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「愛の、がっこう。」高校教師・木村文乃とホスト・ラウールが考える“愛”とは?2025/06/24 05:00

「愛の、がっこう。」高校教師・木村文乃とホスト・ラウールが考える“愛”とは?

 フジテレビ系では、7月10日に主演・木村文乃、共演・ラウールSnow Man)による、木曜劇場「愛の、がっこう。」(木曜午後10:00)がスタート。

 堅い家庭で育った真面目すぎる高校教師・小川愛実(木村)が、文字の読み書きが苦手なホスト・カヲル(ラウール)と出会い、言葉や社会を教える秘密の“個人授業”を開始。大きな隔たりを越えてひかれ合っていく姿を描くラブストーリーで共演する木村とラウールが、本作の見どころや現場でのエピソードを語った。

――本作への出演が決まった時の率直なお気持ちをお聞かせください。

木村 「井上由美子さんのオリジナル作品に関わることができる喜びと同時に底知れぬ緊張感もありましたが、私のキャリアの中でも恋愛ものというのは珍しいので、このタイミングでお話をいただけたことにご縁を感じ二つ返事でやります、でした。この物語にどうやって取り組んでいこうか、愛実という人物をどうやって魅力的にしていこうかと、ずっと模索しています」

ラウール 「スタッフの方々が僕の大好きな作品に携わっている方々ばかりだと知って、とてもうれしかったです。ホストという役柄で出演しますが、自分がホストになる想像がつかなかったので面白そうだなと思いました

――現場はどのような雰囲気ですか?

木村 「和気あいあいとしていますよね」

ラウール 「そうですね。ユーモラスな雰囲気です

――西谷弘監督作品に出演する感想は?

木村 「“西谷マジック”にかかると、嫌な人が一人もいなくなるんです。クセが強いキャラクターの集まりですけど、その人たちが少しずつチャーミングに感じてくる。これは、西谷監督ならではの演出だなと思っています」

ラウール 「僕が俳優としてお仕事をさせていただく時は、素の自分を包み隠さず現場に行くんですが、今回は概念が変わりそうだなと。お芝居のヒントをもらった気がします。クランクイン前に監督に会って稽古したり、ディスカッションの時間もあったのですが、参考になることばかりで感謝しかないです。信頼を置いているので、すべてを吸収して、いい関係性でやれています。本作での経験が、今後の自分にどんな影響を及ぼすのかも気になるところです」

「愛の、がっこう。」高校教師・木村文乃とホスト・ラウールが考える“愛”とは?

――それぞれ、演じられる職業に対するイメージや感想をお伺いしたいです。

木村 「私はまだ怖い先生方がいました。でも、今はそういうことは許されない。愛実自身もどうやって生徒と接したらいいかと悩んでいますが、演じる私自身もいろいろと考え、悩みながら演じています。教師役として過ごしていると、先生にはさまざまなスキルが必要だと実感しますし、日々模索しながら生徒と向き合い指導するのはとても大変だと思うので、全ての先生を尊敬しています」

ラウール 「ホストという職業は、僕が知らない世界でした。今回、スタッフの方が取材してくださってレポートなどの資料を読み、営業中の空間を想像したところ、彼らは誰かを助けたい思いを持っているのではないかと感じたんです。だから、カヲルが持っているピュアな面など、ふとした瞬間にそんな素顔が垣間見えたらいいのかなと考えています」

――お互いの印象を教えてください。

木村 「お会いする前は、ダンススキルのすごい方、才能の塊だと思っていました。2人で初めて長いシーンを撮った時、才能を感じながら、それ以上に努力を重ねてこられている人だと感じました。役に対してとても愛情があると感じたんです。だから、一緒にお芝居をしていても楽しくて。まだ2人のシーンをあまり撮影していないタイミングで、長いシーンを撮って関係を積み上げられたことが、今後すごく生きてくるなと思いました」

