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「能面検事」上川隆也が“多重構造”を意識しながら演じる無表情検事・不破俊太郎の魅力とは2025/07/11

「能面検事」上川隆也が“多重構造”を意識しながら演じる無表情検事・不破俊太郎の魅力とは

 “どんでん返しの帝王”との異名を持つベストセラー作家・中山七里さんの小説「能面検事」シリーズが原作の同名ドラマ「能面検事」(金曜午後9:00、初回15分拡大)で主演を務める上川隆也さん。演じるのは、無表情で感情を表に出さない“能面検事”と呼ばれるエース検察官・不破俊太郎。中山さんが「主人公が無表情であるがゆえに、感情の表現が難しく、映像化は絶対無理」と考えていた本作は、主演の上川さんをはじめとする実力派キャストによってどんな作品となるのだろうか。中山さん原作ドラマで主演を務めるのは3作目となる上川さんに、不破役への挑み方など、本作に携わる気持ちを明かしてもらった。

「能面検事」上川隆也が“多重構造”を意識しながら演じる無表情検事・不破俊太郎の魅力とは

──上川さんが中山さん原作のドラマで主演を務めるのは、「テミスの剣」(2017年/テレ東系)、「夜がどれほど暗くても」(20年/WOWOW)に続き、3作目。中山氏作品の魅力、そして演じる上でのやりがいはいかがでしょうか。

「中山先生の作品は、とにかくストーリーテリングが魅力的で、展開ごとに“クリフハンガー”が用意されているような構成が“どんでん返しの帝王”という異名につながっていくんだと思います。『能面検事』もこれまでの作品の傾向に違わず、1冊1冊、手を止められないまま読み進めてしまいました。ですから、今作も、自分が魅せられた作品を演じられることへの喜びの方が、難しさや不安より強いです。特に、不破俊太郎という男は、これまで演じてきた2作品に比べても、とても個性の強いキャラクター。それを体現していく面白味を感じています」

「能面検事」上川隆也が“多重構造”を意識しながら演じる無表情検事・不破俊太郎の魅力とは

──以前の2作以上に個性の強いキャラクターを持つ不破は“能面”という異名を持つ検事です。表情が見えない男のキャラクター作りでご苦労などはありますか。

「これについては、語れば語るほどネタバレになってしまうので(笑)。ただ、“能面”という言葉を僕がどこまで咀嚼(そしゃく)できるかが大事なのかもしれません。つたない知識ではありますが……“能”という演劇形態は、演者が面を付けることによって、性別や年齢を超え、さらに無表情であるからこそ無限の表情を表現する。表面に一切の感情を表さなかったとしても、能が持つ表現の多様性や制限のなさを受け止めてもいいのかも知れないと思っています。不破とて一人の人間であり、能面と言われるからといって感情も何もないかというと決してそんなことはない。なにがしの思いがあって事件や人々に相対しているというその“多重構造”を意識しながら演じさせていただいています」

──実際に演じられて感じる不破の面白さとは?

「むしろ、相対してくださる役者の皆さんが面白がってくださっています(笑)。皆さん、それぞれのプランや監督からの演出を踏まえてお芝居を構築されているのですが……これまでのとは違う印象というか。……言葉にするのが難しいのですが、『そんな感じのキャラクターでくるのね』と受け止め、楽しんで演じてくださっているようにお見受けします」

「能面検事」上川隆也が“多重構造”を意識しながら演じる無表情検事・不破俊太郎の魅力とは

──相対するメンバーとして、惣領美晴役を演じている吉谷彩子さんのお芝居はいかがでしょうか。

「吉谷さんは、懐が深くて間口の大きい役者さんですので、いろいろなことが試せています。それを受け止め、跳ね返してくださいますので、何でも言い合えるんです。『テストではああやったけど本番ではこうしてしまった、ごめんね』と言っても『楽しかったですよ』という会話が常に交わされる。ビルドアンドクラッシュとでもいうのでしょうか、とても快活な現場です」

──前田拓海役の大西流星なにわ男子)さんはいかがでしょう?

「大西さんとは今回、ドラマでは初めてご一緒させていただいていますが、お年に似合わず周りに目が配れる方。現場を楽しんでくださっているのが見て取れます」

「能面検事」上川隆也が“多重構造”を意識しながら演じる無表情検事・不破俊太郎の魅力とは

──仁科睦美役の観月ありささんや榊宗春役の寺脇康文さんの印象も教えてください。

「観月さんは今回、関西弁に挑まれていて、それが新鮮な要素として皆さまにご覧になっていただけるのではないかと思います。一方、寺脇さんは大阪のご出身ですから、もう、水を得た魚のように(笑)。より自然なお国言葉といいますか、ドラマの舞台となる土地柄も含め、セリフに還元しながらキャラクターを作ってくださる。『能面検事』という、タイトルからして硬く受け止められてしまいがちな物語を見事に和らげる、“和らぎ水”のような方です」

「能面検事」上川隆也が“多重構造”を意識しながら演じる無表情検事・不破俊太郎の魅力とは

──視聴者の皆さんへのメッセージをお願いします。

「先ほど申したように、中山先生の作品が持つ魅力を、ドラマとしてどこまでお伝えできるか、そこに注力していきたいですね。先生の作品が持つ妙味を映像の力を加味することで、より分かりやすくより楽しく視聴者の皆さまにお届けしたいと思います」

【プロフィール】
上川隆也(かみかわ たかや)
東京都出身。1989年に演劇集団キャラメルボックスに入団、95年、NHK70周年記念日中共同制作ドラマ「大地の子」で主演に抜てき。2006年のNHK大河ドラマ「功名が辻」では山内一豊役で主演を務めた。25年12月12日より、舞台「忠臣蔵」で明治座を皮切りに全国6都市で主演し大石内蔵助を演じる。


【番組情報】
「能面検事」
7月11日スタート
テレビ東京ほか
毎週金曜 午後9:00~9:54
(初回は午後9:00~10:09)
※Prime Videoで見放題独占配信
ネットもテレ東、TVer、Leminoで見逃し配信

取材・文/TVガイドWeb編集部



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