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「昭和のクルマといつまでも」が2年ぶりに復活! 國村隼が語る人とクルマの物語──2025/11/24 07:00

「昭和のクルマといつまでも」が2年ぶりに復活! 國村隼が語る人とクルマの物語──

 2019年7月に不定期のドキュメンタリーとして放送を開始し、2020年10月から2022年3月までレギュラー放送としてクルマ好き視聴者に愛されてきた「昭和のクルマといつまでも」(BS朝日)。幼少期よりクルマに憧れを抱き続けている國村隼さんがナレーターを務めるこの番組が、2023年の特番以来、11月30日に約2年ぶりに復活する。

 「TVガイドWeb」では、ナレーション録りを見学した後、國村さんにインタビュー。今回の放送は「昭和のクルマといつまでも 昭和100年スペシャル」と銘打った2時間スペシャルで、國村さんも思わずうなる名車の数々が登場する。

 まず驚いたのは、台本に書かれている「感想を自由に」というト書き。ブースでマイクに向かう國村さんは、その間を存分に使い、豊富な知識とクルマ愛を披露する。テレビの向こうの視聴者は、國村さんの言葉に自分の思い出やクルマへの想いを重ねながら見ることになるのだろう。

 そんな収録を終えた國村さんに、今回のスペシャルの見どころや本番組の魅力、自身のクルマへの思いなどをたっぷりと伺った。

──2時間スペシャルのナレーション収録を終えた今のお気持ちを聞かせてください。

「楽しかったですよ。それにしても、今回もよく取材ができたなと思います。この番組、“縛り”がなかなか難しいでしょう? 始めた当初は“昭和時代に生産された、同じクルマを30年以上乗り続ける人を探す旅”でしたが……」

──昭和が終わってもう36年ですものね。

「そうなんですよ。だから、番組が探しているようなクルマがなかなか見つからないんです」

「昭和のクルマといつまでも」が2年ぶりに復活! 國村隼が語る人とクルマの物語──

──そうはいっても、スタッフさんたちの努力の甲斐あって、今回も國村さんも感嘆の声を上げる名車が続々登場します。

 「『アルピーヌA110』とかね! アルピーヌはフランスのスポーツカーブランドですが、設立は1955年。僕が生まれた年なんです。僕は子どもの頃からクルマが好きで、小学生の頃に一番憧れていたのが『ポルシェ911』ナローモデル。もう一方で憧れだったのが、ポルシェとは真逆のタイプのアルピーヌでした。ポルシェの主役がエンジンならば、アルピーヌは全体のバランスが素晴らしい。そのクルマが今回、出てきましたからね。しゃべり出したら止まりません(笑)」

──台本の「感想を自由に」部分では、スラスラと出てくるナレーションに圧倒されましたが、事前にご準備を?

「最初の頃は、“時間をもたせるためになにかしゃべっておいて”程度の感覚だったんですが、ある時からフリートークがお決まりになりましてね(笑)。ナレーションを入れる前に完パケ映像を見るのですが、その時に感じたことに僕の大好きな“豆知識”を絡ませていくというパターンに落ち着いてきたのは後期になってからです」

──その“豆知識”が単なる知識ではなく、國村さんのお人柄も感じられる温かな語り口。番組の魅力がそこにあるのだと思いました。

「そもそも、僕自身が現代のクルマにあまり興味がないのでね。“1960年代のクルマが最高や”と思っているんです。なぜなら、国産もそうですが、アメ車もヨーロッパ車も、クルマが一番個性的だったのがその時代なんです。アメリカでマスキー法(1975年以降に製造されるクルマを対象にした厳しい排ガス規制法)が制定され、それが世界中に広がりましてね。それからエンジンがつまらなくなってしまった。また、空気抵抗が強いと燃費が悪くなるから、クルマの形もどこも似たような感じになってきた。その反面、排ガス規制の縛りがあったからこそ開発されたエンジンがあったりもして、悪いことばかりではなかったんですけどね」

──今回放送される2時間スペシャルには、昭和49年(1974年)から51年乗り続けているというマツダの「コスモスポーツ」も登場しますね。

「昭和のクルマといつまでも」が2年ぶりに復活! 國村隼が語る人とクルマの物語──

「個性的なクルマばかりですよね。『シトロエン 2CV(ドゥーシボー)』なんて、黄金虫みたいで、『どうやってこの形にしたんやろ』と思いますよね。シトロエンには、“ほかとは同じことをしたくない”というフランス人の気質がすごく出ている。『シトロエン DS』もそうですが、ものすごく革新的なことをやっているメーカーなんです。不思議なクルマを作ってました」

──そういった、長年大切に乗られているクルマにまつわるエピソードやドラマに、涙が出そうになった場面もありました。

「実は、そういったドラマをお伝えすることが、この番組の主軸なのかもしれません。印象的なエピソードはこれまでにもたくさんありましたが、たとえば、亡くなった奥さんがとても好きだったクルマを紹介してくださった方がいましてね。奥さんとの思い出を自分の好きなクルマに重ねていらっしゃる。単なるクルマ好きじゃない、すてきな思い出を持っている方にたくさん出会ってきましたよ」

──今回のナレーションでとても印象に残っているのは、クルマを通した樹木希林さんのエピソードでした。

「ああ、『シトロエン2CV』を見ると希林さんを思い出すというエピソードですね。今回、番組に出てきたこのクルマを見て、『あらまっ!』と思いまして、希林さんのお話をさせていただきました。希林さんは6台くらい『2CV』を乗り継いでいらっしゃいましたが、なぜこれなのかといったら、とても軽いから。たとえ故障しても自分で押すことができるからだとおっしゃっていましてね(笑)。そういった思い出がそのクルマを擬人化させるんですよ」

──今回が約2年ぶりの番組復活ですが、視聴者の反応も楽しみですね。

「この番組、とても楽しんで見てくださっている方がたくさんいましてね。地方ロケに行くと、番組スタッフに『いつも見ています』と声を掛けてくださる視聴者もいるんです。僕の仕事仲間にも番組ファンの方がわりといて、『どうしてレギュラーが終わったんだ』と怒られたりね(笑)。そういう方々には、『お待たせしました』と言いたいですね」

──ファンの皆さんへのメッセージをお願いします。

「今回のスペシャルで初めてこの番組を見てくださる方には、古いクルマを大切に乗っているオーナーの方々が語ってくださるエピソードに自分を重ねてもらえたらいいなと思います。自分とクルマとの関わり方でもいいし、クルマに限らず大切な物を思い出していただいてもいいですし。この番組がそんなキッカケになれたら、僕としてはとてもうれしいです」

【プロフィール】
國村隼(くにむら じゅん)
1955年11月16日生まれ。大阪府出身。1981年映画「ガキ帝国」で俳優デビュー、映画、テレビドラマ、舞台と国内外で幅広く活躍。「海に眠るダイヤモンド」(TBS系/2024年)や「ひとりでしにたい」(NHK総合/2025年)など、話題作への出演が途切れない。幼少期よりクルマに憧れを抱き、大阪府立工業高等専門学校(現・大阪公立大学工業高等専門学校)に進み、エンジニアを目指したこともあるほど。

【番組情報】
ザ・プレミアム・ステージ
「昭和のクルマといつまでも 昭和100年スペシャル」

BS朝日
11月30日 午後9:00~10:54

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