ラウール 「ありがとうございます。うれしいです。あの撮影は10分くらい回しっぱなしでしたよね。愛実から個人授業を受けるシーン、半分くらいはアドリブでした」

木村 「そこでカヲルの過去がふとした瞬間に垣間見えたりすると、全力で拾いにいきたいなと思いました。投げてもらった球をこぼしてなるものか、みたいな。そういうキャッチボールができたので楽しかったです」

ラウール 「僕も楽しかったです。木村さんはとても謙虚な方で、温かさと、かわいらしさがギュッと詰まっている方です。まだ数回しかご一緒していませんが、いい意味で落ち着くというか…。そういう感覚は非常にあります」

木村 「私としては、ラウールさんがSnow Manのメンバーの皆さんといる時みたいに、撮影現場でも楽しくいてもらえるような環境にできればいいなと思っています。今回は、男性の共演者さんも多いですね

ラウール 「そうですね。ホストチームは、面白そうな人たちが多くて」

木村 「ね。ワイワイとにぎやかだなと思っています」

――木村さんは、愛実がカヲルのことをだんだん好きになっていく感情をどのようにご自身に落とし込んでいこうと思っていらっしゃいますか。

木村 「愛実は恋愛がすごく下手なんです。恋愛大失敗しちゃって、自分に絶望して引きこもって…。そこから愛実の新しい人生が始まっていく物語なのですが、立派な大人なのに、やることにどこかさが残っている。そんな感覚を大切にしたいなと思っていて、大人同士の恋愛なのに、ドロドロしていなくて、クスッとして青春の匂いすらするみたいな。そんな青空が似合う感じにしたいです

――ご自身では愛実がカヲルを好きになっていくっていう気持ちは理解できますか?

木村 「今作はオリジナル脚本なので、答えがないんです。私たちもこの先どうなるか分からず、どうやって愛実がカヲルに心ひかれていくのか、私自身も楽しみにしています」

――ラウールさんは、カヲルが愛実にひかれる気持ちをどう捉えていますか?

ラウール 「カヲルは真面目な愛実と正反対で、女性に恋愛感情を持たせることは職業柄得意としている。ただ愛知らないんです。実際のホストの方に答えていただいたアンケートで、ほとんどの方が『愛が何か分からない』と答えていて。仕事の延長で女性を見ていたのが、その人を本気で思うようになるまで、カヲルみたいなピュアな人間は単純なきっかけがあれば変わるのかなと思って。じわじわ気持ちが変わっていくというより、何かのタイミングで切り替わるようなイメージを持っています。徐々に愛に気付いて愛を知ってそれを楽しんでいくのか、それとも愛は邪魔だなと思って離れていくのか、見どころ一つだと思います

――お二人は「愛」を知っていると言えますか?

木村 「愛って何ですかね。難しいです。愛とエゴの距離がすごく近いから、自分で『これは愛だ』と思っていても、『あれっ、やっぱりこれはエゴじゃない?』と錯覚することがあります。相手から愛をもらっていると思っても、それはただ天真爛漫(らんまん)なだけだったとか」

ラウール 「なるほど。大人なアンサーですね」

木村 「今作でも、教師とホストという職業を通して、愛情の積み重ねが丁寧に描かれていきます。お互いを必要として教えて教えられて、自分の気持ちとの反発もありながら、喜びが愛に変わっていくという流れだと思うんです。例えば、一緒にいて心地いいとか、同じものを見てうれしいとか、そういうことの積み重ねの先に愛があるのかなという感じもしますけど…。愛って、一概に恋人だけのものじゃないし、定義するのが難しいですね

ラウール 「僕は愛をもって仕事をしたいです。自分のことでいっぱいいっぱいになっちゃう場面も多いですし今は愛を知っています”とは言えないかな。まだ、愛ってなんだろうと、模索する年齢なのかなと自覚しています」

「愛の、がっこう。」高校教師・木村文乃とホスト・ラウールが考える“愛”とは?

