大河ドラマ初出演! 白石聖が明かす「豊臣兄弟!」直という役柄と、仲野太賀と重ねた芝居の時間2026/01/10

NHKで1月4日にスタートした、仲野太賀が主演を務める大河ドラマ「豊臣兄弟!」(NHK総合 日曜午後8:00ほか)。戦国の世を舞台に、豊臣秀長(仲野太賀)と、その兄・豊臣秀吉(藤吉郎/池松壮亮)が、強い絆を武器に天下統一という偉業へと突き進んでいく、王道の下剋上サクセスストーリーだ。連続テレビ小説「おちょやん」(NHK総合ほか)や「半沢直樹」(TBS系)などで知られる八津弘幸さんが脚本を手がける。
その物語に登場するのが、白石聖が演じる直(なお)。史実には存在しないオリジナルキャラクターでありながら、小一郎という人物の価値観や原点を形づくる、極めて重要な役割を担う。大河ドラマ初出演となる白石は、この「直」という役とどう向き合い、何を受け取ったのか、その思いを聞いた。
戦国を生きる直という存在
直という人物について、白石は「芯がしっかりしている女性」という言葉を真っ先に挙げる。
「直は、とても芯がしっかりしている女性で、たくましいなと感じています。小一郎がブレそうになった時に、真っすぐ自分の思いを伝えるシーンがあって、そういうところが、小一郎と直の関係性を表しているなと思いました」
その強さが象徴的に表れているのが、第1回に登場した、野盗に襲われる場面だ。
「本来なら、命の危険を感じておびえてしまってもおかしくない状況なのに、直は野盗にビンタをする。『嫌だって言ってるでしょ』という潔さや、ただ守られるだけではない女性像は、とても面白いですし、好感が持てました。その一方で、言葉では強く言っていても、本心では別の感情を抱えている場面もたくさんあります。それでも、直は基本的にとても素直で、セリフ一つ一つが真っすぐ。清々しくて、演じていて気持ちのいい役でした」
では、物語の中で、直はどんな存在なのか。白石は、小一郎にとっての直を、揺るがずそこに立ち続ける存在だと捉えている。
「小一郎は、兄から無理難題を言われて、時にはくじけそうになります。直は、小一郎がブレそうになった時に、しっかりとそこに立って支える存在。例えるなら、木のように揺るがず、そこに立っている存在です。くじけそうな時の支えであり、お守りのような役割を担っている人物として捉えていました」
戦国時代を舞台にした作品ということもあり、役作りにあたって意識したことは多かった。中でも白石が特に大切にしていたのが、所作と視線だった。
「今の時代と違って、戦国時代は一つ一つの行動に意味が伴っていると思っていて。お芝居をする上では、目線を特に意識していました。直は意思がはっきりしている性格なので、その部分が目からしっかり伝わるようなお芝居を心がけていました」
直は“男勝り”な一面を持つ人物だ。その個性をどう表現するかは、最後まで悩んだポイントでもあったという。
「男勝りな部分を、所作をあえてきれい過ぎないようにすることで表すのか、それとも口調で出すのか、とても悩みました。ただ、脚本を見る限り口調が特別荒いわけでもなかったため、どのように表現するのが最も自然なのかを考えながら演じていました」
監督からは、役を作り込みすぎず、白石自身の感覚を生かしてほしいという言葉もかけられていた。
「『何かを作り込んで演じるというよりも、私自身の素の部分を生かしてほしい』と言っていただいて。自分では直と同じように男勝りだとは思っていませんが、あっさりしているというか、はっきりしている部分は、少し共通しているのかなと思っています」
仲野太賀との共演が支えた芝居

直という役を形づくる上で、大きな支えになっていたのが、共演者やスタッフとの関係性だった。中でも、小一郎を演じる仲野の存在は、白石にとって特別なものだった。仲野とは、今回で三度目の共演となる。
「幼なじみという役柄を作るうえで、初めましての方よりも、何度かご一緒している太賀さんだったからこそ、すごくコミュニケーションが取りやすかったですし、『太賀さんでよかったな』と自然に思いました」
仲野は現場全体に目を配っていたという。
