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仁村紗和×前田公輝W主演「完全不倫」“不倫”を超えて描く夫婦のリアルな再生劇2025/07/01 07:00

仁村紗和×前田公輝W主演「完全不倫」“不倫”を超えて描く夫婦のリアルな再生劇

 日本テレビ系で7月1日スタートのドラマDEEP「完全不倫 ― 隠す美学、暴く覚悟 ―」(火曜深夜0:24)。タイトルからもにじみ出る通り、「不倫」という重いテーマを扱いながらも、“夫婦の再生”という意外な切り口で描かれる。出版社勤務の吉岡千春を演じるのは、実力派俳優として注目を集める仁村紗和。そして、千春を心から愛する夫・吉岡拓哉役には、同系のドラマ「私をもらって」(2024年)での好演も記憶に新しい前田公輝が挑む。

 一見すると“隠す妻”と“騙される夫”という構図ながら、それぞれの愛の形と葛藤が丁寧に描かれていく、いわば”愛情のリハビリ”のような30分ドラマだ。そんな本作に挑む2人に、作品への思いやキャラクターとの向き合い方、撮影現場での関係性から素顔が見える3択質問まで、たっぷりと話を聞いた。

――台本を読んで最初に抱いた印象はいかがでしたか?

仁村 「最初に読んだ時は『こんな世界があるの!?』と驚きの連続でした。千春は一見“したたか”に見えるけど、根っこにあるのは深い愛情。その愛の深さゆえに不倫という手段を選んでしまう彼女の姿に、理解は難しくても、共感できる部分もあって…読み進めるうちに『この役を演じたい』と強く思うようになりました」

前田 「僕もびっくりしましたね。現代の不倫事情って、こうなっているのか…と(笑)。例えば、既婚者向けのマッチングアプリがあるとか、リアルな設定に衝撃を受けました。でもそれだけじゃなくて、作品全体として“夫婦の物語”がちゃんと描かれているんですよね。タイトルは『完全不倫』ですが、その先にある“愛のかたち”や“再生”がメインテーマだと感じました」

――「不倫を通して夫婦が再生していく」という、一見矛盾するようなテーマですが、お二人はこのストーリーをどのように解釈されましたか?

仁村 「私は不倫という言葉よりも、向き合うことの怖さのほうが印象に残っています。人って、逃げたり、隠したりすることも必要だけど、どこかでちゃんと向き合わないと前に進めない時が来る。千春も、自分自身と向き合うことでしか、本当に大切なものを守れないんだと気付いていく。そのプロセスを丁寧に描いていきたいと思っています」

前田 「再生って、一見ポジティブだけど、実際にはすごくエネルギーがいることだと思います。今回、拓哉は“不倫された夫”という立場ですが、それだけではなくて、彼自身も葛藤している。相手を信じるって、実はすごく能動的な行為だなと思いました」

キャラクターへの愛情――千春と拓哉の魅力

仁村紗和×前田公輝W主演「完全不倫」“不倫”を超えて描く夫婦のリアルな再生劇

――千春と拓哉、それぞれの役柄の魅力と、ご自身との共通点があれば教えてください。

仁村 「千春は、人を愛する力が強いところが魅力。愛情を惜しまず注げるのは、ある意味“才能”だと思うんです。ちょっと偏った形にはなってしまうけど、それも彼女なりの必死さなのだなと。私も人のいいところを見つけるのは好きなので、そこは似ているかもしれません」

前田 「拓哉は一見、普通の男だけど、すごく誠実で懐が深い。僕は今回、あえて“無個性に見える男”を演じることで、静かな強さや芯のある部分を表現したいと思いました。これまでは癖のある役が多かったので、新たな挑戦でもありますね」

――オリジナル脚本という点で、役作りにおける難しさや工夫した点はありますか?

仁村 「監督とたくさん話しましたし、不倫をテーマにした作品もいろいろ見ました。自分の考えだけでやらずに、いろんな角度から見てみようと思って」

前田 「女性側の不倫って描かれることが少ない気がします。だからこそ、今回は新しい挑戦でもありますね」

仁村 「イタリアやフランスの映画では、けっこう描かれていたりしますよね」

前田 「僕はこれまで、普通の男をあまり演じてこなかったので、拓哉はすごく挑戦的な役です。だからこそ、彼の目線で見てくれる方がいたらうれしいですし、作品の芯になる部分として演じていきたいと思っています」

仁村紗和×前田公輝W主演「完全不倫」“不倫”を超えて描く夫婦のリアルな再生劇

――役作りの過程で、特に印象に残ったエピソードはありますか?