――ホスト役を演じるにあたって、どのような準備や練習をされましたか?

ラウール 「いろいろな飲み物を作ったり、名刺を出してあいさつするシーンなど、さまざまな所作を指導してくださった現役ホストの方がいらっしゃって、その所作を見て勉強しました。その後、監督から『ちょっとやってみて』と言われて、見よう見まねでやってみたんです。スタッフさんを相手に『初めまして』とか『今、どうなの?』って感じで言葉を交わしてみましたが、自分では『やばい、すごく下手だ』と思って…」

――現役ホストの方からはなんと言われました?

ラウール 「苦笑されていたと思います(笑)。僕自身は、やればできる子だと思っているので多分、初めてだったからかなと 僕も初回だったので、びっくりしちゃったということです(笑)」

――ホストという職業をどう捉えていますか?

ラウール 「会話の力がいるなと思いますホストとお客さまお互いにウィンウィンの関係でアイドルとも通じる部分はあるかも。でも、僕のファンのには、シャンパンタワーじゃなくてペンライトで応援してほしいです(笑)」

「愛の、がっこう。」高校教師・木村文乃とホスト・ラウールが考える“愛”とは?

――木村さんは、愛実がどういう感情を持っていると思われますか?

木村 愛実としては、『みんな、うそつき』と思っていると感じています。愛実はうそをつけないからすぐ信じてしまう。さまざまな人たちと関わりながら愛実も変われたらいいなと思いますけど、今のところはずっと『みんな、うそつき』と思っているハズです(笑)」

――では、カオルにはどのような感情を抱いているのでしょう?

木村 「木村文乃的には、『愛実あかんで。そうやって、また信じちゃってー』みたいな感じです」

――ラウールさんは、愛実にどんな印象を持っていますか?

ラウール 「登場人物の中でいちばん真面目そうですけど、真っすぐすぎて予期せぬ展開を引き起こすことがある。でも、そういう部分もいとおしく思えてくるような存在だと思います」

木村 「いとおしく思ってもらえなかったら私のせいです(笑)。頑張ります

ラウール 「(笑)。そうならなかったとしても、それはそれでありかなと思うんです。『何でだよ』とツッコまれて終わるのもいいのかなと。この先、2人がどうなっていくのか、先が読めないところも見どころです

――お二人が人を好きになるポイントは?

木村 「私は勝てないところがある相手かな。その人の気になるポイントをひもといていったら、『この人のここに勝てない』とか『どうしてあの人はこれができるんだろう、自分はできないのに悔しいな』とか、そうやって意識していくうちにその人のことをどんどん研究していって。その過程でどんどん気になっちゃって、気付いたら好きになっていたということがあります」

ラウール 「僕が人を好きになるポイントは、ユーモアのある人。唯一無二な感じの個性のある人が好きですね(笑)」

「愛の、がっこう。」高校教師・木村文乃とホスト・ラウールが考える“愛”とは?

――今のうちにお互いに伝えておきたいことは?

木村 「私、人見知りです」

ラウール 「それはもう理解しています(笑)。僕も割と人見知りです。伝えたいことがあったら、小出しにしていきたいです。駆け引きとかではなくて、小出しにして自由に言ってみようかなという気持ちです。それが多分、後々カヲルとリンクして見えるようになってくるのかなと思ったので、いい意味で気を使わずにいってみようかなと、作戦は立てたんですけど…」

木村 「じゃあ、明日からため口で!」

ラウール 「ため口は無理です!(笑)。最低限、礼儀はきちんとしたうえで木村さんは大先輩ですけど、懐を借りるというか甘えるというか」

木村 「楽しみです。終わり際にもう1回ぐらい取材していただいたら、『あの後で、こんなことがあったんですよ』と報告できるかも(笑)」

ラウール 「ちょっと怒られるぐらいの感じになったら、いちばん面白い関係性になれるのかなと思います

――では、今のうちに聞いておきたいことはありますか?