「現場は、とても和気あいあいとしていました。太賀さんは、本当に頼れる座長だなと感じています。スタッフの皆さんのことを気にかけていらっしゃって、その姿勢が現場の空気を作っているんだと思いました」
印象的だったのが、藤吉郎(豊臣秀吉)役の池松との関係性だ。
「太賀さんと池松さんの関係性が本当にすてきなんです。お二人の仲の良さが伝わってきて、現場はいつも明るい雰囲気でした。その空気感も、現場全体を支えていたように思います。特に太賀さんが大変なシーンを撮影している時は、池松さんのサポートがあって。池松さんも、スタッフの皆さんの様子をよく見ていらっしゃって、殺陣のシーンなどで、ご自身が映らない場面でも『自分が動くよ』と率先して動いてくださる姿が、とても印象に残っています」
秀長の視点で描かれる戦国の新しさ

物語全体の魅力について語る時、白石が挙げたのは「視点の新しさ」だった。天下人・豊臣秀吉ではなく、その弟である秀長の目線で戦国時代を描く。その構造そのものが、「豊臣兄弟!」という作品を際立たせているという。
「秀長が主人公という視点で物語が進んでいくのは、とても新鮮でした。三英傑そのものではなく、補佐役である秀長の目線で描かれるところが、この作品ならではの面白さのひとつだと思います」
歴史に詳しくなくても、自然と物語に引き込まれていく。その理由の一つが、脚本を手がける八津弘幸さんによる描写のバランスだ。
「私自身、歴史に詳しくないのですが、それでもすっと物語に入っていける脚本でした。例えば藤吉郎が織田信長(小栗旬)の『わらじを温める』という有名なエピソードが今後描かれるのですが、少しコミカルなタッチで描かれていて、それが八津さんの脚本らしいなと感じましたし、ほかにも読んでいて思わずクスッと笑ってしまう場面が多かったです」
中でも印象に残ったのが、仲野と池松による掛け合いだという。
「太賀さんと池松さんのやりとりは、脚本を読んでいる時以上に、実際に動いて演じられているのを見たほうがより魅力が伝わってくる作品だと思いました。テンポもよくて、少年マンガを読んでいるような疾走感があり、物語が一気に前へ進んでいく印象があります」
明るいトーンで描かれる一方で、戦国という時代の厳しさも、物語の随所に織り込まれている。
「人は亡くなっていきますし、決して軽い物語ではないと思います。ただ、その中でもキャラクター一人一人がとても魅力的に描かれていて、クスッと笑える要素も随所にちりばめられている。だからこそ、重たくなりすぎずに、最後まで楽しんで見ていただける作品になっているんじゃないかなと思います」
小一郎と藤吉郎の描き分けについても、白石なりの捉え方があった。
「『藤吉郎にあって小一郎にないもの』で言うと、野心かなと思います。もちろん小一郎にも野心はあると思うんですけど、藤吉郎のほうが、よりむき出しで、生々しいエネルギーを持っている印象がありました。欲望や、はい上がっていくド根性みたいなものが、前面に出ている感じです」
一方で、小一郎には別の強みがある。
「小一郎は、思いやりがあって、人の立場を考えられるところが大きな魅力だと思いました。直との身分の差を気にしていたりもしますし、少し繊細な部分もある。だからこそ、いろいろな人の目線に立って物事を考えられるし、万事円満な解決策を導き出せる。知恵をひねり出す柔軟さは、もしかしたら藤吉郎以上かもしれないなと思いました」
戦国時代という舞台に身を置き、演じることで得た実感もあった。
「現代を生きる私たちからすると、想像を絶するほど命が軽く扱われていた時代だと思います。女性の立場から見ると、待つことしかできなかった時代でもあって、信じて待つしかない歯がゆさと、それでも信じ続ける強さが浮かび上がってきました」
過酷な時代でありながら、そこに生きる人々の生命力は、強く印象に残ったという。
「いつ何が起きるか分からない状況の中で、みんな必死に生きていたと思います。それでも、人が生きる力や命の輝きのようなものは、はっきりと伝わってきました。どんなにつらいことがあっても生きることを諦めず、夢を抱いて前に進んでいた人たちだったんじゃないかなと。農民から成り上がっていく野心というのも、そうした夢があったからこそ生まれたのだと思います。光が強く描かれる一方で、裏切りや闇の部分もきちんと描かれていて、その両面が生々しく浮かび上がる時代だと感じました」