前田 「僕、台本の中のあるセリフがすごく好きで、コーヒーをこぼした拓哉に対する千春の言葉がとても優しいんですよ。それを読んだ時、『あ、こういうところに拓哉はひかれたんだろうな』と思って、ちょっと実際にこぼしてみたくなりました(笑)」

仁村 「なんですか、それ(笑)」

前田 「冗談ですけど、でもそのくらい千春の言葉には力がある。だから千春というキャラクターが、物語の核になっているんだなと感じています」

――お互いの印象はいかがですか? 初共演とは思えない息が合っていますよね。

前田 「僕、人見知りはしない方なんですけど、相手が受け入れてくれないと会話は続かないので、その点で、仁村さんにはすごく助けられています。でも、お互いに現場ではセリフをぶつぶつとつぶやくタイプのようなので、現場では会話をせずにお互いにぶつぶつ言い合っているかもしれません(笑)」

仁村 「確かに(笑)。でもきっと、すごく自然体でいられると思います。前田さんって、ほんと“誠実”という言葉が似合う方で。演じる拓哉と重なりますね」

――お互いに「こんな一面がありそう」と感じたことはありますか?

仁村 「前田さん、美意識が高そうだなって思いました。スキンケアとか、ちゃんと気を使っていそうなイメージです」

前田 「まじですか(笑)。俳優って老けさせるのは簡単なので、なるべく中から若返ろうと頑張っています。紗和さんは、お城に住んでいて、朝はハーブティーを飲みながらジャズを流していそうなイメージがあるんですけど(笑)」

仁村 「そんなイメージですか? 全然やっていませんし、むしろギリギリまで寝ています」

前田 「(笑)。でも、本当に優しい方だなって思います。初対面でこんなに自然に話せるって、なかなかないことなので。僕たち俳優は、新しい人と会う機会は多いけど、一緒にお芝居していくとなると、距離感って大事ですよね」

仁村 「そうですよ! それが大きい!」

前田 「紗和さんのおかげで、すごくありがたいなって思っています。本当に優しい方です」

仁村 「優しいコンビで、頑張っていきましょう」

――お互いの印象を語り合っていただきましたが、作品の中で「このキャラクター、いいな」と感じた人物はいましたか? “推しキャラ”を教えてください。

前田 「千春が一番ですが、それ以外だと、僕は幼なじみの内野航(賀屋壮也)ですね。無垢な心を持ったキャラクターで、後半に登場するセリフにはグッと来ました。ピュアであることが時に不器用さにつながるけど、それがストレートに刺さるんですよ」

仁村 「分かります。愛らしいキャラクターが多いですよね。私はやっぱり拓哉です。誠実で、温かくて。“ゴールデンレトリバー”みたいな存在なんですよね。千春がこの世界で彼に出会えたこと自体が、運命だったんじゃないかと思えるくらい。最推しです!」

前田 「ありがとうございます(笑)。僕自身も、拓哉の中身は本当にかっこいいと思っています」

――少し踏み込んだ質問ですが、もし実際に相手の不倫に気付いたとしたら、お二人はどのように対処されますか?

前田 「そもそも結婚してないんですけど(笑)。でも、もし結婚後にそれが発覚したら…正直すぐ問い詰めずに、まず考えますね」

仁村 「私は問い詰めるというより、証拠を集めて冷静に対処するタイプかも」

前田 「感情だけで突っ走るのではなく、一度“のみ込む”というか、ちゃんと整理してから動くと思います」

――千春の「不倫しながらも本気で人を愛している」という一見矛盾した感情について、どのように理解されましたか?

仁村 「私も最初は矛盾だと思いました。でも千春は、過去の傷やコンプレックスを抱えているからこそ、そういう愛し方を選んでいる。台本を読み進めるうちに、それが、千春の愛情の形なんだと感じられるようになりました」

前田 「演じる上では、矛盾も含めて寄り添うことが大切ですよね。僕たちがその人物をいちばん理解してあげないと、誰が理解できるんだって思います」

3択質問で見る二人の価値観と人柄

仁村紗和×前田公輝W主演「完全不倫」“不倫”を超えて描く夫婦のリアルな再生劇

――ここからは、お二人の素顔が垣間見えるような作品にちなんだ3択質問をさせていただきたいと思います。

Q1:劇中では拓哉が記念日に動画を贈るシーンがありますが、記念日サプライズをするなら、どんなタイプですか?