ラウール 「朝派か夜派か? それ結構大事」

木村 「完全に朝派です!」

ラウール「そうなんだ…。えー、そうなんですね」

木村 「駄目だ。合わないぞ(笑)」

ラウール 「いやいや。朝派だろうなとはパッと見で思ったんですけど。それはいいですね!」

木村 「ということは夜派ですか?」

ラウール 「僕はどっちかというと朝派かもしれないです。夜よりは朝だと思います。周り夜派の人が多いから朝の撮影で気を使います。僕は朝、実は元気なんですよ。も、そのテンションで夜派の人に話しかけて迷惑をかけたら申し訳ないので、朝派だと聞いて安心しました」

木村 「メーク中に私が寝ているからですよね メーク中に寝るのは、目を閉じたらそうなっちゃうだけで、疲れているとか眠いとかじゃなくて。お気になさらず、朝の支度時間を快活に過ごしていただいて大丈夫です」

ラウール 「朝派なのか、夜派なのかは気になっていましたが、次から朝からマシンガンでいきます!」

――お互い、気が合いそうな感じはありますか?

ラウール 「気が合うというか、本当に落ち着くので非常に僕は助かっております」

木村 「今作で2人の関係も、常に爽やかな風が吹いている感じだなと思っているので、日頃から姉弟みたいな感じでいられたらいいなと思っていました。なので、落ち着くと言ってもらえると第一歩クリアみたいな感じがしてうれしいです」

ラウール 「ありがとうございます」

「愛の、がっこう。」高校教師・木村文乃とホスト・ラウールが考える“愛”とは?

――最後に、視聴者の皆さんに一言お願いします。

ラウール 「同じ人間でも、立場や年齢の違い、育ってきた環境によって生まれる“差”に向き合えば向き合うほど、反発や苦しみが生まれるものだと思います。でも、個人的には周りの意見は気にしないタイプなので、視聴者の皆さんにもそうした視点でご覧いただいて応援してくれてもいいですし、『この恋は無理でしょう』とか『やめときなよ』と思いながら見たりそれぞれの楽しみ方でご覧いただけたらと思います。肯定しても否定しても楽しめる、そんな側面のあるドラマだと感じています」

木村 「愛実は、誰もが持っている、自分がいちばん見せたくなかったボロボロだった瞬間や傷ついた瞬間を全部さらけ出して、いちばんほしかったものを求めていきます。木曜の午後10時は、ちょっと疲れている時間かもしれないですけど、明日また頑張ろうと感じるような、そんな追い風を吹かせていけたらいいなと思っているので、ぜひご覧ください!」


【プロフィール】
木村文乃(きむら ふみの

「愛の、がっこう。」高校教師・木村文乃とホスト・ラウールが考える“愛”とは?

1987年10月19日生まれ。東京都出身。AB型。2006年、映画「アダン」でデビュー。同年11月に大河ドラマ「功名が辻」(NHK総合ほか)でテレビドラマ初出演を果たす。以降、映画やドラマで幅広く活躍。近作に、6月21放送のドラマプレミアム「看守の流儀」(テレビ朝日系)、6月27日公開の映画「でっちあげ~殺人教師と呼ばれた男」がある。また、映画「てっぺんの向こうにあなたがいる」の公開が10/31に控えている。


ラウール

「愛の、がっこう。」高校教師・木村文乃とホスト・ラウールが考える“愛”とは?

2003年6月27日生まれ。東京都出身。A型。Snow Manのメンバー。19年ドラマ「簡単なお仕事です。に応募してみた」(日本テレビ系)で主演を務めた。また、22年には、モデルとしてパリ・コレクションにも初出演。24年には、映画「赤羽骨子のボディガード」の主演も果たしている。


【番組情報】
木曜劇場「愛の、がっこう。」
フジテレビ系
7月10日初回スタート
木曜 午後10:00~10:54

取材・文/松下光恵



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