そうした描写は、現代を生きる視聴者にも重なる部分があるのではないかと白石は話す。
「人が夢を持って生きているという点は、今の視聴者が見た時にも、とてもまぶしく映るはず。はい上がっていく姿には、自然と応援したくなる力がありますし、戦国という時代を描きながらも、今を生きる私たち自身に重ね合わせられる部分があると思います」
初大河で得た手応えとあふれた感情

白石にとって「豊臣兄弟!」は、初めての大河ドラマ出演となる作品だ。
「祖父母がずっと大河ドラマを見ていたので、日本の歴史あるドラマ作品に自分が出演させていただけるというのは、感慨深かったです。まだ完成した映像をしっかり見られていない(取材時)分、実感が湧ききっていないところもあるんですけど、祖父母や母など、家族にもぜひ見てもらいたいなという気持ちは強くあります」
長期にわたる撮影を経験する中で、白石自身の中にも、確かな手応えが積み重なっていったという。
「どの作品でも『ここは特に大切にしたい』と思う場面はあるんですが、今回は、その場面に向かうまでの気持ちの積み重ね方を、すごく丁寧に作れた実感がありました。大切にしたいポイントに向けて、感情をコントロールしながら本番に臨めたという手応えがあって、それが自分の中では大きな達成感につながっています」
準備を重ねたうえでカメラの前に立った時、これまでとは違う感覚もあった。
「役作りや準備をしっかり重ねた状態で本番に入った時に、自分の気持ちが自然と前に出ていった感覚があって。その経験を通して、自分の中でつかめたものがあったように思います。一つ一つの大事なポイントをかみ砕きながら、丁寧に向き合えたことは、自分なりの成長だったのかなと」
そうした感情は、役として積み重ねてきた時間だけでなく、現場で交わされる芝居そのものによって、引き出されていた部分も大きい。
「この現場は、特にそういう瞬間が多かったなと思います。意図していないところで感情があふれてしまって、『今のシーン、そこまでの場面じゃなかったかも』と不安になることも。でも、その時に湧き上がったものを大切にしたほうがいいのかなと思って、うそをつかずに向き合っていました」
共演者と実際に向き合う中で、想像を超える感情の動きが生まれていた。
「脚本を読んで思い描いていたもの以上に、太賀さんをはじめ、皆さんと対面して生でお芝居をしていると、感情を引き上げてもらっている感覚があって。ト書きには書かれていない部分でも、無意識のうちに涙が出てしまうことが何度もありました」
最後に、直というキャラクターを通して、視聴者に届けたい思いを語った。
「直は史実にはいないオリジナルキャラクターですが、同じような思いを抱えながら生きていた人は、きっとどこかにいたと思います。小一郎が戦乱の世を駆け抜けていく中で、その原点の一つとして、小一郎を形づくる大切なピースになれたらいいな、という気持ちで向き合っていました」
【プロフィール】
白石聖(しらいし せい)
1998年8月10日生まれ。神奈川県出身。2016年に女優デビュー。18年にはドラマ「I”s」(BSスカパーほか)で約700名の中からヒロインに選ばれる。以降、映画「PRINCE OF LEGEND」(19年)、「恐怖新聞」(20年/フジテレビ系)、「しもべえ」(22年NHK総合)、、「幽☆遊☆白書」(23年/Netflix)、「私の夫と結婚して」(25年/PrimeVideo)など話題作に出演し、活躍の幅を広げている。
【番組情報】
大河ドラマ「豊臣兄弟!」
NHK総合
日曜 午後8:00~8:45ほか
NHK BSプレミアム4K
日曜 午後0:15~1:00ほか
NHK BS・NHK BSプレミアム4K
日曜 午後6:00~6:45
取材・文/斉藤和美
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