連れて行かれて見た『アニー』がきっかけですね。その時に『私もここに立ちたい』と思ったのが、エンターテインメントの世界に興味を持った最初の出来事でした。両親の舞台好きがあったからこそ、今の自分があるのかなと思います」

――実際に「アニー」をご覧になった当時、どんな点に心を動かされましたか。

「主人公の女の子が10歳くらいの設定で、ちょうど自分も同じくらいの年齢だったんです。同世代の子どもたちがキラキラと輝いて、歌って踊っている姿を見て、『自分には何もない』と感じてしまって。それで『私もやりたい、習いたい』と思ったのがきっかけです」

――最後に、あらためて捨松という人物とどう向き合っていきたいと考えていますか。

「“鹿鳴館の華”と呼ばれる役でもあるので、華やかに見えていたらうれしいなという思いはあります。ただ、私の中では、捨松はあくまで主人公の2人に影響を与える存在。彼女たちが自分なりの答えを見つけて、自分の意思で歩んでいけるように、その背中をそっと押す人でありたいと思っています」

【番組情報】
連続テレビ小説「風、薫る」
NHK総合
月~土曜 午前8:00~8:15 ※土曜は1週間の振り返り
NHK BS・NHK BSプレミアム4K
月~金曜 午前7:30~7:45
※NHK ONEで同時・見逃し配信

取材・文/斉藤和美

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