間宮祥太朗主演「イグナイト」最終章直前! 各話の訴訟の軌跡と最終話への布石2025/06/20 07:00

間宮祥太朗が主演を務めるTBS系で放送中の連続ドラマ「イグナイト -法の無法者-」(金曜午後10:00)は、訴訟社会化が進む日本と飽和状態にある弁護士界のリアルを描いた、これまでのリーガルドラマとは一線を画す完全オリジナルのダークリーガル・エンターテインメント。
いよいよ、6月27日放送に最終回を迎える本作。これまで原告になりそうなターゲットの心に“Ignite”(火をつけ)し、訴訟を焚(た)きつけてきたピース法律事務所の面々が、5年前に起きたバス事故に隠された謎に迫っていく。
そこで今回はこれまで彼らが焚きつけ、起こした訴訟を振り返る。
第1話(4月18日放送)

3年前に山上工業で起こった作業員のサイロ転落事故。疑惑の残る転落事故だったことから、「ピース法律事務所」の面々が夫を亡くした斎藤美咲(土屋太鳳)に訴訟を起こすよう促す。当初は閉鎖的な町で幼い子どもと暮らしていることから消極的だった美咲だったが、宇崎(間宮)らに心を動かされる。新米弁護士・宇崎が初めて関わった訴訟。
この回で描かれた宇崎の父(宮川一朗太)が起こしたバス事故のシーンは、実際にバスを横転させて燃え上がらせたといい、間宮は作品の本気度を感じ、自身も焚きつけられたと語っていた。映像に迫力があったのも納得である。
第2話(4月25日放送)

大学の強豪ラグビー部で起きたいじめが原因とうわさされる自殺未遂事件に迫る。自殺未遂後に意識が戻らない西田真斗(藤江琢磨)の弟で、部のエースとして期待されている颯斗(宮近海斗/Travis Japan)がターゲット。大学関係者やラグビー部員、そして彼らの両親は颯斗の将来を考え、真斗が受けていたいじめを隠していた。それに納得がいかない宇崎が、闘志を燃やし、颯斗の心に火をつけるべく動く。
将来がかかった大会と兄への思いで葛藤する颯斗を演じた宮近は、エースという役柄にリアリティーを持たせるため、クランクインまでラグビーの練習を入念に行っていたという。その気合が画面に出ていたように思う。
第3話(5月2日放送)

外国人技能実習生の違法労働問題に焦点が当たる。宇崎&伊野尾麻里(上白石萌歌)コンビが、大衆食堂を営む高山恭子(アンミカ)から、知り合いの外国人技能実習生・クオン(パース・ナクン)が大けがをしたという相談を受ける。労災申請をしないクオンを不審に思い、調べていくと、違法に産業廃棄物処理の仕事をさせられていたことが判明した。また、この回では轟が宇崎に自分の娘が5年前のバス事故で死亡したことを明かす場面も描かれた。
産業廃棄物処理の真相に迫る潜入シーンが臨場感にあふれていたが、のちに、一発撮りのアクションだったと聞き、感嘆した。
第4話(5月9日放送)

大手ハウスメーカー・ミートハウジングと開発権利関係でもめる零細企業・牧田材木店に狙いを定める。技術を守りたい気持ちと職人たちの生活を思い、強気に出られないというジレンマを抱える若社長の牧田一也(原嘉孝/timelesz)は、轟謙二郎(仲村トオル)の提案を断る。また、一也には、会社を捨て失踪した父・和彦(大石継太)への複雑な思いもあった。やがて、宇崎や職人らの言葉で心を動かされた一也は、訴訟に乗り出し、勝訴した。
原が演じた一也の心の奥底からこみ上げてくる悔し涙や父との和解した時の熱い涙にグッと来たのは言うまでもない。
第5話(5月16日放送)

轟は5年前のバス事故の隠蔽に関与した湊市市長・音部卓郎(髙嶋政伸)とつながりがある健康食品会社社長・高島陽次(羽場裕一)に接触する。高島の件を依頼された桐石拓磨(及川光博)は、高島のもとに潜入。国税調査を乗り切るための手段として、桐石と宇崎が社員になりすますことを高島に提案。一方、轟は自殺した湊市職員の遺族を焚きつけて、音部市長を相手に訴訟を起こす。
“カメレオン桐石”という異名を持つ桐石の七変化と、宇崎との絶妙な掛け合いは緊迫するドラマの中でも楽しいひとときとなっていた。
第6話(5月23日放送)