①手の込んだ動画や手作りアルバムを作る
②プレゼントなど実用的で喜ばれそうなものを贈る
③日頃から感謝は伝えているので特別なことはしない

仁村 「私はけっこう①のタイプかもしれません。節目の誕生日とか、今年30歳になったんですけど、そういうタイミングでは、友だちにアルバムを作って、メッセージやステッカーをたくさん貼って、スクラップブックみたいなものをプレゼントしたことがあります。そういう時って、やりたくなるんですよね。特に大きな節目には、サプライズをしたいと思うタイプです」

前田 「僕は相手によりますね。すごく手紙を書くのが好きな人だったら、僕も書くし、逆に何もしないタイプの人に自分だけ盛大にサプライズすると、ちょっとプレッシャーになっちゃうかもしれないので。だから、相手が大事にしていることに合わせて、サプライズのスタイルを考えるタイプです」

仁村 「相手に合わせるタイプなんですね」

前田 「そうですね。プレゼントをしない人には、あげすぎると逆に負担になるかもしれないし。でも個人的には、ディズニーランドとか一緒に行きたいタイプでもあります(笑)。サプライズされるのも好きですね。自分のことを考えてくれていた時間があったんだって思えるのが、すごくうれしいんです」

Q2:拓哉はセンスが微妙だという設定ですが…相手の趣味がちょっと合わない時、どう対応しますか?

①やんわり指摘して方向修正する
②「いいね」と言って合わせる
③それも個性として受け入れる

前田 「①寄りだけど、やんわりですね。たとえばスマホを一緒に見て、『これ似合いそう!』って自然な流れでおすすめしてみたり。いきなり『これどうにかして』って言っちゃうと傷つけるかもしれないので…。でもちゃんと自分の意見も言います。『それは良くないかもよ』とか」

仁村 「なるべく理解はしてあげたいかな。私は③ですね。好きなものがある人のほうが好きなので。例えば何かのキャラクターのTシャツを着ていて、テンション上がっているのを見ると、『かわいいな』って思います」

前田 「最強です、その器の大きさが世界を救いますね(笑)」

Q3:拓哉を愛していながら不倫している千春、そんな千春の携帯を見てしまう拓哉…自分が演じる役に一つだけアドバイスをするなら?

①携帯電話の通知はオフにしておいたほうがいいよ
②中途半端なうそはバレるよ
③もう素直になったほうがいい

仁村 「③ですね。千春にはもう『素直になって』と言いたい。難しいですけどね」

前田 「僕も③かな…。難しいことだけど、結局そこが一番大事なんじゃないかなって。難しいからこそ向き合ってほしいですよね」

――ありがとうございます! 登場人物たちがそれぞれの“正しさ”や“思い”と向き合う姿も、この作品の見どころの一つですよね。では最後に、視聴者の皆さんへのメッセージをお願いします。

仁村 「不倫というテーマは、どうしてもネガティブに受け取られがちですが、この作品では『人を愛することの複雑さ』や『それでも前に進もうとする姿』が丁寧に描かれています。千春と拓哉、2人の揺れ動く心情や葛藤がきっと共感を呼ぶと思いますし、視聴後には、自分自身や身近な人との関係を見つめ直したくなるような、そんな作品になっていると思います」

前田 「タイトルにドキッとする方もいると思いますが(笑)、そのインパクトの裏には“家族とは何か”“信じるってどういうことか”という真摯(しんし)な問いかけがあります。肯定でも否定でもなく、登場人物たちがそれぞれのやり方で向き合っていく姿を通して、見てくださる方にとっての幸せのかたちを考えるきっかけになればうれしいです」


【プロフィール】
仁村紗和(にむら さわ)
1994年10月13日生まれ。大阪・枚方市生まれ。2014年に芸能界入り後、22年、NHK夜ドラ「あなたのブツが、ここに」でNHKドラマ初主演を務め、注目を集める。主な出演作は、連続テレビ小説「おちょやん」(NHK総合ほか)、ドラマ「わたしのお嫁くん」(フジテレビ系)、「SHUT UP」(テレ東系)、「あなたを奪ったその日から」(フジテレビ系)など。24年10月、韓国・釜山で開催された「アジアコンテンツアワード&グローバルOTTアワード2024」にて、「SHUT UP」での演技が評価され最優秀新人賞を受賞。


前田公輝(まえだ ごうき)
1991年4月3日生まれ。神奈川県生まれ。6歳より子役として活躍し、08年の映画「ひぐらしのなく頃に」で映画初主演を果たす。2016年から参加した「HiGH&LOW」シリーズの轟洋介役で人気を集め、近年は、連続テレビ小説「ちむどんどん」(NHK総合ほか)、「366日」(フジテレビ系)、「私をもらって」(日本テレビ系)など幅広い作品に出演。ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」「スリル・ミー」「ミセン」などの舞台作品でも活躍。レギュラーラジオ番組「前田公輝のヒラケテヒラク」(ラジオNIKKEI第1)のパーソナリティーも務める。


【番組情報】
「完全不倫 ― 隠す美学、暴く覚悟 ―」
日本テレビほか
7月1日スタート
火曜深夜0:24〜0:54

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【締め切り】2025年7月29日(火)正午

取材・文/斉藤和美



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