宇崎は、湊市役所の音部市長のハラスメントで職員・松原知里(大島涼花)が自殺したとにらみ、伊野尾と共に調査する中、週刊誌に悪評を書かれたピース法律事務所が危機に直面。そんな時に、高井戸斗真(三山凌輝)が千賀光一(田中直樹)の率いる「スリースター法律事務所」へ移籍し、音部市長側の代理人を務めることに。しかし、移籍の裏には高井戸の積年の思いがあった。
序盤はまさかの高井戸の離反に驚くとともにがっかりした部分もあったが、移籍の理由に胸がすく思いがした。クールな高井戸が千賀に向かって、たんかを切るシーンはしびれる場面であった。
第7話(5月30日放送)

音部市長からバス事故の黒幕が別に存在することを聞いた宇崎と轟。そんな中、盗撮被害に遭っている女子高生・三浦彩音(伊礼姫奈)をSNSで見つけ、調査の結果闇サイトを運営する「鳥自爺」にたどり着く。高校に連絡を取るも「本人が警察沙汰にしたくない」として静観を求める要請が届き、納得がいかない伊野尾は彩音に自らの過去を明かす。
伊野尾が過去のトラウマと向き合い、自身の思いを述べたことから、被害者の心が動き、声を上げることに。そこに至るまでの彩音と伊野尾、それぞれの心理描写が秀逸な回だった。
第8話(6月6日放送)

轟は5年前のバス事故にGIテクノロジーズの自動運転システムが搭載されていたことを突き止める。その後、偶然にも同社と関係のある東亜病院を訴えたいという依頼が舞い込む。依頼人の住菜々子(堀田茜)は、父が脳動脈瘤の手術後にくも膜下出血で急死したことに疑問を抱いていた。宇崎、伊野尾、高井戸が調査を進める中、病院内で出会った桐石から、妻・綾(映美くらら)が脳動脈瘤の手術を控えていることを聞かされる。しかも執刀医は疑惑の医師・河野遼平(坪倉由幸)。綾の命がかかった状況に、調査を続けるべきか迷う場面も。
正義と命の狭間で揺れる決断が、物語を大きく動かす。桐石の新たな一面が見られた回。桐石がぎこちない手付きで花瓶にお花を生けている綾とのやりとりは2人のアドリブだったとのことで、あらためて見返したくなった。
第9話(6月13日放送)

轟が「ピース法律事務所」を設立するまでの前日譚。バス事故が起きるまでの轟と娘・佳奈(藤﨑ゆみあ)との日々や事故後の出来事が明らかに。5年前、15歳の娘と2人暮らしの轟は、大手弁護士事務所「HY法律事務所」に勤め、仕事に追われる日々の中を過ごしていた。ある日、佳奈を良く知る同期の桐石や昔なじみの刑事・浅見から苦言を呈され、佳奈の誕生日を親子二人で祝おうと計画。しかし、バス事故に巻き込まれ、佳奈は帰らぬ人に。穏やかな日常が突如壊され、悲しみに打ちひしがれる。当初は運転手の過失と思われていたが、事故には何者かによって改ざん、隠蔽(いんぺい)されていた可能性があると浅見から聞く。その後、事故の真相を暴くため、辞職して「ピース法律事務所」を設立する。その後、加害者遺族となったバス運転手の妻・宇崎純子(藤田朋子)らの現状を知り、怒りに震える。そこから、陰でおびえている人々を救うため、あえて争いを起こすようになるのだった。後に、似たような志を持つ伊野尾や高井戸を引き込んだ轟は、宇崎にも近づき、仲間となっていく。
娘が亡くなった際の胸を締め付けられるような轟の慟哭。悲しみという言葉だけでは表せない感情を乗り越え、立ち向かう姿に心を打たれた。また、当初は金のために人々を焚きつけていたようにみえた轟の本音が分かるエピソードでもあった。

そして迎える6月20日放送の第10話。バス事故の真相を暴くため、原告となるのは宇崎の母・純子。夫・裕生(宮川一朗太)がかつて勤めていた湊中央バスを訴える決意を固める。被告であるバス会社所長・浜岡(おかやまはじめ)は、裕生が副作用の強い薬を服用していたことが原因とする警察の結論を盾に、責任逃れの姿勢を貫く。果たしてその主張は真実なのか。一方、浅見涼子(りょう)は闇カジノに目をつけ、高井戸とともに半グレの若者を潜入させようと動き出す。浅見の狙いの先にいる人物とは誰なのか?

バス事故の訴訟と裏社会の闇に迫る第10回。最終話への布石となる展開にも注目したい。
【番組情報】
イグナイト -法の無法者-
TBS系 毎週金曜
午後10:00~午後10:54
文/TVガイドWeb編集部
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